仮面ライダー鎧武×結城友奈は勇者である   作:リョウギ

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第10話 激突‼︎ 勇者vsオーバーロード

「こいつ、何なの?」

スコーピオンの毒針をいなしながら夏凛が首をかしげる

毒針の動きは非常に緩慢で夏凛が持つ細身の剣でも弾きやすい

そう、弾きやすくなってるのだ

以前戦ったスコーピオンはかなり的確に毒針攻撃を繰り出してきてかなり苦戦した覚えがある。だのにこのスコーピオンはやたら動きが緩慢で何やら覇気というか生気を感じないのだ。しかし、急所への攻撃や風たちへの合流は的確にかつ迅速に妨害してくる

まるで夏凛をここに留めるためだけのようだ

(バーテックスにそんな知能が……?騙し討ちとかもしてくるから無いとは言い切れないけど……)

不思議に思いながらもスコーピオンの攻撃をいなし続ける夏凛

その視界の外から何かが高速で飛来し夏凛の頭を捉えて吹き飛ばした

「……ッ‼︎ 何なの⁉︎」

吹き飛ばされた先で頭を押さえながらも夏凛が立ち上がる

『油断大敵』

夏凛の傍で厳かに呟いたのは小さな鎧武者

勇者の防衛機構、精霊の義輝だ

『カカッ、今のを防ぐとはたまげたなぁ……別世界のチビザルもおもしれぇじゃねぇか』

夏凛から戻っていくなにかをキャッチしたのは緑色をしたゴツゴツした外見の異形。どこかシルエットは絋汰と戦ったあのインベスとかいうやつに似ている

だがインベスと明確に違ったのは相手がはっきりと日本語を喋ったことと、その手に小振りながら重そうな斧を二挺握っているということだ

「……チビザルとは言ってくれるわね……‼︎」

『チビザルはチビザルだろ?サルをサルと呼んでなにが悪い』

かなり嫌味ったらしい挑発に流石の夏凛も頭にきた

「そこまで言うならそのチビザルに負ける味でも堪能してみたらどう⁉︎」

『カッカッ、おもしれぇ……このジュブリョシェン様の一番の相手だ、光栄に思えよチビザル』

片方の斧を向けながらジュブリョシェンと名乗った異形が嗤う

そしてどこからか取り出したのは絋汰たちが使ってるのとよく似た黒い錠前。フルーツではなくて蠍座のマークが描かれている

『コイツのテストもあるしな。ほら、お前も本気出していいぜ?』

と言うや否や夏凛にスコーピオンの毒針が襲いかかった

すんでのところで双剣で受け止めるが、今度の攻撃は間違いなく全力だった

「なっ……⁉︎何で急に……⁉︎」

(まさか……さっきの錠前……あれでアイツが操ってるの……‼︎)

怒り以上に冷静になった夏凛がジュブリョシェンを睨みつける

『簡単には死んでくれるなよ?つまんねぇからな‼︎』

 

各々の武器を構えて赤い異形に相対する友奈たち

ただ3人とも冷や汗をかいていた

(ビリビリくる感じ……ただものじゃない……‼︎)

否応なしに伝わってくる不気味なまでのプレッシャー。ギリギリ立って受け止めてはいるが、油断すれば飲まれそうだ

『……アンド、テストスタート』

先に動いたのは赤い異形。懐から二つ黒い錠前を取り出し、解錠する

《キャンサー‼︎》

《サジタリアス‼︎》

解錠と共に出現したのは鎧武のような鎧ではなく二つの巨大なクラック。その中から出現したのは

「新手のバーテックス⁉︎」

「そんな⁉︎」

一方は6枚の反射板を持つ蟹座のキャンサーバーテックス、もう一方は巨大な口の中に針のような『矢』を番えた射手座のサジタリアスバーテックス。どちらもかつて友奈達が撃退したバーテックスだ

出現が確認されていたのが遠方で風たちが相手をしている2体。こちらの2体は間違いなくあの異形の解錠と共に出現していた

赤い異形はキャンサーバーテックスの頭らしき部分の上に飛び乗る

「バーテックスを、操ってるの……⁉︎」

園子も仰天した表情を見せるが、東郷は既に異形への警戒に移っていた。役職が近いからこそ解る。あの位置どり、そして長銃という武器

予想通り異形は長銃の狙いをこちらに定める。狙撃体勢だ

「友奈ちゃん‼︎園っち‼︎」

東郷の呼びかけに友奈と園子が素早く反応して飛び退く。数秒前まで友奈達がいた地面が軽く吹き飛ぶ。あの長銃には見た目以上の威力があることが証明された

『ミステイク、0ポイント』

「そういうことならっ‼︎」

言うが早いか友奈が高く跳躍し拳を固める。狙いは狙撃手かつ司令塔の赤い異形

空中の友奈めがけて今まで黙認していたサジタリアスが狙いを定め、矢を引き絞るーが、園子の槍撃がその射線を大きくずらす

「こっちは任せて‼︎わっしーとゆーゆは‼︎」

「分かったわ。頼んだわよ園っち‼︎」

分担に成功した今、異形は次弾装填の為にガラ空きだ

「はぁああああああああ‼︎」

ゴインっ‼︎

しかし友奈の渾身の一撃はキャンサーの反射板一枚に阻まれた

「くっ‼︎」

攻撃の反動を使って反射板から飛び退く友奈を素早く移動した反射板の後ろから異形が狙う

「友奈ちゃん‼︎」

パァン‼︎

異形が放った弾丸が友奈の肩口を掠める。精霊の守りで傷こそないが、かなりの衝撃に空中で体勢を崩した友奈が地面に墜落する

「ッ‼︎このッ‼︎」

反撃とばかりに東郷が二挺拳銃を乱射する、がこれも素早く展開された反射板に阻まれる

反射板の向こうでは悠々と空薬莢を排出し、次弾を装填する異形の姿が垣間見える

『ヒット、10ポイント』

異形は続いて東郷に狙いを定める

やはり操られているとしか思えないほどの強力な連携に東郷は唇を噛み締めた

 

「ハァッ‼︎」

ガギンっ‼︎ゴインっ‼︎

《ギッ⁉︎キキッ⁉︎》

重厚なマンゴパニッシャーの連撃がコウモリインベスを捉える。防戦一方どころでなくコウモリインベスが消耗していく

「どうした?それで終わりか?」

《ギ……キィッ……ッ……ギキッ?》

とコウモリインベスが目を向けたのがなんとかピスキスを拘束しながらもまだへたり込んだままだった樹

強すぎるバロンより先に抵抗しなかった樹に狙いを定めたらしいコウモリインベスが素早く樹に飛びつく

《キキィッ‼︎》

「‼︎きゃあっ⁉︎」

「どこを見ている‼︎」

ズガンッ‼︎

《ギョギィッ⁉︎》

ガラ空きになったコウモリインベスの背中に投擲されたマンゴパニッシャーがクリーンヒットし、再びコウモリインベスが地面を転がる

「弱者らしいやり方だな」

悠々とマンゴパニッシャーを回収したバロンはコウモリインベスを再び睨みつける。そのまま樹の方にも一瞥をくれ

「貴様も貴様だ。戦う力も、覚悟もない弱者ならどけ。邪魔なだけだ」

「なっ、あんたうちの妹になんてこと言うのよ⁉︎」

「戒斗お前⁉︎流石に言い過ぎだろ⁉︎」

いきなりの不遜な言い回しに鎧武と風が猛抗議する

「事実だろう。貴様も姉ならば妹の一人守ってみせるのが当然だろう?力の無い弱者をこのような場に巻き込んで、自分のことは棚に上げる気か?」

「……ッ‼︎」

風の表情が怒りから一転、複雑な表情に変わる。樹も俯いたままだ

余程バロンの発言が効いたのか鎧武が痺れを切らして

「おい、戒斗お前……」

「あぁ、そうよ……樹は、私が巻き込んだも同然で、それに負い目だって感じてたわ……」

鎧武の言葉を遮り風が静かに口を開く

「でも、でもね、その子は、樹は、一回は夢まで失いかけたのに、勇者部に入ってよかったって笑ってくれた‼︎ 戦えなかったあたしを守ってくれた‼︎ そんな樹が弱いわけがあるかッ‼︎」

風の今まで見せたことの無いような感情が溢れ出る叫びを聞いた樹が顔を上げる

「……わたしも、最初はすごく怖かった……でも、それよりもずっと、お姉ちゃんやみんなとの日常がなくなる方が怖くて、だから、みんなといたい、守りたいって思えた‼︎ お姉ちゃんに巻き込まれたからじゃない、わたしの意思で‼︎」

その顔はまだ怯えが残っていながらも決意と覚悟が滲み出ていた

「そこのツンツンマンゴー‼︎」

「バロンだ‼︎」

「あたしら姉妹の女子力の高さ、その目にしっかり焼き付けなさい‼︎」

勇ましい宣言と共に風が樹に微笑みかける

「行くわよ、樹‼︎」

それに力強く頷いて返す樹

「うん、お姉ちゃん‼︎」

 

「「満開‼︎」」

 

瞬間二人の姿が眩い光に包まれ、それに合わせ地面から光の根が二人に伸びていく

「な、なんだ⁉︎」

光が晴れた中にいたのは様変わりした犬吠埼姉妹だった

風はその手に大剣、どころか斬艦刀とも言えるような巨大剣を

樹はその背に後光にも見える天輪を

更に二人の勇者服も大きく変化し、巫女服のような神々しさと満開した花のような華やかさを兼ね備えているような豪奢なものになっている

「すげぇ……きれいだなって、おおっと⁉︎」

変身に際して樹の拘束が解けたピスケスが暴れ出し、スイカアームズ鎧武がよろめく

「絋汰‼︎そいつ上にぶん投げて‼︎」

「お、おう‼︎で、りゃあああああああああ‼︎」

力任せにピスケスを空中に放り投げる

瞬間移動と見紛うスピードで風がピスケスの上方へ位置どる

「あんたみたいな魚、刺身にしてやるッ‼︎」

風の巨大剣が横に一閃されピスケスが抵抗なく両断される

「もういっちぉおおおおおおおおおお‼︎」

返す刀で縦にも一閃。十字にぶった切られたピスケスは核も破損したのかそのまま爆散し、空へと帰っていく

「見たか‼︎あたしの女子力‼︎」

「すっげぇ……」

驚くスイカアームズ鎧武の傍をコウモリインベスが高速で飛び去る。その後方には見えないほど研ぎ澄まされた細いワイヤーが追い縋っていた。ワイヤーは樹の背負う天輪から伸びている

「逃がさない……‼︎」

《ギ、ギギッ⁉︎》

ワイヤーがインベスの足を捉えるとその体を一瞬のうちにぐるぐるに拘束し、身動きを封じる

「さっきの、お返し……ッ‼︎」

コウモリインベスに向けた手のひらをギュッと握りしめる樹

同時にワイヤーが急速に締まり、コウモリインベスの体が軋み始める

《ギギギギギッ⁉︎》

抵抗虚しくコウモリインベスが細切れにされる

「……容赦ないな……」

普段の樹からは見られない苛烈さを垣間見たバロンが思わず唸る

バーテックスとは違い有機的なインベスだったこともありさすがの樹も顔を引きつらせているが…

「よ、よーし樹、絋汰、それから……そこのマンゴー‼︎」

「バロンだ‼︎いい加減覚えろ‼︎」

「このまま夏凛と合流して終わらせるわよ‼︎」

「おう‼︎」

 

『カッカッカ‼︎いいねいいね‼︎チビザルにしては中々楽しませてくれるじゃねぇか?』

ガギンッ‼︎ギィンッ‼︎

手斧を振り回しながらジュブリョシェンが夏凛に迫る。双剣で受け流してはいるが実際紙一重だ。押し切れそうになるたびに絶妙な連携でスコーピオンが攻撃してきてこちらは攻めるに攻めれない

「チビザルチビザルうっさいわね……‼︎私には三好 夏凛って名前があるのよ‼︎」

『ミヨシ カリン……成る程な、覚えたぜカリン。俺はつえぇヤツは覚えとく主義だからな』

肩で息をしながらもジュブリョシェンとスコーピオンの双方を警戒する。だが整息している夏凛に対して2体は攻撃しようともしない

(あくまで真正面から叩きたいってわけ……⁉︎)

「上等じゃない……なら私も、出し惜しみ無しよ‼︎」

『お?』

 

「満開‼︎」

 

瞬間、夏凛の姿が眩い光に包まれ、大地から光の根が伸びる

警戒したのかスコーピオンが毒針を伸ばすが、光が晴れるより早く何かが光から飛び出し、スコーピオンと交錯する

一瞬動きを止めたスコーピオンが瞬時にバラバラに分解される

「まずは、一体‼︎」

光から飛び出したの雄々しく変化した夏凛

背に負う後光のような天輪に剣を携えた4本の巨大な腕を装備し、その姿はまるで阿修羅のようだ

勇者服も神々しく豪奢に変化している

『たまげたなこりゃ……カリン、てめぇまだそんな力隠してたわけか。楽しませてくれるねぇ』

軽口を叩きながら拍手を送るジュブリョシェンに夏凛の剣が向けられる

「へらず口が叩けるのはここまでよ。徹底的にぶっ潰す‼︎」

 

 

友奈たちと赤い異形、バーテックスとの戦いはほぼ一方的だった

友奈たちの防戦一方だ

キャンサーの反射板が東郷の銃撃や友奈の接近を弾き、体勢を崩したところに異形からの正確な狙撃、園子が相手をしているサジタリアスも園子の攻撃を的確に交わしては矢の雨を降らせて波状攻撃を仕掛けてくる

3人とも荒い息を繰り返すほどに消耗していた

『つまらない……弱い……』

ふぅとつまらなそうに異形がため息を漏らす

(このまま防戦一方が続けば、勝ち目はない……‼︎)

東郷が唇を噛み締め決意を固める

『ゲーム、セット』

異形がなまら手を上げ二体のバーテックスに命令

キャンサーの反射板が3人を包囲するほど展開され、合わせてサジタリアスから無数の矢が反射板に向けて発射される

矢は反射板を跳ねまわりながら3人雨のように降り注いだ

相当な弾数の矢が降り注いだ為に盛大に土煙が上がる

『スリーキル、300ポイント』

「残念、0ポイントだよ〜」

異形のセリフにのんびりとした返事が重なる

瞬間、サジタリアスが6本の巨大槍に串刺しにされる

「油断大敵、強者故の奢りが貴方の敗因よ」

土煙を割いて6筋の群青の光線がサジタリアスに殺到。たちまち体を粉砕し、露出した核ー御魂をも粉砕する

光線に割かれ晴れた土煙から現れたのは要塞ーそう形容すべき巨影が2つ

神々しい勇者服の園子を乗せたサジタリアスを貫いた巨大槍をオールのように展開した舟

そして同じく荘厳な勇者服の東郷を乗せた6門の巨大砲を備えた空中艇

二人の満開が背中合わせに並んでいた

「我、総攻撃を開始す‼︎」

「いっけー‼︎」

二人の号令に合わせ、巨大槍と光線が唸る。だがキャンサーの反射板はそれすらも弾き防ぎきる

だが、これはブラフ

「はぁああああああああああ‼︎」

咄嗟に見上げた先に巨大な影を視認した異形はキャンサーの反射板全てを直列に配置し、防御体勢をとる

が、巨大な拳がその反射板を一気に破壊する

『なにっ⁉︎』

終始無表情だった異形の表情が目に見えて歪む

「これなら、届くッ‼︎」

異形に迫るは巨大な腕を一対背負う満開状態の友奈

反対の巨大拳を握りしめ、振りかぶる

異形は間一髪キャンサーの頭部から跳躍し離脱

取り残されたキャンサーは哀れ友奈の巨大拳の直撃をくらい、粉砕される

「逃げたっ⁉︎」

「逃がさない‼︎」

6門の大砲が異形をロックオン、間髪入れずに光線が放たれる

迫り来る光線を眺めた異形は

静かに微笑んだ

『ーミッション、コンプリート』

そう呟いた異形の目前で光線が何かに弾かれる

「えっ……?」

あまりの出来事に東郷が固まる

東郷の砲撃は大型のバーテックスすら瞬殺する破壊力を有している

それが何にかはわからないが、あっさりと弾かれたのだ

『ご苦労だった、ラシャ。後は私が引き継ごう』

不意に荘厳な声が響く

体勢を整え着地したラシャと呼ばれた異形の前にゆっくりと歩み出てきたのはラシャと雰囲気の似た黒い異形。シルエットとしてはローブかコートを纏っているようにも見える

黒い異形は片手を上げると飛来してきた3つの円形刃ーチャクラムを掴む。おそらく先ほど光線を弾いたのがそれなのだろう

『サンクス、リーダー』

片手でヒラヒラと挨拶したラシャは開いたクラックの中に消える

『さて、はじめまして勇者の諸君。私はディエヴオ』

ディエヴオと名乗った異形は慇懃に礼をする

『此度は挨拶として、そして諸用の消化に来させてもらった。よろしく頼むよ』




はい、ついに二桁いけました‼︎ ご愛読頂いてる皆様には感謝です‼︎

今回は満開連発で勇者側がかなり派手な立ち回りになって書いてる身としても楽しい回になりました。注釈として勇者シリーズをご存知の方は満開についてはあまりいい印象がなかったりしますが、この作品では全力で戦えるゆゆゆい世界ということで満開も難なく使えることにしています。散華とかないんでご安心を…

ジュブリョシェン、ラシャと更なるオーバーロード、そして彼らが扱うバーテックスを召喚、使役できる黒いロックシードと中々にキナ臭さが増してきました…
次回はついにディエヴオと直接対決‼︎ 沢芽市側のあれこれも描いていきたいな、とも考えてます
お楽しみに‼︎
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