仮面ライダー鎧武×結城友奈は勇者である   作:リョウギ

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第2話 少女と怪物

若者は戦う。誰かが生きる世界を守るため、自身の求める強さを求めて、愛するただ一人を救うために

少女は戦う。課せられた使命、否、みんなの笑顔を、幸せを守るために

彼らの戦いに果たして果てはあるのだろうか、望む結末はあるのだろうか。それを知るのは等しく神だけなのかもしれない

 

絋汰の目前に降り立った少女はどこか巫女らしさのある服をたなびかせ改めて絋汰に向き直る。絋汰も呆気に取られたままポカンと視線を返す

「女の子……?」

「男の人……?」

ようやく状況を飲み込んだ二人が叫ぶのはほぼ同時だった

「え、ええええええええ⁉︎お、女の子が、さっきのデカブツぶっ飛ばしたああああ⁉︎」

「ええええええええ⁉︎なんで⁉︎なんで樹海の中に普通の人がいるの⁉︎」

絋汰の世界に身の丈数十倍以上の怪物をライダーにならずに吹き飛ばせる人間……ましてや少女なんて存在しない。驚きももっともである

「何バカみたいな大声出してんの友奈…」

「びっくりしちゃったよゆーゆ〜」

混乱する絋汰の耳に新しい声が届く

声に導かれて振り返った先には友奈、と呼ばれた先程の少女と同じくらいの背格好の少女が二人立っていた

一人は友奈とよく似た紅い特徴的な服を着たツインテールの勝気そうな少女。友奈と違って腰には二本の刀が下がっている

もう一人はどこかほんわかした雰囲気のロングヘアの少女。こちらも他二人に似た紫の特徴的な服を纏い長い槍を携えている

「夏凛ちゃん、園ちゃん、大変なの‼︎ 普通の人が樹海に紛れ込んでるの‼︎」

「何寝ぼけてんの?そんなことあるわけが…」

紅い少女、おそらく夏凛と呼ばれた少女がようやく友奈の隣の絋汰に気づき思わず目を剥く

「うそぉ⁉︎」

「ほんとに紛れ込んでるね〜私またびっくりしちゃったよ〜」

かなり驚いたそぶりの夏凛とは違いあまり驚いた様子が園ちゃんと呼ばれた紫の少女からは感じられないが新しい少女二人も絋汰の存在に驚いているらしい

「あんた、なんでこんなところにいるのよ⁉︎」

「いや、そんなこと言われても、俺だってここがどこかもわかんねぇんだって‼︎」

「樹海を知らないってことは〜大赦の人でもないよね〜?」

「大赦?なんだそりゃ?」

「私なんだかわかんなくなってきたよ……」

「奇遇ね友奈、私もよ……」

「はぁ……って後ろ‼︎後ろ‼︎」

あまりの驚きに4人は迂闊にも失念していた

友奈が吹き飛ばした白い異形はまだ沈黙してはいなかった

異形は下腹部と思われる部分からいくつもの球体をこちらに向かって射出してくる

「!危ねぇ‼︎」

今度こそ変身すべくロックシードを構える絋汰だが、

「うぉりゃああああ‼︎」

突然上から響いてきた威勢のいい掛け声とともに飛来していた球体が絋汰たちの目前で爆発する

「なーにボーっとしてんのよお三方?夏凛までボーっとしてるなんて珍しいわね?」

「風先輩‼︎」

新しく現れたのは今までの三人より少し大人びた少女

こちらは黄色い服と身の丈に迫るほどの大剣を携えている

「そりゃボーっともするわよ……こんなこと初めてだし」

「こんなことって……えっなんで私たち以外の人が⁉︎」

「ね〜不思議だね〜」

予想通り驚く風。しかし今度は問答に発展する前に事が動く

白い異形の体のあちこちから爆風が発生、加えてどこからか伸びた緑のロープで縛られ思うように動けなくなっている

「話はあと、東郷と樹が抑えてくれてるあいだに倒すわよ‼︎」

「ったく、さっさと片付けるわよ‼︎色々整理したいし‼︎」

「うん、行こう‼︎」

風、夏凛、友奈の三人が異形に向かって跳躍。やはりただの少女の運動能力とは思えない。まるでライダーシステムで変身しているように絋汰には思えた

「ここにいてね〜すぐに倒しちゃうから!」

園っちと呼ばれた少女も絋汰に手を振りながら三人に続いて駆けていく。気の無い手の振り返しをした絋汰は未だ呆気にとられて呆けている

「なんなんだ一体……」

視線の先では4人の少女達が絋汰を襲った巨大な異形を絶妙な連携を取りながら圧倒していく。身の丈数十倍以上の異形を少女達が圧倒する様は何やらシュールに見えた

「俺が出る幕は無さそうだな……ん?」

渋々ロックシードをしまった絋汰の視界の端を何かが物凄い速さで走り抜けた。辛うじて目で追ったその先にいたのは

「………人形?」

戦う少女達を無視して走り抜けていく人形のような影だった

 

(樹海の中に人なんて……一体なんで……)

少女達の交戦地点から少し離れた場所から白い異形ーヴァルゴバーテックスを睨みつける影がもう一人

他の少女達に似た青い服を着た長い黒髪の少女ー東郷美森は怪訝な表情をしながらも正確にヴァルゴの放つ球体爆弾を手にした長銃で狙撃していく

(迷い込んだ……なんてことはありえない、じゃあ一体あの人は……)

不意に東郷の手にした端末が音を立てる

映った画面には友奈達と乙女座(ヴァルゴ)、そして東郷のすぐ斜め後ろを高速移動する双子座(ジェミニ)のマーク

「‼︎しまった‼︎」

振り向いた時には新たな敵ージェミニバーテックスはもうかなり後方を走っていた。このバーテックスは過去にも他のバーテックスで陽動している中、「目的のもの」に向けて全力疾走してきた隠れた難敵である

(まずい、狙撃で倒すには遠すぎる……‼︎)

(このままじゃ、神樹様が……‼︎)

一か八か、走るジェミニに照準を合わせ、引き金を引く……

ーそんな東郷の脇を赤い影が走り抜けた

「ーえ?」

「ぉおぉおりゃぁあ‼︎」

走り抜けた赤い影は遠方を全力疾走するジェミニに追いつきジェミニを盛大に転ばせた

《ミックス‼︎》

《ジンバーチェリー‼︎ハハーッ‼︎》

「なんとか間に合ったぜ……ヤバそうな感じだと思ったら、こいつもあのデカイのの仲間みたいだな」

東郷の脇を走り抜けた赤い影の正体は、鎧武者に似た何者か

黒い甲胄の上に陣羽織を纏ったような姿は正しく古風な将軍のようである

「あれは……何?」

 

側を走り抜けた人形のような何かに嫌な予感を覚えた絋汰が変身したのは鎧武ジンバーチェリーアームズ

鎧武の強化形態の中でも超スピードでの移動に特化した姿だ

全力疾走している人形もどきに追いつけるかは五分五分だったが、思ったよりは余裕だったらしい

「さて、お前くらいなら俺一人で十分」

倒れた人形もどきはせわしなく足をバタつかせながらももう起き上がりかけている

「フルーツジュースにしてやるぜ‼︎」

独特な啖呵を切った鎧武は手にした赤い弓ーソニックアローのスロットにチェリーエナジーロックシードを装填

《ロック、オン》

鎧武が弦を引き絞ると同時にソニックアローの発射口に赤いエネルギーが充填されていく

「セイハーッ‼︎」

《チェリーエナジー‼︎》

気合一射、ソニックアローからさくらんぼに似た形のエネルギー球が発射され、人形もどきの頭部に命中、爆発する

上半身を失った人形もどきの体はまるで花びらのようにぼろぼろと剥がれ、空へと舞い上がっていく。不気味な外見からは想像もつかないどこか美しい最期だった

「はぁ……なんとかなったか……」

緊張の糸が切れたのか鎧武は地面に大の字に寝転がる

見ると少し遠方でも空に向けて花びらのようなものが上がっていく

「あっちも倒せたんだな……ん?んん⁉︎」

事態の終わりを確認すると同時に今度はこの世界に異変が発生した

地面や空が異形たちと同じように花びらになってほどけだした

「なんだ⁉︎どうなってんだ⁉︎」

「安心して下さい。樹海化が解除されるだけですから」

見ると鎧武の背後に先程まで一緒だった少女とはまた違う少女が

「君は……」

「私は東郷美森といいます。彼女たちの仲間です」

丁寧な自己紹介とは裏腹に少女の顔には警戒がにじみ出ている

「貴方が何者か、戻ったら少し話を聞かせてもらいます」

東郷のその言葉を最後に極彩色の世界は解けて消えた

 

気がつくと鎧武はどこかの建物の屋上らしきところに立っていた

「………あれ?戻ってこれたのか?」

沢芽市に戻ってこれたのかと思った鎧武だが、見える町の風景の違和感に気づく

まず沢芽市のシンボルでもある巨大なユグドラシルタワーがない

それに他の建物も沢芽市のものより低く、どこか古風な感じがする

「なんだよここ……どこに出ちまったんだ……?」

「え、ええっ⁉︎」

混乱する鎧武の耳に聞き覚えのある明るい声が響く

振り向くと先程あの白い異形と戦っていた少女達が何やら得体の知れないものに驚くような顔で並んでいた

いつの間に着替えたのか服はどこかの制服のようなものに変わっている

「あ、さっきの‼︎」

「なんで鎧武者がこんなとこに⁉︎」

「すご〜い‼︎カッコいいよあの人‼︎」

「いやそういう問題じゃないでしょあれ⁉︎」

「あんたどこから入って来たのよ‼︎」

いきなり鎧武に詰め寄る少女達。面食らった鎧武だがそこではたと思い出す

少女達と出会った時、自分は変身してなかったことに

「そうだった……ちょっと待ってくれ‼︎」

《ロック、オフ》

素早くベルトからロックシードを外し絋汰の姿に戻る

「あ、あの時のお兄さん⁉︎」

「嘘、何今の⁉︎」

「わ〜変身ヒーローみたいだね〜‼︎」

やはりというかなんというか少女達は更に絋汰に詰め寄ってくる

「みんな、その人も困ってるから一旦落ち着きましょう?」

喧騒を裂いて声が響く。声の主は先程あの世界で最後に話しかけて来た東郷とかいう少女だった

「さて、約束通り」

「少し、話を聞かせてくださいね?」

「……は、はい」

なんだか妙に凄みのある笑顔の問いかけに、恐らく年上ながら、絋汰は頷きを返すしかできなかった

 

「実に、実に興味深い。まさかただの調査がこんなことになるとはね……」

絋汰と少女達がいる建物、学校らしいその建物のグラウンドに見えない何かが佇んでいた

「もしこれが森による現象ならば……ふむ、良いチャンスかもしれないな……」

透明な何かはさも愉快そうにくっくっと笑いを漏らすと今度は気配ごと消失した

屋上で騒ぐ少女と若者を興味深そうに振り返りながら




すみません、第2話めっちゃ長くなりましたw
戦闘って文字にするとかなり長くなりますね……

今回は結城友奈をはじめとした勇者のみんなが続々と登場。とりあえずゆゆゆ組は勢揃いしました。樹ちゃんはまだ会話には出てませんが……

あと最後に出て来た透明な何か、鎧武本編を見てる人なら言動から「あいつだなこれ……」ってなってる方もいるかも……?

次回はようやく日常パートです、お楽しみに‼︎
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