仮面ライダー鎧武×結城友奈は勇者である   作:リョウギ

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第7話 暴虐の遭遇

ひなた一行が羽波病院の病室で見たのは痛々しい傷を負った乃木若葉、高嶋友奈、郡千景の3人だった。3人とも至るところに包帯が巻かれ、高嶋と千景の2人はまだ眠っている。若葉は目を覚ましておりひなたたちにあっけらかんと挨拶を返しひなたに泣きつかれていた

ひなたが落ち着いてようやく事態の共有が始まった

「えっと、早速ですまないが……そちらは一体…」

「あぁ、はじめましてだよな。俺は葛葉絋汰。色々あって今友奈たちに世話になってる」

「そうか、こちらこそはじめまして。私は乃木若葉。結城友奈たちとは実は生きた時代が違うのだが、訳あってこの時代で共に行動している」

「そうか、よろしく……って生きた時代が違う?」

「あぁ、それは私から説明します。自己紹介が遅くなりました、上里ひなたと申します」

と先程と比べて落ち着いたひなたが説明を代わる

簡単にひなたが説明してくれた内容を一言で説明すると

造反神とかいう神様がいてそれに対抗するために神樹様が各時代から勇者を集めて今に至る

「え、神様と戦ってんの⁉︎友奈たち⁉︎」

「まぁそういうことになりますね、簡単に説明すると…」

「あはは……今更ながらすごいことになってるよね…」

東郷と友奈に交じり絋汰も苦笑する

「落ち着いたところで本題に入りましょう。若葉ちゃん、一体何が起こったんですか?」

「あぁ、わかった。あの時私たちは樹海でバーテックスを撃破していつも通りに撤退を待つだけだったのだが……」

 

 

若葉と友奈一行合流から数時間ほど前

「今回はちょっと大変だったね〜」

「あぁ、まさか斬る度に増えるとはな……」

今回現れたバーテックスは牡羊座に区分されているアリエスバーテックス。今まで戦ってきた中ではかなり脆かったが斬ったり壊すとどんどん増えていくという珍妙な特性を持っていた

「あんなに増えて……流石に七人ミサキでもかき集めるのが大変だったわ……」

最終的にかなりの数になったバーテックスだが、七人ミサキの力で分身した千景がなんとかかき集めて若葉、高嶋の切り札で一網打尽にする形でなんとか撃破に成功した

「お疲れさまだな千景〜今日の活躍、タマから太鼓判押してやろう♪」

「…ま、ありがたくもらっておくわ」

「なんだ今の間⁉︎」

と5人で談笑をしていると、杏が何かに気づく

「……あれ、なんでしょうか……?」

杏の指差す先には穴が開いていた。正しくは空間にぽっかりと穴が開いているような、そんな感じの穴がそこにはあった

「穴……?」

「なんだろう、これ……」

「なんだ?タマにも見せてくれ〜」

穴の前に5人が集まり観察し始める。見ると中には森らしき光景が広がっていた

「……これって、まさか結界が綻んでるんじゃ…」

「……もしそうならまずいな……先程のバーテックスが逃げている…ということはないと思うが……」

「でももし逃げ出していたら、危険ですよね……」

しばらく思案を巡らしていく5人

「……考えても平行線か……樹海の異常には違いない、調査しに行こう」

「待ってました‼︎ まぁサクっと見てきてサクっと帰ろうぜ‼︎」

と言うが早いか球子が真っ先に穴に飛び込む

「あ、タマっち先輩ちょっと待って〜」

「先に行きすぎると危ないぞ!」

「私たちも行きましょう、高嶋さん」

「うん、行こうか郡ちゃん!」

残る4人も球子に続く形で穴へと入っていく

5人が降り立った場所はどうやら森の中のようだった。妙なのが開けた場所で空も見えているのに辺りが薄暗いのだ。太陽らしきものも出ているのにこの光量は奇妙だ

「……何やら奇妙な場所だな……ただの森……ではないようだが……」

「それに、妙に静かね……鳥の鳴き声もほとんどしないなんて」

若葉と千景は警戒を強めて辺りを見回す。高嶋も注意深く歩みを進めていく

「な、なんだアレ‼︎」

一番乗りしてぐいぐい先行していた球子の悲鳴にも似た叫びが響く

「どうした、球子‼︎」

若葉、千景、高嶋の三人が悲鳴の方に駆けつける

そこでは呆然とした球子とへたり込んだ杏が何かを見つめていた

「何があったの?」

「あ、あれ……」

杏が震える手で指差す先にあったのは都市ーだったものの全景だった

「なんだ……コレは……」

若葉たちが生きた時代はあちこちがバーテックスの襲撃で荒らされていた。そこに生きた命も食い尽くされていた。見飽きるほどに彼女たちはその光景を見てきた

そんな若葉でも眼前の都市だったものには恐怖を感じざるを得なかった

その都市は全体が森のものと同じ奇妙な植物に覆われていた

若葉たちが見たこともない高い建物が乱立する都市は既にそれ自体が森のような景観に変わり果てていた

破壊の後はない、何かに誰かが貪られた後もない。だが、それでもそこに尋常な生き物がいる気配がしないことは何故か確かにわかってしまった

「これは……」

「何が……何があったら街がこんなことになるんだ……⁉︎ バーテックスじゃこんなこと……‼︎」

若葉以外の4人も混乱しきってうまく言葉が紡げない

彼女たちが見たものは、よくはわからないが、たしかに何かの営みが、命があったはずのものがあっさりと滅びた跡だったのだ、無理もないことだろう

「帰ろう……」

「若葉……」

「……ここは私たちが生きている世界じゃない……どこか別の……滅んだ世界だ……」

若葉の重々しい言葉に4人はしばらく逡巡するが、頷きを返す

「……そうね…退きましょう」

「……だな」

5人は重い足取りを入ってきた穴のある開けた場所に向ける。幸い広場にはすぐに辿り着けた……が

「……あれ?」

高嶋が驚きの声を上げる

穴がなくなっている

彼女らが入ってきた穴が綺麗さっぱり消えているのだ

「⁉︎そんなバカな……‼︎」

「場所間違えちまったんじゃないのか、若葉⁉︎」

「いや……目印がある……ここで間違いない……」

若葉は球子を追う前に穴近くの木に傷をつけておいた。その傷付きの木が確かにそこにはあった

「じ、じゃあ……帰れないってことですか……?」

杏が震える声で呟く。若葉は沈痛な面持ちで項垂れる

「なっ……なんだよそれ‼︎」

「お、落ち着いてタマっち先輩」

「高嶋さんの言う通りよ。焦ってもことは進まないわ」

あまりのことに杏が膝から崩れ、球子が狼狽した声を上げる。なだめる高嶋と千景の顔にも焦りが見てとれた

「……別の出口を探そう」

若葉が重々しく口を開く

「確証なんてない……だが、消えたということは出現と消滅を繰り返しているんだろう。なら、別に出口がまだあるはずだ……」

「………それしか、無いよな、確かに……」

球子がパンパンっと頬を張る

「いよっし、そうと決まればちゃっちゃと探してこんな薄気味悪い場所からさっさと帰るぞ‼︎ このタマにかかればきっと楽勝だ‼︎」

威勢のいい球子の宣言に陰鬱だった場の空気が和らぐ

異変はその時起こった

「待って……これって、足音……?」

高嶋が耳を澄まし始める。他の4人も耳を澄ましてみると、確かにザッザッと地面を踏み分けるような音が森の奥から聴こえてきた

「まさか……私たち以外に誰かいるのか……⁉︎」

「よっしゃ!それなら道でも聞けるかもだな!タマに任せたまえ!」

言うが早いか足音の方に球子が駆けていく

「おい待て、球子!先行は危険だ‼︎」

若葉の制止も間に合わず球子の姿が森に消える

「ぐぇっ⁉︎」

若葉の言葉に返ってきたのは球子の苦しげな呻きだった

「球子っ⁉︎」

事態の急転に驚きながらも4人は森に向かって戦闘態勢をとる

足音の正体と球子は待つこともなく姿を現した

森から現れたのは騎士のような派手な赤い鎧をまとったような人ならざる異形と、その異形の左手に首を絞め上げられた球子だった

 

「ぐっ……うっ……‼︎」

絞め上げられた球子が苦しげにもがく。異形は球子にはもう目もくれず、若葉たち4人を睥睨する

『………オジョポリャデェエデョブリョショ……』

赤い異形は解読不明な、しかし確かに言葉と思える声を漏らす

(なんだ……コイツは……⁉︎)

若葉の手にした刀が震える

様々な修羅場、鉄火場を経験した若葉たちだからこそわかった。わかってしまった

この異形はとてつもなく強いことが

『デュンエグルンムジャシャグルンベリャフォデョブリョフォンミファンフォ……ミョオエエ』

しばらく品定めをするように若葉たちを睨め付けた異形は手にした剣を左手の手甲で荒く研ぎ澄ますと、若葉たちに改めて刃を向ける

『デュシュンフェデェフフォガ……‼︎』

「何……言ってんのか……ワカンねぇんだよッ‼︎」

左手で絞めあげていた球子の蹴りが異形の顔らしき部分に直撃する

不意打ちだったのか異形の手が離れ球子が地面に着地する

『………ンン……』

「けほっ……ヘヘッ、どうだ!タマの蹴りにビビったかー」

『シャバリャデュ』

ドガッ‼︎

ブンッという風切り音と同時に球子が宙を舞い、若葉たちの背後にあった木に叩きつけられる。若葉の頬には血の雫が滴った

「かはっ……⁉︎」

「球子‼︎」

「タマっち先輩‼︎」

杏が球子に駆け寄る。意識はまだあるが球子の右の二の腕が勇者服の袖ごと斬り裂かれており、球子が激痛に顔を歪めている

あの異形は小柄とはいえ、片手で斬り薙いだだけで球子をここまで吹き飛ばしたのだ

『シャバリャデュ……シャバリャデュ ダン デョブリョフォンミャミ‼︎』

異形は隠す気もなく殺意を噴きださせると苛立たしげに手にした長剣を振り回しながらこちらに駆けてきた

『アァア‼︎』

「させるか‼︎」

真っ先に負傷した球子をかばって若葉が大上段からの斬撃を刀で受け止める

「ぐっ……うぅ……っ⁉︎」

ミシミシと若葉の腕の骨と筋肉が軋む

(重すぎる……っ‼︎ 桁違いに強い…‼︎)

「高嶋さん‼︎」

「わかった‼︎」

動きの止まった異形の左右から高嶋と千景の二人が挟み撃ちに攻撃をはじめる

『シャデュオンショデェエ‼︎』

異形が叫ぶと手にした剣の柄が緑に輝く。同時に千景に地面や木々から蔦が伸びその腕をしばりあげ勢いよく地面に叩きつける

「なっ……かっ……⁉︎」

「千景⁉︎」

(コイツ……地の利も得ているのか⁉︎)

千景が沈黙したことを確認すると高嶋の蹴りを片手で掴み放り投げる

「しまっ……⁉︎」

『ァアアア‼︎』

空中で無防備になった高嶋に向けて異形が手のひらから火球を放ち追撃。避けきれず高嶋が爆発に巻き込まれる

「きゃあああ⁉︎」

「このっ‼︎そこだ‼︎」

ギャリィイイイイン‼︎

気合い一閃高嶋と千景に注意が逸れた異形に若葉の居合が炸裂する

『………ダビリゥションフォンウデェジョ?』

「何……⁉︎」

若葉の顔に明白な絶望が浮かぶ。若葉の居合はバーテックスにも傷をつけるだけの威力はある。それをこの異形は身じろぎもせず、傷一つなく耐えてみせた

(格が……違いすぎる……)

『ジュミョボリャムフォ デェフィ、デョブリョ』

呆然とする若葉に異形が長剣を振りかぶる

その時だった

「ハァっ‼︎」

ガギィン‼︎

『グゥオ⁉︎』

若葉の背後、恐らく森の中から出てきたであろう何ものかが目の前の赤い異形を吹き飛ばす

「ようやく見つけたぞ、オーバーロード……」

異形を吹き飛ばしたのはまたしても若葉から見れば異形であった

だがオーバーロードと呼ばれた方と比べると各所の鎧などからより騎士のように見える

特に上半身の黄色い鎧は両肩の三日月状の肩鎧がある果物のように見える

「………バナナ?」

「バロンだ‼︎」

バナナのような鎧を着た騎士は若葉の呟きを訂正すると若葉の方を一瞥する

「ここに子供が紛れ込んでいるとはな……見たところ一応は戦えるようだが……」

バロンと名乗った騎士は手にした槍をオーバーロードに向け構える

「コイツは俺の獲物だ。邪魔はするなよ」




満を持してようやく彼が参戦しましたな。仮面ライダーバロン、ようやく合流ですw

今回ののわゆ一行のデェムシュとの遭遇、実は構想段階だともうちょい違う展開で、森に行ってしまうのが球子、杏だけで若葉、高嶋、千景の三人がインベスを追って樹海の結界に来たバロンに遭遇するって感じでした。森で二人を襲うのもデェムシュではなくオーバーロードの関係者と間違えたシド/仮面ライダーシグルドの予定でした

今回ののわゆ一行の森との関わりは少しわすゆ一行に対比させてます。というかシャルモン組に拾われた三人がかなり幸運だったと解る対比になってたり…というかのわゆの5人が最悪すぎる遭遇でもあるんですが……

次回はのわゆ組&バロンvsデェムシュ戦後編、願わくば迷ってる球子、杏、沢芽市のわすゆ組の日常も……お楽しみに‼︎
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