仮面ライダー鎧武×結城友奈は勇者である   作:リョウギ

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第8話 別離と日常

『オショエデョブリョ………‼︎』

苛立たしげな様子で赤い異形ーオーバーロードインベスが立ち上がる

アーマードライダーバロン、駒紋戒斗はこの異形を探していた。戦極凌馬曰く、黄金の果実のことを知り得るこの力ある種族を

戒斗はその果実に興味があった。何者をも超える力を与える禁断の果実。それを手にすることに

「今度こそ吐いてもらうぞ、貴様らが知り得る洗いざらいを」

『ラデュオンシュイ‼︎』

ガィン‼︎

オーバーロードの長剣が凄まじいスピードでバロンに叩きつけられる。すんでで手にしたバナスピアーが長剣を受け止める。力の勢いそのままに長剣をいなし、よろけたオーバーロードに一撃、また一撃、おまけで強烈な突きを浴びせる

『グゥッ⁉︎……ォオ‼︎』

ギィン‼︎

オーバーロードが怯む、がその怯みすらねじ伏せる勢いでいなされた長剣が返されバロンを弾き飛ばす

「ガッ⁉︎」

不意を突かれ地に伏せるバロン。オーバーロードは怒涛の連撃を受けたにもかかわらず既に回復しこちらに憤怒の視線を送って来ている

「この程度、どうともないか……そう来なくてはな‼︎」

《マンゴー‼︎》

《カモン‼︎マンゴーアームズ‼︎》

《FIGHT of HAMMER‼︎》

ドライバーのロックシードを換装、ハンマーでの力強い打撃が可能なマンゴーアームズを身にまとう

「一気に行くぞ」

《カモン‼︎マンゴーオーレ‼︎》

手にしたハンマー、マンゴパニッシャーにエネルギーを迸らせ、オーバーロードへ振り下ろす

『ンン‼︎』

が、渾身の一撃をオーバーロードは長剣の腹で軽々と受け止め、バロンごと押し返す

「ぐっ⁉︎」

「はぁあああああ‼︎」

とバロンの脇を何かが駆け抜ける。それはガラ空きになったオーバーロードの脇腹に鋭い一線を叩き込む

『グゥッ⁉︎』

不意の一撃にオーバーロードがたじろぐ

「お前は……」

攻撃を加えたのは先程までオーバーロードと交戦していたらしき珍妙な服装の少女だった

「コイツなら……効いたか?」

少女が皮肉じみた笑みを浮かべる

『シャデュオンショデェエ‼︎』

ドガッ‼︎

「かはっ⁉︎」

しかしオーバーロードにはさしたるダメージにならなかったようで少女はオーバーロードに蹴り上げられ、バロンの側に転がされる

「かっ……くそっ……」

「邪魔だ、下がっていろ」

立ち上がったバロンが辛辣に言い放つ

「なっ……黙ってみていろって言うのか⁉︎」

「そうだと言っている。貴様らが何かは知らんが、ヤツに傷一つどころか眼中にも入れてもらえないような弱者はでしゃばるな」

唇を噛みしめる少女を歯牙にもかけずバロンは再びオーバーロードに相対する

「貴様の力はこんなものか?」

『デョブリョシャンジャシェション……‼︎』

 

若葉は怒りに満ちた目でバロンと名乗った騎士を睨んでいた

だが同時に彼の発言が全くの嘘でない故の不甲斐なさも感じていた

(たしかに……私たちは……私は弱い……‼︎ 仲間すら、まともに守れていない……ッ‼︎)

バロンは再び異形と衝突する。少々押されているが、バロンは異形と確かに渡り合っている

(くそっ……‼︎ 私に力があれば……‼︎)

と若葉が悔しさに地面を殴りつける。そこには何か硬い感触があった

とっさに掴み上げたそれはバロンが使っていたバナナの描かれた錠前であった

「これは……」

先程、バロンは別の錠前から新たな鎧と武器を取り出した。アレがこの錠前の力なら、この錠前からもー

(確証はない……だが……)

腕の傷を押さえ苦しそうな表情をする球子、それを案ずる杏、火球の直撃でボロボロになりながらも立ち上がり気を失ってるらしい千景の前に立ちはだかる高嶋

若葉の目にはボロボロになりながらもまだ立ち上がる仲間が映った

(これだけやられるだけやられて……引き下がれるか……‼︎)

その目に確かな怒りと闘志を燃やした若葉は錠前を構え、解錠する

《バナナ‼︎》

「……何?」

交戦中のバロンと異形が若葉の変化に一瞬目を奪われる

「まだ、負けていない……‼︎」

《バナナアームズ‼︎》

《KNIGHT of SPEAR‼︎》

若葉の頭上に召喚されたバナナ型の鎧が若葉に被さると同時に彼女の勇者服の上からバロンが身につけていたものに似た鎧が装着される

その手にはバロンと同じ槍が握られている

「若葉……⁉︎」

「案ずるな、アイツに一発与えてやるだけだ」

異形に押しのけられたバロンに若葉が並び立つ

「付け焼き刃の力を手に入れて……戦える気にでもなったか?」

「付け焼き刃上等だ。これだけやられたツケを返すだけならそれで十分だ」

「………フン、くれぐれも俺の邪魔はするなよ?」

「そちらこそ、私の邪魔は許さないぞ?」

若葉、バロンが各々の得物を異形に向け、駆ける

「ハァッ‼︎」

「ィヤァッ‼︎」

二人の裂帛の一撃が異形を捉える。渾身の一撃に異形が仰け反る。その隙を逃さずバロンがハンマーを何度も叩きつける。連撃に苛立った異形はバロンに斬撃を叩き込み吹き飛ばす。異形がバロンに向き直ると同時に背後に回った若葉の連撃が異形を捉え仰け反らせる

『グッ……オォア……‼︎』

「私など眼中に無かったか?舐められたものだ‼︎」

《バナナオーレ‼︎》

裂帛の気合いとともにエネルギーを纏わせた鋭い突きが異形を貫く

『グゥオァアアアアアア⁉︎』

「ふん……借りは返したぞ……バケモノ……‼︎」

『ぉ、オオオオオオオ‼︎』

確かなダメージを与えたかに思えたその瞬間、異形は脇腹に突き立った槍を掴むと力任せに若葉ごと振り回し投げ飛ばした

「くぁっ……⁉︎」

「なっ、くっ⁉︎」

投げ飛ばされた若葉はバロンにぶつかり、巻き込んで更に後方に転がる。転がった先にはいつのまに開いたのか若葉たちが入り込んだものと同じ穴が

「しまった……⁉︎」

若葉はバロンを巻き込んでそのまま穴に落ちていく。穴の先が若葉たちの知る町であることに気づいた高嶋は素早く千景を担ぎながら穴に入る

「タマっち先輩も、早く‼︎」

「おう……行くぞ、杏‼︎」

高嶋の呼びかけに球子と杏が穴に向けて駆け出す

あともう少し……と球子と杏が穴に指を伸ばした瞬間

「ガハッ⁉︎」

穴から見えていた二人が突然横方向へ吹き飛ぶ代わって穴から見えたのは、あの赤い異形

「タマっち先輩‼︎杏ちゃん‼︎」

高嶋の悲痛な呼びかけ虚しく、異形が穴に手をかざすと即座に穴が閉じ、消え失せてしまった

「球子ォ‼︎杏ぅ‼︎」

若葉の叫びは虚空に消えてしまった。そこで若葉と高嶋は気を失ってしまった

 

「面倒なことになった……」

覆い被さった少女をどかし、立ち上がったバロンは周囲を見渡す

今立っているのはどうやら砂浜らしい。磯の匂いが鼻をくすぐる

見渡すと高い建物が見つからず、ユグドラシルタワーもないことにはすぐに気づいた

「沢芽市ではないのか……?」

変身を解除した戒斗は大きく嘆息し、足元を眺める

先程ヘルヘイムから一緒くたに飛ばされてきた三人の少女が倒れていた。どういう訳か、あの珍妙な服が普通の服に戻っている

「………俺も傷の手当てがいるな……」

見ると戒斗もところどころに血が滲んでいた

「病院はどうせ探す必要があるな」

 

 

「で、今に至っている訳だ。私も先程気がついたばかりだ」

「戒斗……あいつもこっちにいるのか……」

「戒斗?……もしや、絋汰殿は彼の知り合いか?」

「ああ、まぁな。あとその森とか、バケモノについても少し知ってる」

「それは本当か⁉︎ 詳しく聞かせてくれ‼︎」

若葉の願いに応えて絋汰は知っている限りを洗いざらい話した

自分が異世界の存在で、森でインベスという怪物を追っているうちにこちらに来たということ

あの森はヘルヘイムの森と呼ばれていて絋汰の世界を侵食していること

ヘルヘイムには知能の高いヘルヘイムを操る種族、オーバーロードがいることとその一人が若葉たちを襲った赤いバケモノであること

若葉は時折驚いた顔をしながらもその話を真摯に聞いていた

「成る程……荒唐無稽にしか聞こえないが、あれだけ色々とこの目で見ている以上、信じるしかないな……」

「侵食する森……私たちの世界のバーテックスも厄介ですが、そちらの世界も重大な危機に瀕しているのですね……」

「あぁ……だからオーバーロードをなんとか説得しようとしてるのが現状だな。まぁ中々うまくいかないんだがな……」

と絋汰が溜息をつく

「…こちらと森をつなぐ穴……もしかして、銀たちも……」

「それはありえるな、たしかに……若葉たちみたいにあいつらに襲われてなけりゃいいんだが……」

「銀たちも行方不明なのか…? この問題は随分と大きなものなようだな……」

陰鬱になりかけた病室の空気を察したか、ひなたが話題を転換する

「悩んでも今すぐ解決はできません…ともかく、現在の事情は把握しました。絋汰さんがしばらく滞在する手配はお任せ下さい」

「あぁ、助かるよ。しばらくは帰れそうになさそうだからな……」

絋汰が安堵のため息を漏らす

「戒斗のやつはそういえばどこに行ったんだ?」

「……そういえばどこかに行ってしまったな……」

「あいつ相変わらずだな……」

「絋汰殿も苦労しているんだな……とにかく来てくれてありがとう。私たちはこの通り大丈夫だからそちらは絋汰殿たちの問題についての方や本来のお役目を頼む」

「うん、任せて若葉さん‼︎」

「こっちのことは元祖勇者部に任せてくださいよ‼︎」

友奈と風が腕まくりをしてみせる。その様子に思わず若葉も吹き出して笑った

 

 

沢芽市 西のステージ

『ハロー沢芽シティー♪ 怪物が出てきたりと不安な日が続くが、考えてたって気分は晴れないぜー?』

近くの高いビルのモニターに映る男性が軽快なトークを流し始める

須美たちの前には端に大きなスピーカーが置かれた舞台のような開けた広場。広場の前には須美たち以外にも大勢の人が集まっていた。皆青だったり黒だったり赤だったり様々な色の服を着ている

『そんな陰鬱な空気をぶっ壊してくれるのは〜?』

「「「ビートライダーズ‼︎」」」

モニターの男性の呼びかけに人々が答えると同時にスピーカーから軽快な音楽が大音量で流れ出す。音楽と共にステージに現れたのはスポーティな青い服、どこか威厳のある黒と赤の服、黒いどこか不良じみた服と派手な服を着た数名の青年。青い服の一団には女性も混じっている

『オーケィ‼︎声援はバッチリ、ステージは最高潮にあったまってるぜガーイズ‼︎ 今日のステージはチーム鎧武、チームバロン、チームレイドワイルドの混合チームだー‼︎』

ステージ前の観客から割れんばかりの声援が起こると同時にステージ上のチームたちがダンスを始める

「すっげー……」

銀が感嘆の声を漏らす。須美も声こそあげないもののあまりの迫力に固まっていた

バレェや日本舞踊みたいな完成された感じじゃない、でもすごく情熱的で、引き込まれる、そんな不思議な魅力があった

「キャーーーーーー‼︎バロンかっこいーーーー‼︎」

園子は既にノリノリの様子でバロン、黒と赤の服のチームに黄色い声援を送っている

須美も思わず体がリズムを刻んでいるのを感じた。なんだかとても楽しかったのだ

 

『名残惜しいが、今日のステージはこれで終了だ〜忘れ物に気をつけて帰るんだぜ?エブリワン‼︎』

あっという間にステージは終わり、観客も各々の帰路についたり近場のチームグッズ売り場に向かったりしていた

「すごかったです……」

「だな!なんかこう、バーンッて感じだったな!」

「バロンってチームの人すっごいカッコよかったですよ〜♪」

三人ともこういったダンスを見たのは初めてでとても楽しかった。心が躍るというのはこういう感じなんだろう

「中々いいもんだろ?ああいうのも」

「はい、とてもワクワクしました」

「城乃内さんもああいうのやってたりしてたりしたんですか?」

「まぁな。最近はパティシエ修行の方が大変だがな」

「じょーさんもカッコいいダンス踊りそうだもんね〜」

「今はちょっと勘が鈍ってそうだな……」

「よう、城乃内!」

「私たちのステージ、見に来てくれてありがと」

城乃内に声をかけて来たのはチームバロンのコスチュームを着た青年とチーム鎧武のものと思しきコスチュームを着ている女性だった。どうやら城乃内の知り合いらしい

「ああ、こいつらの沢芽市案内のついでにな」

「ふぁあ〜‼︎チームバロンの人だ〜‼︎わっしー、ミノさん生バロンだよ〜‼︎」

城乃内の言葉を半ば遮りながら園子がバロンの青年に目を光らせてがぶりよる。いたくチームバロンが気に入ったようだ

「お、おう。見ない子達だな……」

「親戚の子とその友達でな。沢芽市観光したいらしくてしばらく預かってるんだ」

「へぇ〜そうなんだ。私、高司 舞。チーム鎧武でダンスやってるの、よろしく♪」

「俺はチームバロンのリーダー、ザックだ。よろしくな!」

舞が須美と銀の手を優しく握り、ザックは園子の頭を撫でながら自己紹介する

「初めまして、鷲尾 須美と申します。しばらくこの街にご厄介になります」

「三ノ輪 銀って言います!ザックさん、舞さん、よろしくお願いします!」

「乃木園子で〜す♪ ザックさん、まいまいさんよろしく〜♪」

「よろしくな、三人とも。園子の方はバロンが気に入ってんなら、明日もステージやるから見に来てくれよな♪」

「ふわぁ〜♪いきますいきます〜!」

「じゃあ私たちは練習があるからまたね、今度はドルーパーズででもお話ししましょ?」

「はい、喜んで」

去っていく舞とザックの姿が見えなくなるまで須美達は手を振って見送り、城乃内に促されてシャルモンへと帰路を歩く

(バーテックスはここには出てこないの……? なんだか、とても平和……)

一人須美だけはあまりにも平和な日常に少しだけ不安があった。今までバーテックスと戦い、傷ついての繰り返しだった自分たちがこんな平和にすごしていいのかと

「須美ー‼︎置いてっちゃうぞ〜‼︎」

「あ、ごめん銀!いまいくわ」

(でも……こんな日常なら、しばらくは続いて欲しいかもしれない)

 

 

ヘルヘイムの森・深部

『完成したよ、ディエヴオ。あとはこれを彼らとリンクさせれば完成だ』

ジェイがディエヴオに手渡したのは黒いカラーリングのロックシード

絋汰たちが使っているものと異なりフルーツではなく星座のマークが彫られている

『ご苦労だ、ジェイ。これでようやく計画が次に進められる』

『順調だね。今もあの世界はヘルヘイムといい具合に混ざって来ている』

『ああ…あとはより強く肥沃な苗床を用意するだけだな』

ディエヴオが振り返るとそこには白く巨大な影が存在していた

『……その前にまずは、試運転といこうか』

《ピスキス!》

 




はい、激動しちゃった第8話。デェムシュさん強い強い……

前にも書きましたが、のわゆ組のこの状況はわすゆ組との対比だったり。というかヘルヘイムで無事だったわすゆ組がすげぇ幸運な出来事だったっていう…

ラストには久々にオリジナルキャラたちが出てきましたが、これからどうなるやら……お楽しみに〜です(´∀`*)
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