ウマ娘 プリティーダービー 〜レース前には欠かせない存在〜   作:てこの原理こそ最強

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第12R

 

「なぁ、スキー」

 

「ん?なぁに〜?その名前で呼んでくれるなんて珍しいじゃない」

 

「今は放課後だしな」

 

毎日王冠が終わって菊花賞も終わったとある放課後。オレは特訓前にマルゼンスキーをメディカルルームに呼んでいた

 

「ちょっとお願いしたいことがあってな」

 

「先生のお願いならあんなことやこんなことでも聞いちゃうわよ〜?」

 

「そういうのはやめろって。グラスのこと、頼むな」

 

「また他の女のこと。なぁに?先生はグラスのことが好きなの?」

 

「そうじゃない。スキーならわかるだろ、初めて負けたときの心情ってやつを」

 

「まぁね」

 

「オレはカウンセラーではあるがいつもついてやれるってわけじゃない。だから同じチームの先輩であるスキーに頼みたい」

 

「先生の頼みなら断るわけにもいかないし、そもそも先生に言われなくても気にはするつもりだったのよね〜」

 

「助かるよ」

 

「先生のその優しいところ大好きだけど、その優しさを私にだけっていうのはムリなのかしら」

 

「すまんがそれはできない。それにオレ自身優しいって思ってない」

 

「いいえ。先生は優しいわよ。だからこの学園の多くの娘があなたに懐いてるのよ」

 

「ただの仕事だから、かもしれないぞ?」

 

「私の先生がそんな考えするわけないじゃない」

 

「…敵わないな」

 

「当然よ。悪いけどこの学園で先生と1番付き合い長いのは私なんだから。会長やスズカよりも、ね…」

 

「確かにそうだったな」

 

スキーと出会ってスキーが毎日会いにきてスキーがスキーと呼んでほしいと言われた。そっからいろんな娘と関わってきたけど1番最初はスキーから始まった

 

「まぁいいわ。とりあえずグラスのことは承知したけど、エルはどうするつもり?」

 

「あぁ、エルな…エル、はルドルフにでも頼もうと思ってる」

 

「ま、妥当よね。ねぇせんせー?」

 

「ん?」

 

「グラス、()()()()()よかったわね」

 

「っ!それをどこで…」

 

「ふふん。私だって先生のこともっと知りたいんだからね。じゃあね〜」

 

スキーはそのままメディカルルームを出ていった

 

「誰から聞いたんだ、あの娘は…」

 

少し昔のことを思い出してしまった…だがホントにグラスは無事でよかった…

 

「ふふっ、今日は3回も”好き“って言われちゃった」

 

部屋から出たマルゼンスキーはルンルン気分で特訓へ向かった

 

 

 

 

 

 

 

時間は少し遡り、毎日王冠が終わった後のメディカルルーム。「チームリギル」のトレーナーさんにグラスとエルのレース後のストレッチとマッサージを依頼された

 

最初はエルからだった

 

「センセー…ワタシ、負けちゃいマシタ…」

 

「あぁ」

 

「初めて…負けマシタ…」

 

「あぁ」

 

「センセーに、褒めてもらえナイ…」

 

「あぁ…ん?」

 

ちょっと待て。今なんて言った…?

 

「センセーに褒めてもらえないデス!センセーに頭撫でてもらえないデス!」

 

「なぁエル。ああいうのないのか?ほら、レースに負けて悔しいとか、スズカに追いつけなくて悔しいとか…」

 

「確かに悔しいデス!ホントのホントに悔しいデス!絶対にリベンジしマス!」

 

「そうそう。それそれ」

 

「デモ!それよりもセンセーに褒めてもらえないのが1番イヤなんデス!」

 

「お、おう…」

 

2位でも大健闘だとは思うけど、だからといってここで褒めてもエルは納得しないだろう

 

「エル。オレが思うにいつも勝ってるやつより負けたことのあるやつの方が強いんだ」

 

オレはそっとエルの頭に手を乗せる

 

「だから、気休めかもしれんが次また頑張れ」

 

「気休めなんてありえまセーン!今度は絶対優勝します!」

 

「あぁ、その意気だ」

 

「エヘヘ〜」

 

エルは大丈夫かな。いやこんなのホントに気休めだ。時間経過で見守るしかないな

 

次にグラス

 

「センセー、申し訳ありませんでした」

 

「なんでオレに謝る」

 

「先生、わかっていたのでしょう?私の足の状態」

 

「…」

 

「トレーナーさんの言うことも聞かず、私は…」

 

今にも泣き出しそうなグラスの頭にエルにやったように手を乗せた

 

「無事に帰ってきてくれてよかった。ホントに、よかった」

 

「先生…すみませんでした…!」

 

「いいんだ。止めなかったオレも悪い」

 

「でも…私が…!」

 

「よく頑張った。次また頑張ろう」

 

「はい…はい…!」

 

泣かせないようにするのはムリだったが、泣き止むまでオレはグラスの頭を撫で続けた

 

「先生、これからも私を見ていてくれますか…?」

 

なんかどこかで聞いたことあるな

 

「あぁ、一応な」

 

「…そこは「これからは君だけ見ていよう」とかでいいんですよ」

 

「君はこんなときにもそんな変な誘導をするのか。それはできないから諦めてくれ」

 

「先生は本当に罪な方です」

 

「罪を犯した覚えはないんだがな」

 

「いいえ。すでに何件もの大罪を犯してます」

 

「そんなバカな」

 

「ふふっ」

 

まだ涙は浮かんでるもののようやく笑顔に戻ってくれたか

 

「あっ…」

 

「落ち着くお茶でも淹れるから、ちょっと待っててくれ」

 

「ありがとうございます」

 

お茶はいい。落ち着くときにはこれが一番。日本は偉大だな。淹れるの紅茶だけど...ははは...

 

「お待たせ」

 

「いただきます」

 

グラスはティーカップに入った紅茶を少し口に含む

 

「はぁ...美味しいです」

 

「そいつはよかった」

 

「先生の紅茶、毎日飲みたいです」

 

「少なくとも日曜は休みなんだから物理的にムリだな」

 

「…そういう意味ではないんです」

 

うん、知ってる。それに似たような言葉って普通男が言うもんじゃないの…?

 

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