ウマ娘 プリティーダービー 〜レース前には欠かせない存在〜 作:てこの原理こそ最強
「チームリギル」はトレーナーさんを中心に年間最多勝のプライドを見せるため特訓に励んでいる。これ以上スピカに勝ちを譲るわけにはいかないと意気込んでいるらしい。少し心配だったエルやグラスはルドルフやスキー、他の娘達のおかげもあってか悔しさをバネに次を見据えているようだ
対する「チームスピカ」は特訓はもちろん、合宿まで行ったようだ。菊花賞では残念ながらセイウンスカイさんに1着を取られてしまったスペシャルウィークさん。しかし既に次のレースに向けて頑張っているみたいだ
「たまにはオレも運動するか」
今日も今日とて「チームリギル」を中心に多くの娘達の調整をやったが、意外と早く終わってしまった。ちなみに「チームスピカ」のメンバーは夕方ごろに走って校門を通って外に駆けていく姿を見かけた。また新たな特訓に行っているのか、はたまた何か別の案件なのかはオレにはわからない
まぁ帰ってもやることも特にないしと思って教員用のジャージに着替えてメディカルルームに鍵をかけて外に出た。学園から少し行ったところに川がありその土手沿いを走るのが意外と気持ちいのだ
「久々だな」
このところ新入生の活躍がすごすぎて喜ばしい限りなのだが、その都度依頼が殺到していてなかなかこういう体を動かす合間がなかったのは事実だ。だがこれも仕事であり生徒達が気持ちよく走れるならそれだけで十分だ
「センセー!」
「ん?あれま」
このところ活躍している生徒達の勇姿を思い出していると後ろから大きい声で呼ばれた。振り向いてみるとシャル、ブライアン、ハヤヒデがこっちに向かってきていた
「センセー!」
「はいはい。どうした?チームの練習中じゃないのか?」
「いや、先生がジャージ姿で校門を出るところをたまたま見てしまってな」
「珍しいと思っておハナさんに休憩もらって来たまでさ」
「YES!」
オレに追いついて並走する形でスピードを合わせる3人。よく見れば3人も学校指定のジャージ姿で練習の最中だったのはわかる
「私達は近々レースもないからな」
「センセーと走れるなんてvery happyネ!」
「お供させてもらっていいか?」
「別に構わないが、君達と違って速く走れないぞ?」
「気にするな。君のスピードに合わせるさ」
「どこまでもセンセーについて行きマス!」
「それはニュアンスが違う気がするが、それも悪くはないな」
「ホント君らは家族みたいだな。ブライアンとハヤヒデは現に姉妹な訳だけど」
「まぁこう長い付き合いになるとな」
「そうなると長女は会長かな?」
「それが妥当だろうな。でもあぁ見えて甘えん坊なところもあるからな、ルドルフは。意外とスキーとか長女っぽくないか?」
「確かにな」
「ワタシもお姉さんネ!」
「「「シャルは末っ子」」」
「Oh〜…」
オレ、ブライアン、ハヤヒデの即答にガクンと頭を垂れるシャル。それに対してオレ達はフッと笑い合う
「あ、でもエルが入ったから末っ子でもないかもな」
「あ〜、確かに今はエルが末っ子っぽいな」
「グラスと同い年なのにな」
「ならグラスとエルよりワタシの方がお姉さんデスカ!?」
「いや、グラスの方が上だろ」
「Oh〜…」
追撃きたれり…
「エルもシャルも甘え上手なとこあるからな。それに比べてグラスやルドルフは甘え下手な感じだし」
「さすが先生だな。私達の誰よりもリギルのことを知ってるんじゃないか?」
「さすがワタシのセンセーデース!」
「おわっ!こらっ!走ってる最中に飛びついてくるな!」
「エヘヘ〜」
((やはり末っ子?))
「ったく…2人もたまには甘えてもいいんだぞ?」
走りながらも器用に腕に抱きついてくるシャルをどかしつつブライアンとハヤヒデに声をかける
「まぁシャルほどってわけでもないけど、2人もどっちかって言うとお姉さんタイプだからな」
「ふっ、本当に先生には敵わないな」
「そうだな。しかし心配はいらないぞ、先生」
「というと?」
「私も姉さんも先生には甘えさせてもらっている」
「あぁ、シャルやエルのような頻度ではないがわがままも聞いてもらっている」
「ワタシもそんなにしてないヨ!」
シャルはこういうがまぁ末っ子どものお願いが多すぎてブライアンとハヤヒデのわがままを聞いた自覚が全くない
「先生にとって些細なことでも私達にとっては嬉しいものさ」
「あぁ、こうして一緒に走っているだけでも満たされる感じだ」
「ワタシもセンセーといれるだけで満足デス!」
「…」
オレから言ったことだけどこういう風に言われるとすんごい照れるな…
「さ、そろそろ戻るぞ」
「そうだな」
「なら学園まで競争ネ!それで、勝った人がセンセーにお願い事1つデス!」
「なっ!」
「ほぅ、それは名案だ。さきほど先生も甘えていいと言ってくれたからな」
「ちょっ…」
「なら、よーい…ドン!」
「こらっ!」
さすが年間最多勝チームのメンバー。既にその姿は小さくなっていた
「オレが勝てるわけないでしょうが…」
はぁっとため息をついてオレは誰が勝ったのか、どんなお願いをされるのか考えながら来た道を戻った