ウマ娘 プリティーダービー 〜レース前には欠かせない存在〜   作:てこの原理こそ最強

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第17R

病院の先生に許可をもらってオレはスズカの復帰までの面倒を見させてもらえることになった。しかしだからと言って他の娘達の調整を蔑ろにするわけにもいかないので学園と病院を行ったり来たりする毎日を過ごしている

 

月末にはジャパンCがあり、ホントならスズカも出るはずだったが今回は断念。スズカとようやく一緒に走れると意気込んでいたスペシャルウィークさんも残念そうにしていたが、気持ちを切り替えてスズカの分も頑張ろうとしたらしい。しかし結果は3着。本人も相当悔しかったようだ

 

そして年も明け、スズカの方はようやくギブスが取れるようになり本格的にリハビリが始まるのだ。それとスズカに外出の許可がおりてスピカのメンバーで食事をするらしい。オレも誘われたのだが、その日はWDT(ウィンター・ドリーム・トロフィー)があってリギルのメンバーの調整とレース後のリギルのリギルによるリギルのためのパーティーに出席しなければならないと断ったらスピカのメンバー、特にスズカとダイワスカーレットさん、マックイーンに睨まれた

 

年も明けて少し日が経ち、雪降りが終わってもまだまだ肌寒さを感じざるおえないころ、スズカのリハビリがスタートした。始まったと言ってもいきなり立ち上がって歩くというわけではない。最初はゆっくり立ち上がりつつ直立するところから始まる。それから手すりを活用しながら歩行の練習。そして何も掴まないで歩行の練習とかなり時間がかかる。一般の人ならこれだけでいいのだがスズカの場合筋肉を元に戻す必要があるためそのトレーニングも含まれる

 

約3ヶ月、もう春が終わって夏になりつつある中スズカは頑張った。焦る気持ちを抑えつつよく言うことを聞いてくれた。本人の頑張りもあるだろうが周りにも助けられているだろう。毎日のように通いつめて心配してくれているスペシャルウィークさん。何度もお見舞いに来てくれたスピカのメンバー。そして学園の友達。きっと元気をもらったに違いない

 

まぁスズカの回復に比例してオレへのダメージは増していた。リハビリを手伝ってくれていた看護師さんと話していると後ろから刺されるような視線を浴びるし、倒れそうになるスズカを受け止めるとなぜかスズカは嬉しそうにするし、タイミング悪くその場面を見舞いに来たルドルフ達に見られお説教受けるし…

 

そんなこんなでリハビリを頑張ったスズカは自分の足で歩けるようになった。そして今度は走る練習に移りつつあった。今日は久しぶりにグラウンドでの並走トレーニングに入った。オレも付き添いと見学で見に来ている

 

何ヶ月ぶりかとなるスピカのみんなと一緒に走っているスズカの元にエアグルーヴさんが駆け寄った

 

「スズカ!もう走れるのか」

 

「エアグルーヴ先輩」

 

「レースにはいつ復帰できるんだ?」

 

「まだわかりません。ですが、必ず」

 

「そうか。早く戻ってこい。そしてまた宝塚記念みたいな熱いレースをしよう」

 

「はい」

 

「エアグルーヴ、そろそろ行くわよ」

 

後からマルゼンスキーも合流した

 

「すみません、思わず」

 

「スズカ〜、よかったじゃない。元チームメンバーとして復帰を心の底から待ってるからね」

 

「はい!」

 

「ま、先生が看てくれてるわけだし。復帰は時間の問題ね。先生と長い時間2人きりなんて羨ましい限りだわ〜」

 

「あはは…」

 

「でも〜…先生のことは渡さないからね…」

 

「っ!私も負けません!」

 

レースでもないのに2人の間ではすでに戦いがおっぱじめられているようだ。なんて会話が本人の耳に入るわけがなく、その様子を外から微笑ましく見守っているのだった

 

それからもスズカのケアは続けた。入念にチェックをして些細な変化でも見逃さないよう細心の注意を払った。久々に走ったが軽くだったので足に負担はなかった。それは喜ばしいことだ。だがオレにもスズカにも1つ気にかかることがあった。スペシャルウィークさんのことだ。朝練後、昼休み、午後練後、必ずスズカの様子を見にやってくる。スズカのことを気にしてくれることはありがたいのだが、自分のことはどうなってるのか心配だった

 

そしてそんなときにグラスから相談があると言われた

 

「そうか、スペシャルウィークさんが」

 

「はい。このごろスズカさんにかかりっきりでスペちゃん自身は大丈夫なのかなって…」

 

「あぁ…」

 

「私は今度宝塚記念でスペちゃんと走ります」

 

「知ってる」

 

「先生は、どう思ってますか…?」

 

「…今のままだと、スペシャルウィークさんは絶対に君には()()()()だろうな」

 

「私は、スペちゃんは最高のライバルだと思っています。私は!全力のスペちゃんと走りたいんです!」

 

「わかってる。グラスがこのレースを楽しみにしてることは。でも今のスペシャルウィークさんの頭の中にはスズカしかいない」

 

「…」

 

「まぁオレからもやんわり言ってみるが、できなかったらごめんな」

 

「…先生は、やっぱりお優しいですね」

 

「なんでそうなる。失敗前提の話だぞ」

 

「そのときは私がぶっちぎりで勝つだけです」

 

「さすがだな」

 

「先生が見てくれますから♪」

 

そのときドアが誰かにノックされた。それは学園の事務員さんがオレ宛の手紙を持ってきてくれたものだった

 

「誰からだ?エル?」

 

「あぁ。私にもエルから手紙もらいましたよ」

 

封を切って中を取り出して広げるとお世辞にもキレイとは言えない字で何やら手紙が書かれていた

 

 

 

『センセー!

 

大好きなセンセー成分が足りまセーン!

 

早くこっちに来てくだサイ!』

 

 

 

「…」

 

「…グラス?目が怖いぞ…?」

 

「先生…これはどういうことですか…?」

 

「い、いや〜…凱旋門賞の前の調整をリギルのトレーナーさんに頼まれてだな…」

 

「それで…?」

 

「承諾しないとエルが帰るって駄々こね始めたから、仕方なく…」

 

「…先生」

 

「はいっ!」

 

「次のレース…絶対勝ちますね…」

 

「は、はい…」

 

スペシャルウィークさん…宝塚記念、頑張ってな…それとごめんなさい…

 

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