ウマ娘 プリティーダービー 〜レース前には欠かせない存在〜   作:てこの原理こそ最強

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第1R

 

今日は昨日言っていたスズカが出場するレースがある。レース会場にはウマ娘グッズや食べ物の屋台が数多く出展され人もわんさかいる

 

「相変わらずの人だな」

 

約束通りスズカの試合を見るために既に会場入りしていたオレは出バするウマ娘を紹介しているゲートの前にはびこる人だかりの中にいた

 

『東京第11レース。次に出てくるのはこのウマ娘。8枠12番、サイレンススズカ!』

 

\ウォー!/

 

次々と紹介されていく中で一際大きい歓声を受けるスズカ。そのスズカと目があった。この人混みの中でオレを見つけるとかすごすぎね?目のあったスズカは一瞬だけニコリとしてまた真剣な表情に戻り脱ぎ捨てたジャージを拾って中へ戻っていった。それを見届けたところで…

 

\キャーーー!!!/

 

すごく大きい叫び声が聞こえたがいかんせん人が多すぎてその位置がわからず確認に赴けなかった。そのため何もないように祈りつつレース観戦場所に移動した

 

『ようこそトゥインクル・シリーズへ!このレースは国民全員が楽しめる一大スポーツエンターテイメント!トップになるのは一体どのウマ娘なのか!』

 

流れてくる声を聞くかぎり実況と解説は今日もいつもと同じ人達が担当するようだ。逆に他の人がいるのかと疑問に思ってしまうぐらいこの人達しか聞かない。その実況が言うには今日の一番人気はスズカらしい

 

『いよいよ本日のメインレースが始まります』

 

♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜

 

流れてきたのはレース前のファンファーレ。これがもうすぐレースが始まるという合図にもなっている。ウマ娘達がそれぞれ自分の番号のゲートに入った。全員が入ったところで一斉にゲートが開きウマ娘達が一斉に走り出した

 

『さぁスタートしました。早くも先頭に立ちました、サイレンススズカ』

 

初っ端から後続を大きく引き離して大逃げを選択したスズカ。オレは今まで見てきた走りとは全く違って驚いてしまう

 

『1000mのタイムが57秒8!驚くほどの大逃げを打ちました!これはマイペースなのか!それとも速すぎるのか!完全なる一人旅!』

 

今まで「チームリギル」のウマ娘が出るレースを何度も見てきたがいきなり大逃げする局面を見たことがない。これはおそらくリギルのトレーナーさんの指示ではない。スズカの独断?それとも…どっちにしてもリギルのトレーナーさんは怒ってるだろうな

 

『4コーナーをカーブしてさぁこの逃げ足はこのペースのままでゴールまで持つのでしょうか!2番手以下が一斉に上がってくる!』

 

最後の直線に差し掛かって後続が一気に追い上げを図った。しかしスズカはさらに加速。逆に後続との距離を伸ばしてしまった。オレの前を通ったのは一瞬だったがスズカの姿は今までよりも輝いて見えた

 

『勝ったのはサイレンススズカ!逃げ切りましたー!』

 

\オォーーーー!!!!!!/

 

観客の興奮は絶頂に達し大きな歓声がどっと湧いた。これが全国民が楽しめるエンターテイメントである

 

\イヤァーーー!!!/

 

歓声の中で1つだけ違った叫びが耳に入った。それはさっき確認できなかった声に似ていて今回は場所が近い。確認に行ってみるとそこにはスカートを抑えた1人のウマ娘となぜか地面にうつ伏せで転がっている男性がいた

 

「ま、待ちなって」

 

「まだ何か?」

 

「見て行かないのか?勝ったウマ娘だけが立てるステージ」

 

「はっ!ウィニングライブ!」

 

「何やってんだ、()()()

 

「ん?おー!お前も来てたのか!」

 

倒れている男性は大変恥ずかしながら我が兄であった…できれば他人の方がよかった…

 

「んで?なんで鼻血出してんの」

 

「あー…まぁなんだ。いつもの…?」

 

「あんたまたやったのか!あれだけやめろと言ったのに!」

 

「いやー、目の前にいいものがあるとついな」

 

「ついな、じゃねぇ!どれだけ迷惑になってると思ってる!被害に遭った娘はその娘か!?」

 

「あ、あぁ…」

 

オレは確認を取ってその娘の前に達、腰を90度曲げて頭を下げた

 

「ウチのバカ兄が大変失礼なことをしました!ホントにすいません!」

 

「い、いえ…」

 

「おいおい、兄に向かってバカはないだろ」

 

「うるさい!この一族の恥晒しが!ホントにすいませんでした!もし何かされたのでしたらセクハラで訴えて構いません。自分が証言いたします」

 

「普通は身内を庇うとこだろ!」

 

「庇い要素のないやつを庇っても意味ないだろ!」

 

「あの〜」

 

「はい!110番ですか!?もし携帯がないのであれば自分のをどうぞ!」

 

そう言ってオレはポケットから携帯を取り出し彼女に差し出す

 

「いえ、私は早くウィニングライブを見に行きたいんですけど…」

 

「おっと、それは失礼しました!身内のお詫びとはなりませんが自分がご案内します。どうぞこちらへ」

 

「え、はい」

 

オレは鼻血と涙を同時に出しているバカ兄を置いて彼女をウィニングライブの観客席に案内した

 

『たゆまぬ努力で勝利を勝ち取ったウマ娘と喜びを分かち合う場所。それが、ウィニングライブ!ファンのみなさん、どうぞ彼女達に熱い声援を!本日センターを務めるのはサイレンススズカ!』

 

\オォーーーーー!!!!!/

 

”ウィニングライブ“。それはレースに勝利したウマ娘が立つことを許される、観客と勝利の喜びを分かち合うライブステージ。レースで3着までに入ったウマ娘がステージに上がり、勝利したウマ娘がセンターを務める

 

「どうですか?」

 

「はい!とってもキレイです!」

 

「そうですね。ウィニングライブの舞台に立ちたいからレースを頑張る、そんなウマ娘もいるぐらいですから」

 

「そうなんですか」

 

「ところであなたは旅行中ですか?」

 

「いえ、私は明日からトレセン学園で…あーーーーー!!!!」

 

「うぉっ!」

 

「門限忘れてたー!すいません!失礼します!」

 

「え、えぇ…」

 

彼女はトレセン学園の生徒さんだったのか。でもあの荷物の量ってことは転校生かな。あ、名前聞いとくの忘れてた。まぁ今度会ったときでいっか

 

そして引き続きライブを楽しもうとステージに目を向けるとスズカが一瞬こっちを睨んできたような気がした。いや、この人混みだよ?気のせい…だよね…?

 

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