ウマ娘 プリティーダービー 〜レース前には欠かせない存在〜 作:てこの原理こそ最強
スズカの復帰レースが終わってオレは次の日にジャパンカップを控えたスペシャルウィークさんの最後の調整をするため学園に戻った
「失礼します」
「どうぞ」
スペシャルウィークさんはいつも通りのジャージ姿でやってきたが、その顔は険しいものとなっていた
「どうかされましたか?」
「さっきニュース見ました。そこでブロワイエがインタビューされてたんです」
「あーあれですね。自分も見ました。何やら挑発的なことを言っていましたね」
「はい」
会話しながらもスペシャルウィークさんをベッドに寝かせる
「では始めますね」
「お願いします!」
「それで、ブロワイエの言葉はどう響きましたか?」
「すごい自信だなって...」
「そうですね。彼女にはその自信を裏付けるだけの実力と戦績がありますが」
それを聞いたスペシャルウィークさんは少し黙る
「ですが」
「はい?」
「自信とはいつしか慢心や驕りとなり足を掬われる時もあります。それは君達ウマ娘に限らす自分達人間も然りです」
「そうですか」
「ちょっと強くします」
「うぐっ!」
「さてスペシャルウィークさんに質問です。あなたの夢は何ですか?」
「それは、日本一のウマ娘になることです!お母ちゃんとも約束したんです!」
「それはいい夢だ。ならば明日のジャパンカップ、ブロワイエはその一通過点です」
「っ!」
「それにこの学園にも世界にも他には強いウマ娘はたくさんいます。加えてあなたには一緒に走りたい方がいるのは?」
「スズカさん...」
「たとえ明日負けたとしてもサイレンススズカさんと走れる機会はいずれ訪れるかもしれせん。でもサイレンススズカさんは世界でも屈指のブロワイエを倒したあなたとそうでないあなた、どちらと一緒にレースをしたいですかね?」
「...先生。明日のレース、絶対勝ちたいです!」
「その意気です。しかし間違えてはいけません。明日はサイレンススズカさん、あなたの夢を応援してくれるお母様、応援してくれる全員の想いを含めたあなた自身のためということを忘れないように」
「はい!」
「よろしい。ではそんなスペシャルウィークさんの後押しをするべく自分も念入りにしなければいけません、ねっ!」
「うひゃっ!」
少し強めに指圧すると変な声が聞こえた
「以前のように無理なトレーニングは抑えたみたいですね」
「はい。トレーナーさんから無理矢理に休養を取らされました」
「当然ですね。もし今回も以前なようなことがあれば明日のレースを欠場させていたところです」
「そんな!」
「心配しないでもしもの話です。今回はいい具合に出来上がってますよ。これならば明日は全力以上のものが出せるかもしれませんね」
「本当ですか!?」
「えぇ。本来であれば全員常時その状態に持っていくことが自分の仕事なのですがね」
「それができたら先生の手はゴッドハンドですね!」
「ははっ、ぜひそうなりたいものですね」
それから入念に状態を確認し調整を終了した。話も弾んだのでいい具合にリラックスできたのではないかと思う
来たるジャパンカップにはブロワイエ効果なのかわからないが満席状態プラス立ち見もいっぱいという程のお客さんが来ていた。その中ではやはりブロワイエか、いや日本を代表するスペシャルウィークに勝ってほしいなどほぼほぼこの二つの意見で割れていた
会場にはスペシャルウィークを応援すべくチームスピカの面々はもちろんのことブロワイエを生で見る意味も含めてチームリギルや他の学園の生徒も多数来ていた
チームリギルではヒシアマゾンやナリタブライアンがブロワイエに対して対抗心を燃やしていた
「スペちゃーん!」
「彼女には私達の代表として頑張ってもらいたいが」
「思わぬところで負けることもあるからな」
「大丈夫よ」
「マルゼンスキー」
「昨日は先生が念入りに調整したって聞いたし、勝つかと言われるとわからないけどいい勝負にはなると思うわ」
「そうだな。先生の後押しもあって粉骨砕身頑張ってほしいね」
「全員!絶対に目を離さないように!」
『さぁ!ジャパンカップに出走するウマ娘が全員揃いました!やはりブロワイエの存在感は圧倒的ですね』
『そうですね。ここまでほぼ負けなし。凱旋門賞ではあのエルコンドルパサー を打ち破ったウマ娘ですからね』
『ずばり、ブロワイエの強さとは何でしょう?』
『彼女の強さ、それはずばり抜群のレースセンスです!シナリオ良しの完璧なウマ娘です!』
『スペシャルウィークにも頑張ってほしいものです!』
会場はすでに大熱気に包まれている。全員今か今かとレースのスタートを待ちかねているようだ。そんな先でブロワイエとスペシャルウィークが握手を交わしたことにより大きな盛り上がりとなった
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スタートのファンファーレが鳴り響き出走ウマ娘達がゲートに入る
『ジャパンカップいよいよスタートです!』
スタートの合図と共にゲートが開き一斉に飛び出した
『今スタートしました。スペシャルウィークとブロワイエは後方から追尾します!』
ブロワイエは明らかにスペシャルウィークを狙った位置。それは凱旋門賞でのエルコンドルパサーと対戦したときのようだった
『各ウマ娘第一コーナーを曲がる。そして1000mを一分で通過、平均ペース!』
『さぁどこで仕掛けるか』
『日本の総大将スペシャルウィークはここにいます!その後ろにブロワイエ!』
もうすぐ向こう表面に入るもまだ動きは見せず
『スペシャルウィークもブロワイエも後方から追い上げ体制』
しかし第二コーナーを曲がった当たりでようやく動いた
『さぁ動いた!スペシャルウィークが行ったー!その後ろからブロワイエも上がっていく!』
前を行くスペシャルウィークが他の選手を抜けばブロワイエも追いかけるように抜いていく
『第三コーナーを抜けて第四コーナーへ!大外からスペシャルウィーク!しかしさらに外からブロワイエが来たー!!!』
ブロワイエがスペシャルウィークを差そうとスピードを上げる。しかしスペシャルウィークとの間は詰まらない。そこからブロワイエの顔つきが変わる
『第四コーナーを抜ける!スペシャルウィーク落ちない!さらに伸びる!』
会場の興奮は一気に高まり応援にも一層力が入った
『スペシャルウィーク一位に躍り出たー!ブロワイエがスペシャルウィークを捉えるか!』
「行けーっ!」
「行けー!」
「いっけー!」
「行け」
「「「「「行けー!!!」」」」」
「行けー!スペー!!」
いろんな者の応援が響く中じわりじわりと少しずつではあるがスペシャルウィークとブロワイエの距離が縮まっていく。辛い、足が重い、限界。しかし...
「スペちゃーん!!!」
最後に届いたのはやはりサイレンススズカの声。それが届いたのか最後にさらにスピードを上げたスペシャルウィークが堂々の一位でゴールインした
『やってくれましたスペシャルウィーク!!!』
全員の想いを背負っての一着。日本の総大将が激戦を勝ち取った
『ジャパンカップを制した次の目標は何ですか?』
『目標?えっと...これからも応援してくれるみんなの夢を背負えるような、そして私を応援してくれる人に夢を見せれるようなそんなウマ娘になることです!』
携帯越しにその言葉を聞いたオレはそっと画面から顔を上げて目を瞑った
「ですってよ。聞こえてますか?サンデーサイレンスさん」
娘さんの今後も今後も見守ってあげてください