ウマ娘 プリティーダービー 〜レース前には欠かせない存在〜   作:てこの原理こそ最強

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第2R

 

スズカのレースから一夜開けて、今日は「チームリギル」の入部テストがあるらしい。暇なら見に来いとリギルのトレーナーさんから直々に言われたのでグランドの端で様子を見ている。目視でだが昨日会った娘がいた。いきなりリギルのテストを受けるなんて相当な実力なのかと興味本位で観察していた

 

やはりこのテストは非常に人気が高いのだろう、現リギルの面々はもちろんのこと多くの生徒が見学に来ていた

 

「先生」

 

「あれ?スズカさん」

 

「スズカ」

 

「…スズカ」

 

「はい」

 

リギルのテストに挑むルーキー達を眺めていると後ろから声をかけられ、振り向くとゆっくりとこっちに近づいてくるスズカの姿があった

 

「君は向こうにいなくていいのかい?」

 

「はい。私、リギルを辞めたので」

 

「そっか」

 

「…理由は聞かないんですか?」

 

「君が決めたことだろ?ならそれだけで十分だ」

 

「…」

 

レースの方に目を戻すとスズカからの返答がなくなった。チラッと横目にスズカを見ると顔を赤くして尻尾が左右に揺れていた

 

すると目の前を例のあの娘が通り過ぎた。それもさっきよりも加速したスピードで

 

「あの娘、スズカにはどう見える?」

 

「おもしろい娘ですね」

 

「あぁ。スタートもダメ、カーブもダメ、てんで素人。でもあの加速はすごい」

 

「あの娘が気になるんですか…?」

 

「ん?まぁ気になるって言えば気になるかな、イテッ!」

 

素直に答えただけなのになぜか脇を殴られた

 

「なんだよ」

 

「知りません!」

 

なにか気に障ったのかプイッと顔を背けてそのまま行ってしまった。なにかしたかな…?あ、どこのチームに入ったのか聞くの忘れた

 

「先生」

 

「あ、“フジキセキ”さん」

 

「トレーナーがお呼びです」

 

「わかりました」

 

「チームリギル」所属のフジキセキ。人を楽しませることが大好きなエンターテイナー。抜群のプロポーションと時折見せる甘い言動で数多くのウマ娘たちを虜にしているときく。そんなフジキセキさんに連れられてリギルのトレーナーさんの元に着いた

 

「あ、せーんせー」

 

「マルゼンスキー、大人しくしていろ」

 

オレを見つけたからかこっちに手を広げてこっちに寄ろうとしてきたマルゼンスキーさんを強い言葉で止めたのはトレーナーさんだ

 

「やぁ。今日は急な誘いに応じてくれて感謝する」

 

「いえ、今日の放課後は特に仕事もなかったので大丈夫ですよ。でもここに呼ばれた理由はなんですか?」

 

「それは先ほどのテストで見事ウチに入ることになった”エルコンドルパサー“に紹介しておこうと思ってな」

 

「あ、そうでしたか」

 

「エルコンドルパサー、この人は学園にいる多くのウマ娘が世話になっている。それはウチのチームも例外ではない。むしろ1番世話になっていると言っても過言ではない。粗相のないようにしろよ?」

 

「ハ、ハイ!」

 

「一応自己紹介してくれるとありがたいのだが、よろしいか?」

 

「えぇ、もちろん」

 

オレは一歩前に出てエルコンドルパサーさんの顔を見ながら口を開く

 

「初めまして。この学園で保健医兼カウンセラーをしてる者です。みなさんからは先生って呼ばれてるので同じように呼んでいただいて構いません。ないことに越したことはありませんがもしケガや悩み事があるときはいつでも気兼ねなく来てください」

 

「ハイ!よろしくお願いしマース!」

 

「なんだか話し方がタイキシャトルさんに似てますね」

 

「OH!センセー!短距離なら負けまセーン!」

 

「ワタシも負けたくないデース!だからこれから特訓頑張りマース!」

 

「はい、頑張ってください」

 

「エッ…」

 

「あっ…」

 

激励のつもりで声をかけたが全くの無意識で頭を撫でてしまった。それに対するエルコンドルパサーさんの困惑と数人の周りからの視線が痛かった

 

「す、すみません!」

 

「だ、大丈夫デス…でもなんだか、気持ちよかったデス…また、お願いできマスカ…?」

 

「え…」

 

「せんせー」

 

「ひっ!」

 

声がする方にはいつもの柔らかい表情では到底想像できないほどこちらを睨みつけえてくるマルゼンスキーさんと笑顔でいるもののこちらを見てくる目は全く笑っていない“グラスワンダー”さん。そしてこの学園の生徒会長である“シンボリルドルフ”さんが腕を組んで同じくこちらを睨んでいた

 

「せんせーはすぐそうやって女の子に手を出すんだから」

 

「その言い方は語弊があるのでやめてもらえませんか!?」

 

「先生、ちょっとOHANASHIよろしいですか?」

 

「グ、グラスワンダーさん…?目が笑ってないですよ…?」

 

「先生、私も少しご相談がありますので、後ほど会長室までご同行お願いします」

 

「お願いと言うより命令のような気がするのは自分だけでしょうか!?」

 

「HEY!みなさん!それならセンセーを賭けてレースで勝負するネ!」

 

「へぇ〜、やってやろうじゃない」

 

「その勝負、乗ります」

 

「これは負けられないな」

 

「ワ、ワタシもやりマース!」

 

「お、おい!こら!」

 

トレーナーさんの制止も聞かず5人を筆頭に便乗した娘達も一緒に行ってしまった

 

「…なんだか、すいません」

 

「いや、君の人気が高いのもよくわかっているつもりだ」

 

「そんな…自分なんて…」

 

「謙遜も度が過ぎると嫌味だぞ」

 

「そうですが…」

 

「君にそんな気がないのはよくわかっている。改めて聞くが、ウチの()()()()()()()()()()になるつもりはないのか?」

 

「…すいません。自分はみんなを平等に診てあげたいんです」

 

()()()を引きずっているならそれはお門違いだ。あれは君の責任ではない」

 

「いえ、あれは自分の責任です。あのとき手を差し伸べなかった自分の…」

 

「…そうか。だが私も諦めが悪いタチでな。幸運にもウチの全員が君を大なり小なり尊敬している」

 

「それはありがたいことです」

 

「これからも頼らせてもらうぞ」

 

「できうる限りはさせていただきますよ。贔屓はできませんがね」

 

「ふん、どこまでも抜け目のないやつだよ。君は」

 

「褒め言葉として受け取っておきます。さて、あの娘達が戻ってくる前に自分は退散しますかね」

 

「いいのか?どうせ後で追い回されるかメディカルルームを占拠されるぞ」

 

「そのときはそのときでなんとかします。では…」

 

「あぁ」

 

そのあとトレーナーさんの言う通り、メディカルルームをリギルのメンバー数人で占拠された

 

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