ウマ娘 プリティーダービー 〜レース前には欠かせない存在〜 作:てこの原理こそ最強
「では行きましょうか」
「ま、待ってください!」
グラスはドアを少し開けて顔だけ出し外の状況を確かめた
「先生、私から離れないでくださいね」
「えぇもちろん」
「...っ!そうです!先生が離れないように手を繋ぎましょう♪」
「いやそこまでする必要は...」
「ダメです!さぁ!」
オレの手を引っ張ってメディカルルームを出た
「〜♪」
楽しそうだな。耳もピョコピョコしてるし尻尾も揺れてる
「先生こんにちは!」
「先生やっほー!」
「こんにちは」
「これはセーフですよね?」
「えぇ。ただの挨拶ですので」
「せんせー紙どこー...?」
「先生紙持ってきてよー」
「頑張って探してください」
これで14人目
「グラスワンダーさん。あと一人でゲームオーバーです」
「〜♪」
あれ聞いてる?あ、これ聞いてねぇや
「あ、先生!」
「おやハルウララさん、こんにちは」
"ハルウララ"。元気とやる気が取り柄の天真爛漫なウマ娘。わがままで飽きっぽいゆえにレースではなかなか勝てないが、何度負けても持ち前の明るさで立ち直り、周囲のみんなと楽しく学園生活を満喫している
「先生も芋けんぴ食べる?」
「おやありがとうございます。ありがたくいただきますね」
「うん!感想聞かせてね!」
「えぇ。グラスワンダーさん」
「〜♪っ?先生?」
オレが手を離すとグラスは正気に戻った
「今ハルウララさんに声をかけられました。これで15人、残念ながらゲームオーバーです」
「え、え...え?」
「んー?どういうこと?」
グラスは困惑し事情を知らないハルウララさんはポカーンとしている
「...ウララさん」
「グラスちゃんどうしたの?」
「少し、OHANASHIよろしいですか...」
「え?お、おおおおおお!」
グラスはハルウララさんの首根っこを掴んで連れて行ってしまった
やはりオレのお題の紙は見つけにくいようでグラスの後に来たのはわずか二人。ゴールドシップさんとアグネスタキオンさんだった。ゴールドシップさんは「なんか適当に探してたら見つけたー」と。アグネスタキオンさんは「ふっ風が教えてくれたのさ」と。偶然てあるもんだねー。ちなみに二人ともクリアならず。というかする気がなかったみたいだ
「せーんせ」
「やぁマルゼンスキーさん」
「もぅ。いつも通り呼んでくれてもいいじゃない」
「今は仕事中です」
「お堅いわねせんせ。まぁそうおいとこも好きなんだけど」
「どうも。それで?何か用ですか?」
「何って、決まってるじゃない。こーれ」
スキーが持っていたのはお題の紙だった
「わかりました。それでは行きましょうか」
「ちょっと待って」
「はい?」
「出発前にこれに着替えてせんせ。それとこれもね」
スキーから渡されたのはカジュアルな服と度の入っていないメガネだった
「これは?」
「変装。別に着替えちゃダメってルールはないでしょ?」
「確かにありませんが」
「なら大丈夫よ。ほら早く」
「わ、わかりました」
スキーから半ば強制的に渡され、本人は一旦部屋を出た。仕方なく着替えて鏡を見てみるとめちゃくちゃセンスが良かった
『せんせー終わった?』
「えぇ」
スキーが再び入り着替えたオレを確認すると目を見開いて驚いている
「似合うなとは思ってたけどこれはヤバいわね」
「変ですか?」
「ううん逆。よく似合ってるわよせんせ♪」
「そうですか。普段メガネなんてかけないものですから」
「だいぶ印象変わるわね。これならホントにイケるかも」
「なんだか落ち着きませんね。学園内で私服というのは」
「それは我慢してね。それじゃあ行きましょうか」
「わかりました」
準備が整いスキーに先導される
「マルゼンスキー先輩」
「お疲れ様です」
「えぇ、お疲れ様」
廊下を歩いているとウオッカさんとダイワスカーレットさんが現れた
「その方は?」
「会長のお客さんなの」
「そうなんですか」
「...」
「どうしたんだよスカーレット」
「どこかで会ったような気が...」
「気のせいじゃないのか?」
「二人ともごめんなさいね。急ぐから失礼するわね」
「あぁすいません」
なんとかバレずにやり過ごすことができた。しかし離れてからもダイワスカーレットさんはオレに疑いの目を向けていた
「危なかったわね」
「でも意外とバレないものですね」
「私としてはもうバレちゃいそうでひやひやしたわ」
その後も誰一人とオレだとバレることなくゴールである食堂の前まで来た
「ようやく着いたわ」
「ですね」
「いつもより距離が長く感じたわ」
「できるだけ他の娘とすれ違わないようにゆっくり来ましたからね」
「Oh!マルゼンスキーデス!」
「っ!あらタイキ」
ここでシャル登場。スキーも驚きはしたもののすぐに平然を装った
「...」
シャルはジーッとこっちを凝視してくる
「センセー!イメチェンですカ?」
「えっ」
「メガネかけたセンセーもカッコイイデス!」
あっけなくバレいつものように抱きつかれる。しかもなかなかに大声で発したせいで周りにいる生徒達が一斉に寄ってきた
「え!先生!」
「本当だ!よく見たら先生だ!」
「うっそ!印象全然違う」
押し寄せる生徒の波に押しつぶされてしまう
「やってくれたわねタイキ...こうなったら!」
おしくらまんじゅう状態になってもオレの隣をキープしていたスキーはオレの手を取って強引に食堂に入った。そこには判定員のエアグルーヴが待っていた
「エアグルーヴ!先生連れてきたわよ!」
「お、おう...しかし大勢連れてきたんだな」
「それは想定外だったけど実際に先生と話したのはタイキだけだから問題ないはずよ!」
「まぁルール上問題はないな」
「じゃあ!」
「あぁ、達成ということで会長に伝えておく」
「やったー!せんせ私やった...よ...」
喜びを伝えようと振り向くのだが...
「先生その服どこで買ったの?」
「いや、これはマルゼンスキーさんが選んでくれたもので」
「先生本当にメガネ似合う!普段からもかけなよ!」
「いえ別に目が悪い訳ではないので、使う必要がなくってですね」
「この際だから髪型も変えてみようよ!」
「いやまだ仕事が...」
「大丈夫だって」
案の定この姿が珍しいのかもみくちゃ状態は変わらなかった
「これは何の騒ぎだ」
「会長」
そこへ現れたのは生徒会長、帝王シンボリルドルフだった。生徒会長の登場にその場は一気に静まり返った
「すみません。自分がこんな格好をしたばっかりにこんな騒ぎになってしまいました」
「...」
「あの、シンボリルドルフさん?」
「っ!すまない先生」
「なーにー?生徒会長ともあろうルドルフが先生に見惚れちゃったの〜?」
「ち、違うぞ!」
「どうかしらね〜」
「ともかくだ、これだけの人数が集まっていれば他の生徒の迷惑となる。現状打破、すぐ解散するように」
『はーい』
生徒会長の一声にその場にいた生徒一同渋々解散していった
「会長、マルゼンスキーが先生のお題をクリアしました」
「そうか。やはりマルゼンスキーだったな」
「どういうこと〜?」
「生徒会員の中で話になってな。お題もお題でクリアできるウマ娘はいるのだろうか、と」
「隠し場所も難易度高かったからな。挑戦する者も少ないとは考えていたんだ」
「それでなんで私がクリアするってなったのよ」
「景品を狙う者も多かろうが、クリアできるとなったらマルゼンスキーなのだろうと全員一致で考えたよ」
「あらそれは嬉しいわね。だってせんせ♪」
「良かったですね」
「そんな他人事みたいに。先生はそろそろ私の気持ちに応えるべきじゃないかしら?」
「さて服を着替えて仕事に戻らないと」
「あん、またそうやって誤魔化す。ちょっ待ってよ〜」
オレはよくない話の流れに勘づいて即刻部屋を退出する。それを追っかけてくるスキー
「あの二人は相変わらずだな」
「会長はよろしいのですか?」
「泰然自若、焦ってもいいことはないさ」
「そうですか」
これにてファン感謝祭二日目は終了となった