ウマ娘 プリティーダービー 〜レース前には欠かせない存在〜 作:てこの原理こそ最強
ウマ娘アプリ楽しいですね
続きを楽しみにしてくれている方がいらっしゃることを知ったので続きがんばりました。次回投稿も間が空くと思われます
マックイーンが出走した阪神大賞典はあいにくの雨だった。研修先が気を利かせてくれたのか元からプランに組み込まれていたのか研修に参加している全員でテレビ越しに観戦した
マックイーンは多くの期待を背負って出走。しかしレース自体はマックイーンが他のウマ娘全員からマークされる展開に。が、そんなマックイーンは慌てることなく第三コーナー辺りからスパートをかけ他のウマ娘を置き去りにし力の違いを見せつける形となった
そして続く大阪杯。待ちに待ったテイオーの復帰戦がやって来た。長く調整を診てきた身としては最後も診てあげたかったものの、研修が重なってしまったためトレセン学園にいる他の調整師に託すことになった
大阪杯も阪神大賞典同様全員での観戦となり、長距離レースである阪神大賞典と中距離レースである大阪杯で走るウマ娘の特徴やトレーニングによってどのような調整を心がけねばならないのかを伝えられた
こうして期間が短かったとはいえ最低限のことを伝えられた研修が終わり、トレセン学園に戻るとテイオーの復帰と来るテイオーvsマックイーンがある春の天皇賞の話題で溢れていた
「エキサイティングなウマ娘が出マース!」
「え、だれだれ?」
「ミホノブルボンさん、前回のトウカイテイオーさんのように無敗でクラシック三冠に挑む娘ですよ」
「ハッ!この感触ハ!」
「あ、先生!」
お昼を取ろうと食堂へ行くと案の定テイオーとマックイーンの周りは多くのウマ娘でごった返していた。そんな食堂でスペシャルウィークさん、エル、グラスの仲良し3人組がいるテーブルを見つけ近寄ると、皐月賞の話をしていたのでエルの頭に手を乗せて話に割り込んだ
「おかえりなさい先生!先生もお昼ですか?」
「えぇ。今日は食堂でと思いまして」
「ならセンセーもここで一緒に食べまショウ!」
「先生、こちらにどうぞ」
グラスが少しずれてエルとの間にイスを置いてくれた
「では失礼しますね」
「センセー!撫でるの止めちゃ嫌デス!」
「いや、止めないと座れないし食事できませんから」
「ムゥ...なら仕方ないデス...」
「エル。先生を困らせないで。ところで先生」
「はい?」
「なんで私ではなくエルの頭を撫でたんですか?」
「え...」
グラスはいつも通りの笑顔なのだが...なんというか圧がすごい...
「いや、決して撫でたわけでは...」
「ならどうしてエルなんですか...?」
「一番近かったのがエルコンドルパサーさんだったもので...」
「フフフ、女の嫉妬は見苦しいヨ!センセーはエルのことが好きなだけデス!」
「先生...また浮気ですか...?」
「浮気!?待って!いつからそんな...」
スペシャルウィークさん!なんでこの状況でそんなモリモリ食べてられるの!助けてっ!
「先生!」
「センセー!」
ダレカタスケテ...
さて、今日は皐月賞に向けてのブルボンの調整が入っている
「先生」
「時間通りですね、さすがです。さ、こちらへ」
「よろしくお願いします」
「えぇ」
相変わらず礼儀正しい。オグリやブライアンよりも表情が変わらない。ゆえに感情がわかりずらい
"ミホノブルボン"。常に物事を数値的に捉え、無表情かつ無機質に目的を遂行する。しかし感情のない機械のようなウマ娘なのかといえばそうではなく、幼少期から激しい鍛錬で人と話す機会が少なかったことからどう話していいかわからないだけ
「ハードなトレーニングを受けているようですね」
「それがマスターの指示ですので」
「それをやってのけるミホノブルボンさんも十分すごいですよ。あとはもっと表情筋を鍛えましょうか」
「?それはレースに勝つことに必要でしょうか?」
「直接的には必要ではないかもしれません。しかし今後あなたの役に立つはずだ」
「...先生は私が表情筋を鍛えたら嬉しいですか?」
「うーんどうでしょう。ただ、表情筋を鍛えてもっと笑顔が増えたら嬉しいですね」
「...そうですか」
他所からはサイボーグなんて言われてるけど、感情がないわけじゃないんだよな
「本日はありがとうございました」
「いえいえ。決してムリしないように気をつけてくださいね」
「はい。では」
ブルボンが出ていってすぐに次の来客ウマ娘がやってきた
「お兄様、もういいですか...?」
「大丈夫ですよ。お待たせしました」
扉を少しだけ開けてひょこっと中を覗くようにするウマ娘。入っていいと聞くとパーっと顔を明るくして座っている俺の膝に乗ってきた。こっち向きで
「お兄様」
「はいはい」
この娘は"ライスシャワー"。さっきまでいたブルボンとは対称的に素直で純粋な性格。自分がいると周りが不幸になると思い込んで他人を避ける傾向にある。とても気弱ですぐに泣いてしまうが誰かのためなら一生懸命頑張ることができる健気ウマ娘。いつからお兄様と呼んで慕ってくれている
「ライス、今度皐月賞出るんだ」
「知ってますよ」
「でもどう走っていいかわからないの...」
「うーん、その辺のことに関しては自分も安易にアドバイスできないですね」
「そっか...」
ライスはシュンとしてしまう
「自分の長所を伸ばしてみるのはどうでしょ」
「ライスの長所?」
「はい」
「でも、ライスに長所なんてないよ...」
「あなたのスタミナと息の長い末脚は十分に長所と思っているのですがね」
「スタミナと末脚...」
「似たウマ娘といえばメジロマックイーンさんでしょうか。彼女はステイヤーとして完成度の高いウマ娘です。彼女の走りを参考にしてみては?」
「うん。わかった」
「あとはあなた次第。楽しみにしてますよ」
「お兄様はライスが勝ったら喜んでくれる?」
「それはもちろん」
「っ!やっぱり大好き!お兄様!」
相当嬉しかったのか抱きついたまま離れてくれるまで時間がかかった
今年度の皐月賞。結果は期待を裏切らなかったブルボンが堂々の1着。ライスは残念ながら8着に終わってしまった。終わった後にライスに泣きつかれてしまったが、次は勝てると慰めている間にライスは寝てしまった
そして次は天皇賞・春。同じチームから二人エントリーするスピカはマックイーンとテイオーに別メニューを課し各々トレーニングに励んだそうだ
そして今日は前々から予定が入っていた通りメジロ家にお邪魔している
「やぁ先生!」
「こんにちは先生」
出迎えてくれたのはライアンとドーベル姉妹だった
"メジロライアン"は筋トレ大好きウマ娘。メジロ家に生まれながらマックイーンのようにお嬢様な仕草は特になく性格は爽やかそのもの
"メジロドーベル"は卑屈なクールビューティー。人目が苦手で特に男性の前では極度に緊張してしまう。俺にもようやく慣れてはくれたもののここまでくるのに結構な時間がかかった
「出迎えありがとう二人とも」
「先生にはいつもお世話になってるしこれくらいはね」
「お婆様がお待ちですので、こちらへどうぞ」
二人に連れられてやって来たのはとある部屋。中には歴代のメジロ家のウマ娘が獲得したトロフィーがずらーっと並んでいた
「あら、来たのね」
「お久しぶりです」
「そんな畏まらなくていいといつも言ってるでしょ」
「いえ、名だたるメジロ家ご当主様に相応の礼儀を示しているだけですので」
「あなたも頑固ね」
「敬のない人間と思われたくないだけです」
「あなたをそんな風に見る輩がいるならここへ連れて来なさい。メジロ家の元断罪してさしあげるわ」
「...その時が来ないことを祈ります」
冗談じゃなく本当にやりそうなんだよなこの方は...
「お婆様お呼びでしょうか...先生!?」
「やぁマックイーン。お邪魔してるよ」
「まさかもうお婆様にご挨拶を!?」
「?うん、今済んだけど」
「なっ!おおおおお婆様!その、私は先生であれば...」
「マックイーン少し落ち着きな。この子は言葉通り来てくれたことへの挨拶をしただけだよ」
「え...」
「だからあなたの思っている挨拶はしてないよ」
「そ、そんな...」
「早とちりし過ぎたね。ま、気長におやり」
「うぅぅぅ...」
「えっと、なんかごめん」
「元気だしてマックイーン」
「そうそう。別に先生がいなくなるわけじゃないんだから」
「そんなことわかってますわ!」
「じゃあ涙を拭いて。マックイーンの言ってる殿方の前なんだから」
「はしたない姿は見せないんでしょ?」
「そ、そうですわね。申し訳ありません先生」
「気にしないで」
「はぁ...マックイーンにいうことがあったのだけど少し和んでしまったね。話は夕食の後にしようかね」
当主様のご好意でメジロ家の素晴らしい食事を堪能できた