ウマ娘 プリティーダービー 〜レース前には欠かせない存在〜   作:てこの原理こそ最強

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少し長くなりました


第五R

週末に春の天皇賞を控えテイオー、マックイーンのトレーニングは佳境を迎えているとのことだった。今まで3200mという長さのレースを走ったことのないテイオーはひたすらスタミナアップに努め、マックイーンは重量のある蹄鉄を付けテイオーに負けないほどの足腰の強さを身につけるらしい

 

二人とも調整を請け負っているが、二人とも日に日に成長していることがわかる。そして今日は天皇賞前最後の調整。最初に診るのはテイオーだ

 

「気合十分ですねトウカイテイオーさん」

 

「うん!マックイーンには絶対負けないよ!」

 

「新聞で見ましたが一番人気らしいですね」

 

「身体に異常はありません。トウカイテイオーさん自身どこか違和感はないですか?」

 

「大丈夫。あんな怪我した後だし、先生の言いつけ通りストレッチとか入念にしてるからね♪」

 

「そうですか、感心感心」

 

「むぅ...先生僕のこと子供扱いしてない?」

 

「そんなことないですよ」

 

「ホントかな〜」

 

「まぁ自分からしたらここにいる生徒みんな子供なんですけどね」

 

「ほらー!」

 

「ほら動かないで。ただでさえ春の天皇賞はトウカイテイオーさんにとって未知の領域なんですから。入念にしないと」

 

「うーなんか誤魔化された感じ」

 

その後も調整は続いたが問題は一切なく好調な状態だと判断した

 

次にマックイーンだが...

 

「...」

 

寝ちまいやがった...

 

「トレーニングで疲れてたのかね」

 

調整の途中でマックイーンが寝てしまったのだが一応診た感じでは問題ないようだった。まぁ気持ちよさそうに眠っているしこの後来る娘もいないからこのまま寝かせておこうとしたその時...

 

「かっ飛ばせー!ゆ・た・か!」

 

「うわっ!びっくりした...」

 

「はっ!」

 

いきなり何かの応援、かっ飛ばせって言ってたから野球か何かか?...とにかく応援をし出したと思いきや、そのまま目が覚めたようだ

 

「私ったら...先生のマッサージが気持ちよすぎてつい...」

 

「おはようございます」

 

「すみませんですわ先生。あら?少し汗をかいていますわね」

 

「す、少し驚くことがあって」

 

「驚くこと...っ!私ったらまたっ!?」

 

「メジロマックイーンさんが考えていることはわかりませんが、なんというか少しクセのある寝言のことでしたら...」

 

「〜っ!」

 

オレの言っていることがあっていたようでマックイーンは出会ってから今までで一番顔を真っ赤にして布団を被ってしまった

 

「安心してください。別に誰かに言おうなんて思っていませんので...」

 

「そういう問題ではありません!ただでさえここ数日先生に醜態を晒しているのに、あまつさえ一番恥ずかしいことを...!」

 

「ま、まぁ誰にだって隠したいことはありますよ。甘いもの好きだけど体型維持するために影で必死に我慢していたり」

 

「ぐっ...!」

 

「トレーナーに頻繁にかけるくらいプロレス技を知っていたり」

 

「うぐっ!」

 

「好きな野球チームの応援歌の練習するためによく一人でカラオケに行ってるとか」

 

「なっ!!」

 

「それから...」

 

「それ以上はいけませんわ!」

 

別に誰とは言わないがありそうかなって思う隠したいことを述べていったら布団から勢いよく飛び出たマックイーンに口を塞がれた

 

「先生...あなたなぜそれを...」

 

「な、なんのことでしょう...」

 

「怪しいですわ。えぇ完全に怪しいですわ。はっ!まさかまたライアンが!」

 

無意識に目を逸らしてしまう

 

「やはり!まったくあの人は!」

 

「落ち着いて...」

 

「これが落ち着いてられますか!今すぐ帰ってあれこれ聞き出さなくては...!」

 

「それはダメです。ちゃんと寮に帰って休みなさい」

 

「いきなりそんな真顔で正論を言われても...はぁもういいですわ。絶対に言いふらさないでくださいまし。いいですね先生!」

 

「えぇ。誓いましょう」

 

「まったく...先生の前では調子が狂ってしまいますわ」

 

「自分は素のメジロマックイーンさんが見れて嬉しいですがね」

 

「っ!そういうとこ...無自覚で言ってるんでしょうからタチが悪いですわ...」

 

「はい?」

 

「なんでもありません。それでは私は部屋に戻りますわ」

 

「えぇ。しっかり休んでください」

 

マックイーンは部屋を出ようとするがドアの取っ手に手をかけたまま止まった

 

「...先生は、私とテイオー。どちらを応援してくださるんですの...?」

 

「それはお二人ともです」

 

「その答え方は、ズルいですわ...」

 

「すみません。しかしこの間お婆様に教えていただいたのではありませんでしたか?あなたは何を見るべきなのかと」

 

「そう、でしたわね...」

 

マックイーンは振り返って迷いのない表情を向けてきた

 

「見ていてください先生。最高のレースをご覧いれますわ」

 

「はい。楽しみにしています」

 

マックイーンは今度こそ寮に帰っていった。ライアンには後で謝罪を込めてさっきのマックイーンの寝顔を送ろう...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『京都レース場。今日は満員のお客様が入っています。天皇賞・春、無敗のトウカイテイオーか、それとも前回王者のメジロマックイーンが勝つのか。はたまた大波乱が起こるのか!』

 

満員御礼の京都レース場。噂によると明け方から入場口前で待つお客さんがいたとか

 

『一番人気はやはりトウカイテイオー!』

 

『大阪杯での走りは凄かったですね。完全復帰と言っていいでしょう』

 

『そしてメジロマックイーンは二番人気!』

 

『前回王者として、そして連覇をかけてここは譲れないでしょう』

 

「実際どっちが勝つかわからないな。どう思う?このレース優勝経験もあるルドルフ」

 

「そうだな。経験では圧倒的にマックイーンが上だろう。しかし今のテイオーの勢いも侮れない」

 

「左様か。お、出てきたな」

 

『やって来ました。史上初の天皇賞連覇に燃えるメジロマックイーン!そして7戦7勝、トウカイテイオー!』

 

『どちらも仕上がりは上々のようですね』

 

主役二人の登場に会場は一気に盛り上がった

 

「この盛り上がり、最高だ」

 

「ホントね。ルドルフちゃんの時も盛り上がったけど」

 

「いや今日の方がすごい。競い合えるライバルがいる彼女達が羨ましいよ」

 

「さすがは生徒会長。目の付け所が違うんだな」

 

「む、今日の先生はイジワルだな」

 

「そうよせんせ」

 

「そうだな。すまない」

 

「最近の先生は私に対してひどいんじゃないか?」

 

「いやーかわいい娘にはからかってしまうと言うだろ?」

 

「かわっ!」

 

「むぅ...先生がルドルフを口説いてる」

 

「口説いてない口説いてない」

 

構ってくれないため嫉妬したのか一緒にいたスキーが頬を膨らます。その頬を指で突っつくとちょっと嬉しかったのかニヤけた

 

「私からすれば二人がイチャついているようにしか見えないんだが...」

 

「イチャついてないイチャついてない」

 

「えーもっとイチャイチャしましょうよせんせ、ふっ♪」

 

「抱きつきながら耳に息を吹き込むな。ほら、始まりそうだぞ」

 

『お知らせします。メジロマックイーンが落鉄したため発走時間が遅れます』

 

その知らせを聞いて会場からどよめきが起こる

 

「ちょっと行ってくるか」

 

「大丈夫じゃないかしら。ほら、ゲート員さんが近づいてく」

 

「そうだな」

 

「心配性なのね」

 

「当たり前だ」

 

「そういうところがあるから先生を信頼してるのよみんな。ルドルフちゃんも、もちろん私もね」

 

「当然だな」

 

「...そうか」

 

『どうやらメジロマックイーンの蹄鉄の付け替えが終わったようです。トラブルはありましたがその表情に動揺は見られません』

 

蹄鉄を打ち替えたマックイーンは出走するウマ娘全員に頭を下げて謝罪と感謝。他の娘達もホッとした様子がスクリーンに映し出された

 

♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜

 

『始まりを告げるファンファーレが京都レース場に鳴り響く。勝つのは一体誰なのか。各ウマ娘やる気満々、気合十分という形で続々とゲートに入っていきます。最後に大外、14番ゲートにトウカイテイオーが入ります』

 

『さぁ、春の天皇賞を制するのは7戦7勝のトウカイテイオーなのか。それとも最強のステイヤー、メジロマックイーンなのか14人のウマ娘がプライドをかけて、今スタートしました!』

 

『各ウマ娘綺麗にスタート。出遅れはありません。3200mの長丁場、前を行くのはトウカイテイオーか、それともメジロマックイーンか』

 

『おっと外からメジロパーマー!メジロパーマーがレースを引っ張る形。メジロマックイーンは6番手の位置。トウカイテイオーは1人挟んでその外にいます。この2人から目を離すことができない!』

 

第四コーナーを回って正面にきた走者達は一斉に歓声を浴びる

 

「芝が禿げあがっちゃってるわね」

 

「パワーが必要なこの部分、果たして...」

 

「...」

 

「誰もあんな溝で転けるようなやわな鍛え方はしてないわよ」

 

「どうしてわかった?」

 

「そりゃ先生のことずっと見てきたんですもの。こういう時の先生が何を考えてるかなんてすぐわかっちゃうわ」

 

「...恐ろしいな」

 

「あら、観察眼があって気がきくって褒めてくれてもいいのよ」

 

「そうだな。スキーはすごい娘だよ」

 

「えっ...」

 

(もぅ!不意打ちはズルいわよ...!)

 

『おっとトウカイテイオーが動いた!第三コーナーの坂。春の盾は絶対に譲れないメジロマックイーン!春の盾こそ絶対に欲しいトウカイテイオー!さぁ800mの標識を過ぎた!』

 

テイオーとマックイーンは両者一気に加速。それまで先頭を走っていたパーマーを追い抜いた

 

『これからは未知の道のりトウカイテイオー!』

 

内マックイーン、外テイオーで第四コーナーを回り正面へ。カーブ後のためで少し間が空いてしまう

 

『先頭に立ったメジロマックイーン!しかしトウカイテイオー追い込んでくる!』

 

『おっとトウカイテイオー仕掛ける!』

 

テイオーが更に速度を上げる。しかし前を走るマックイーンとの差が縮まらない

 

「キツそうだなテイオー」

 

「えぇ...」

 

「...」

 

『メジロマックイーンなんというスピードだ!トウカイテイオーどうした、いつものように伸びない!今3番手から4番手』

 

『強い!強すぎる!さすが現役最強ステイヤー、メジロマックイーン!グングン伸びる!今1着でゴール!前回に続き、春の天皇賞を制しました!』

 

どちらかと言えばテイオー贔屓で見ていたルドルフは腕を組みながら言葉が出なかった

 

マックイーンとテイオーはお互いの勇姿を称え抱き合った

 

マックイーンには<連覇>、テイオーに<敗北>の二文字が刻まれた

 

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