ウマ娘 プリティーダービー 〜レース前には欠かせない存在〜   作:てこの原理こそ最強

4 / 54
もう既に1が出てしまったか…


第3R

昼休みってのはその名の通りお昼に休むことの許されている時間帯のはずだ。そう、そのはずだった…と言うかそうあるべきだ。それは学園に通う生徒にも先生にも平等に与えられるべきものだ。しかしどうしてこうなった…

 

「センセー!」

 

「ちょっとエル!くっつきすぎ!」

 

「センセーは優しいから許してくれマス!」

 

「エルコンドルパサーさんが離れてくれないんじゃないですか」

 

学園にいる時間帯の中で唯一休める昼時には必ずと言っていいほど誰かしらがここにやって来る。今日はエルコンドルパサーさんとグラスワンダーさんが来ている。エルコンドルパサーさんはほぼ毎日な気がする。場所を変えるべきか…

 

グラスワンダーさんはアメリカ生まれの帰国子女でありながら流暢な日本語と温和な物腰で、中身は完璧な大和撫子。何事にも落ち着きはらった態度でいて、ほんわかとした独特のペースで話す。

 

「ぶ〜、エルって呼んでクダサイ!」

 

「今は昼休みと言っても学園の中ですからね」

 

「先生はもっと私達に心を開いてほしいです…」

 

「心なんて完全に開放されてますよ。じゃないとこんなことしませんよ」

 

「アッ、エヘヘ〜」

 

オレに背を向けてイスに座っているオレの膝の上に乗っているエルコンドルパサーさんの頭を優しく撫でる。これをするとエルコンドルパサーさんの調子が上がると「チームリギル」のトレーナーさんに言われてるので実行し続けている

 

「またエルばっかり…」

 

「グラスワンダーさんにもちゃんとやってあげますよ」

 

「っ!」

 

エルコンドルパサーさんにしているのと同じようにとなりに座っているグラスワンダーさんの頭にも手を乗せて優しく撫でた。するとそこに部屋のドアがガラッと勢いよく開いた

 

「ここがメディカルルーム兼カウンセリングルームだよ!」

 

「“トウカイテイオー”さん…ノックをしてください…」

 

勢いよく開かれたドアの外から入って来たのはトウカイテイオーさん。明朗快活。輝くような笑顔がまぶしいウマ娘。身軽でフットワークが軽く、跳ねるような独特の走り方をしている。この学園の生徒会長であり“皇帝”とも呼ばれているシンボリルドルフさんに強い憧れを持ち、自分は“帝王”になるため、無敗の三冠制覇を目指しているらしい

 

「おっ、先生!この子は新しく来た転校生だよ!」

 

「話を聞きましょうね。おや、君は」

 

「あ、スペちゃん!」

 

「いらっしゃいませ。あ、先生は続けてください」

 

「えっ…でもほら、紹介とかありますし…」

 

「……仕方ないですね」

 

「なんで自分が妥協された感じになってるのでしょう」

 

トウカイテイオーさんが連れてきた転校生、エルコンドルパサーさんとグラスワンダーさんとは既に顔見知りな様子の彼女。その娘はついこの前出会ったまま名前を聞きそびれて探そうにも探せなかったが、偶然リギルのテストで見つけたその娘だった

 

「初めまして、ではないかな。あのときはホントにすまなかったね」

 

「い、いえ!」

 

「なになに〜?2人はどんな関係?」

 

「センセー!どういうことですカ!」

 

「……またOHANASHIが必要ですね」

 

「2人とも落ち着いてください。ついこの間身内がご迷惑をおかけしてしまっただけです。おっと、自己紹介がまだでしたね。自分はここで保健医兼カウンセラーをしている者です」

 

「”スペシャルウィーク“です!よろしくお願いします!」

 

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 

この前とは逆で今度はスペシャルウィークさんの方が腰を90度に曲げて礼をした

 

「あの〜」

 

「はい?」

 

「どうしてエルちゃんとグラスちゃんがここにいるんですか?」

 

「おや、お2人とは既にお知り合いで?」

 

「同じクラスデス!」

 

「そうでしたか。それでなぜお2人がここにいるってことでしたね。それは、自分にもよくわかりません…」

 

「へっ?」

 

「よくここに来るんですが、特に用があって来ているわけではなさそうなので」

 

「そうなんですか」

 

「ただ先生ともっと仲良くしたいからですよ」

 

「その通りデス!」

 

「相変わらず先生は人気者だね。会長には負けるけど」

 

「そこら辺は別に気にしてないですよ。トウカイテイオーさんはスペシャルウィークさんの学園の案内ですか?」

 

「うん!会長に頼まれたんだ!」

 

「そうですか。だからそれほど気合が入ってるんですね」

 

「うん!少しでも会長の役に立ちたいからね!」

 

「いい心がけですね」

 

「でも、そんな会長は今誰かさんに夢中みたいなんだけどね…」

 

「…」

 

トウカイテイオーさんが頭の後ろで手を組んでこちらをジト目で見て来たので黙って目を逸らした。なにせ心当たりがありまくるもので…横ではグラスワンダーさんとエルコンドルパサーさんもジト目でこちらを見ていた。この場で何もわかっていないスペシャルウィークさんだけが首を傾げている

 

「んっ!そんなことよりその会長から頼まれた案内はいいんですか?」

 

「あっ!そうだった!じゃあ先生、またね!」

 

「あっ!待ってください!」

 

廊下は走らない、と言う間も無く走り去ってしまったトウカイテイオーさんを追っていくスペシャルウィークさん。また元気な娘がやって来たな

 

「さて、お2人もそろそろ戻りましょう」

 

「あ、もうこんな時間でしたか」

 

「センセーといると楽しくて時間がすぎるのが早いデス…」

 

「それはよかったです。グラスワンダーさんはまた放課後に来てください」

 

「はい」

 

「エッ!なんでデスカ!?」

 

「知ってるでしょう?グラスワンダーさんがケガをしているのを。それの治療ですよ」

 

「グラスだけズルいデス!ワタシも放課後に来マス!」

 

「キチンと帰りましょうね」

 

それからすぐにチャイムが鳴り笑顔のグラスワンダーさんとそれを妬むようにして見つめるエルコンドルパサーさんが部屋を出て行った

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。