ウマ娘 プリティーダービー 〜レース前には欠かせない存在〜   作:てこの原理こそ最強

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第七R

 

 

「ライスー!!!!!!」

 

「お兄様...」

 

ライスの欠席は続いた。いろいろ聞き回っていると寮長であるヒシアマゾンが外泊届を受け取っていることがわかった。場所は今は使われていない旧校舎。早速行ってみた

 

「なんでここが...」

 

「心配したんだぞ!!!」

 

「ごめんなさい...でも、マックイーンさんに勝つには!」

 

「だからと言って限度がある!今のライスの状態は見るだけでわかる。寝不足!栄養不足!過度なトレーニングによるオーバーワーク!」

 

「...」

 

「今のライスの体はいつ壊れてもおかしくない状態だ!」

 

「でも、これでも足りないんです!」

 

「話は後でいくらでも聞いてやる!いいからそこに寝ろ!」

 

「はい...」

 

オレは半ば強制的に寝かせた

 

「先生」

 

「ブルボンか。君がいたのになぜって思うけど、とにかく話は後だ」

 

ブルボンがいたのは来た時から気づいていたが、兎にも角にもライスの調整を始める

 

「ストレッチ、柔軟を怠ってる。体が硬い。リンパの流れも悪い。それに特に足の筋肉疲労の蓄積がヤバい。最悪肉離れを起こしてたかもしれない」

 

「...っ!」

 

ライスは少し痛むのか声を出すのを我慢している

 

「先生。ライスを叱らないでほしい。彼女は...」

 

「わかってる。ライスなりに頑張ってたんだろ。それは別にいい。だが学園を無断で休みたくさんの娘に心配をかけ、あまつさえトレーニング後のケアを怠って怪我の一歩手前。これを怒らずに教師は名乗れない」

 

「先生...」

 

「ごめんなさいお兄様...でも、ライスは...絶対に天皇賞に勝ちたいんです!」

 

「...」

 

ライスをこのまま学園に連れて帰るか。それともこのままライスのしたいようにさせるのか

 

「...わかった。ライスのしたいようにしな。ただし条件がある」

 

「条件...」

 

「毎日オレが来る」

 

「お兄様...」

 

「今のライスは心配だ。天皇賞に勝つのはいいが、オレはそこで何かあってその後ダメになるってことは絶対にさせない」

 

その日はそれ以上ライスにトレーニングをさせず調整をし切った。元の状態までとはいかないが大分ほぐれて安静になるまでには戻った。安堵したのかライスは眠りについたので帰ることにする

 

「ブルボンも残るのか?」

 

「はい。ライスを見届けようと思います」

 

「わかった。学園の方にはオレが伝えよう。ライスに何かあったら連絡をくれ」

 

「了解しました」

 

「風邪ひかないように寝るときは暖かくするんだぞ」

 

「わかりました」

 

「頼む」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『前回のメジロマックイーンとトウカイテイオーの対決が記憶に新しい天皇賞・春、今回も注目は三連覇がかかるメジロマックイーン!立ちはだかるのはミホノブルボンの三冠を打ち破った菊花賞ウマ娘、ライスシャワー。めっきり力をつけているマチカネタンホイザなど強敵揃いです』

 

マックイーンの人気はダントツの一番人気。ライスには皮肉にも前回のブルボンとの菊花賞同じような観客の前でのレースとなってしまった

 

「あれ、ハヤヒデか?」

 

「先生」

 

観戦できそうなところを探していると、偶然ハヤヒデと遭遇した

 

「ハヤヒデも来てたんだな」

 

「あぁ。いつ挑戦する日が来るかわからない。観れる時に見ておこうと思ってな」

 

「そうか。タイシンとチケットとは仲良くやってるか?」

 

「もちろんだ。チームは違えど一緒にいる時間が長いのはあの2人だからな」

 

「それはよかった」

 

♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜

 

『おや、メジロマックイーンゲートに入りませんね』

 

『珍しいですね』

 

「マックイーンはどうしたんだろう?」

 

「いつも冷静なマックイーンが珍しいな。それに少し焦り?な感じの表情だ」

 

レース前に何が起こっているのかはもはや出走する娘達しかわからない。二度制覇しているマックイーンが冷静を欠く出来事が起こっているのか

 

『メジロマックイーンようやく入りました。パワーとスタミナが要求される京都レース場3200m。15人のウマ娘がゲートに入りました』

 

『さぁ!天皇賞・春、今スタートしました!』

 

『先行争いはやはりメジロパーマー。続いてメジロマックイーン。後ろにつく形』

 

「らしくないな、マックイーン」

 

「ハヤヒデは何かわかるのか?」

 

「いつもなら逃げる選手について行くなんてしないはずだ」

 

「確かに。前回はパーマーの逃げについて走ってはいなかった」

 

「作戦を変えてきた?いや、連覇をしているマックイーンにそれはないか」

 

『メジロマックイーンは現在4番手。その後ろから漆黒の髪を靡かせるライスシャワー』

 

「あれか」

 

「あれって、ライスか?」

 

「あぁ。推測ではあるがあえて背後に入らず自分の姿をマックイーンに見せているのだろう」

 

「それにはどんな意味があるんだ?」

 

「自分がマークしているぞという威圧。それにいつ来るかわからないため気にせざるを得ない」

 

「そうなのか」

 

「あの徹底したマーク。グラスにどこか似ている」

 

「グラス。確か宝塚記念でスペシャルウィークをマークしてたんだっけ」

 

「確かに似ていますね」

 

「うぉっ!グラス」

 

「こんにちは先生、ハヤヒデさん」

 

「急に現れるな」

 

「すみません」

 

「なぁグラス。なんでグラスとライスは似ているんだ?」

 

「それはわかりません。ですが、運命的な何かを感じます...」

 

グラスも何か感じるとこがあるならハヤヒデの推測も()を射ているのか。今回の()合、マックイーンの経験とライスの執念のどっちに軍配が上がるか

 

『先頭は変わらずメジロパーマー、リードは5馬身ほど。さぁ最後の第三コーナーの坂を登って天皇賞・春はスタミナ勝負。おっと!外からメジロマックイーンだ、スパートをかけた!しかしその外!ライスシャワーだ!』

 

「この展開もグラスの時と似てるな」

 

「覚えててくれて嬉しいです、先生」

 

『さぁ第四コーナーを回った。メジロパーマー、メジロマックイーン、ライスシャワーが並ぶ形。ここでメジロマックイーンだ!いや、外からライスシャワーだ!ライスシャワーが迫ってきた!』

 

「すごい気迫だ」

 

「そうなのか。確かにライスのあの表情、普段からは想像つかないな」

 

『横に並んだ!さぁマックイーンの三連覇は!?またも偉業を阻むのはこのウマ娘かライスシャワ\!』

 

「ライスもグラスも、走るときは人が変わるみたいだな」

 

「は、恥ずかしいです」

 

「恥ずかしがることはないぞグラス。懸命に勝利を掴もうと必死なのだから」

 

「ハヤヒデさん」

 

「そうだな。2人も、もちろんハヤヒデも走っている姿はカッコいいと思うよ」

 

「っ!ふっ...」

 

「先生...♪」

 

『ライスシャワー交わした!ライスシャワーだ!ライスシャワー完全に先頭!2馬身から3馬身!1着でゴールイン!』

 

「ライスが...しかもこのタイム」

 

「レコード...」

 

「すごい...」

 

しかしいつものレースのようにすぐに歓声が湧くことはなく、逆にため息などが出る始末

 

「これは...」

 

「確かに三連覇は逃しましたけど、流石に...」

 

 

 

 

 

 

「ライスシャワーすごかったぞぉぉぉぉ!!!!!マックイーンもナイスラァァァァン!!!!!」

 

 

 

 

 

 

これくらいあってもいいだろう。マックイーンには悪いと思うけど今回の勝者はライスなんだから

 

ライスはその声が誰からのものなのか理解したのか笑顔になり、一礼した後で退場した

 

「やっぱり先生は優しいですね」

 

「あぁ」

 

「ライスを贔屓してるわけじゃない。マックイーンの三連覇も見たかった。ただいいレースに賞賛を送った。それだけだよ」

 

「そうだな」

 

「さすがは私の先生です」

 

「...なぁハヤヒデ、グラス」

 

「どうかしたか?」

 

「どうしました?」

 

「どうしよう...今になって、すごい恥ずかしくなってきた...」

 

「ふふっ、先生顔真っ赤ですよ♪」

 

「まったく、締まらないな最後の最後に」

 

こんな羞恥、絶対忘れられない...

 

 

 

 

 

なんとか体を動かし帰路につこうとすると、涙を流しているサトノダイヤモンドとそれを慰めるキタサンブラックを見つけた

 

 

「2人ともマックイーンの応援に来てくれたのかい」

 

「先生...」

 

「先生...マックイーンさんが...」

 

「あぁ。今回は相手が強かった。マックイーンもいい走りをしていたが、今日は相手が一歩前を言っていたな」

 

オレは慰めるように2人の頭に手を乗せる

 

「いつか2人のどちらかが、もしかしたら2人ともかもしれないけど、天皇賞に出て今日みたいにレコードが出る日が来るかもしれない。オレはそんな日が来ることを楽しみにしてるよ」

 

「「うぅぅ...先生!」」

 

オレに抱きつく2人をあやす。背中にはハヤヒデとグラス、特にグラスの目線が痛かった

 

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