ウマ娘 プリティーダービー 〜レース前には欠かせない存在〜 作:てこの原理こそ最強
めちゃめちゃ時間が空いてしまいました。
申し訳ないとは思っています。しかし仕事が…
他にも多数の「ウマ娘小説」がありますが
ぜひ読んでいただければなと思います。
「調子はどうですか?トウカイテイオーさん」
「へへへー。最近ね、タイムがどんどん良くなるってトレーナーが言ってるんだ」
「そうですか。いい傾向です。ですが無茶はいけませんよ?」
「わかってるよ。先生は心配症だなー」
「当たり前です。2度も骨折してるんです、癖になってたら事ですので」
「大丈夫だって」
「こればかりはトウカイテイオーさんの大丈夫でも引けません。あなたのトレーナーから宝塚記念に出走すると聞いています」
「うん!やっとマックイーンと戦えるんだ!」
日本ダービーが終わってもうすぐ安田記念。そしてその後にはテイオーとマックイーンの再戦が期待されている宝塚記念が待っている
「トウカイテイオーさん。ちょっと歩いてもらえませんか?」
「ん?別にいいよー」
俺は少し違和感を感じたことがあったのでテイオーを立たせ室内をぐるぐる回らせた
「若干ですが前回骨折した方の足を庇いながら歩いてますね」
「そうかな?」
「無意識でしょう。だとしたらトレーニング中もそうなってる可能性がありますね。トレーナーさんから何かありませんでしたか?」
「いや何も言われてないけど...」
「そうですか。では明日のトレーニング中自分も同行します。トレーナーさんに報告しておいてもらえますか?」
「わかった!」
「では今日は終わりにしましょう。気をつけて帰ってください」
「はーい!ありがとう先生!」
テイオーはいつものハチミーの歌を口ずさみながら帰った
そして翌日
「うーん」
「あれ、先生だ!」
「先生!チョリーッス♪☆」
「こんにちは」
丘の上からテイオーの走りを観察していると"メジロパーマー"と"ダイタクヘリオス"の最近良く見るコンビがやってきた
メジロパーマーはメジロ家の御令嬢だがマックイーンのようにお嬢様という感じではなく社交的で親しみやすい。他人のちょっとした変化にも気づけるウマ娘
そしてダイタクヘリオスはおしゃべり大好きギャルウマ娘。とにかくなんでも楽しもうとする心を大切にしているらしい
「先生こんなとこでどうしたしー?☆」
「少し気になることがありましてね」
「それってテイオーのこと?」
「はい」
「そうなんだ。テイオー調子良さそうに見えるけど」
「ヤバいよねー!☆」
「私も宝塚記念出るのに...」
「メジロパーマーさんは去年制してるじゃないですか。そう自分を卑下するものじゃないですよ」
「そうかな...?」
「先生もこう言ってるし凹む必要ないっしょ♪今回も爆逃げでゴーっしょ!☆」
「そうだね。先生、私頑張るよ!」
「えぇ」
「先生バイピー♪☆」
相変わらずヘリオスの言うことは雰囲気で感じ取らないとな...
「よう」
「先生!」
2人と入れ替わるようにスピカのトレーナーとテイオーがやってきた
「どうだった?」
「やはり若干ですが庇って走ってますね。トウカイテイオーさん、少し足を触ってもいいですか?」
「いいよ?」
「では」
走った後のテイオーの足を触診する
「筋肉の付き具合、足首や膝の柔らかさが左右で違ってます。このまま走ると今度は庇ってる足に負担がかかりますよ」
「そうか。どうすっかなー」
「やはり癖になってるかもしれないです」
「トレーナー、レースは?」
「大丈夫だ、なんとかしてみせる」
「うん、よろしくね!」
しかしその日のトレーニングで、テイオーに3度目の骨折が襲った
テイオーの3度目の骨折はすぐに世間に広まり、本人の意思とは裏腹に世間はテイオーの引退を思惑していた
そんな中行われた宝塚記念。メジロライアン、メジロパーマーと続き今一番人気はメジロマックイーン。マックイーンはその期待を裏切ることなく堂々の1着でゴールした
本来であればこのレースにはテイオーも出走していたはず。誰もがまたテイオーとマックイーンの対決を待ち望んでいただろう。しかしそれは叶わなかった
「どうしたもんかな」
ネット上では宝塚記念のマックイーンの優勝を霞ませるほどのテイオーへの書き込み。しかしそのほとんどはマイナスなこと。世間は無責任だ。これを本人の目に留まらないとでも思っているのか
「せんせ」
「やぁスキー。偶然だな」
「偶然じゃないわ。私達は運命の糸で結ばれてるんですもの」
「学園内で運命って言われてもな。会う確率からしたら随分と優しい運命だな」
「もぅせんせ、ロマンがないわよ〜」
「あまり恋愛系の話には疎くてな。サスペンスで最後は必ず崖のシーンが出てくるもんか?」
「全然違うわよ〜。はぁ、せんせーはいつになったら私に靡いてくれるのかしら?」
「さぁな。来世のその次あたりじゃないか?」
「せんせー。いくら私でもそれはチョベリバよ」
「悪い悪い、言いすぎたな」
「もういいわよ。それはそうとどうしたの?」
「ん?単にネットをサーフィンしてるだけだよ」
「テイオーのこと?」
「...スキーにはお見通しなのか」
「当の然!せんせーとはいつアベックになってもおかしくならないように毎日観察してるもの」
「今日日アベックなんて言葉聞かないと思うが。それにさらっとストーカー発言してないか?」
「ふふん♪」と胸を張るスキーに対して自然と笑みが溢れてしまう
「ルドルフちゃんも心配してたわ。テイオーのこと」
「そりゃそうだろ。あれだけ慕ってたテイオーをルドルフが放っておくことはないな」
「だからテイオーがスピカを抜けたって聞いたときは、表情や行動には出さなかったけど動揺してたと思うわ」
「そうか」
そう。先日スピカのトレーナーから連絡があった。テイオーが脱退表を出してきたと。俺も最初はどうしてと思ったが、今の世間の風潮を見ると納得してしまう節があった
「テイオーはもう戻れないの?」
「一概に絶対戻れないってわけじゃない。でももう3度目の骨折だ。癖になってたらまた再発する可能性だってある。しかも二冠を達成したときのような走りをできるかどうかも怪しい」
「そう...」
「フジやタキオン、スズカみたいに重い怪我を負ってそこから復活できた娘だってたくさんいる。だからテイオーもきちんと療養して全快すれば復活もできるかもしれない。だがこの前まで目の前のレースに出ることを選んだテイオーはトレーニングを続けちまった」
「でも、せんせーは止めたんでしょ?」
「もちろん止めたさ。でも最終的には許可を出したようなもんだ」
「だけど一度せんせーの注意を断ってやった結果なわけじゃない。じゃあテイオーの自業自得とも言えるわね」
「それはひどいんじゃないのかスキー」
「まぁ言い方は最低ね。でもね。私がこの世で一番信じてるのはせんせーなの。そのせんせーの助言を無視してこうなったのなら自分が選んだ道じゃない」
「でもそれは力づくでも止めなかったのはオレだしな...」
「せんせーは優しいから自分を責めるのはよくわかるわ。でも私にとってはせんせーをそんな状況に追い込んだテイオーを許せないわね」
「おいスキー...」
いつものスキーなら絶対に見せない怒りを露わにした表情。しかしすぐにそれはすぐに消えいつもの雰囲気に戻った
「...なーんてね。冗談よ」
「流石に冗談がすぎるぞ...」
「今のはただの本音。みんなの前ではちゃーんと隠してるわ」
「でも思ってるのか」
「せんせーには申し訳ないけど許せないのは本音よ?でもこの感情に任せて生活すれば私がせんせーに見限られちゃうもの。それは絶対にやーよ」
「本当に君は。どうしてそこまで...」
「そんなの決まってるじゃない。せんせーのことが大好きだからよ。この世の何よりもね♪」
「...そっか。オレの好みの女性は部屋をきちんと片付けれる女性なんだがな。残念だ」
「そ、それはこれから頑張るわ...」
「あぁ、頑張ってくれよ?もう呼び出しをくらってタイキの分まで片付けるハメになるのはまっぴらだからな」
「あーん、いじわるなこと言わないで〜」
やっぱりだ。以前から思っていたが、スキーといるとなぜか居心地がいい
「さ、もう帰ろう。なんだか気分がよくなった気がするから寮まで送るよ」
「あら珍しい。ならお言葉に甘えようかしらね」
時間はとっくに夕方になっていた。日は傾き始め空は綺麗なオレンジ色になっていた
「あれって、テイオー?」
「ん?」
スキーを送ろうと校門に向かっているとテイオーとキタサンブラックが話していた
「あの!私テイオーさんみたいになりたくって...夢なんです!」
「ごめんね。それ諦めて...他の人を目標にした方がいいよ」
「っ!」
「お前が人の夢を否定するな、テイオー」
「っ!先生...」
「もし、お前が昔同じことをルドルフから言われたとしたらどんな気持ちになる」
「会長...」
テイオーは俯きオレが言ったことを想像したのだろう。血が出るほど唇を噛んでいた
「今想像したことをお前はやったんだ」
「...」
「見損なったぞテイオー」
テイオーは何も言わず寮に入っていった
「キタサンブラックさん、だよね...」
「先生...私、テイオーさんに...!」
「あぁ。代わりに謝らせてくれ。すまない」
「先生...」
「テイオーは今どん底にいるんだ。自分で発表してないのに世間からは引退の声が上がってるし、目標にしてきた無敗の三冠も取れず無敗のウマ娘にもなれなかった。そしてマックイーンというライバルとまた走るっていう新しい目標もダメだった」
「はい...」
「不運に不運が重なってテイオーのモチベーションが下がっちゃったんだ」
「じゃあ、テイオーさんはもう...」
「大丈夫」
「え...」
「大丈夫」
泣いているキタサンブラックをスキーは母のように抱きしめる
「あなたみたいにテイオーを信じる娘がいる限り必ず戻ってくるわ。だから今はただ、信じてあげて」
「はい...はい!」
「いい子ね。何か困ったことがあったらお姉さんのとこにいらっしゃい」
「はい!ありがとうございます!」
「元気があっていいわね♪」
「えへへ♪」
スキーのおかげで笑顔を取り戻したキタサンブラック。さすがみんなのお姉さん。慰めるのはお手のものか
「あら?せんせーは?」
「本当だ。いませんね。あっ!あれ!」
「え?...」
「先生!私が入学したら私のトレーナーになってくれませんか?」
「いや、オレは教師だから」
「教師をする傍ら私の専属トレーナーになって欲しいんです!」
いつの間にか現れたサトノダイヤモンドに捕まってしまった
「あらあら、こっちの娘は積極的なのね〜」
「何やってるのダイヤちゃん!」
「先生を勧誘してるの。あ、心配しなくても大丈夫だよキタちゃん!キタちゃんも一緒に見てもらお♪」
「ふふふ...せんせーを誘惑するなんて、10年早いわよ」
「誘惑じゃありません!勧誘です!」
バチバチと火花を散らすスキーとサトノダイヤモンド
『ねぇ先生』
『どうした?』
『間をとって私のトレーナーはダメ?』
バトってる2人を無視して今度はキタサンブラックが小声で提案してきた
「「こらそこ!勝手なことしない!」」
「バレちゃった!じゃあね先生!考えといてねー!」
「ちょっとキタちゃん!先生、またお誘いに来ますので!」
もうレースに出れるんじゃないかというスピードで駆け出したキタサンブラックをサトノダイヤモンドが追いかけていった
「むぅ、あんな小さい娘にまで...」
「あ、あはは...」