ウマ娘 プリティーダービー 〜レース前には欠かせない存在〜   作:てこの原理こそ最強

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第十一R

 

 

秋のファン大感謝祭にてテイオーによるステージがあることを知らされた。そこでテイオーはもう走らないことを伝えるらしい

 

「おいっす先生。今大丈夫?」

 

「えぇ。今日は特にメディカルチェックなどは入っていませんので大丈夫ですよ」

 

「じゃ、失礼しまーす」

 

夕方になってメディカルルームにやってきたのはナイスネイチャとマチカネタンホイザ。最近新しく発足したチーム「カノープス」に所属しているウマ娘だ

 

下町生まれで高望みをしないナイスネイチャ。しかし最近はチームメイトや周りで活躍しているウマ娘達に感化されて3位で満足しなくなったとか

 

そしてマチカネタンホイザは真面目で前向き、いつも全直なウマ娘。しかしイマイチ結果がついて来ないのが悲しい現実。そんな中でもめげずひたむきに頑張るウマ娘。天然なところもあり

 

「先生とこんな風に話すの初めてかも」

 

「マチカネタンホイザさんとはそうかもしれませんね。でもこれからレースに出ていくのなら嫌でも関わることになりますよ」

 

「嫌だなんてそんな!むしろありがたいです!」

 

「そうですか。一緒に頑張りましょう」

 

「はい!えい、えい、むん!」

 

「むん?」

 

「気にしなくていいよ先生。この娘なりの気合入れだから」

 

「それはまぁわかりますが」

 

「でね先生。今日来たのは先生にお願いがあってきたんだ」

 

「お願い?」

 

「明日、テイオーの最後のステージがあるの知ってるよね?」

 

「そりゃもちろん」

 

「そこに同じ日にやるオールカマー杯の中継を流したいんだ。その協力をお願いしにきたの」

 

オールカマー杯。確か同じチームのターボとイクノ、あとライスも出るって言ってたな

 

ネイチャ達と同じカノープスに所属するツインターボ。レースではいつも最初から爆逃げ。しかしほとんどのレースでスタミナが保たず残念な結果に終わっている。同世代に比べて幼い性格で素直なウマ娘

 

イクノディクタスもカノープス所属。真面目できっちりしている秘書タイプなウマ娘。常に冷静で体調管理などしっかりしている。そんな彼女がカノープスでやっていけるのはそれだけノリがいいということだ

 

「なぜ中継を?」

 

「ターボの走りをテイオーに見せるため」

 

「...それに何か意味はあるんですか?」

 

「ターボの頑張りをテイオーに見せつけるんだよ!」

 

「テイオーさんは今何もかもを諦めてしまっています。でも!ターボさんが一着を取って諦めないことがどういうことか伝えたいんです!」

 

「ツインターボさんが一位を取れる保証があるんですか?」

 

「そ、それは...」

 

「それにトウカイテイオーさんがもう走らないと決めたのなら、それはもう自分達周りがどうこうするべきではないのではありませんか?」

 

「「...」」

 

2人は黙ってしまい悔しそうにスカートを握りしめている

 

「しかし、本人がまだ走りたいと思っているなら別です」

 

「え...?」

 

「テイオーさんが?」

 

「えぇ。おそらく助けを求めているのだと思います、トウカイテイオーさんは」

 

「助け?」

 

「なぜトウカイテイオーさんはあんなに悲しそうな顔をしているのでしょう?」

 

「それは、もう走れないからで...」

 

「そうです。つまり悔いがあるんですよ」

 

「でももう走るのは無理だから決めたんじゃ...」

 

「誰がもう走れないと言いましたか?お医者様はこれ以上はやめた方がいいと言っただけです。自分ももう絶対に走ることはできない、とは一言も言っていません」

 

「えっと...」

 

「つまり...」

 

「トウカイテイオーさんが走らないと決めてしまったのは世間の声と自分の思い込みなんです」

 

「じゃあ!またテイオーは走れるってこと!?」

 

「いえ、今まで通りに走れると断定することはできません」

 

「...」

 

「しかし可能性はあります」

 

「「っ!」」

 

「無理をせず一日一日ゆっくりと時間をかけて完治に専念すればもしかしたら...」

 

さっきまで不安な目をしていた2人が力強く立ち上がった

 

「先生、ターボは勝ちます!絶対に!」

 

「相手にはミホノブルボンさんの無敗三冠、そしてメジロマックイーンさんの春天皇賞三連覇を阻んだライスシャワーさんがいます。それでも勝てますか?」

 

「絶対勝ちます!ターボさんはそれだけ努力してきたんです!」

 

「...わかりました。生徒会長、そして理事長に掛け合ってみましょう」

 

「「ありがとうございます!」」

 

テイオーは羨ましいね。待ってくれている人がまだこんなにいるんだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋のファン大感謝祭当日。テイオーのミニライブは壮大なセットが準備され、ステージにテイオーが来るのを今か今かと待つファンが大勢来ていた

 

「みんな、本当にありがとう」

 

「あぁ、チャチャっと締めてこい」

 

「こんなこと言えないけど...」

 

「後悔しないよう思いっきりね!」

 

「テ"イ"オ"ーさ"ぁ"ん"!」

 

「もう泣かないでってば」

 

みんな一言声をかける中何も伝えないマックイーンとは反対にずっと泣き止まないスペ

 

「それじゃあ行ってくるね。最高のさよならしてくるよ!」

 

スズカがいないがチームスピカでテイオーの背中を見送った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

\テイオー!!!/

 

観客からドッとテイオーの名が出る。普通ならば憧れの姿に歓喜の声が上がるのだが、今日のその全てが悲しみの声だった

 

『みんな来てくれてありがと。全然走れてなかったボクなんかのためにこんなにたくさんの人が来てくれてとっても嬉しいよ!』

 

\ウォー/

 

『みんなも知ってるようにまた骨折しちゃった。3回目だよ3回目。逆にすごくない?あはは...3回目にもなったらすっかり慣れっこ...のつもりだったんだけどね...』

 

会場はシーンと静まり返る

 

『だからさ...もう、レースには...』

 

『テイオーさん!私、待ってます!ずっと待ってます!また走ってくれる日を!!!』

 

『テイオー!エゴでもいい!わがままでもいい!もう一度走ってくれー!!!』

 

『トレーナー...』

 

『そうだテイオー!』

 

『もう一度見せてくれよテイオーステップ!』

 

『怪我なんかに負けないで!』

 

『まだ負けてない!』

 

『これは勝ちの途中!』

 

『その通りです!』

 

会場からはテイオーが走るのをやめて欲しくないという熱意が高まる。そして今度はバックにある特大のモニターが切り替わり、現在行われているオールカマー杯が映し出された

 

『さぁこの場内のどよめき。ツインターボの爆逃げ!何バ身離れているか現状ではわからないほど大きく大きく差を広げて逃げています!』

 

「こんなのプログラムにありません!」

 

「すみませんエアグルーヴさん。自分が理事長に許可をいただきました」

 

「先生...」

 

「急遽だったものですからプログラムの変更が間に合わず、その上しっかりお伝えもできず申し訳ない」

 

「そういうことでしたら...」

 

「ありがとうございます」

 

『ツインターボが逃げる!ツインターボが逃げる!大逃げだ!今日も全開、第3コーナーに入っても止まらない!同じペースで突き進む!ツインターボが先頭!しかしここで一番人気ライスシャワーが上がってくる、今は三番手から四番手の位置。漆黒のステイヤーははたして追いつくことができるのか!しかしツインターボ既に第4コーナーに差し掛かった!ツインターボが大きく逃げる!さぁ最後の直線。おっとここでライスシャワーが上がってきた!

ジリジリと追い上げる!しかしその差はまだ5バ身!先頭のツインターボ100mを切った!このまま逃げきるか!あるいは失速したところを漆黒のステイヤー差し切るか!』

 

『これが、諦めないってことだー!!!トウカイテイオー!!!』

 

『ゴールイン!見事に決めた、逃亡者ツインターボ!』

 

ライスは惜しくも届かずターボが一着で勝利。それを最後に元の画面に映り変わった

 

『テイオーさーん!』

 

ステージにチームスピカが乱入。先頭を切ったスペは大泣きだ

 

「あー、もうめちゃくちゃです」

 

「まったく」

 

「いや、これでいいんですよ。いい意味でぶち壊してくれた」

 

『まだまだ教わりたいことたくさんあります!戻ってきてください!』

 

『頼むよテイオー!やっぱり寂しいよ!』

 

『また一緒に走りましょ!』

 

『戻ってこい』

 

『もう一度言いますわ。あなたにどんなことがあろうと、あなたにどんな困難が立ち塞がっても、わたくしは走り続けます。最強のウマ娘になり続けるために』

 

『もう、追いつけないかもしれないよ...』

 

『奇跡は起きます。それを望んで奮起する元に。必ず、きっと』

 

\テイオー!/

 

\テイオー!/

 

\テイオー!/

 

\テイオー!/

 

\テイオー!/

 

\テイオー!/

 

\テイオー!/

 

\テイオー!/

 

\テイオー!/

 

\テイオー!/

 

『そこまで言われちゃしょうがないな...みんな見てて。もう一度走ってみせるから!』

 

こうしてテイオーは走ることを諦めることを諦め、もう一度走るために走り始めた

 

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