ウマ娘 プリティーダービー 〜レース前には欠かせない存在〜   作:てこの原理こそ最強

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第十二R

 

 

テイオーの足は順調に良くなり、もうターフの上で走れるようにはなった。しかしわかっていたが元の走りとは程遠い。そんなテイオーでも笑顔が戻った

 

「おや、ナリタブライアンさん」

 

「先生。こんなところでどうしたんだ?」

 

「少し忘れ物をしましてね。家まで取りに行くところなんです」

 

「たまに出るな、先生のちょっと忘れっぽいところ」

 

「返す言葉もありません。ところで...」

 

「ん?」

 

「あれはどういった状況でしょう?」

 

俺はトレーニング中と思われるブライアンと遭遇し、少し離れたところではブライアンと同じくジャージ姿のハヤヒデと何やら黒尽くめのテイオーが話していた

 

「姉貴とトレーニング中だったところにテイオーを見つけてな。よくわからないが姉貴が話しかけたんだ」

 

「そうでしたか」

 

「走り込みの途中だと言うのに」

 

「姉妹で仲がよろしいようで安心しました」

 

「よしてくれ先生。たまたまだ」

 

「そういうことにしておきましょうか」

 

「...なんだ先生。今日はやけにイジワルじゃないか」

 

「そんなことありませんよ。仲睦まじい姿を嬉しく思っているだけですよ」

 

「む...ところで今日はあれ持ってないのか?」

 

「残念、今は持っていません」

 

「そうか」

 

「あなたもトレーニング中なんですから」

 

「そうだった。姉貴」

 

「あぁわかった。おや、先生もいたのか」

 

「えぇ」

 

「ではなトウカイテイオー。突然失礼した。いずれレースでまみえることがあればお手柔らかに頼むよ」

 

「トウカイテイオーとも知り合いとは、さすが姉貴。顔が広いな」

 

「誰の頭がでっかいって!?」

 

「言ってません言ってません。トウカイテイオーさん、無理せず頑張ってください」

 

「え?あーうん」

 

ちなみに先日の件をテイオーに謝ってもいないし逆に謝られてもいない。オレとしては謝る必要を感じていないしテイオーに謝罪の言葉をかけて欲しいわけでもない。ただテイオー的にはまだ引っかかってるのかもしれない

 

「先生はこんなところでどうしたんだ?」

 

「あ、それはですね」

 

「大丈夫だ姉貴。全部私が聞いておいた」

 

「いやしかし、私が聞いてはダメということもないだろ?」

 

「先生に2度同じ説明をさせる必要もないだろ。後で教えてやる」

 

「なぜだか上から物を言われている気がするぞ」

 

「気のせいだ」

 

「えっと...」

 

「先生、一旦家に帰るのだろう?行かなくていいのか?」

 

「なに、行ってしまうのか先生...」

 

「そう、ですね」

 

「そうか...」

 

ウマ娘の感情がそのまま出てしまうハヤヒデの耳がシュンと下がってしまう

 

「そういえば先程リギルのトレーナーさんから依頼がありました。ビワハヤヒデさんの菊花賞に向けての調整を私が担当します」

 

「なに!それは本当か!?」

 

「えぇ。よろしくお願いします」

 

「そうか。そうかそうか!では私達はトレーニングに戻る。行くぞブライアン!」

 

「はぁやれやれ。先生」

 

「はい?」

 

「私のレースがある時は先生にお願いするようトレーナーに頼んでおくとしよう」

 

「そうですか。そのときはよろしくお願いしますね」

 

「あぁ」

 

ブライアンは勢いよく走り出したハヤヒデを追いかけた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...」

 

放課後になって依頼通りハヤヒデのケアを行おうとしたのだが、ハヤヒデはひどくご機嫌斜めのようで黙ったままリアクションを取らない。その理由はおそらく...

 

「ねぇ先生、私も早くー」

 

「チケットうるさい」

 

理由は...わからんなー

 

「もう少し待ってくださいね。ビワハヤヒデさん、痛いところや違和感があるところはありませんか?」

 

「ない」

 

「わかりました。触診した感じでも特に異常はありませんのでこれで終了です。はい、お待たせしましたウイニングチケットさん」

 

「やっとだよー」

 

「すみません。早く終わらせてあげたい気持ちはあるのですが、なにせレースに関わることですから慎重にならざるを得ないんです」

 

「チケット、先生を困らせるな」

 

「ごめんね先生。暇になっちゃうとつい」

 

「いえ、こちらこそ申し訳ない。では始めましょう」

 

「お願いしまーす!」

 

ハヤヒデのケア兼チェックを終え次はチケット。タイシンも含めて全員クラシック三冠の最後のトロフィーをかけて走るためきっちりとチェックしていく

 

「...」

 

「ん?ねぇチケット、いきなり静かじゃ...あっ」

 

「Zzz...」

 

始めてほんの数秒でチケットは眠りに就いてしまった

 

「まったく」

 

「いいですよ。疲労が溜まっていたのかもしれません」

 

「それはトレーニングでなのかはしゃいでなのかわからないけど」

 

「元気があり余ってるのでしょう」

 

「甘いね先生。ところでさ、ハヤヒデはなんでそんな不機嫌なの?」

 

既に終えたハヤヒデが無言で座っているためタイシンが質問した

 

「別に不機嫌ではない」

 

「いやどう見たって不機嫌じゃん。どうせ先生がケアしてくれるって知って2人きりになれるって思ってたんでしょ?」

 

「そ、そんなことあるわけないだろう」

 

「図星か。素直になればいいのに」

 

「タイシンに言われたくないぞ!」

 

「それは確かに」

 

「先生何か言った...?」

 

「おっと」

 

口が滑ってしまった。タイシンがめっちゃ睨んでくる

 

「はぁ...そりゃ私も思ったよ。放課後は先生と2人きりになれるって。でもよくよく考えたら私達3人とも菊花賞出るのに1人なわけないかって思っちゃったよ」

 

「それはそうだが...」

 

「逆にそういうのすぐ思いつくハヤヒデが見落としてた方に驚きだよ」

 

「...最近先生と2人になる機会なんてなくてだな。想像したら嬉しくなってなにも考えられなくなってしまったんだ」

 

「ありゃ、ハヤヒデが乙女してるよ」

 

「うるさい!笑いたければ笑えばいいだろ!」

 

「笑うわけないじゃん。私だって同じだし」

 

「タイシン...」

 

「まぁ私はたまに昼休みここにきて先生と2人っきりになってるけどね」

 

「なに!?」

 

「ね、先生」

 

「そうですね。突然来ては特に用事があるわけでもなくそこに座ってゲームをしてます。ゲームばかり止めなさいと言っているんですがね」

 

「いいじゃん別に。クラスにいたってすることないし」

 

「ウイニングチケットさんがよく大声で学園中を探していることがありますよ?」

 

「知ってる。ここに隠れてるし」

 

「はぁ」

 

「なにを呑気に話している!羨ましいぞタイシン!」

 

「ならハヤヒデも来ればいいじゃん。ここに入り浸ってるの私だけじゃないし」

 

「そうですね。特に多いのはグラスワンダーさんとエルコンドルパサーさんでしょうか。三日に一回は来て居座っていますよ」

 

「ぐっ...!」

 

「別に放課後以外は封鎖しているわけではないのでいつ来ていただいても大丈夫ですよ。本当は怪我したときや相談事があるときだけにして欲しいのですが」

 

「先生と話すだけで私達のメンタルケアになるって理事長に言われたからね」

 

「えぇ。たまに会議などで席を外すことがありますがほとんどの時間はいるので気軽に来てください」

 

「わかった」

 

「あ、毎日はよしてくださいね。そんな娘マルゼンスキーさんだけで間に合ってるので...」

 

「わかっている」

 

本当によく毎日くるよなスキーのやつ

 

「よし、ウイニングチケットさんも問題ありませんね。それでは最後にナリタタイシンさん終わらせてしまいましょうか」

 

「なんか私だけ扱い雑じゃない?」

 

「いえいえそんなことないですよ」

 

「そ。私ゲームしてるからチャチャっと終わらせちゃって」

 

「タイシン、先生が診てくれるのだからその間くらいゲームは止めたらどうだ」

 

「自分は構いませんよ」

 

「だってさ。相変わらず頭が硬いなハヤヒデは」

 

「私の頭は大きくない!」

 

「Zzz...」

 

今日もBNWは仲良しだ

 

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