ウマ娘 プリティーダービー 〜レース前には欠かせない存在〜 作:てこの原理こそ最強
秋がもうすぐ終わりに近づく季節になったが街はハロウィンで盛り上がっていた。商店街にはさまざまな装飾が施され、店員さんやら通行人はみな各々仮装をして楽しんでいる
そんな時にオレも休みをもらったのだが特にこれと言ってしようと思うこともなくふらふらと街を歩いていると大物と出くわした
「まさかふらっと街に出たら君と会うとは思わなかったよシービー」
「アタシもさ。まさか先生と会えるとは思わなかった」
三冠ウマ娘であるミスターシービーと偶然出会い、お互いに目的地もなかったため2人で街を歩くことになった
「先生は今日休みだったんだね」
「あぁ。もうすぐ菊花賞で出走する娘達のチェックしなきゃだから休みはいいって言ったんだが」
「理事長が却下したと」
「働きすぎだって怒られたよ。前にも同じことを言っただろとも言われたな」
「先生の働き者なところは尊敬に値するけど体を壊してしまったら元も子もないよ」
「そうだな。今日休みをもらった上に昨日早めにあがらせてもらったからぐっすり寝たよ」
「言ってくれれば添い寝してあげるのに」
「そんなことお願いするわけないだろ」
普段他のウマ娘と絡んだところを滅多に見たことがないシービー。どこでなにをしているのかは学園の七不思議の一つでもある
「シービーのその格好は仮装なのか?」
「特に意識してない。まぁちょっとハロウィン寄りのコーデにはなってしまったけど」
「そっか」
「変かな?」
「いや似合ってるよ。シービーのイメージが白と緑だから今身に付けてるオレンジっぽい色がちょっと意外だっただけだ」
「そっか。先生は仮装とかしないの?」
「そういうのよくわからなくてな。色具合とか考えるのが面倒で出かけるときはモノトーンばっかだよ」
「確かに。今日も白黒だね」
「どの色にどの色が合うとかわからん」
「なんなら私がコーデしようか?」
「いいよ悪いし」
「でも、前にマルゼンスキーにしてもらったんでしょ?」
「あれはオレも知らなかったんだ。事故だ事故」
「ふぅん。まぁそういうことにしておこうっか。なら今度ワタシの買い物に付き合ってよね」
「なんでオレなんだ」
「先生がいいんだよ」
「次いつ休みを取れるかによるな」
「ワタシが理事長に掛け合っとくよ」
「ややこしいことはしなくていい。まぁそのうちな」
「それ、やんわり断るときに使う言葉だからね」
「大丈夫大丈夫」
「「先生!」」
シービー商店街の中を歩いていると可愛く仮装したキタサンブラックとサトノダイヤモンドが現れた
「やぁ2人とも。その仮装似合ってるね」
「ありがとうございます♪」
「えへへ、ダイヤちゃんに借りちゃいました♪」
2人とも色違いの魔女の格好をしていてよく似合っている
「先生!お菓子をくれないと〜」
「イタズラしちゃいますよ?」
「イタズラかー。それは止めて欲しいから...」
オレは周りを見渡し一番近くにあった出店に向かった
「すいません、にんじんわたあめ3つください」
「はいよ!」
店主の人に注文をして受け取ったわたあめを持って戻り、3人に1つずつ渡した
「これで勘弁して欲しいかな」
「わぁー!」
「ありがとうございます!」
「どういたしまして。ほら、シービーも」
「いいの?」
「これで君にだけ渡さなかったら嫌なやつだろ。気にしないでいいから」
「わかった。ありがとう先生」
「あぁ」
「あのー...」
「「ん?」」
「もしかしなくとも、ミスターシービーさんですか...?」
サトノダイヤモンドが恐る恐る聞いてみるとシービーは笑顔で返答する
「そうだよ。よろしくね」
「本物だ!私サトノダイヤモンドって言います!」
「キタサンブラックです!三冠ウマ娘のミスターシービーさんに会えるなんて!」
「シービーでいいよ。そっか、ルドルフやブライアンみたいに華々しい三冠ではなかったのに、知ってくれている娘がいるってわかって嬉しいよ」
「レースにとってなにが華々しくてなにがそうじゃないのかオレにはわからないが、三冠を取ってるってだけで栄光ある称号だ。それを手にしたシービーの名が忘れ去られることはないだろ」
「先生...」
ルドルフは無敗の三冠、ブライアンは皐月では3バ身でダービーでは5バ身、菊花では7バ身と進むにつれて差を広げての勝利と2人とも注目されるには十分な結果で勝利している
しかしだからと言ってシービーが霞んでいるわけではない。クラシック三冠は取るだけで名誉なことだ。特に三冠が懸かった菊花賞では、当時仕掛けるのはタブーと言われていた京都レース場第3コーナーの上り下りを最後方からスパートをかけ、3バ身差で完勝したレースは大きな話題になっていた。それなのに以前から他人と比較して自分に自信を持てなかったシービーをずっと見てきた
「あの...失礼かもしれないんですけど」
「なーに?」
「ミスターシービーさんと先生って、お付き合いされてるんですか?」
「なっ!」
普段落ち着いていて焦るところを見せないシービー。そんなシービーが見るからに動揺しサトノダイヤモンドを前後にブンブン揺らす
「なななななななにを言ってるんだい君は!わわわわわワタシが先生と!」
「落ち着けシービー。えっとサトノダイヤモンドさん、オレ達はたまたま会っただけでそういう関係ではないよ」
「...」
「なんだ?別に間違っちゃいないだろ?」
「別にーなんでもない!」
「なんで怒るんだよ」
まぁシービーの気持ちに気づいていないわけではないが、話がややこしくなって変な噂でも立ったらお互い大変だからな。すまんなシービー
「そうなんですか」
「そういえば今日テイオーが商店街に行くとか聞いた気がするな」
「本当ですか!?」
「今日かどうかわからないけどね。もしかしたらばったり会えるかも」
「ありがとうございます先生!行こっダイヤちゃん!」
「え、でも私もっと先生と...」
「いいから!またね先生!」
「転ぶなよー」
テイオーが来るかもしれないということを聞いて大のファンであるキタサンブラックがサトノダイヤモンドの手を引っ張り走って行ってしまった
「あの子はテイオーのファンなのかな?」
「あぁ。もう1人がマックイーンのファンだ。2人とも学園に見学に来た時テイオーとマックイーンに案内されて嬉しそうだったぞ」
「そっか。ねぇ先生。今から先生の部屋に行ってもいい?」
「おい自由だな。ダメに決まってるだろ」
「なんでさ。他の娘は行ったことあるって聞いたけど」
「誰に?」
「タキオン」
「あのホラ吹きめ...確かに家の前で待ち伏せされたことは何度かあるが、部屋にあげたことはない」
「じゃあワタシが1人目だね」
「ダメだ」
「いやだ」
「ダメだ」
「行く」
「ダメだ」
「やだ」
「頑固者が。自由なのか頑固なのかどっちかにしろ」
「ワタシはワタシのしたいようにする。だから行きたい」
「好きなもの買ってやるから」
「...やだ」
「一瞬考えたな」
「そ、そんなことない」
「ダメったらダメだ!」
オレは走り出す
「行くったら行く!」
シービーも走り出す。ウマ娘に走りで勝てるわけもなくあっけなく捕まり何十分も駄々をこねられた