ウマ娘 プリティーダービー 〜レース前には欠かせない存在〜 作:てこの原理こそ最強
テイオーが有馬記念に出走することが決まった
ファン投票1位はハヤヒデ。出走したレース全てで結果が一着か二着の連対率100%に先日のレコード更新で圧勝した菊花賞を見たら当然の結果と言えよう。それに引き換えテイオーは賛否両論あった。また走るところが見たかったという人もいれば、一年という長期休暇明けのGⅠ復帰戦で勝った例がない、テイオー以外にGⅠ制覇経験者が7人も出走、去年の有馬記念惨敗という多くの悪条件から厳しいのではないかという人も多くいた
そんな有馬記念を戦うメンバーとは別の気持ちを抱えた娘もいた
「先生。私は有馬には出ない」
「そうですか」
「皐月賞は獲れたけど、その後のダービーは三着、菊花では十七着だよ?出れるわけないよ」
「...」
「最近調子も上がらないし。今回は見送ることにしてチケットとハヤヒデを応援することに決めた」
BNWの中で唯一今年の有馬に参加しないタイシンは悔しさを胸にライバルであり友である2人の勝利を願っている
「でも、次は絶対私が勝つ」
「えぇ」
「先生、手伝ってくれる?」
「自分はいつだって前を向く娘の味方です。贔屓はできませんが何かありましたら来てください」
「わかった。毎日くる」
「それは止めましょう」
以前のようなネガティブ思考なタイシンとは違い今は次の目標に向かって走り出している
「そうだ先生。今日お昼一緒に食べない?」
「すみません、本日は先約がありまして」
「そうなんだ。珍しいね」
「えぇ。相談事も兼ねてるそうで」
「そーなんだ。じゃあまた今度ね」
「わかりました」
「先生、来てもらってすまない」
「約束でしたので。ところで、人数増えてませんか?」
お昼の先約とはルドルフとだった。しかしそこには他にグラス、マヤノ、オペラオー、ブライアン、カフェ、オグリが座っていた
「ルドルフ会長が
「マヤはねグラスちゃんに教えてもらったの!」
「ボクはマヤノから聞いてね。せっかくだから先生に高貴なボクと食事させてあげようと思ったのさ」
「私は別に...ただマヤノに捕まって連れてこられて」
「私もマヤノさんに連れてこられました。でもまさか先生とご一緒できるとは思いませんでした」
「先生の奢りと聞いて!」
「今回はシンボリルドルフさんの相談も兼ねてだったのですが、よろしいんですか?」
「まぁいいさ。このメンバーなら聞かれても問題ない」
「そういうことでしたら。みなさん、ここは私が持つので好きなものを頼んできてください」
「本当!?わーい♪」
「さすが先生です♪」
「その言葉を待っていた!」
「オグリキャップさんは少し加減をお願いしますね」
「そ、そんな...」
生徒会長としても来てくれた娘に対して帰れとも入れるはずもなく、集まった全員でお昼ご飯となった
「ブライアン、君のお姉さん見事な活躍じゃないか。同じリギルのメンバーとしてボクよりは劣るもののなかなか目立っているよ」
「同じチームメンバーとはいえ、姉貴は姉貴、私は私だ。関係ない」
「寂しいことを言うじゃないか。ボクもいつか一緒にレースに出てみたい。世紀末覇王の血が騒ぐよ!」
「私は今目の前にいる敵を倒す。それだけだ」
ブライアンはじっとマヤノを見つめる
「どうしたの?今日もマヤカワイイ?♪」
「ふんっ」
「ありゃりゃ〜。ねぇ先生、マヤカワイイ?」
「えぇ。元気があっていいと思いますよ」
「だよねだよね♪」
ブライアンは何かとマヤノをライバル視している。当のマヤノは特に気にしていないのが可哀想なところだ
「先生、一口いかがですか?」
「私のもよかったら...」
「...カフェさん、先に私が先生に食べさせていただきますので」
「先生は今グラスさんのコッテリしたものより私のさっぱりしたものをご所望のはず...」
横ではグラスとカフェの2人がどっちが先にオレに食べさせようかバトルしている
「自分は大丈夫ですので2人とも召し上がってください」
「そんな...」
「...」
「ならば先生のを私がもらおう」
「なにが"ならば"なんですか。自分の分があるでしょう」
「もう食べ終わってしまった」
「はやっ!はぁ...もう一回注文してきていいですよ」
「さすが先生だ!」
みんな食べ初めてまだ数分と経っていないのにてんこ盛りだった量を食べ切ってしまったオグリに仕方なくおかわりをさせる
「先生、そろそろ本題に入っていいだろうか」
「あぁすみません。それで、ご相談とは?」
「おそらく勘づいていると思うが、テイオーのことだ」
「そうだろうと思いました。心配ですか?」
「当然だ。何度かトレーニングしている姿を見たのだが」
「以前のような走りができていない、と」
「そうだ」
やはりルドルフの相談事はテイオーに関することだった。昔のような走りができるようになるのか、また骨折をしないか、精神的には大丈夫なのか、いろんな心配事がルドルフの中にはあるのだろう
「今のところ怪我の兆候はありません。また、走りについては十分なリハビリを行ってからのトレーニングでないため仕方ありません」
「そうか」
「しかし彼女は懸命に頑張っています。焦りたい気持ちをグッと堪えて日々できることをしています。それに何よりチームのサポートが彼女の背中を後押ししてくれてるみたいですよ」
「スペちゃん達がですか?」
「えぇ。スピカ一同、トウカイテイオーさんの力になりたいんだそうです」
「一蓮托生、テイオーは素晴らしい仲間を持ったな」
「そのようです。しかしそういうことならリギルだってそうでしょう。特にグラスワンダーさん、あなたは身を持って感じたはずです」
「はい」
グラスが怪我をした後、献身的に復帰に付き合ってくれたスキーや他のチームメイト。それがどんなに心の支えになったかはグラスはよくわかっている
「つまり、現時点ではありますがシンボリルドルフさんが危惧しているような状況にはないと言えます。特に精神面は大丈夫でしょう。怪我などは経過観察が必要となりますが」
「承知した。先生、テイオーをよろしく頼む」
「もちろん、大事な生徒の1人ですから」
「先生やっさしー!そういうところマヤ大好きだよ♪」
「私もお慕いしています」
「ふっ、さすがボクが見込んだ先生だ!輝きを取り戻したテイオーに勝ってこそ、真の覇王さ!」
「かっこいいです、先生♡」
全員テイオーのことは心配であったようだ。レースでは競い合うライバルではあるが同時に同じ学園に通う仲間。接点がなくとも心配になって当然か
「轍鮒之急、私もうかうかしていられないな」
「相手が強いほど燃える」
「話は終わったのか?ならもう一回」
「ダメです」
「そ、そんな!先生!」
「そのもう一回は何回続くかわかりません」
「あと一回だけだ!」
「時には我慢も必要です」
「くっ...!」
オグリはいつも通りマイペースだ。いつの間にか帰ってきていつの間にかおかわりを完食している