ウマ娘 プリティーダービー 〜レース前には欠かせない存在〜   作:てこの原理こそ最強

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第8R

「チームスピカ」の新星スペシャルウィークさん vs「チームリギル」の短距離日本最強ウマ娘タイキシャトルさんの模擬レースの情報はあっという間に知れ渡り、レース会場には沢山の生徒が集まっていた。オレは観客席には行かずゴール付近の芝に座った

 

スタートのライン役にはエアグルーヴさん、ゴールライン役にはヒシアマゾンさんが抜擢されたらしい。ちょっとおもしろい

 

そしてレースはスタートしタイキシャトルさんが先行する形となった。スペシャルウィークさんはタイキシャトルさんの真後ろにピッタリとついている。スリップストリーム。前を走るウマ娘にピッタリつくことによって風の抵抗をなくすことができる。スペシャルウィークさんはこれを知っていたのか、それともたまたまか…

 

しかし坂に入ったことで2人の間に距離ができ後ろのスペシャルウィークさんも風の抵抗を受けるようになった。最初から受けていたのと途中でいきなり受けるのとでは全然違うはず。どうなるか

 

しかし坂の途中からスペシャルウィークさんの走るリズムが変わった。いや、タイキシャトルさんを真似たと言えるかもしれない。ピッチ走法。小さい歩幅で脚の回転を速くする走法のこと。坂を登るときはこっちの方がいいというのを聞いたことがある。スペシャルウィークは走ってる最中にこれに気がついてぶっつけ本番でやってきたのか。すごいな

 

もうすぐゴール2人ともラストスパートをかけていきなんとスペシャルウィークさんがタイキシャトルさんにどんどんと近づいていきタイキシャトルさんと並んだ。そこでなぜかオレとタイキシャトルさんの目が合う。すると一瞬タイキシャトルさんの顔がパーッと笑顔になって勢いよく地面を蹴りより加速した

 

そして最後はスペシャルウィークさんと1バ身ほど離してタイキシャトルさんの勝ちとなった

 

「センセー!見ててくれましたカ!」

 

「えぇ、見せてもらいました。さすがですね」

 

「当然デス!短距離なら負けませんカラ!でも、少し危なかったデス…」

 

タイキシャトルさんはゴールした勢いで引き返してこちらにその勢いのまま走って来た。そしてオレの前で止まり走って来た方を振り返りスペシャルウィークさんを見つめた

 

「あの娘、走ってる最中に笑ってました」

 

「ほほぉ、それはそれは」

 

「あの娘はこれからもどんどん速くなるはずデス。ワタシも負けてられまセン!」

 

「そうですね。とりあえずゴールした後は自分のところではなく、リギルのトレーナーさんのところに行きましょうね」

 

「ゴール前にセンセーが目に入って早くセンセーのところに来たかったんデス!」

 

「それは嬉しいです。でも自分は君のトレーナーではない」

 

「ワタシはセンセーがトレーナーでもノープロブレムデス!」

 

「こーら、滅多なことは言うもんじゃありません」

 

「ハーイ…」

 

「さ、自分の仕事に戻りますので君も戻りなさい」

 

「わかりマシタ!じゃあセンセー、またデス!」

 

「えぇ」

 

こっちに手を振りながら走っていくタイキシャトルさん。前を向かないと危ないぞ…その横ではゴール役をサボっていたヒシアマゾンさんがエアグルーヴさんに追いかけられてるのが見える。今日も学園は平和らしい

 

 

 

 

 

 

 

 

今日の放課後はエルの調整だ。明日はNHKマイルカップ。ここまで4戦4勝、無敗を続けているエルが負けなしのG1制覇なるかの大事なレース。これは最後の調整するこっちの身も引き締まるというものだ

 

「体調はどうだ?」

 

「絶好調デス!これもセンセーのおかげデス!」

 

「そいつはよかった。君は強い。だけど慢心してはダメだぞ?」

 

「わかってマス!慢心せず次もセンセーに勝利をプレゼントしますネ!」

 

「それはリギルのトレーナーさんにプレゼントしな」

 

「もちろんトレーナーにもプレゼントします。でもワタシが1番見てほしい人にプレゼントしたいんデス!それがセンセーなんデス!」

 

「そっか。頑張ってこいよ、エル」

 

「ハイ!」

 

エルをベッドにうつ伏せに寝かせて足のマッサージをしながら会話しているため表情を見ることはできないが気合の入っている顔をしているだろう

 

「センセー」

 

「ん?どうした?」

 

「今度のレースで勝ったら、ワタシはG1を制覇できマス」

 

「そうだな」

 

「明日のレースで勝ったら、お願いを1つ聞いてほしいデス」

 

「…」

 

オレは迷った。職業柄贔屓はできない。でも同じく職業柄メンタルケアもしなければいけない。おそらくこれを断ればエルはひどく悲しむだろう。それが明日に影響したらことだ。しかし…う〜ん…

 

「…わかった」

 

「本当ですカ!?」

 

「ただし、条件があるんだ」

 

「条件…?」

 

「あぁ。“トレーナーになってほしい”、“リギルに入ってほしい”。この2つだけは絶対にダメだ。その他ならできるだけ聞いてやる」

 

「わかりマシタ!これは明日のレース、絶対に負けられまセン!」

 

エルの反応を見る限りこの2つではないみたいだな。なら大丈夫、かな…

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてNHKマイルカップ。沢山の人が注目している中オレもメディカルルームのテレビで観戦していた。そんな中でエルコンドルパサーさんは2位と1バ身ほどの差をつけて優勝した

 

優勝を手にしたエルコンドルパサーさんとそのトレーナーさんがインタビューを受けている場面が映った

 

『素晴らしい走りでした』

 

『ありがとうございます』

 

『エルコンドルパサーさん、次のレースはずばり?』

 

『世界を狙うためにも、次は日本ダービーです』

 

やっぱり世界を狙うか。まぁそうだろうな。しかしエルコンドルパサーさんも日本ダービーか。皐月賞を取ったセイウンスカイさんとスペシャルウィークさんとの同世代初対決。どうなるか

 

『エルコンドルパサーさん、一言』

 

『ワタシはダービーでも勝ちマス!スペちゃん!ガチンコ勝負デス!待っててくださいネー!』

 

インタビューアーさんからマイクを奪い取ってその闘志を顕にしているエルコンドルパサーさん。やる気がみなぎってるな

 

『それとセンセー!ワタシ勝ちましたヨー!約束通り、ご褒美としてデートしてください!』

 

...は?

 

『エルコンドルパサー、先生とは?デートとは?』

 

『センセーはセンセーでデートはデートデス!』

 

...へっ?マジ...?

 

未だ頭の整理が追いついていないところに廊下からドタドタと複数の足音がこちらに向かって来ているのが聞こえた。そしてドアが勢いよく開いた

 

『先生(センセー)!これは一体どういうこと(ですか)(ですカ)!!!』

 

勘弁してくれ...

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