あれから一ヶ月が経過した。手に入れた魔導書は時空管理局が保管する事となった。ラバンと別れた後、すぐにイギリスへ帰還した。そして、それぞれの道へと帰っていった。
読子は相変わらずここ神保町の自分の部屋で本を読み続けている。そんな彼女にジョーカーから電話が入った。
『読子、おはようございます』
「おはようございます。今いいところなので、あとでもいいですか?」
『ダメですよ、読子。大至急、イギリスへ帰還して下さい。緊急事態です』
「えーっ、あとちょっとなんですよぉ~」
『あなたのあとちょっと、は大抵三時間以上かかるので、今回は強制的に執行させて頂きます。ドレイク君』
その言葉の後で、ガチャとドアが開く。そんな音に反応しても、顔は本を向いたままだ。
「おい、読子。早く行くぞ、支度しろ! …って、お前なんだって下着のままなんだよ」
頭を抱えるドレイクをよそに、読子はブラジャーにパンツのみという姿で本を
読み耽っていた。
「えー、だって、減るもんじゃないんですし、いいじゃないですか。それよりも…あっち向いてて下さい」
「ったく…三分待つからな、それ以降は強制的に麻酔薬でもなんでもぶち込むぞ!」
「はーい」
本を持ったまま、相変わらずのペースで着替えをする読子だった。
◆◆◆
「ココに来て登場! ドクタァァァァァァウェェェェェエストォ!!」
ギターをかき鳴らし、大十字九郎探偵事務所に殴り込みをかけたこの男は、その名の通り、ドクターウェスト。今回、出番が無いからか、既に事務所に帰ってきた晩にも襲撃をしてきた、誠めんどくさいキャラである。その時もすぐにボコボコにして退散してもらっていた。
「げっほげっほ。おい、うっさいぞ、このマッドサイエンティスト」
「そうじゃ、少しはゆっくり寝かせろ!」
「フン、この程度、騒音でもなんでもないのであーるっ!」
パンツ一丁で頭が焦げ、普通の髪型からパンチパーマへと変貌した九郎と、
ネグリジェ姿のアルに、吼えられても、ギターをかき鳴らすのをやめないウェストだった。
「ダーリンずるいロボ! こんな古本娘よりもよりグラマラスな、このエルザにも快楽を教えて欲しいロボー!!」
ウェストが造った人造人間であるエルザも、もじもじと恥ずかしがりながらウェストとを押しのけるように乗り込んできた。
「あーもーめんどくせぇな! アル、行くぞ!」
「なんじゃ! せっかくいい感じじゃったのに、この怒りを彼奴らにぶち込めば良いののじゃな?」
「ああ!」
九郎とアルは両目に炎を燃やし、いつもの口上を口ずさんだ。
「「憎悪の空より来たりて…」」
「「正しき怒りを胸に…」」
「「我らは魔を断つ剣を執る!」」
「「汝、 無垢なる刃! デモンベイン!!」」
◆◆◆
ヴィータとはやては、二人で家までの帰り道を歩いていた。
「はー。もうあそこには行きたくねぇな…、魚介類とマズいメシは勘弁だ」
「せやな、私もまたああいう経験するのは御免や」
二人ともうんざりしている。
「そういやさ、はやて。アイツら、今頃何してるんだろうな?」
「さぁ、私を助けてくれたみたいに、困っている誰かを助けたりだとかしとるかもね」
短い間ではあったが、おかしなメンツでパーティーを組んでいたものだと、改めて思う。でも、また会ってみたいそんな事も思えた。
「読子せんせーとはまた会えたんだろ?」
「それがな…」
はやての声のトーンが下がる。
「実は、他の学校に行ってしまってん。私に正体がバレたからなんかな…わからんが」
「し、しっかりしろよ、はやて! あたしや、シグナム達だっているだろ?」
ヴィータは寂しそうな顔をする、はやてを慰めるように声をかけた。
「そうやね、じゃ、今日はヴィータの好きなハンバーグ作ろか?」
「マジで!?」
「マジも大マジや」
満面の笑みを浮かべるヴィータの手を取り、はやては手を繋いで歩き出した。