Trinitat   作:文月りんと

6 / 11
イギリス ヘイ・オン・ワイ


5.合流

「ん…んぅ」

「あ。目が覚めましたね」

 聞き慣れない声がしてゆっくりと目を開ける。

「あれ? あんた…たしか」

「はい、読子。読子・リードマンですよ。ちょっと待ってて下さいね」

「シャマルさん、ヴィータちゃん、起きましたよぉ~」

「はーい!」

 今度は聞き慣れた声がしてきた。

「シャマル…。ここって…」

 確か自分ははやてと一緒に本屋にいたはずだ。なのに、今いるのはチェックインしたホテルの一室だった。

「よかった。ヴィータちゃんが無事で」

 シグナムとザフィーラも駆け寄ってくる。

「大丈夫か」

 ザフィーラが優しく声をかける。

「…あぁ、大丈夫、だってててっ」

「あまり無理をするな。人間ならばおそらく致死量に匹敵する電撃を浴びたのだぞ」

「そ、そうか…。…そうだ、はやてっ!!!」

 ヴィータははやてが部屋の中にいないことを思い出すと、急いで起き上がる。

「やめろ。主はやては何者かに連れ去られた」

 ザフィーラがヴィータの肩をつかむ。

「おい、なんだよそれ!!」

「………」

 シャマルもシグナムも落胆していた。

「どうして落ち着いてられるんだよ!! すぐにでも助け出そうぜ! なぁ、あたしら守護騎士じゃなかったのか!!」

「落ち着いて、ヴィータちゃん!!」

 シャマルが一喝する。

「そうそう、落ち着かんとこれからの話できんじゃろ?」

 

 モグモグと何かをほおばりながら、アルが部屋の隅から現れた。

「おい、アル! 勝手にホテルの冷蔵庫から、メシ引っ張り出すなよ!」

 よく見ると昼間本屋の前で痴話ゲンカしていた兄妹だった。

「おまえら…」

「おっ、起きたみたいだな。自己紹介しとこう、オレは大十字九郎。こいつは嫁のアル」

「よめぇ?……」

 アルと九郎の顔を見比べる。

「どうみても、兄妹とかが限度だと思うぞ…」

 珍しくヴィータが冷静にツッコむ。

「ほれ、ちゃんとした挨拶をせんから、誤解を招くのだ。ワシはアル・アジフ、またの名を【ネクロノミコン】という。こう見えても、汝よりは年上じゃから、敬えよ、小娘」

「【ネクロノミコン】って、超有名な魔導書じゃねぇか!」

 ヴィータは開いた口が塞がらない。

「でも、あたしを小娘って呼ぶのに、背丈じゃ同じくらいだろ? …一体、何歳なんだよ」

「デリカシーのないやつじゃのぅ。女に年齢は聞くもんじゃなかろうて。カッカッカ」

「・・・で、そのお二人がどうしてここに?」

 ヴィータは溜息を混じらせながら、会話を続けていく。

「実は同じ本を探しててな、そこに出くわしたのがあんた方だったってワケだ」

「なるほど」

 事情を伺い、ある程度飲み込め始めたヴィータだった。

「なぁ、シャマル。はやてと交信はできないのか?」

「残念だけど、ヴィータが気絶してる間も何度もやってみたけれど、変な壁みたいなものがあるのか、連絡が取れないのよ」

 シャマルは苦虫をつぶしたような顔を浮かべた。

「そうか…。そういや、さっき読子せんせーがいたけど、なんであの人が?」

「案ずるな、赤いの。それについても説明をしてくれる輩が来る頃じゃ」

 アルは腕を組みヴィータに伝えると、すぐ近くの部屋の壁から手が生えてきた。

「は? …手ェェェェェェ!!?」

 後ずさるヴィータを余所に、花が咲くように女性が現れた。女性はピッチリとしたラバースーツを身にまとった妖艶な姿をしている。

「…ふぅ。こういうのも慣れないわね」

「今度は誰だ!?」

 驚くヴィータを余所に、女性はしゃべり出した。

「あら、可愛い子ね。私はナンシー。ナンシー・幕張よ。大英図書館でエージェントをしてるわ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。