兵士よ、安らかに Die Ruckkehr des Soldaten   作:文月りんと

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???/1982年 秋 ソビエト連邦 カリーニングラード バルチースク



プロローグ/01

あれから、どれぐらい時間が経過したのだろう?

 

あれから、どれぐらいこの場所で眠っていたのだろう?

 

永遠ともいえるそんな時間を微睡みながら、私は一体、何をしているのだろう?

 

………わからない。考えても何も思い浮かばない。

 

この目を開けられれば、きっとどうなっているかを把握できるのに。

 

だが、今となっては、そんな力すら

残っちゃあいない。

 

時間だけが、ただ過ぎていく。

 

この暗闇を照らす光を持った、

誰かが来ることを僅かでも願って…。

 

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「ほっ!」

 

勢いよく蹴った排気口が、吹き飛んでいく。

 

「よっと!! ふぅ…」

 

うまく着地ができ、少女は安堵する。

背負っていたリュックに不備が無いことを確認し、辺りを見渡した。

少女が今いるのは、ソビエト連邦の

バルチースクにある軍事基地跡。

 

「入れそうな穴があったから、入っては見たものの、こうカビ臭くちゃ長居もできないかな」

 

昔から施設跡で宝物を探すことが彼女の趣味だった。

 

「んーなんかよさそうな物、あるかなぁ?」

 

少女は再び辺りを見渡すと、扉のすき間から緑色の光が漏れているのに気がついた。

 

「なんだろ? …調べてみますか」

 

そして、少女は扉の奥で、緑色にきらめく不自然な巨大なカプセルを見つけた。

 

「なに、あれ…」

 

そのカプセルは不思議な培養液に満たされ、カプセルの中央に人間の頭部らしきものがぷかぷかと浮いていた。

【頭部】にはケーブルが接続され、目蓋を閉じ、何かを待っているようにも見えた。

 

「あたし、あなたとどこかで会った事あるのかしら? それとも…」

 

その時、少女はどうしてなのか自分でもわからないまま、自然と深呼吸をしながら、カプセルに触れた。

すると…。

 

『アァァァァァアアア!!』

 

反応した【頭部】が急に大声を上げ、目を

カッと見開いた。

ゴボゴボとカプセルの中が気泡で見えなくなり、それはまるで、やかんの水が沸騰するかのようだった。そして、やがて【頭部】は沈黙した。

少女はすぐにカプセルから手を離し、後ろへと下がる。

 

「れ、冷静になれ! おじいちゃんも言ってたじゃない、焦ったらやられる。

だから、何よりも深呼吸! 次は自分の身を守れって!」

 

「はぁぁぁぁぁぁ…」

 

少女は目蓋を閉じて深呼吸をし、心を落ち着かせると、パリパリと音を立てて静電気のようなものが、少女を包み込んでいく。

そして、少女は自らを守るための武器を組み立て始めた。

 

「できた!」

 

少女が手にしたのは、折りたたみ式のクロスボウだった。すぐにカプセルに対し、構えをする。

 

『………待、て。待って、くれッ!』

 

「喋った!?」

 

『私、は…シュトロハイム。

ルドル・フォン…シュトロハイムだ。

すまないが…フロイライン。

今、何年なのか、…それを私に教えてくれないだろうか?』

 

二人が巡り会ったのは、ソビエト連邦にあるドイツ軍が数十年前に放棄した地下研究所

だった。

 

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