綺麗なまま死ねない【本編完結】   作:シーシャ

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活動報告よりリクエストをいただきました。
38話でドフラミンゴがビッグマムからの同盟提案を呑んで、主人公がシャーロット家カタクリさんに嫁ぐことになっていたら、です。
サン&ムーンさん、リクエストありがとうございました。


もしもの話2
もし38話でドフラミンゴがビッグマム海賊団と同盟を結んで、主人公がC家に嫁ぐことになったら


 

私を送り届けたドンキホーテ海賊団を別所に案内して、私とビッグマムが二人きりになった途端、ホーミーズの手によって服がビリビリにされましたとさ。

 

(なんで!?)

 

お代官様ごっこをするほどの時間もなく、手慣れた様子であっという間に素っ裸にひん剥かれてしまった。キャーエッチ!なんてビッグマム相手に叫べるわけもなく、ビッグマムに体を持ち上げられてくるくるとあちこちから人形のように検分されてしまった。

 

「天竜人といってもこんなもんかい」

 

「へ?」

 

「ママママ!手術の痕に銃で撃たれた痕!噂通り汚い体だねェ!」

 

……ステューシーさんから聞いたんだな、と吐きかけたため息をぐっと飲み込んだ。そりゃね、綺麗な体じゃないけど別にあなたに嫁ぐわけでもなし!旦那になる人が黙認してくれるなら私はそれでいいのよ!そんな思いを胸に、逆にビッグマムを観察してみた。………いや、すごいと思う。間近で見ているから分かるんだけど、本心から、すごくお肌が綺麗だと思う。だってこの年齢で毛穴の開きもないし、化粧のノリも悪くない。まつ毛が長くて彫りも深いから、この年齢でもパーツは十分綺麗。…体格維持の努力を怠っているからか、太ってきつつあるのがマイナスだけど。

 

「あっはっは!そりゃマムの美しさに比べればみんなそうですよー!すごいですよねぇ、四皇まで上り詰める実力者なのにお肌メチャ綺麗って…羨ましいです…」

 

舐めるようにじっっくり見つめると、ビッグマムはニヤリと笑った。私を床の上に下ろして、真正面から向き合ってくれた。お、やっとまともに会話ができそう。

 

「えらくお世辞が上手いじゃないかい」

 

「いやいや、本心です。なんでも昔から手長族の手を短くしてあげようとしたり?魚人族の背ビレをとってあげようとしたりしたとか?戦いもそうでしょうが、人種や甘いお菓子のことも博識とのことで。マムとは以前からおしゃべりしたかったんです」

 

「ママママママ!!!…いいだろう、これから死ぬまで時間はたっぷりある。お茶会にはお前も呼んでやろう。楽しく『お話』しようじゃあないか!」

 

(おっ!お茶会の参加権ゲット!これは……上手くやれば長生きできるかも)

 

彼女は私の持つ天竜人のお宝的な知識が目当てだとは分かっている。だけどこれ、上手く立ち回れば私やドフラミンゴを生かす価値ありと判断されそうだ。うちはヴィンスモーク家みたいに、一家皆殺しして軍事力だけゲット、なんて活用の仕方はできないのだし。

 

「わあ、嬉しいです!ええ、ぜひ!あっ、できれば噂のセムラを食べてみたいです!…それまで私が生きてられたらいいんですけどねぇ」

 

暗にステューシーさんがいるなら私の命を狙われる可能性があると示唆すると、ちゃんと考えを汲んでくれたらしいビッグマムが楽しげに笑った。

 

「マママ…。来るものは皆歓迎するが去る者は皆殺し!ここは万国!世界政府に目をつけられた元天竜人であろうと殺させやしないさ…。カタクリ、自分の嫁くらい自分で守ってやるんだよ」

 

「……ああ、ママ」

 

気配もなく背後、しかもほぼ真上から声が飛んできて、文字通り飛び上がって驚いた。

 

「ぎゃあエッチ!ふふ服!服どこぶふっ!……あ、ありがとうございます」

 

投げられた布を体に巻きつけて、一息つけた。やれやれと思って見上げると、超大型巨人…もとい、電信柱級の巨人なカタクリさんがじっと私を見下ろしていた。あ、口元さらしてる。ってことはこの布マフラーか!アザーッス!うわー、ガチの牙だ。本物!カッケー!

 

「………」

 

「……?」

 

目と目が合うー瞬間好ーきだと…いや、気付けないしそんな一目惚れとかじゃないけど。でもカタクリさんはキャラ的にかなり好き。妹想いとかドフラミンゴに見習わせてやってほしいレベル。原作も舐め回すように読んでたから口元とか知ってたし。カタクリさん側からしたら何で叫ばないんだとか言われそうだけど。

 

(叫ぶとしたらむしろ口元なんかよりその巨体だよね…)

 

ドフラミンゴでもめちゃくちゃデカいってのにプラス2メートルとか…本当に人間?って感じ。でも顔はイケメン。イケメンなら許せる。なんたってイケメンだからね!

 

「…なるほど。変わったやつだ」

 

「へ!?心読まれた!?え、ちょ、ぎゃー!」

 

マフラーごと胴体を掴みあげられた。片手で。…どれだけ身体差があるかお判りいただけただろうか…?

 

「ママ。連れて帰るぞ」

 

「ああ、好きにしな。言っておくが、カタクリーー」

 

「…分かっている」

 

「マママ!ならいいさ」

 

え、何今の?アイコンタクトで会話?いくら親子とはいえアイコンタクトで会話とかすげーな!

 

「え、何?何の話ですかね!?」

 

「黙ってろ」

 

「アッハイ」

 

そんな感じで人形よろしく掴まれて連れて行かれたのがカタクリさん宅。何もかもがめちゃくちゃ巨大だった。いやー…不思議の国のアリスってあんな感覚だったのかな。ドリンクミーだっけ?イートミーだっけ?同じサイズまで大きくなりたいわ。…それにしても。

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

巨大だけどイケメンである。イケメンはいいね。さすがはイケメン!イケメンすぎてイケメンがゲシュタルト崩壊しそう。舐め回すようにじっくり見ていたい。ああイケメン!

 

「………」

 

「むぎゅ!」

 

餅が顔に貼りついた。ち、窒息するう!…あ、普通に呼吸できるわ。よかった、ドールサイズの嫁(予定)も呼吸する必要がある人間だって認めてもらえてた!さすがは我が旦那様(予定)!

 

「な、なんでふか?」

 

「……何の用だ」

 

「用?いえ、別にないですけど?」

 

「………」

 

納得できません、って感じの沈黙の後に、ずるんと餅が顔から剥がれていった。おお、やっぱりイケメン!彫りが深くて睫毛が長い!

 

「あ、何で見てたかですか?イケメンだなーって見てました」

 

可能なら牙触りたいです。やっぱ牙にも神経通ってるんですかね?アイス食べたら知覚過敏になる?

 

「…ママにしたように煽てずとも、お前が殺されるのは阻止してやる」

 

「え、あれかなりガチだったんですけど。おだててるように聞こえました?やだなぁ…勘違いされたかな…。あ、イケメンは嘘じゃないですよ!カタクリさんマジイケメン!悔しくなるレベル!」

 

「悔しいだと?どういうことだ」

 

「だって幼少期に会えていたらイケメンが成長するのを間近で楽しめたじゃないですか!ご兄弟が羨ましい限りです」

 

何こいつ、って目で見下ろされた。傷つくぅ!ドフラミンゴはさておき、ロシナンテの時に思ったことを素直に言ってみたら引かれた。ねえ、ひどくない?一応私、あなたの嫁(予定)なんですけど?

 

「ま、可愛さはうちの兄の方に軍配が上がりますけど!」

 

「アレがか?」

 

心底意味がわからないと胡乱な目をされた。あっ、これ誤解してるな!?ドフラミンゴじゃない方の兄に決まってんでしょうが!

 

「あっ!ディスりましたね!?うちのロシーの可愛さ舐めてたら痛い目みますよ!ドフィは悪の大魔王ですけ「アタシ達のお兄ちゃんだって世界一可愛いわよ!!!」

 

思いもしない所からカッと強烈な叫び声が飛んできた。幽霊でも出たのかと飛び上がって驚いてしまった。な、何事!!

 

「ブリュレ…!?」

 

(あっ、ブリュレさん!?って若ーーー!!!え、なんか原作より可愛いじゃない!?幼少期の妖精のような可愛さの面影がまだ!ある!ギリだけど!)

 

顔にはクッキリした傷跡があるけど、それでも年齢が若い分まだ可愛い感じが残ってる!くっ…彼女の幼少期も生で見たかった…!

 

「カタクリお兄ちゃんは強くてかっこいいアタシ達の自慢のお兄ちゃんなんだからっ!あんたのお兄ちゃんなんてメじゃないわ!なんてったってカタクリお兄ちゃんはありとあらゆるものを見下す男!世界一強くてすてきなんだから!」

 

「よせブリュレ…」

 

「うんうん。それで?」

 

原作通りのベタ褒めに感動した。ワクテカで先を促したら、ブリュレさんが一瞬驚いたように瞬きして、でも途切れず兄賛美を続けた。

 

「お、お兄ちゃんは生まれてから今まで無敗の男!強さだって懸賞金だってあんたのお兄ちゃんよりもずっと上なんだから!万国もアタシ達も守ってくれる、最強のお兄ちゃんよ!」

 

あえてドフラミンゴよりも上だと強調したブリュレさんに拍手を送った。そうなのよ!うちのドフラミンゴ、ピノキオ並みに鼻高々だけど、まだまだ上には上がいるって心の底から思ってなさそうな節があるのよ!あの鼻をへし折って現実見せてやりたいのに、周りはみんなドフラミンゴ万歳状態すぎて!!!さすがはブリュレさん、よく分かっていらっしゃる!でもドフラミンゴとロシナンテを一緒くたにされるのは心外!

 

「うんうん、分かりますよ!カタクリさんかっこいいですよね!何よりイケメンですし!妹思い!いやー、うちのロシー兄上もイケメンでかっこよくてほどほどに強くて子ども好きだから海賊やめさせようと心を鬼にしていじめて追い出そうとしたりしててですね!しかもドジっ子っていうギャップがめちゃくちゃ可愛くてですね!完璧に見えてのあのドジっ子!もうたまらん可愛いわけですよ!」

 

「カタクリお兄ちゃんだって普段は隠してるけど「やめろブリュレ!」

 

妹同士で兄自慢を繰り広げてたら、カタクリさんが耐えきれずに口を挟んできた。あっ、なんか耳元がちょっと赤い。ハハァン?これは原作であったようなブリュレさんの兄自慢にまだまだ慣れてない感じ?照れてますな?カーワーイーイー!

 

「うんうん、ギャップ萌えがあるんですよねー!分かります!いやー、あなたとはいい友達になれそう!私、ドゥルシネーアです。あなたは?」

 

「アタシはブリュレよ………って何普通に挨拶してんのよ!!!その顔切り裂くわよっ!?」

 

このノリ!このツッコミ!ブリュレさんマジいい子!うちの家族にいなかったタイプ!

 

「あはは、別にいいですよ。あ、でもカタクリさん的にどうです?嫁が妹とお揃いってアリです?」

 

前世以来の、年の近い同性とのキャッキャウフフな会話にテンションだだ上がりでウキウキしながらカタクリさんに聞いたら、妙に冷静な顔で見下ろされていた。あ、あれ?もしかしてガールズトークについていけなかった感?気付かなくてごめんねー。

 

「…………ブリュレ、一度帰れ。後日挨拶に連れて行く」

 

「お兄ちゃん……そいつ変よ、変な女よ…!?気をつけてね!」

 

「ああ」

 

兄妹揃ってひでえ!

 

「あっ、ブリュレさん!今度一緒にお食事でも!」

 

「お断りよっ!!!」

 

鼻息荒く拒否されて鏡の中に帰られてしまった。……寂しい…。

 

「おやつのお誘いの方がよかったですかね…?」

 

「…お前は」

 

「はい?」

 

「……いや、何でもない」

 

わずかな沈黙を挟んで、カタクリさんがスッと目をそらした。え、何?なんかさっきもそんな感じのやり取りをしたような……まさか?

 

「………まさか、今までちょいちょい私の返答を先読みしてました!?」

 

「………」

 

「ちょっとカタクリさんー!」

 

私は何を聞かれて何を答えたの!?質問と答えの先読みってプライバシーの侵害だ!ずるい!大きな手を掴んで揺すってさっき何を聞いたのか教えてと言うも、カタクリさんに無言を貫かれた。どんな質問に私が何て答えたら、そんな顔を赤くするようになるんですか!?

 

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