綺麗なまま死ねない【本編完結】   作:シーシャ

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48.どこかの誰かさんそっくり

いつもは私抜きでやってる会議に、今度拠点を移すからと出席を命じられた。南東に拠点を移しつつ拡大していく、ってやつだろう。前々からそういう話が出ていたから、みんな荷造りはできているだろうし、今日の会議はたぶん詳細を話すためのものだ。ちょっとやそっとでは泣かなくなったデリンジャーも連れて行っても会議の邪魔にはならないだろう。モフモフコートを動かしてデリンジャーのご機嫌をとりながら移動していると、同じく移動していたローとかち合った。

 

「こんにちは、ロー」

 

「………」

 

ぷい、と顔を逸らされて、地味にショックだった。うーん、嫌われてるのかなぁ。でもローとはあんまり関わったりしてないんだけど。どうせ一緒の方向なんだし、とローの隣に並んだ。

 

「ここには慣れてきた?」

 

「………別に」

 

おー!可愛くねえ!生意気ー!でもそこが可愛いー!前世も含めて○○歳に突入した身からすれば、こんなクソガキは強がってる可愛いだけのガキンチョにしか見えない。初々しいなあ、と満面の笑みで見下ろしていたら、私の無反応が気になったのか、ちら、と見上げたローにドン引きされた。

 

「な…何だよ!気持ち悪いやつだな!」

 

「べっつにぃ〜?可愛い子だなーって思ってね」

 

ひくっ、とローの喉が震えた。あ、これは怒鳴るぞ。そう思って見ていたら、本当に怒鳴ってきた。おーおー、昔のグラディウスそっくり。余裕綽々の大人相手に感情のままに怒鳴るなんて…素直だなあ。可愛いなあ。

 

「何でおれに構うんだよ…!何が目的だ!」

 

お、この辺はグラディウスとは違うな。頭がいいというか、他人が近付く時には何か目的を持っているのだと確信している目をしてる。

 

「目的?んーーー…」

 

そんなもの、言えるわけないでしょうが。あなたを助けたいんです?その珀鉛病はオペオペの実で治ります?そんなの言えるわけないし言うつもりもない。頭のおかしなバケモノ扱いなんて嫌だし。…あ、昔グラディウスにバケモノ呼ばわりされてたわ。今は私へのその印象が変わってるといいなぁ。

 

「…あ、目的っていうか、ローと手を繋ぎたいかな」

 

「は…!?」

 

「ほらほら、手を繋いで一緒に行こうよ」

 

「〜っ!ぜっっってーーに!嫌だ!誰がそんなことするか!!!」

 

ローが元気に走って行ってしまった。うーん、やっぱ嫌われてるなぁ…。

 

(まあ、これから少なくとも2年は一緒にいることになるんだし…ゆっくりやっていこうかな)

 

せっかくなんだから仲良くしたい。私、トラファルガー・ローのこと、割と好きだし。それにほら、私たちは『家族』でしょ?

 


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