21話、どうぞ!
間桐光太郎の過去を見るライダーに取って衝撃の連続であった。
「光太郎…」
養父に背負われ、力なく崩壊した瓦礫を見つめる幼い頃のマスターの名を弱々しく呟くライダー。バーサーカーのマスターである少女のように造られた存在―――ホムンクルスもいるが、光太郎はそんな比ではない。最初からそう造られたホムンクルスと違い、本人の意思と関係なく『作り変えられた』…改造人間だ。
ライダーの周りが暗転し、場所は夜の工事現場で固定される。
物陰から追手がいないか、肩で息をしながら確認する秋月総一郎は隣で蹲る光太郎の様子を見る。逃げる最中で見つけた毛布で身を包んでいる光太郎と今まで会話はない。
(当然ですね…あんな目に合い、両親の事を知れば…)
平凡な生活を過ごしていた少年を襲った悪夢。かけるべき言葉が見つからない総一郎はさらに移動する手段を模索する。家へ連絡して妻と娘がの安否の確認を取りたいが、今は光太郎を逃がすことが専決だ。携帯電話を取り出して地図のアプリケーションを起動させようとした時、背後でガギンっと金属音が耳に響いた。
慌てて振り返る総一郎の目に入ったのは、立ち上がった光太郎が設置されていた鉄パイプを手に持っている姿。しかも鉄パイプは先は飴細工をちぎったかのように真ん中で切断されている。
「どう・・・なってるの?僕の体」
光の宿っていない濁った瞳で光太郎は養父に尋ねた。
「さっきから体の中がゴワゴワしてて気持ち悪いし、周りが五月蠅いし、それにこれ、鉄パイプでしょ・・・?なんで、こんなに柔らかいの・・・?」
グシャリと、今度は手の中にあった鉄パイプを握りつぶす光太郎。無残な姿となった鉄パイプは渇いた音を立てて床に落下する。改造されてしまった光太郎の肉体は『人間』を失った代わりにそれを凌駕する能力を得たが、彼が抱いたのはそれによる喪失感と自身に宿った力への恐怖だった。
「・・・お前が抱く体の違和感は、まだ脳が光太郎の改造された身体組織を認識していないだけだ。直に慣れる」
憐むことも、慰めることもせず、総一郎は淡々と説明を開始した。
「麻酔が切れて、戻ってきた感覚については、昨日までの状態を思い出すんだ。そうすれば脳から電気信号が送られて『普通の人間』並に五感を下げることが・・・」
「僕は、そんなことが知りたいんじゃないよッ!!」
工事現場に響く怒号。
「どうして僕がこんな目に合わなきゃならないの!?こんな化け物みたいな力を持たされて・・・信彦だって、どうして、どうしてッ!?」
「落ち着くんだ光太郎!」
両手で頭を抑えて自問自答する光太郎の両肩を掴み、気を静めようとした総一郎だったが・・・
「離してよっ!!」
光太郎に腕を振り払われてしまうが、同時に枝の折れるような音を捉えた。
「ぐぅ・・・」
「あっ…」
光太郎が腕を振るった際に、総一郎の手首に触れた。それだけで、総一郎の手はあり得ない方へ曲がってしまった。腕を抑えて呻く養父の姿を見て、混乱して熱くなった光太郎の頭は急速に冷めていった。自分が養父に何をやったのか、原因となった自身の手を震えながら、顔を真っ青にして見つめた。
「気に…するな」
「父さん…でも」
「いいんだ…こんな痛みなど、お前と信彦に比べたら…」
顔に汗を浮かべてながらも総一郎は息子に笑って見せた。
「いいか…これから私の言うことをしっかりと聞くんだ」
「・・・・・・・」
光太郎は黙って頷いた。それを確認した総一郎は説明を始める。光太郎達を誘拐し、人間の体を奪った悪魔の正体を。
暗黒結社ゴルゴム。
人類の有史以前より存在し、人間社会を裏から支配している秘密組織。光太郎と信彦を改造したダロム達三神官を筆頭に、自分達に忠誠心を誓う者以外の人類抹殺を目論む悪魔の集団である。
そのゴルゴムが神として崇められているのが『創世王』と呼ばれる謎の存在であり、ゴルゴムの幹部であるダロム達でさえもその姿を直に目にしていない。
創世王は5万年ごとに別の者に継承され、それを決める儀式が2人の『世紀王』による決闘であった。それぞれが持つキングストーンを奪い合い、生き残った者が次の創世王となる。そして今回の世紀王にえらばれたのは9年前の日食に同じ日、同じ時間に生まれた、2人の男児であった。
「それが…僕と信彦なの?」
「そうだ…」
養父の絵空事のような説明を聞いた光太郎に再び怒りがこみ上げる。馬鹿げている。幼い光太郎でもそう思える話だ。自分と信彦は、そんな狂気じみた連中のに祀り上げられるために人間でなくなり、
さらには2人で殺し合うために自分は人で無くなったなんて。
「そんな…そんなことの為に僕は…どうして、どうして黙ってたの父さん!?」
「・・・・・・・」
総一郎は無言で俯く。いつも自分たちの聞くことに笑顔で応えてくれる養父がここまで無言でいる姿を光太郎は初めて見る。だが、それを気にする余裕は現時点の彼には持てなかった。
「父さん!!」
「それは・・・・・・・」
光太郎にせかされ、ようやく口を開いた総一郎の言葉が、第三者によって邪魔されてしまった。
「ギギギギ・・・!正直に言え秋月総一郎。死ぬのが嫌だったと」
突然割り込んだ声に2人のは反応するが、見回しても姿が見えない。しかし、光太郎の聴覚は捉えた。自分たちの頭上から伺っている異形の存在の位置を。
「なに、あれ・・・」
「くっ、もう追手が!」
上を見上げ、固まる光太郎に続いて同じ場所を見た総一郎は敵の姿に焦りを隠せなかった。足場から垂れている糸にぶら下がり、八つもある足をギチギチと動かしながら見下ろす怪人の姿に、ライダーは見覚えがあった。
「あれは・・・クモ怪人?しかし・・・」
ライダーの知るクモ怪人は異なり、全身がの色が黒に統一され、人間に近かった顔もなく、ライダーのよく知るクモのように八つの目と鋭い牙を持っていた。
そして元となった動物の本能に近い行動しか取れない怪人が、人間と同じ言葉を話している。相手に対する殺意も、今までライダーの見た怪人と比べ物にならないものだ。
「オニグモ怪人・・・お前は」
「ギギ・・・さぁ、質問に答えてやれ。こいつらをゴルゴムに売った時の条件を」
「売った・・・?」
着地して詰め寄ってくるオニグモ怪人に動揺する総一郎と、目の前の化け物が放った言葉を復唱する光太郎に、嫌な予感が膨れ上がった。その光太郎の姿を見て察したのか、オニグモ怪人は光太郎に顔を向けた。
「子供ながら理解力があるな。流石は世紀王!お前の考えているとおりだよ秋月光太郎、こいつは自分と家族の身の安全を保証する条件でお前たち2人をゴルゴムに献上したのさ!ギギギギ・・・」
不愉快な笑い声を上げるオニグモ怪人の放った言葉を聞いた光太郎は、気が付けば膝を着いていた。当たって欲しくなかった最悪の結果に震えだす光太郎にオニグモ怪人は畳み掛けるように口を動かし続けた。
「ギギギ・・・あの時は忘れられないな秋月。南を殺したことを教えてやった途端、コロリと態度を変えやがったのはよぉ」
「お父さんと、お母さんを…殺した?」
「そうだ。最初は2人の世紀王をゴルゴムで迎えることを南も秋月も拒みやがった。だから見せしめに南達を事故に見せかけ、殺した…。それを知った直後の秋月の顔と言ったらなぁ」
「そんなの…断れないに決まってるだろ!この化け物!!」
震えながらも養父が隠していた事情を知った光太郎は総一郎を攻め立てることなく、オニグモ怪人へその怒りをぶつける。確かに養父は自分をゴルゴムに売る約束をしたかも知れない。
しかし、命欲しさで条件を飲んだなら、自分を引き取るなんて回りくどいすることをするはずがない。きっと養父は守ろうとしたんだ。自分も、信彦も、家族も…そんな優しい人が、手術を終えた自分達を助けになんて来るはずがない。もうこの怪人の言うことに耳を貸さないと決めた光太郎だったが、オニグモ怪人の思いもよらないを声を受けてしまう。
「何を言っている。全てはお前がこの世に生まれたことが原因だろう?」
「え…?」
意味が分からない。この化け物は何を言っているのだろう…?今、自分がこのような目にあっているのは…両親が死んだのは自分が悪いといっているのだろうか。混乱する光太郎に饒舌となったオニグモ怪人は止まることなく禍々しい口を動かし続けた。
「だってそうだろう?お前が生まれてこなければ、対となる秋月信彦は世紀王に選ばれることはなく、改造手術を受ける事はなかった。何より、親である南達は死ぬと事なく、いずれはゴルゴムの
支配する世界で生きられたのだぞ?ギギギ…」
「光太郎!耳を貸すんじゃあない!!」
養父の必死の呼びかけも虚しく、光太郎は歯をガチガチと震わせて頭を両手で抱えていた。
「ぼ、くのせいで…ノブひこが…お父さんもお母さんも…みんな…死んで…」
「こう、たろう…」
周りだけでなく、自身へも絶望してしまった光太郎。無防備の少年に、オニグモ怪人は奇怪な腕を振り上げる。
「ギギギ…命令は連れ帰るだけだったが、それでは面白くない。こんな小僧が本当に世紀王か…直接確かめてくれる!」
その小さな体を貫かんと腕を振り遅すオニグモ怪人。光太郎が自分に向けて攻撃をしかけたと気付いたのは、自分に『暖かい液体』がかかった後だった。
「……」
パシャっと音を立てて自分の顔に付着したそれを手で拭う。真っ赤なそれは、自分の体から出たものではない。未だに光太郎の目の前でそれは流れ続け、彼の眼下で赤い池が出来ていた。
「無事か…光太郎」
「とう…さん?」
オニグモ怪人の攻撃から自分を庇い、背後から胸を貫かれた養父が、そこにいた。
「ギギ、邪魔しやがって…」
つまらなそうに総一郎の背中から腕を引き抜くオニグモ怪人。その反動で、さらに多くの血液が総一郎から噴出した。
「ごふっ!?」
「父さん!?」
血まみれになりながらも倒れる養父を支える光太郎の頬に、総一郎の手が優しく触れる。
「聞いてくれ、光太郎…」
呼吸すら苦痛となっているはずの総一郎は、光太郎に伝えるべく、途切れ途切れになりながらもしっかりと伝えたい言葉を送る。
「お前は…望まれて、生まれたんだ。南も…光太郎を授かって、後悔など…するはずがない。だから、自分を責めないでくれ」
「わかったっ…わかったからもう喋らないでッ!!」
段々と冷たくなっていく養父の手のひら。光太郎はその手を…傷つけないようにそっと握った。もう自分の体や過去に拘らない。だから、いなくなって欲しくない。心から懇願する
光太郎の思いをあざ笑うかのように、総一郎の命の灯は次第に小さくなっていく。
「生きてくれ…南正人と南友子さん…信彦…そして、私の分も」
「やだよ…やだよ父さん!」
「光太郎…私の、もう一人の…息子」
目を閉じた総一郎の手は光太郎の手をすり抜け、力なく地面へと落下した。
「……………………」
光太郎は養父の体をゆっくりと横にする。もう起きることのない養父を看取った光太郎に耳触りな声が響く。
「ギギ、なんだよくたばっちまったのかよ秋月。せっかく絶望させた後に殺すための準備をしてきたのに無駄になっちまったなぁ」
そう言って眠る総一郎の横に2つ、落下するものがあった。光太郎に見覚えがあり過ぎるものだった。
「…母さん…杏子ちゃん」
いつも自分のために暖かい料理を作ってくれた優しい手。いつも自分たちを追いかけて、握ってくれた自分よりちいさな手。
大きさの違う手首が、養父の横で転がっている。母の手にある父から送られた指輪が、嫌でもあの幸せだった頃…顔を赤くしながら父との思い出を語る養母の姿を思い出させてる。
「ギギギ…母親の怯える顔は最高だったなぁ。ガキなんて最後までお前ともう一人の世紀王の名前ばかり叫んでやがったぜ?」
光太郎はオニグモ怪人が愉快に話す養母と義妹の最後に反応せず、動かずにいた。
「…つまらんな。なら、とっておきの話をしてやらぁ」
再び腕を振り上げながらオニグモ怪人は光太郎に向け、叫びながら光太郎へその腕を向ける。
「お前の生みの親…南達を事故に見せかけて殺したのは…俺様よぉ!!」
その言葉が切っ掛けとなったのかは、分からない。オニグモ怪人の手が届く寸前に光太郎から眩い赤い閃光が発せられた。光太郎の体を包む毛布の下でその変化は進んでいた。
子供の体躯でありながら手足が伸び、皮膚は虫に近いものへと変わっていく。頬に手術後のような傷跡が浮かび上がった直後、さらに激しい光が周囲を包んだ。
そこにいたのは、バッタの怪人だった。
「あれは…」
ライダーには見覚えがあった。現代の光太郎が仮面ライダーへ変身する際に一瞬だけ見せる怪人の姿。それと全く同じ怪人へと、光太郎は変身した。
「ギギギギギギギ!なんだその姿はぁ。俺達怪人と変わらないじゃねぇか。それでも世紀王かぁ?」
自分の背丈の半分もない怪人に侮蔑の笑いを送るオニグモ怪人はゆっくりと変身後に動かない光太郎へ歩いて行った。
「しかしここでお前を殺して中身のキングストーンを奪っちまえば…俺が世紀王になれちまうんじゃねぇか?ギギギギ!」
距離が1メートルもない間合いに迫った時、光太郎に動きがあった。怪人となったその腕を真横に振るった。だが、オニグモ怪人は後に飛んでそれを回避した…つもりでいた。
「ギギギ…なんだその大振りはぁ?攻撃ってのは…あ?」
間の抜けた声を出したオニグモ怪人は光太郎の手に握っているものを見る。
なぜ、自分の右腕が、あいつの手につかまれているのだろう。
オニグモ怪人が光太郎によって自身の手が引き千切られたと気付いたのは、肩から体液が噴出した直後であった。
「ギエエエエエエエエエエエエエエェェェェェェェェェェェェッ!!」
オニグモ怪人の腕を放り投げた光太郎はゆっくりと、ゆっくりとオニグモ怪人に迫っていく。
「ギぃッ!?こ、殺してやる!!」
口から糸を発射し、動きを止めようとしたオニグモ怪人だったが、糸は光太郎に掴まれた直後、小さな姿から信じられない力で引っ張られた。
「ギギィ!?」
光太郎の足元に転がったオニグモ怪人は、月夜を背後に自分を見下ろす姿に初めて恐怖を覚えた。
「返せ…」
お父さんとお母さんを・・・
父さんを・・・・・・
母さんを・・・・・・・・・
杏子ちゃんを・・・・・・・・・・・・
信彦をっ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「返せええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!!!」
そこからオニグモ怪人がどのような最後を迎えたのかは分からない。光太郎の理性が吹き飛び記憶していないのか。光太郎自身が思い出したくないのかは、分からない。
次にライダーが見た記憶は、同じ工事現場だった。
雨が降る中、元の少年の姿となった光太郎の周りには、オニグモ怪人だった残骸が散らばっている。光太郎は目に止めることなく、養父達の元へ向かった。
「父さん…母さん…杏子ちゃん…信彦…」
絞り出すように家族の名を口にする光太郎は、泣いた。声を上げて、泣き続けた。家族の名を呼んでも、ここには返事が出来る相手は、誰一人いなかった。
「光太郎…貴方はこれほどの苦しみを抱きながら、戦っていたのですか…?」
さらに小さく見えるマスターの元へ今すぐ走っていきたい。泣き止むまで傍にいてやりたい。敵わない願いを抱きながらライダーは記憶の中にいるマスターを見ることしかできなかった。
「マスター…私が、貴方と繋がった理由。それは…」
聖遺物なしで光太郎に召喚されたライダーは、呼びだされたのはなぜ自分なのかということをずっと気にしていた。似ても似つかない性格と理念を持つ光太郎の姿に、当初は近づき難い
ことすらあったが、彼の過去を見た事である可能性を見出した。
『自分の力に巻き込まれ、大切な存在を失った悲しみ』
神話の時代、暴走した自分の手により掛け替えのない姉2人をその手にかけたライダーはその時の事を未だにハッキリと覚えている。姉達は笑って消えて行ったが、それでもあの時の事は、忘れられない。忘れては、いけない過去だ。
もしそれが光太郎との繋がりであったとすれば、悲しき共通点である。
ライダーが考えいた間に場面は切り替わる。
あれから光太郎は1人、逃亡生活を続けていた。
衣服は廃棄されたものを用い、昼は人気のつかない場所に潜伏し、夜に行動する。それを半年ほど続けていた。その中で捨ててあった新聞や街頭ビジョンで、自分達秋月家は家族そろって行方不明という扱いになっていることを知る。あの後、父達の亡骸は思い出の場所で埋葬したが、それが今になっても表沙汰になっていないのは、ゴルゴムによる情報操作なのだろうと光太郎は考えた。それよりも疑問に思ったのは、オニグモ怪人以来、追手を差し出さないゴルゴムの静けさだった。理由は分からないが、ゴルゴムは今の時点では動かずにいる。
だが、光太郎はゴルゴムが自分を諦めたとは思っていない。これからどうなるか、どうするかを考える前に、ただひたすら遠くへ行くことだけを考えた。
逃亡を続けて半年が経過した頃。
光太郎は冬木と呼ばれる街へたどり着いた。
同時に精神は限界を迎えていた。
いつ自分に刺客が追いつくかへの恐怖。制御出来ずに怪人の姿へ変わった時に人々に見られた時の視線。そしていくら傷つけても瞬時に治ってしまう身体。
食べなければ死ねるかと思い、数週間前から食事を絶っていたが、ただ空腹により体が思うように動かないだけで、死ねなかった。
街の路地裏で仰向けに倒れた光太郎の手元に光るものが映る。ガラスの破片だ。
「………………」
無意識に破片を手に取った光太郎は両手でしっかりと持つと、自分の腹部に破片を全力で突き立てる。
「だめか」
突き刺さりはするが、奥にある『あの石』まで届かない。一度破片を引き抜いてもすぐ傷が塞がり、その後に何度が試すとガラスの方が砕け散ってしまった。
「はぁ……」
カラン…とガラスの破片が落下する音が響く。動けず、死ぬことすらできない。ひょっとしたら、養父が最後に言った『生きてくれ』という言葉に体が反応して自分を
死なせないようにしているのかと考える光太郎の聴覚に誰かの足音が聞こえた。
(ゆっくとした音…足以外にも音がする…杖か?)
ぼんやりと接近する存在の状態を推測する光太郎の目に映ったのは、奇怪な老人だった。
「食事帰りの散歩をしてみれば…面白い物を見つけたわ」
間桐 臓硯
この男の出会いが、光太郎の運命をさらに変えていった。
ようやく出せました。愉悦部名誉顧問です。
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