…ちょいとチョロ過ぎる内容ですのでご勘弁を
そんな32話です
間桐光太郎はゆっくりとした足取りで深山町から新都までの道を進んでいた。
ゴルゴムが活動を再開されてから、光太郎は夜中に出歩く日数が多くなっていた。ゴルゴムが夜間のみ活動をしているというわけでは無いが、もし遭遇するのならば、人間が多くない夜の方が光太郎にとっても好都合なのだ。
光太郎の行動が悪の野望を砕くものだとしても、戦うその姿は人でないことに変わりない。家族である慎二や桜のように彼を理解してくれる存在も確かにいる。しかし、そんな彼らでさえ危険に巻き込む力を光太郎は有してしまっている。
戦いの中で義弟や義妹が命を失うような危機に瀕したのは一度や二度ではない。その度に強くなろうと自分を鍛え始めると、それに合わせるかのように兄妹も『もう足を引っ張らない』と更なる魔術の組み立てや訓練を始めてしまっている。
それがもはや実践され、最近でも宿敵であるビルゲニアの作戦を崩すことに大いに献上した。
光太郎にとっては正直、複雑な気分であった。
人間でなくなった自分に好意を持って接し、力となってくれることは光太郎にとって幸福以外の何物でもない。だが、より激しくなるゴルゴムとの戦い。そして聖杯戦争でも今まで通りに誰一人失わず生き残れる可能性はゼロではない。もし、自分の力が及ばず、命が失われてしまったら…。
光太郎が思わず連想してしまった最悪の構図は、彼に育ててくれた家族を次々と失った暗い過去を思い出させる。
それと同時に、今の家族が放った言葉も思い出す。
『巻き込んですまない?何調子に乗ってんだかこの愚兄は…捕まったのはあくまで僕なんだよ!逃げ出す方法なんていくらでもあったし、むしろ僕に気を取られて怪我してんの光太郎のほうだろ!?こっちはなんとか出来るんだから怪我しないような戦い方しとけよ!!』
『兄さんいつも謝ってばかりじゃないですか!悪いのはゴルゴムの方なんですよ?もう、次に事件のことで謝ったら兄さんのおかず、苦手なものだけにしますからね!』
巻き込んだ際に謝罪しても、いつも逆に光太郎が怒られる結果となっていた。
慎二と桜はゴルゴムの事件に巻き込まれた事よりも、兄である光太郎がそれを気に病んでいる方が気に食わないらしい。
なにより、恐ろしいことに巻き込まれても、光太郎に対して変わることなく接していることが嬉しかった。
「ハハッどっちが守られてんだか…」
このように一人で出歩くと気持ちの浮き沈みがあり、最終的には二人の言葉が立ち直らせている。光太郎にとってはそれだけ大切な存在なのだ。
「…いつも同じ結論だけど…頑張らなきゃね」
何度目か分からない決意を口にした光太郎が新都へと続く鉄橋にたどり着いた時、見覚えのある気配を感じた。
「……」
無言で歩き続ける光太郎。一歩、また一歩と進むにつれてその気配、存在は確かなものとなった。
やがて鉄橋の中央に移動した光太郎の目の前に、赤い外套を纏った男が現れる。
「奇遇ってわけではなさそうだね」
「……………」
アーチャーは無言で光太郎を見つめる。今のところ殺気を感じられないため、気さくに声をかけたつもりだったが、効果はないようだ。そしてこのような時にサーヴァントである彼を窘める少女の姿がどこにも見当たらなかった。
「リンならば衛宮士郎の家で眠っている。貴様の前に立っているのは私の独断だ」
知りたい情報をすんなりと伝えるアーチャーの行動がますます解せない光太郎。学校での共同戦線を顧みてもマスターである遠坂凛に普段から逆らっているようには見えなかった。
「俺に、話でもあるのか?」
「察しがよくて助かる。協定の時間はとっくに過ぎているのでね。手厳しいマスターにばれる前に顔を合わせて置きたかったのだ」
協定…とアーチャーの口から出た単語を聞いて思い出す。確か自分達ライダー陣営とアーチャー陣営の間で今日一日はお互いに一切手出ししないという約束がビルゲニアと戦う前に結ばれていたが、腕時計を見ると午前二時。とっくに無効となっている時間だ。
今思い返しても、アーチャーのマスターである遠坂凛は普段面倒見の良い優しい少女である印象があるが、聖杯戦争に関してはストイックかつドライな部分が見えた。
だからこそ、次に対峙した時は全力で挑んでくるだろう。
そんなマスターの方針を無視して敵であるマスターの光太郎に伝えるべき話があるというアーチャー。彼から話された内容は、義弟の知人の名が使われた。
「今後、この聖杯戦争が終わろうと衛宮士郎と関わらないで欲しい。あれに取って、貴様という存在は悪影響だ」
「…理由は?それは前にビルから彼を睨んでことと関係あるのか?」
自分という存在が悪影響と言われたよりも、弓兵が協力関係にあるマスターの名を出した事に光太郎は表情に出さないものの驚く。利害の一致から協力していると聞いてはいたが、この男が衛宮士郎に抱く敵意は尋常ではない。驚いて見せるより先に質問で返すと、アーチャーはわずかながらピクリと眉を動かす。
初めて知ったのは、ゴルゴムのクモ怪人との戦いで士郎が巻き込まれ、慎二と共に助け出した時だった。クモ怪人を殲滅し、お互いの無事を確認していた光太郎かが感じた胸を抉るような殺気。
高層ビルから士郎を見下ろす彼の瞳は、もう存在そのものすら認めない。怒りと憎しみに満ちた視線だった。
「なに、あの手の小僧は身近に特別な力を持った者がいると無駄に憧れる。さらに真似などされて死なれたら貴様も夢見が悪いだろう」
「…………」
目を伏せて、はぐらかすように答えたアーチャーに光太郎は疑問を抱いた。彼の言葉は半分は本当だろうが、半分は嘘だ。アーチャーが士郎の身を案じることは、恐らく無いだろう。
なら、自分が彼に近づくことで、赤い弓兵に何か不都合なことが起きるのだろうか…
「なるほど。確かに、俺の真似をされたら衛宮君の命は幾つあっても足らない」
「そうであろうな。貴様という『本物』が近くにいてはますます調子に乗る」
「…その『本物』がなんのことを指しているかは知らないけど。君の要望は……」
「断るよ」
「何だと……?」
目を細め、光太郎の放った言葉に明らかな怒りを見せるアーチャー。
「貴様は先程自分で言ったぞ。真似をすれば命はないと。それを…」
「する前に止めればいい。もしそれで止まらなかったら、全力で守るだけだ」
ニヤリと笑いながら即答する光太郎に今度こそ目を見開くアーチャー。
「衛宮君が何を目指して、俺が近くにいることでどうなるのかは分からない。けど、君が言うように俺が関わったことで衛宮君が悪い方へ向かってしまうなら…それを止めるのも、彼を守るのも、俺の役目だ」
「何故だ…弟の知り合いというだけで」
「理由なんて、それだけで十分だ」
アーチャーの動きが止まる。光太郎は畳み掛けるように言葉を放った。
「いい機会だから教える。命ある限り人類の自由と平和を守る。それが仮面ライダーだ。勿論、衛宮君が目指している夢という『自由』もな」
アーチャーの表情は見えない。だが、開いた両手に白と黒の夫婦剣が出現する。
「…守る、だと?それがどれほど重いことも知らず、その結果がどうなるかも知らずに抜け抜けと…貴様も、正義という言葉に酔い痴れた、奴と同類ということか」
「何のことだかさっぱりだけど…俺は、自分を言葉を曲げるつもりはない」
その直後だった。構えたアーチャーが光太郎に向けて飛び出し、二振りの剣を同時に振り下ろした。
ガキンという金属音が鉄橋に木霊した。
「コウタロウ……ッ!?あれは!」
マスターの不在に気づき、新都まで疾走してきたライダーはようやく光太郎を発見する。鉄橋の中央で何故かアーチャーと一緒にいる。それもお互い後を向いたままだ。
互いに無言のまま立ち尽くしている光太郎とアーチャー。見れば光太郎の首筋に細く腫れあがった痕があり、アーチャーが手にした夫婦剣は根本から折れている。
「…なぜよけなかった。魔力が不十分とはいえ、常人の首なら簡単に切り落とせたぞ」
「君は怒ってはいたけど殺気はなかった…まさか本当に当てるとは思わなかったけど。イタタ…」
魔力で造られたアーチャーの剣は使い手の創造力によって強度が変わる。自分の中で最高の硬度と切れ味を持つならば、そのままの形として再現するように。逆に言えば、剣の形に近づけば十分だと思えば、それは剣の形をしたもので終わってしまう。
光太郎がそこまで見抜いていたわけでは無いが、この男はまだ自分を殺す気にはなっていない。
手を広げたと同時に、柄のみとなった夫婦剣を消したアーチャーは振り向かずに光太郎へ尋ねた。
「答えろ…貴様は、先程言った通り、守り続けるのか。顔も知らない人間すらも」
「答えは、言ったつもりだけどな」
「例え、救った命に裏切られたとしてもか。何百、何千という命を助けても、返ってくのは人殺しという汚名だったとしても…」
さすがに言葉が止まる。未だそのような目に合っていない光太郎には分からないというのが正直な答えだ。しかし、背後にいる男は知りたがっている。
光太郎の出す回答を。
「…進むよ。見返りが欲しくて決めた事じゃない。それに…その話を聞く限り、救えた命があるのは確かなんだだろう?」
「………」
アーチャーは答えない。代わりに、光太郎の言葉が続く。
「裏切られたとしても、大勢の人に非難を受けたとしても、その道を決めたのなら、突き通さなきゃいけない。そう決意させる程の事が、あったんだろう?」
光太郎に言われ、アーチャーの脳裏に走ったのは遥か過去。摩耗しきった記憶の中でそれだけは忘れずにいようとしていた、自分の始まりの記憶。
雨の中、もうすぐ消えようとしていた自分の命を救ってくれた男。こんな男になりたいと、夢をくれた目標の男だった。
「だから」
光太郎の声を聞き、我に返ったアーチャーは振り向く。自分に傷を負わせた相手だというのに、散々訳の分からない問答を押し付けたというのに、目の前の青年は満面の笑みでこちらを見ていた。
「俺は戦うんだ。他の人が戦えない分、戦い抜く。悲しむ人が1人でも少なくなるように…それが、俺の『正義』だ」
「……………」
再び訪れる沈黙。それを破ったのは、質問を返す度に黙り続ける男の方だった。
「フッ笑わせてくれるな。まぁ、口にするだけなら誰にでもできることだな」
「え…?」
思わず呆けてしまう光太郎。散々頭を悩ませて答えた事を。今後、起こり得るだろうと思い、自らに言い聞かせるように考えた上で口にした事を赤い男は鼻で笑いやがった。
「真面目に答えたつもりなんだけど、その仕打ちはあんまりじゃ…」
「何度も言わせないで貰おう。言うだけタダということだ青二才め」
「青二才って…確かにそっちの方が年上みたいだけど、それこれとは――」
もはや先程の重たい空気はどこへやら。反論する光太郎に含み笑いで応じるアーチャーのやり取りは互いに怒声や暴言は使われていないものの、内容を聞く限り『ああ言えばこう言う』という低レベルの争いへと陥っていた。2人の姿は既に到着していたライダーから見れば訳の分からない状況である。
「あ、ライダー!聞いてくれよこの赤い人さっきから…」
と、気配を察知した光太郎によって巻き込まれてしまうライダー。小学生が口喧嘩する際に不利になったら身近にいる同級生を味方に引き入れるような声のかけ方をするマスターを見て、急いで駆け付けたがバカらしく思え、その長く美しい髪がアスファルトに接触させてしまいそうになるほど、がっくりと項垂れてしまう。
そこから事態が動いたのは10分ほど経過した頃であった。
「――貴様は知るまい。この世界はゴルゴムだけでない数知れない『悪』がある」
「何度も言わせないでくれ。例え強くて数が多かろうが俺は…」
「なら、証明して見せろ」
その場の空気が変わる。アスファルトを這う蟻を数えていたライダーも思わず振り返るほどの闘志がアーチャーから発せられた。一瞬、怯みながらも光太郎は、赤い弓兵の挑発に笑って頷いた。
場所を河川敷に移し、アーチャーと仮面ライダーに変身した光太郎は10メートルほどの距離を置いて対峙している。
「…これから私は今を持って撃てる最大の攻撃を貴様に仕掛ける。それを貴様が押し切り、私にかすり傷でも負わせたのなら貴様の戯言も容認してやろう」
「随分な自信で…でも、こっちも負けらんないしな」
そう言いながら拳を手のひらに叩き付ける光太郎の姿を見るライダー。昼間の戦いでの傷がまだ再生し切れておらず、未だボロボロの状態だ。本調子でなくても、アーチャーは英霊だ。ランサーの時のように、宝具を使った攻撃を繰り出されたなら…不安に駆られるライダーに、光太郎は優しく肩に手を置いた。
「…大丈夫。絶対に負けないからさ」
「…そう言いながら、いつも傷だらけになるのはどこの何方ですか?」
「申し訳ありありません」
けどね、と言葉を区切った光太郎は黒い弓を出現させた赤いサーヴァントへ視線を移しながら言った。
「今回ばかりはいつも違う。どうしても…一撃を届かせなきゃならないんだ。俺の意地にかけても」
ここまでムキになる光太郎も珍しい。だからこそライダーは見守る事に徹することにした。
「…わかりました。これを機に他のサーヴァントが襲って来ないとも限りません。周囲の警戒は私に任せて、存分にやって下さい」
「そうさせてもらうよ」
ライダーが光太郎から一歩離れたその時、アーチャーは一振りの剣を出現させる。直後、刀身がドリルのように捩じれ、一本の『矢』となった。矢を番えたアーチャーは光太郎を睨む。
さぁ、お前が見せる番だと。
「…なら、お見せしよう」
両腕を開き、ベルト『エナジーリアクター』の上で両拳を重ね、ベルトの中央が赤く発光する。その光は光太郎の右足へと宿っていく。
(やはり…)
(そうくるか)
ライダーとアーチャーは光太郎がこれから繰り出す技を見抜く。
光太郎にとって最大の技、ライダーキック。
2人の予想は当たっていた。しかし、光太郎はその予想を上回る手段を持って技を放とうとしていた。
「もう一回だッ!!」
再び両拳をベルトの上で重ねる光太郎。再度放たれた光は左足へと集中していく。
「底なしか…アイツはッ!?」
「…コウタロウ」
矢尻を持つ手に思わず力が籠るアーチャーに対して、光太郎が起こした無茶にライダーは駆け寄り、今すぐにでも止めたい衝動をなんとか抑えて見守り続ける。
先の戦いから回復しない状態でぶっつけ本番の技…なんの負担も、身体にかからないはずがない。だから、ライダーは無事だけを願った。
「…いくぞ。英霊」
「こい、英雄!!」
光太郎が跳躍すると同時に、弓兵から矢が放たれる。
エネルギーと纏った光太郎の両足と魔力の塊となった矢が衝突。拮抗した両者の燻った力が周囲へ衝撃波を放った。
「グ…ぅ…」
無茶なバイタルチャージをした為に想像以上の負担が光太郎の両足を襲う。さらに前方からは本当に本調子ではないのかと言いたくなる程の魔力が籠った衝撃が廻りながら迫っているのだ。
だが
「俺は、負け…ない!!」
徐々に均衡していた力が崩れ、光太郎が押し始めた。
「自分の決めた事を…貫くためにも…みんなの為にも…負けられないんだあぁぁぁぁぁぁ!!」
咆哮と共に光太郎も身体を回転させ、『捻り』ながら突き進む両足は魔力を削り、アーチャーを姿を捉える。
勝った!
その油断が光太郎の勝機を完全に逃してしまった。
アーチャーの放った攻撃を破った事に気を抜いた光太郎は自らの技の威力を落としてしまったのかもしれない。
もし、その攻撃の威力をアーチャーに当たるまで弱めなければ確実に捉えていたかもしれない。
そんな考えを奪ってしまう鉄壁に、光太郎は弾き飛ばされしまった。
「『熾天覆う七つの円環』…別に、攻撃を防がないという決まりは無かったな」
なんだそれ…と反論の余地もなく、光太郎の意識は闇へと沈んだ。
「あ~…また負けた…」
「コウタロウ…しかし、コウタロウも全快で挑んだ訳ではないのですし」
「いや、それを抜きにしても今回ばっかりは負けたくなかった…」
意識を取り戻し,落ち込む光太郎と必死にフォローするライダーの元にアーチャーが歩み寄る。
「勝った割には随分と酷い有様だな、間桐光太郎」
「え?いや、だって俺は…」
アーチャーの張った盾により攻撃は届きもしなかった。なのに自分が勝者であることはおかしいと言いたげな光太郎にアーチャーは自分の手の甲を掲げてみせる。見ると、僅かながら傷を負っていた。
「条件は『攻撃を押し切り、私にかすり傷でも負わせたなら』だったな。この傷は貴様と私の攻撃がぶつかった際に起きた衝撃で負ったものだ。さらに私の攻撃を退けたのだから…
残念ながら条件は満たされてしまったな」
アーチャーの言い分にぽかんと口を開けてしまう光太郎とライダー。
「認めるよ間桐光太郎。貴様が抱いた決意…不本意ではあるがね」
「なにか納得いかない終わり方だな…」
へなへなとその場で尻餅をつく光太郎を鼻で笑うアーチャーは背中を向けて離れていく。すると突然足を止め、振り向くことなく、背中を向けたまま光太郎へと声をかけた。
「…最後に聞く。貴様が進もうとする道が、もし途中で間違っていると気付いた時は…」
貴様はどうする?
アーチャーの質問に、光太郎は間を開けることなく答えた。
「それなら気にも止めてないよ。もし俺が間違えようとしたなら、ちゃんと止めてくれる人が回りにいるからな」
真っ先に思い浮かべるのは、やはり家族だ。
天邪鬼な義弟
しっかり者の義妹
そして、近い未来で別れがまっているとしても共に戦ってくれる女性…
自分が間違った道を歩もうとしたら、力で敵わないと分かっていても絶対に怒って止めてくれる。そういった存在がいるからこそ、光太郎は自分の『正義』を持つことが出来るのだ。
「君にはいるのか?間違いを犯したら怒ってでも止めてくれる人は…」
「…さぁな」
再び歩き始めたアーチャーの姿が段々と消えていく。霊体化した弓兵は最後に、やはり不適に笑いながらこう告げた。
『次は全力を持って相手をする。その時までに強くなっているのだな。仮面ライダー』
「さて、帰るか…」
「大丈夫ですか?こんな時間ですし、タクシーでも…」
歩道に戻った光太郎とライダー。またもや傷だらけとなったマスターを気遣い、視線に入ったタクシーを停めようと手を上げかけるが、その手は光太郎によって掴まれてしまった。
「コウタロウ…?」
「歩いて帰らないか…ゆっくり、話をしながら」
「…はい。私も聞きたいことがありますから」
笑顔で返事をするライダーであった。
「あ…」
「どうかしました?」
「いや、結局、聞きそびれちゃったからさ。まぁ、そのうちでいいか」
「?」
アーチャーが衛宮士郎を憎む理由。今回の一件はそこに帰結するはずなのだ。しかし、おかげでさらに決意を固めることが出来た。自分が負けられない戦いをしているということを。
ちょいとアーチャーさんをチョロくしてしまったかもしれない…
今回光太郎が放った技はもちろん例の太陽の子の人と、電車ライダー劇場版終盤にあった部分を参考としました。
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