Fate/Double Rider   作:ヨーヨー

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鎧武もいよいよクライマックス。この戦いも佳境を向かってまっしぐらです。


こじ付けまみれの48話となります

9/15 文章内容を一部修正しました。


第48話『正義の味方』

間桐光太郎がレスキュー隊と共に人命救助に当たっていた頃

 

光太郎を追うため、ガレージに待機していたバトルホッパーへ慎二、士郎が。ロードセクターへ桜、凛が搭乗し、新都をめざし疾走していた。

 

バトルホッパーの後部に座る士郎は、慎二と自分達の後を追走する桜の姿を見る。

フルフェイスのヘルメットを装着し、ロードセクターのグリップを握っている彼女の姿は、普段の大人しい印象を受ける服ではなく、ジーンズとTシャツ、ライダースジャケットという先頭を見越した姿となっている。先程のセイバーへの発言といい、ニュースを見た途端に自室に駆け込み、数十秒後にはあの姿へとなって『早く行きましょう!』と全員に呼び掛ける迅速な動きといい、士郎が衛宮家で見せる桜との違いに驚くばかりであった。いや、これが本来の桜であり、士郎がただ気付かなかっただけなのだろう。

 

「…過去を受け入れる…か」

「……………」

 

ポツリと呟く士郎の言葉に、慎二は振り向かずに、ただ前を見ている。見なくても、士郎がどのような顔をしているかが理解できるからだ。

 

(…分かりやすい奴だよ、全く)

 

 

桜がセイバーへと伝えた言葉に衝撃を受けたのはセイバーだけではなかった。

 

真っ先に浮かんでしまうのは、自分に迫る炎と、助けを求めて伸ばされる多くの手。それから逃れる為に必死に逃げ出した士郎は、結果的には生き延びることが出来た。だが、『自分だけが助かってしまった』という罪悪感が士郎の心に重く圧し掛かっている。

 

それでも、士郎は生きる事を選んだ。その時に助けられなかった分、多くの人を助けることの出来る『正義の味方』になるために。

 

(そうだ…俺だって受け入れているんだ。だから…セイバーだって)

 

自分へ言い聞かせるように心中で呟いた士郎は煙を上げている新都の方へと顔を向ける。桜の言った通り、前に進まなければ始まらないのだ。

 

 

 

「ところで慎二。お前と桜って、免許持ってたのか?」

「ないよ」

 

あまりにも簡潔な恐ろしい答えに士郎は血の気が一気に下がってしまう。

 

「オイ慎二ッ!?それじゃあ無免許運転じゃないかこれッ!?」

「っるさいな本当に。いいか衛宮、良く聞けよ?」

 

面倒臭そうに振り返る慎二はヘルメットのバイザーを上げ、士郎の耳に届く程度に声を上げて説明した。

 

「バトルホッパーもロードセクターもそれぞれ自分の意思と人工知能を持って、自力で走行している。それは分かるな?」

「お、おう…」

 

本来は驚くべき所ではあるが、納得してしまっている自分は麻痺してきているのか…と士郎は慎二の言葉に耳を向ける。

 

「走行もブレーキも方向転換も全てバイクの方でやってくれている。僕達はそんな自動走行するバイクを操縦せず、只乗っているだけ、運転していることにならない。故に合法だ」

「そんなの見た目で分かるかぁッ――――――!!」

 

我慢しきれず大声を上げる士郎であった。

 

「もし警察に見つかったらどうするんだよッ!?説明しても信じてもらえるわけないだろッ!?」

「今そんな余裕はないだろ。新都の情報収集と交通整理で手一杯のはずだ。いちいち検問なんかしてる場合じゃない」

「そうかもしれないけど―――」

 

慎二の意見に一理ありだが、もし見つかった場合のリスクを考えた士郎の背後から赤い少女の絶叫が耳に響いた。

 

 

 

『そんなの見た目で分からないでしょうがッ――――!!!」

 

 

どうやら凛も同じ疑問を抱き、桜は慎二と全く一緒の回答を出したようだった。

 

普段義兄の行き過ぎた行動に大声でツッコんでいる慎二であるが、周りが周知していないだけで突拍子な行動を起こす所は、慎二も桜も光太郎に似ているのかもしれない…士郎がそんなことを考えているうちに、慎二達を乗せたバトルホッパーとロードセクターは新都へと続く鉄橋を通過していった。

 

 

 

到着した場所は、多くの人が行き交ったビル街だった場所だ。歩道橋は全壊し、ビルなど発破されたように半分以上が形を保っていなかった。救急車や消防車が絶えず行き来し、救急救命士やレスキュー隊員による

救助活動も追いつかない状況であり、多くの人が怪我や瓦礫に挟まれ動けないでいる。

 

「…兄さん」

「分かってる。ったく、光太郎見つける前にやることが出来ちまった」

 

言わずとも義妹の考えていることが理解できた慎二は頭をかきながらショルダーバックの中を漁りながら背後に立つ士郎へ呼びかける。

 

「おい衛宮、お前の大好きな人助けだ。救急セットもあるから…」

 

言うよりも早く、士郎は慎二の取り出した救急セットを手にして駆け出した。小さくなっていく友人の背中を見て、溜息を付ながら慎二は立ち上がる。

 

「桜。やり過ぎないように見張りを頼む」

「兄さんも、無茶しちゃ駄目ですよ?昨日むりやり肩を動かそうとしましたけど、完治するまでは激しい動きは厳禁です!」

「…………………」

「無言で立ち去らないでくださぁいッ!!」

 

桜の言った通り、慎二は栁洞寺の戦いの際に左肩を脱臼していたが、その日のうちに肩を外した張本人、葛木総一郎によって(彼も骨折していたが)整復され、手遅れになる事は免れた。

自分で打った痛み止めが切れる前に包帯で固定していた所にアサシンとの戦いを終えたランサーを発見。彼から回復を促進させるルーンの魔術を聞き出し、術式を書き込んだ包帯を使用。日に三回、桜に魔力を送ってもらう事で肩をゆっくりと回せる程度には回復していた。しかし桜の言った通りに無理をして動かせば悪化してしまうだろう。

 

(今無茶しないでいつするっていうんだよ)

 

義妹の忠告などお構いなしに、瓦礫の撤去を始める慎二であった。

 

 

 

「まっ…てろ。あと、少し…!」

 

瓦礫の隙間に閉じ込められ、泣き叫ぶ子供へ必死に手を伸ばす士郎の脳裏に、あの日の光景がフラッシュバックする。街を包む炎から、救いを求める人々から逃げ出した拭えない記憶。

 

(あの時は何も出来なかった…でも、今は…ッ!!)

 

もう、誰かが自分の前で苦しむ姿も、死ぬ姿も見たくない。だから助かったあの日から、養父の理想を継いだあの夜から、自分の価値観は変わってしまった。

 

幾度となくセイバーや凛に自分の命を余りにも低く見積もっていると言われている士郎だが、彼には自分の命を差し出してでも貫きたい思いがあった。ズレていようが、歪であろうが自分が進むと決めた道を歩んでいく。

 

(みんなを助けられる…正義の味方にッ!!)

 

10年前、誰にも伸ばすことが出来なかった手を、士郎は今度こそ掴むことが出来た。

 

「もうちょっとだ!!強く握って…よし!!よく頑張ったな!!」

 

瓦礫の隙間からゆっくり、ゆっくりと子供を引き上げ、救出することに成功した士郎。泣きじゃくる子供に抱き着かれ、安心させるように背中を摩っていたその時。

 

「やばっ…」

 

元々傾いていた電柱が士郎と子供に向かって倒れてきたのだ。子供を助け出すことに成功し、緊張の糸が切れていた士郎に咄嗟に動くことは出来なかった。

 

「くそ…っ」

 

結局、1人しか助けられなかったのか…と諦めた士郎の目の前で電柱に見覚えのある矢が突き刺さる。直後、矢が爆発し、その衝撃で電柱の動きが大きく逸れて士郎の真横に倒れた。

 

「先輩ッ!大丈夫ですか!?」

「さ、桜?」

 

士郎は目を見開いて自分の元へ駆けてくる後輩の名を呼んだ。見れば左手には弓を携えており、先ほど電柱の軌道を逸らしたのは彼女なのだと士郎は理解した。

 

「ありがとう桜。助かっ―――痛ッ!?」

 

尻餅状態の士郎の視線に合わせるために屈んだ桜へ感謝した士郎の額に走る小さな痛み。桜からデコピンを受けた士郎は訳が分からないと言わんばかりに呆けた顔をしていたが、そんな先輩の表情を見て満足したのか、笑顔で説明を始めた。

 

「はい、今ので先走ってしまったお仕置きを終わりにします!」

「え…?」

「…先輩。先輩が10年前に新都でどのような目に合ったのか、私には想像が出来ません。それが理由で先輩が必死になって誰かを助けようと頑張っているのもわかります。けど、先輩は、もっと誰かを頼っていいんです」

「頼って…?」

「そうです!先輩が夢を叶えるために、たくさん頑張っている事は知ってます。でも、1人で出来る事は限られているから…先輩が困ったとき、誰かに助けられて、いいんです!」

「…っ!」

 

士郎はハッとする。この災害で1人でも多くの人を助けると考えるばかりで、自分の周りにいてくれる存在を忘れていたのかもしれない。自分だけでなんとかしなければと、思い込んでいたかもしれない。

 

改めて桜へと目を向けると、彼女はにっこりとほほ笑み、自分へ手を差し出した。

 

「お手伝いさせて下さい、先輩。みんなで―――助けましょう!」

 

自分だけでは届かない場所でも、桜や慎二、凛達の力を借りたなら…差し伸べられた手を、士郎は迷いなく掴んだ。

 

(そうか…助けたい時は、助けて貰っても…いいんだな)

 

 

「桜、この子を向こうにいる救急車まで頼む!俺はあっちで怪我している人の所へ行くから…」

「はい!送り終わったらすぐに行きます!!」

「あぁ!頼むぜ桜!!」

 

子供を桜に預けた士郎は再び駆け出していく。しかし先程のような焦った気持ちはない。心強い味方を得た今なら、全ての人を救える。そう自身を持って言えるほど高ぶっていた。

 

 

 

その一部始終を見ていた凛は溜息を付ながら左右で結んでいる髪を解き、首の後ろで束ね始めた。

 

(ほんと、逞しくなったわね。人としても、魔術師としても)

 

実妹の成長に関心しながら、人々の救助へと駆り出した。

 

 

その後、レスキュー隊の増員を確認した慎二達はその場から離れ、セイバーとライダーに合流。そしてゴルゴムの3大怪人と対峙する間桐光太郎を発見した。

 

 

 

 

 

仮面ライダーへ変身した光太郎はダロム達の前に着地し、構えた直後、自分の周りに多くの気配を感じた。

 

「…そうか。この短時間で新都の街を破壊したのは、『こいつら』だったのか」

「フフフ。察しが良いではないか仮面ライダーブラック!!」

 

ダロムが片腕を上げたと同時に、地面や瓦礫の影から次々と現れるゴルゴムの怪人達。その数はかつて穂群原学園でビルゲニアが召喚した亡霊怪人以上―――同じ個体を含めて100をを超えていた。

光太郎を囲うように群がる怪人達に対し、光太郎は慌てる様子もなくダロム達へと尋ねた。

 

「…この怪人達は、俺が倒した怪人達…またも死者を利用したのか?」

「その通りだ。ビルゲニアはサタンサーベルの力を借りなければ呼び出せなかったが、我ら3人が揃えば造作もない!」

「ここの地脈は貴様が戦った学校よりも遥かに強い。あの時と同じと思わないことだな!!」

「けど、貴方だけを苦しめるには芸がないわね。そうだわ!まだ逃げ遅れている人間を襲わせることにしましょう!!」

 

1人で怪人に囲まれた姿を見て気を良くしたダロムとバラオムに続き、ビシュムの放った命令により、光太郎を囲った怪人の数体が輪から飛び立ち、別々の方へと移動を開始した。命令通り、人間を狩る為に。

 

だが、大怪人達は誰1人気が付くことがなかった。普段なら無関係の人々を巻き込むことに強い怒りを抱く光太郎が何も言わず、ただ周囲の怪人を警戒していることに留まっていることに。

 

 

 

ビシュムの命令を聞き、怪人が行動を開始した姿を見た士郎は後を追おうと踏み出すが、自身のサーヴァントへ止められてしまう。

 

「セイバー、どうして止めるんだ!?早くしないと―――」

「いえマスター、追う必要はないからです。追うまでもなく、あの怪人は避難している人々へ向かう事ができないからです」

「え…?」

 

セイバーの言った事を士郎が理解したのは、その直後の事だった。

 

『ギエェェェッ!?』

 

飛行中のタカ怪人やツルギバチ怪人が悲鳴を上げながら落下していき、地をかけていたクロネコ怪人、コブラ怪人は見えない壁に阻まれているかのように、その場から一歩も進めないでいた。

 

「…なるほど。重い腰を上げてくれたってことか」

「そうみたいですね」

 

この現象に関与している存在の正体を知った慎二と桜は上空にいる人物の姿を発見する。

 

彼女は黒いローブを翼のように展開し、上空からゴルゴムと光太郎達をドーム状の結界で覆っていた。

 

「まったく、まだ怪我が回復し切れていないというのに、なんて人使いが荒いのかしら」

 

皮肉を口にしながら、慎二達と同じく自分を見上げている光太郎へと目を向ける。

 

「御膳立てはしたのだから、しっかりと結果を出しなさい」

 

キャスターはより強く魔力を展開。視認が出来るほどの結界を強化した。

 

 

 

 

「キャスター。協力、感謝します」

「行きましょう、ライダー!」

 

ライダーは空で自らの役目を果たしている協力者に礼を言いながら、未だに人々への元へ向かおうとしている怪人達に向けて、セイバーと共に駆けて行った。

 

 

 

 

 

「お、おのれ!!味な真似をしおって…!!こうなれば先に仮面ライダーを片付けるのだ!!!」

 

ダロムの命令で光太郎を囲っていた怪人が一斉に動き出す。ビシュムの命令で数は減ったものの、まだ90以上の怪人が残っている。圧倒的に不利な状況となっても、光太郎は慌てるよう様子を見せずに行動を開始した。

 

左右に広げた両手を銀色のベルト『エナジーリアクター』の上で拳を重ねると同時に、ベルトの中心から赤い光が放たれる。

 

 

「無駄よ!キングストーンフラッシュを放とうが、結局は一方向にしか向けられない!全方位からの攻撃にどう対処できるのかしら!!」

 

光太郎の行動を見たビシュムは勝ち誇ったようにあざ笑うが、彼の行動は止まらない。

 

発光の後、右手を前に突出し、左腕を腰に添えた構えから両腕を大きく右側へ振るい、右頬まで握り拳を作る。さらに右拳を力強く握りしめると、右拳に赤い光が宿っていく。

 

 

「この状況でライダーパンチだと…」

 

あの技を放つ時は決まって1体1の場合のみであり、あのように大勢に囲まれた時には使わない。光太郎の行動を疑問に思ったバラオムは、次の行動と結果にさらに混乱することとなった。

 

 

 

 

「ウオォォォォォォォッ!!!」

 

 

 

 

咆哮と共に、光太郎は赤い光を纏った拳を『地面』へと打ちつけたのだ。

 

 

光太郎の打撃によって水面に波紋が広がっていくように地面へ拡散する衝撃。それと同時に多くの怪人の動きがピタリと止まったのだ。動きを止めた怪人達を不思議に思ったのか、まだ動きの取れる怪人達は光太郎への

攻撃を忘れ、周りにいる仲間を見渡している。

 

そして動きを止めた怪人達の変化が始まった。

 

怪人達の体色が灰色へと変わり、段々とひび割れていく。

 

「こ、これは…!?」

 

驚きを隠せないダロムを余所に、地面へ突き立てた拳を抜き、光太郎がゆっくりと立ち上がると同時に、大半の怪人が砂となってその形を失った。

 

 

「な、何が起きたのよ!?」

 

驚いたのはその様子を見ていた凛も一緒であった。あれ程の怪人を一気に無力化しながらも、光太郎には疲労した様子はなく、残った怪人への攻撃を開始している。

 

 

「またぶっつけ本番とは、無茶をするものね」

「キャスターさん、あれって…」

 

結界を張り終えて役目を終え、着地したキャスターへ桜が尋ねる。当然と質問と思ったキャスターは何ら不思議なことではないように答えるが、その内容にこの街のセカンドオーナーはさらに声を上げることになってしまう。

 

「あの怪人達は地脈を使って…というより地脈を動力源に動いていたらしいわね。だから彼はキングストーンで地脈に同期して、力の配給を一方的に遮断しただけよ」

「は、ハアァァァァァァァァァッ!!」

「遠坂うるさいよ」

「遠坂先輩静かにお願いします」

 

もはや悲鳴よりも絶叫に近い凛のリアクションに耳を抑えている間桐兄妹の反応は冷たかった。

 

「と、遠坂?それって、そんにすごい事なのか…?」

「すごい事どころじゃないわよこのスカタンッ!!」

 

と、士郎の胸倉を掴み、ブンブンと揺らしながら質問に答えた。

 

「地脈の力を利用することなんてごく当たり前だけど、それに干渉するなんてとんでもないリスクがあるのよ!変にマナの流れ変えたり、破壊したその日にはバランスが崩れて冬木にどんな厄災が降りかかるかわかったもんじゃないわ!!!」

「わ…わかったから、離してぐれ、ドオザガ…」

「アンタ達もちょっとは驚きなさいよ!!なんでこんな事を平然としでかすのよあのお兄さんはッ!!」

 

 

エチケット袋が必要かも知れない程に揺らされいる士郎を余所に、犬歯をむき出しにしている凛のターゲットはキャスターの言った内容に驚きを見せない慎二と桜である。凛の言う事にお互いに顔を合わせた兄妹はさも当然であるかの

ように答えた。

 

「光太郎だしな」

「光太郎兄さんですし…」

「なんっなのよその説明不要と言いたいばかりな回答!!魔術師としてそれでいいわけ!?」

「少しは静かになさい、はしたない」

 

荒ぶる凛に待ったをかけたのはキャスターだ。

 

「元々ありえない事象を理論を積み重ねて可能としたのが魔術。それを自分の理解の範疇を超えたくらいで取り乱すなんて、管理人としては恥ずべき行為よ」

「む…」

 

まさか神代の魔術師に諭されるとは思いもしなかった凛は落ち着きを取り戻し、士郎を介抱する。当の士郎はといううと間桐兄妹に肩をかり、レスキューセットにあった酔い止めの薬にお世話になる羽目となってしまった。

 

 

凛へは落ち着かせる為に説明した内容だが、それは光太郎が会得しようとしたものの副産物に過ぎない。

 

理論だけは説明したキャスターであったが、まさか実践するつもりでいたとは夢にも思わなかったのだ。

 

(しかし、これで彼に取っては準備が整ったことになる。『最悪の状況』になった時の為に)

 

 

その状況が訪れないことをキャスターは自然と願ってしまった。もし訪れてしまったら、ここにいる兄妹と、彼のサーヴァントを確実に泣かせることになってしまうから。

 

 

 




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