Fate/Double Rider   作:ヨーヨー

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鎧武とは、アダムとイヴのお話だったのですね…

精神世界での会話は、何かグッとくるものがありました…そして来週ついに最終回!!
ネットで出てきたライダーの名前を聞いて、お嬢様の馬になりたいという13歳の聖闘士を思い出したのは自分だけではないはず!!

では、49話です。


第49話『隠者の影』

「ほう…」

 

ゴルゴムの神殿奥に位置する玉座に座している世紀王シャドームーンは思わずそんな声を漏らした。

 

シャドームーンの前に映し出されている立体映像…仮面ライダーに変身した間桐光太郎が90体近くの怪人を砂へと返し、残る怪人を一掃すべく動き始めた場面であった。

 

「キングストーンの力をあのように引き出すとはな。ダロム達には荷が重かったのかも知れん」

 

その言葉は力を増した光太郎への警戒ではなく、嗟嘆に近いものであった。

 

 

 

 

シャドームーンの望みは、世紀王ブラックサンと全力でぶつかり合い、勝利して創世王となる事。その為には光太郎にはまだ力不足であると考えたシャドームーンは、秋月家の墓前での戦いにおいても

、勝利を目前にして彼を見逃している。

 

後に創世王が知った際はゴルゴムの秘密基地全体を揺るがす程の怒りを買ってしまったが、怯える大怪人達を余所にシャドームーンは恐れなく物申した。

 

ブラックサンがどれほどの力を身に着けようが、創世王の加護がある自分に敗北などありえないと。

 

シャドームーンの言葉に納得したのか、創世王の意志はその場から消失する。創世王の気配が完全に消えたことに安堵したダロム達は、言うまでもないことを、シャドームーンへと進言する。

 

「シャドームーン様…ご存知の通り、創世王様には時間が…」

「わかっている」

 

世紀王であるブラックサンとシャドームーンが目覚めるということは、同時に創世王の寿命が刻一刻と迫っている事を意味している。そして寿命が尽きる期限は――

 

「太陽の黒点が、消滅するまで…」

 

光太郎とシャドームーンが最初に戦った後に発生した巨大な太陽黒点。まるでその時から秒読みを開始されたかのように、事態は大きく動き始めていた。

 

 

 

 

 

 

「どうやら私の危惧は抱く必要もなかったようだな」

 

冬木の新都へ100体以上の怪人を差し向けたのは、世界征服の第一歩でもあるが、シャドームーンにはもう一つの狙いがあった。

 

宿敵ブラックサンの出方を見るためだ。

 

怪人1体ずつ戦うという愚かな方法ではなく、地脈という怪人達を生かしている根本を立つという策を講じるまでキングストーンの力を使いこなしている。

さらに振るう力も自分と戦った時と違い一切の迷いがなく、その技で1体、また1体怪人を葬っている。その場にいる大怪人達は、さぞ青い顔をしていることだろう。

 

その証拠にバラオムは待機させていた別部隊の怪人達をブラックサンへと向かわせている。

 

以前はパワー負けしていたサイ怪人の突進にも真正面から受け切り、角と頭部をつかみそのまま持ち上げるという力技を見せた。両腕が塞がっている姿を好機と考えたビシュムはタカ怪人へ低空飛行し、光太郎の両足を自慢の爪で切り裂けと命令。

バランスを崩し、落下するサイ怪人で押し潰そうと考えてたのだろうが、ブラックサンに慌てる様子は一切ない。

 

 

 

予測ではなく、確信していたのだろう。

 

 

自分の背中を守る英霊が現れることを。

 

 

 

抵抗飛空していたタカ怪人の翼はライダークラスのサーヴァントが放った短剣に貫かれ、磔にされてしまった。悶えるタカ怪人が最後に見た光景は、自分に向けて落下するサイ怪人の姿であった。

 

2体の怪人が爆発した直後、サーヴァントはブラックサンと背中を合わせ周囲を見渡す。怪人達もタカ怪人とサイ怪人の最期を見て、安易に飛び掛かろうとしない。睨み合いが長く続くと思われたが、ブラックサンに動き始めていたがあった。

 

その場からジャンプするが、飛んだ距離は精々4,5メートルであり、それも単純に真上である。怪人達おろか、ダロム達にも何が狙いなのか定まらない。ブラックサンが空中で静止したその時、彼の足にサーヴァントの投げた鎖が絡まった。

ブラックサンに注目するばかりで彼女の存在を忘れていた怪人達は、サーヴァントが次に起こす行動へただ驚くしかなかった。

 

鎖をマスターであるブラックサンの足へ縛り付けたサーヴァントは、なんと手に持った鎖を振り回し始めたのだ。そのスピードは華奢な細腕から繰り出しているとは考えられない程速く、遠心力で砂埃が発生している。

サーヴァントを中心とした竜巻は衰えることを知らず、周囲の瓦礫すら持ち上げ始めている。そんな中、吹き飛ばされないように耐えていた怪人達に異変が起こる。

 

鋭い刃で斬られたかのように身体が裂かれ、次々と五体バラバラとなっているのだ。

 

シャドームーンの強化された視力は映像越しでもその原因を捉えた。

 

鎖で足を縛られ、回されているブラックサンは自身のサーヴァントが竜巻を発生させたと同時に、バイタルチャージで自身の手に力を集中。手刀を伸ばすことで身動きの取れない怪人達を回転しながらもライダーチョップを仕掛けていた。

 

鎖の先端にブラックサンという刃を装備し、怪人たちを一方的に切りつけているのだ。

 

このような馬鹿げた攻撃など、誰も予測できない。否、だからこそ仕掛けたのだろう。ブラックサンが先に見せた怪人達と地脈のリンクを断ち切る能力。これに警戒していた怪人達にとって効果は絶大だったのだろう。

 

シャドームーンは即興で攻撃を思いついたことは勿論だが、一言も交わさずに意志の疎通を見せた2人の絆。そちらの方へと感心が寄せられた。

 

 

「あのサーヴァントは、ブラックサンの力を最大限にまで引き出させる。そう…あの時のように」

 

 

シャドームーンへ初めてダメージを与えた時…それは、サーヴァントを守るためだった。秋月信彦であったシャドームーンへの迷いから全力を出せないでいたが、彼女を消そうとした途端に立ち上がり、拳で殴り飛ばしていた。

 

 

「…気は熟したか」

 

 

「お出かけするのですかな?世紀王よ」

 

 

玉座から立ち上がったシャドームーンは自分を呼ぶ声の方へと顔を向ける。その男は、不気味なゴルゴムの基地には似つかないカソックを見に纏い、底の知れない暗い瞳で微笑んでいた。

 

「…あの場へと声を届けるだけだ」

 

宿敵との決着に昂った感情は、そのまま男への殺意と切り替わる。だがこの男はそれをものともせず、寧ろ楽しんでいるようにも見えた。

 

ゴルゴムに冬木の聖杯の情報を提供したこの男に興味が湧き、謁見を許したシャドームーンだが、男の放つ『異様』に警戒心の方が勝ってしまった。今は聖杯を手に入れる為にゴルゴムへの接触を許しているが事が済み次第、処分しなければならない。

 

そうシャドームーンの本能が告げているようだった。

 

「………」

 

無言で足を進め、男とすれ違うシャドームーン。玉座の間から出ようとした途端、男の言葉がシャドームーンの動きを停めてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

「もし、間桐光太郎との決着に付けるときにはいつでもお声掛けを。あの男を弱らせる方法なら、『いくつも』知っている」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男の足元が激しい斬撃によって抉られたのはシャドームーンが振り返ったと同時だった。

 

 

 

「勘違いをするな。貴様は聖杯の情報を我々に提供しただけであって、ゴルゴムとなったわけではない。余計な事を言えば命はないと思え」

 

サタンサーベルの切っ先を男の喉元へと突きつけるシャドームーン。 自分に声をかけた時以上の殺意を向け向けいるというのに、男は動揺するどころか微笑みすら浮かべていた。

 

「これは御無礼を。私が容喙するべきではなかったようですな」

「…………………」

 

自分が目を向けるだけで人間どころかサーヴァントすら怯えるというのに、サタンサーベルを向けてもこの男は怖気る様子をまるで見せない。変わらず、口を歪めているだけだ。

 

「…貴様は聖杯に関してこちらの聞きたい事だけに答えればいい。いいな」

「御意に」

 

切っ先を下ろしたシャドームーンへと頭を下げる男を尻目に、シャドームーンは今度こそ玉座の間から離れて行った。

 

 

シャドームーンの背中を見る男は、映像に移っている黒い戦士へと目を向けた。

 

 

 

「弱らせる方法…個人的には試してみたいものだったがな」

 

 

男がシャドームーンに伝えた方法は、相手を不利にさせようとした以外の理由があった。いや、それ以上に男はそうなる場面を望んでいた。男の知る限りの方法で、苦しませ、絶望する姿を見てみたい。

 

狂気としか言いようのない思考を巡らせながら男―――言峰綺礼は映像を見続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダロムは呆気にとられていた。予測の付くはずのない攻撃で次々と怪人の大半を殲滅させた仇敵は、僅かにも敵に囲まれているというのに―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地面に手と膝を付いた状態でパートナーであるサーヴァントに背中を摩られていた。

 

 

 

 

 

 

 

「うごぉっぷ…この姿でも、やっぱり酔う時は酔うんだね…」

「…変身はまだ解除しないで下さいね」

 

冷静なパートナーの意見に光太郎は親指と人差し指で丸を描くジェスチャーをする。どうやら話すのも辛いらしい。その姿に溜息を付く傍ら、ライダーは自分達を囲う怪人達の様子を見る。相手にとっては奇策の連続で、今の自分達の姿も何等かの罠ではないだろうかと警戒している。

 

純粋に光太郎が気分を悪くしているだけではあるのだが、誤解してくれたままの方がありがたい。どうにか光太郎が回復するまでこのままの状態が続いてくれればと考えていたが…

 

 

「馬鹿にしおってぇ…!!行け、サンショウウオ怪人ッ!!」

 

 

痺れを切らしたバラオムの命令を聞き、ギルガメッシュからのダメージが回復したサンショウウオ怪人が光太郎とライダー目掛け、雄叫びを上げて突進する。大きな口を開け、ライダー達へ溶解液を被せようとするが、その動きはピタリと止まってしまう。

 

鎖を手にしたライダーが見たのは、痙攣するサンショウウオ怪人の胸から飛び出した真紅の槍先であった。

 

 

「さっきの連中と同じく、しぶといねぇ。人間で言やぁ心臓貫いてるはずなのにまだ動こうとしやがる」

「ならば、後押しをするとしよう」

 

怪人に隠れて見えないが、聞き覚えのある声が光太郎とライダーの耳に届いた。

 

「んじゃ、任せるわ」

 

軽い声と共に槍が引き抜かれた直後、貫かれた傷口に向けて3つの斬撃が同時にサンショウウオ怪人へと叩き込まれた。斬撃の衝撃が体内へと直接受けてしまったサンショウウオ怪人はその場で燃え上がり、灰と化してしまった。

 

「ふう…助かったよ」

「…拡散した怪人は片付いたようですね」

 

回復し、立ち上がった光太郎とライダーはサンショウウオ怪人を倒した人物へと感謝の言葉を送った。

 

 

 

「ありがとう。ランサー、佐々木さん」

 

 

2人のサーヴァント―――ランサーは槍を肩に担ぐとニヤリと笑い、アサシンこと佐々木小次郎は愛刀を振り払うと不適に微笑んだ。

 

 

 

 

「どうやら、『用』というのは済んだようね」

 

自分のサーヴァントの出現はともかく、ランサーの出現に1人納得したキャスターは浮遊魔術で光太郎達の元へ向かおうとしたが、成り行きを見ていた凛に待ったとかけられた。

 

「待って。桜の家にいた時も不思議に思ったけど、なんでアサシンが新都に来れる訳?彼は栁洞寺の山門から動けないはずじゃ―――」

 

凛の質問より早く、キャスターは紐で繋がれた小瓶を懐から取り出した。その中には小さな木屑、そして小石が入っている

 

一体何を…と考えたが凛は合点がいった。彼女の表情を見て、説明が必要ないと判断したキャスターは光太郎達の元へと飛行した。

 

「まさか…そういうこと?」

「何がだよ、遠坂」

「…アサシンの媒体が栁洞寺の山門ってことは知ってるわよね?」

「あ、ああ。慎二からそう聞いてたけど」

「キャスター…山門の一部分を持ち歩いて、それを中継点としてアサシンの活動範囲を広げてるわ」

 

つまりキャスターは栁洞寺の山門を一部削り取り、携帯しているということだった。バチは当たらないのだろうか。そんな事を考えながら、合流するサーヴァント達へと士郎は視線を移した。

 

 

 

キャスターが光太郎達の元へと着地すると、颯爽と銀の甲冑を纏ったセイバーが現れる。

 

「どうやら私が最後のようですね」

「セイバーも、お疲れ様」

 

光太郎の労いの言葉を受けたセイバーは頷くと、周りに立つ自分と同じ存在を見渡す。

 

「まさか、このような形で貴方達と戦いを共にするとは…思いもしませんでした」

「私も同意見です」

「言っておきますけど、私は利害が一致しているだけのことよ。仲良しごっこをするつもりはないわ」

 

セイバーに賛同するライダーに対し、プイっとソッポを向くキャスターの姿に青いサーヴァントはニヤニヤと笑いながらからかい始めた。

 

「素直じゃないねぇキャスターさんは。俺の依頼を聞く代わりに手を貸すって条件を今すぐ!って慌てて連絡寄越したくせによぉ」

「ほぉ。それは殊勝なことだな。同盟相手にそこまで気を使うとは」

 

ランサーの暴露に興味を抱くアサシンは横目で長い耳をピクピクと動かして取り乱すキャスターを見る。これは面白い話を聞いたと言わんばかりに…

 

 

 

 

その光景は本来、ありえない構図だった。

 

自分の願いを叶える為、自分を召喚した魔術師との利害の一致の為にしか動かないはずの英霊達が、殺し合いをせず一つの場所へと集っている。

 

それも、1人の存在を中心に、この場所へと集った。

 

 

 

光太郎を中心に並ぶサーヴァント達。

 

ライダー

 

セイバー

 

ランサー

 

キャスター

 

アサシン

 

 

理由は違えど、目的は一つである彼等は、聖杯を狙う共通の敵へと相対した。

 

 

 

「ゴルゴムッ!貴様達のような悪魔の集団に、聖杯を使わせるなど俺達が絶対に許さんッ!!」

 

 

 

 

 




ご意見・ご感想お待ちしております!

特に今回は神父の口調に自信が全くありません…
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