Fate/Double Rider   作:ヨーヨー

65 / 80
明けましておめでとうございます!

おせちは伊達巻があればそれでいい私ですが、最近になって数の子に目覚めてしまったり…

では新年一発目の63話となります


第63話『勝利への算段』

「間桐光太郎ッ!!何とかならんのかッ!?」

「いきなりなんだッ!?」

 

ダロムの放った怪光線を夫婦剣で弾きながら、アーチャーが光太郎へ非難の声を浴びせる。同じくダロムの怪光線を必死に回避しながらも返事をする光太郎に赤い弓兵は目を吊り上げて叫ぶ。

 

「決まっている―――」

 

 

 

「後ろで私達を楽しそうに傍観している最古の王とやらをだッ!!!」

「あ~…」

 

 

こればかりは光太郎もすぐに言葉が浮かばなかった。

 

事実、アーチャーの言う通りギルガメッシュはダロムと戦っている光太郎達から離れ、安全圏から眺めている。サーヴァント同士で一致団結した直後にこのような行動を目の当りにすれば、さぞご立腹となろう。

 

光太郎に取っては見慣れた行動であったが普段と異なる点があった。ギルガメッシュが戦いを傍観に徹している際は決まって不敵に笑っているのだ。戦いを面白がっているのか、予測の付かない行動を期待しているのか判断出来ない笑みであるのだが、今回は口元を歪めるどころか喜怒哀楽どの表情も浮かべず無表情でいる。

眼を凝らし、ダロムを含め自分達の行動一つ一つを吟味しているかのように…

 

離れて戦いを見ている慎二と桜も気付いたのか、先程までギルガメッシュへと標準を合わせていた武器をあっさりと下げて様子を伺っている。その背後で何やら士郎と凜が『ようやく止めてくれた…』と言わんばかりに肩で息をしているが、光太郎は意識を切り替えてアーチャーへと声を放つ。

 

「け、けどさっきの見たアーチャーならわかるだろう?ギルにとっては相性が悪すぎる…!」

「チッ…」

 

光太郎のフォローに舌打ちするアーチャーは自身に迫った光線を再び弾き返す。

 

アーチャーが反論できない理由は、戦力を分断された直後のことであった。

 

 

 

 

変貌した3大怪人の攻撃を回避したアーチャーは着地と同時に矢を番え、土埃でまだこちらを視認していないダロムへと狙いを定めていた。

 

未だこちらに気付かないダロムの攻撃を封じるために口を標的にして矢を一射。そして合間を開けず二射、三射を眼に向かって打ち放つ。

 

その射撃間隔は一秒にも満たない。

 

回避不可能の矢を受けたダロムは攻撃手段を一つ失うと同時に視力が奪われる、はずだった。

 

 

「何ッ!?」

 

アーチャーの回避が間に合ったのは、己のクラス故の超人的な視力が持っていたからであろう。そうでなければ、自分自身の放った矢が倍以上の速度で返された事に気付くこともなく串刺しにされていたのだから。

 

「念動力…!」

 

獣の如く雄叫びを上げるダロムの能力を口にする光太郎は地を蹴り、アーチャーの方へと意識を向けているダロムの胴体へと拳を打ち付けるべく力を込めた。充分な間合いへと接近し、いざ繰り出そうとした時、拳がピクリとも動かなくなってしまう。

 

「くっ…!?」

 

グルリと不気味に首を回したダロムはカシャカシャと顎を震わせ、声を放った。

 

「無駄ダ…以前ノ私でハないのダ…」

 

完全に甲殻類の鋏と化した腕を振り下ろすが、光太郎は強引に身体を捩じってこれを回避。念動力によって動きが止められていたのは拳だけであった為か難を逃れたが不利にあることは変わりない。

まるで壁に磔されたかのように拳を空気中で固定されてしまった光太郎へ次々とダロムの腕が襲う。避ける度に耳へと響く空気を切る音へ神経を研ぎ澄ましながらも光太郎は反撃の機会を待つ。

確かに不利な状況だが、ダロムは過信からかゼロ距離の怪光線を放ったり、光太郎の全身を念動力で止めるという手段を取っていない。

 

積年の恨みを晴らす為に光太郎を自分の手で一方的に蹂躙する。

 

理性が消えかけても光太郎への憎しみだけは消えず…いや、聖杯の呪いによってより増大している可能性もあった。

 

ダロムに付きいる隙があるとするならば、恨むべき対象にしか目に映っていない瞬間。

 

それをアーチャーは見逃さなかった。

 

 

 

「ヌぅ…!?」

 

光太郎に向けて腕を振り上げた途端、自身に幾本もの短剣が回転して迫る事に勘付いたダロムは念動力により全ての剣を静止させる。ダロムを囲ったのは十振り以上の白と黒。アーチャーが生み出した夫婦剣であった。

 

「おレれ…奴は何処ニ…」

 

静止している剣達を隠れ蓑に接近していると考え、周囲を見渡すダロムだったが眼球のみを上空へと向けることで敵を捉えることが出来た。

 

アーチャーはダロムの真上から両手に持った夫婦剣を同時に振り下ろす。しかもダロムに放ったものと異なり、刀身の長さは倍以上、刃は竜の鱗を思わせるように尖り、鋭利なものへと変貌している。

 

自分を囲う囮への念動力を解除し、肉迫するアーチャーへと向けようとした。だが、ダロムが解いてしまったのは剣だけではなかった。

 

 

「トァッ!!」

「グぉッ!?」

 

拳が自由となった光太郎の回し蹴りがダロムの背中にめり込む。衝撃により仰け反るダロムの肩に一対の刃が触れた瞬間、鉄を削るような甲高い音を立てて斬り裂いた。

 

「…っ!?」

 

その驚きは攻撃を当てたアーチャーのものだった。

 

肩から斜めに斬られた傷口から黒いタール状の液体が浮き上がり、一瞬でアーチャーの斬撃によるダメージを塞いでしまう。

 

「フハははははハハハハ…」

 

ダロムが高笑いする間に離脱し、距離を取った光太郎とアーチャーは改めて切り裂かれた箇所を見る。液体…恐らくダロムが取り込んだ聖杯の泥により治癒されてしまっている。バラオムやビシュムと比べ、体内にある聖杯の泥の密度が圧倒的に高いだろう。

 

 

「斬られた直後に再生とは…恐れ入ったな」

「加えて下手に接近すれば念動力で囚われて、離れても…」

 

「さァ…こチらの番だァッ!!」

 

ダロムが大きく口を開いたと同時に、背中に生えた節足が一斉に光太郎とアーチャーの方へと向けられる。互いに声を掛け合う間もなくその場から急ぎ移動した2人へ怪光線が放たれた。口からだけでなく、節足の先端からもレーザー光線を発射され、2人が先ほどまで立っていた場所は大きく窪み、溶けた土が熱を帯びて煙を上げている。

 

「素晴らシい…素晴ラしイ力だ…こノ力さエあれば仮面ラいダーなド…」

 

高揚感に浸るダロムは再び逃げ惑う2人に対して光線技を斉射を始めたのだった。

 

 

 

 

 

(あの戦い方を見れば、そりゃギルも大人しくなってしまうよな…)

 

回避しながらも相変わらず腕組みをしている黄金のサーヴァントへと目を向ける光太郎。

 

ギルガメッシュの基本戦法は数多の宝具を『王の財宝』を展開し、相手に反撃や回避を許さない一斉射出にある。だがダロムは強化された念動力により先に仕掛けたアーチャーの矢を全て受け止め、倍以上のスピードで投げ返している。

その光景を見ていたギルガメッシュは一度展開しかけた宝具を収納。光太郎やダロム達から離れ、戦いを眺め始めたのであった。

 

もしギルガメッシュが宝具をダロムに向けて射出していたのであれば全てが念動力によって止められ、ギルガメッシュに向けて反射されてしまうが、そうなれば再び彼の宝物庫へと戻るだけであり、彼が自らの攻撃で傷を負うことはまずない。

しかし、それではギルガメッシュの攻撃はダロムに決して当たることはない。

 

それに怪光線の雨を掻い潜り、念動力をさけて何度か攻撃を仕掛けてもダメージを泥によって回復されてしまっている。ギルガメッシュが宝具の射出口をダロムの眼前にして攻撃したとしても、直ぐに再生されてしまっては意味がない。

 

 

そんな可能性も踏まえて、ギルガメッシュは自分では敵わないとダロムとの戦いには参加しないつもりなのでは…

 

この時までは、誰もがそう考えていた。

 

 

 

 

「ふハハは…どウしたのダ…避ケるだけになっテいるぞ?」

「くっ…」

 

怪光線を照射し続けるダロムの余裕に光太郎は反論する余地もなく、ただ避けるために身体を動かし続けるしかなかった。そんなおり、ダロムの身体から黒い霧が発生していることに気付いた光太郎とアーチャーは思わず上を見上げる。そこにはダロムを奇怪な姿へと変貌させた雲…聖杯の呪いが徐々に広がりつつあったのだ。

 

「ダロム…貴様まさかっ!?」

「ソの通りダ…こノ呪いを拡散さセ、冬木に残ル人間どもニ死を与えテくれル…!」

「そうはさせ…ぐわぁっ!?」

 

ダロムを起点とし、次々と拡大していく黒い雲。止める為にかけよる光太郎へ念動力によって飛ばされた石礫が次々と投擲される。アーチャーも同様に次々と飛んでくる石を剣で弾き落すしか出来ずにいた。

 

 

 

距離を置いて戦いを見守っていた慎二達もダロムの発生させた黒い雲を警戒する中、桜は戦いを傍観しているギルガメッシュに目を向けた時、あるものに気付いた。

 

「あれ…?」

 

不思議に思い、声を上げた義妹の反応が気になった慎二はその視線の先にある人物を見る。相変わらず必死にダロムの光線技を避けている光太郎達の動きを見ているだけの英雄王に僅かながら動きがあった。気にしなければ気にも留めない、些細な動きだ。

 

「…そういうことか」

「はい…」

「そこ、2人で納得してないで説明しなさいっ!」

「俺からも頼む」

 

最初こそ動かない英雄王に対して文句どころか攻撃をしかけようとした慎二と桜が彼の仕草を見て納得した姿に待ったをかけた凜と士郎は説明を求める。一度互いの視線を合わせた間桐兄妹は、質問者2人の視力が常人より上であることを前提として

回答を始めた。

 

「アイツが組んでる腕…よく見りゃ動きがあるのわかるか?」

「動きって…人差し指動かしてるみたいだけど」

 

慎二の指摘に凜はギルガメッシュが組んだ腕に沈みがちではあるが、確かに人差し指を定期的に動かし、二の腕を覆う黄金の甲冑を突いているようにも見える。

 

「あれがどうかしたのか?」

「はい、ギルガメッシュさんの癖見たいなものなんです…」

 

 

桜は士郎へ説明を始める。

 

以前、毎度の如く間桐邸にアポ無しで乗り込んできたギルガメッシュに一泡吹かせようと慎二が巷で流行り出している戦略テレビゲームで勝負を挑んだ時のことだ。

勝負事を挑まれたなら受け入れてこその王であると承諾したギルガメッシュに慎二はほくそ笑む。慎二はそのゲームデータに予め細工を施し、ギルガメッシュが圧倒的に不利な状況を作り出していたのだ。

遅れて帰ってきた光太郎やお茶を準備していた桜の見守る中、慎二が圧倒的に有利にゲームが展開されていく。思い知ったか言わんばかりにと横目でギルガメッシュの方へと向けると、彼は怒りも笑いもせず、画面と説明書を交互に睨んでいた。

いくらでも待ってやるよとニヤニヤする慎二を余所に、ギルガメッシュはゆっくりと腕を組み、人差し指でトントンをリズムを付けて二の腕を突き始めた。

それから数分後、ピタリと指を止めたギルガメッシュの表情は打って変わり獰猛な笑みへと変わる。そしてゲームが再開され、結果はギルガメッシュの逆転勝利で幕を閉じたのであった。

 

 

「つまり、あれはギルガメッシュさんのシンキングポーズ…見たいなものなんです」

「じゃあ、あいつは戦いを放棄したんじゃなくて…」

 

士郎の質問にコクリと頷いた桜は、再び視線を義兄達へと戻す。

 

「あの人も…簡単に諦めるような人ではありません。だって、光太郎兄さんのお友達なんですから」

 

 

桜の発言に応えたかのように、ギルガメッシュの指がピタリと止まる。同時に、見る者が慄くような笑みを浮かべて…

 

 

 

 

 

「くっ…せめてあの雲の拡散だけは防がないと…!!」

 

怪光線を躱し、岩石を砕きながらもダロムの元へ進んで行く光太郎の耳元に、風音が響く。それは段々と強まっていき、辺りを見ると自分やアーチャー、ダロムを囲うように発生した竜巻が発生。光太郎達は竜巻に閉じ込められる結果となるが、これは自然現象でないことは明白だ。

ならば犯人は…

 

「ずいぶんと苦戦しているようではないか」

「ずいぶんと遅い到着で…」

 

光太郎の元へと悠々と歩いてくるギルガメッシュの手には巨大で古風な団扇が握られている。この常識外れな動きをする風はこの団扇…宝具で発生させたものなのだろう。その恩恵か、黒い雲は拡散することなく、未だ上空を漂っている。

 

「ここまで動いたというのなら、算段があってのことなのであろうな?英雄王」

「あるからこそ貴様等の方へ態々足を運んでやったのだ」

 

合流したアーチャーの皮肉にも動じず、ギルガメッシュは当然のように答える。突然の竜巻の出現にダロムが驚いている間に指示を終えたギルガメッシュに、光太郎は迷うことなく首を縦に振った。

 

「正気か間桐光太郎…貴様、そんな無謀な策に乗るつもりか?」

「今は、それしかない」

 

アーチャーの意見に即答する光太郎に迷いはない。アーチャー自身も理解していたつもりだったが、この男は一度決めたとなると、揺るがすことは難しい。

 

「…どうなっても知らんぞ」

「そっちも、『準備』を頼むよ!!」

 

相手の反応も待たずに光太郎はダロムに向かい、全力で駆けていく。ダロムも標的の方から姿を現したことに狂喜し、再び攻撃を開始する。ダロムの感情に同期しているかのように、黒い霧は勢いを増して発生させたまま…

 

 

「予想以上に食いついたか…所詮獣の類か」

「一つ答えろ、英雄王…」

 

ダロムの姿を嘲笑するギルガメッシュに、アーチャーは声を鋭くして尋ねる。答えなければ自分は指示を受けた通りに動かない。そう目が訴えているように…

 

「…………詰まらぬことならば容赦せんぞ」

「なぜ、そこまで奴のやり方に合わせる?貴様が動いたのなら、1人で十分と思えるが…?」

「…………………………」

 

自分を睨むように見つめるアーチャーを横目で眺め、その視線を徐々に、光太郎へと移していく。怪光線を浴びて身を焦がし、飛来する岩を拳で砕きながらも前へ進んでいく光太郎の後姿を見みながら、弓兵の質問に答えた。

 

「これは、元々奴1人が背負うべき戦いだった」

「……………………」

 

それは知っている。ゴルゴムという巨大な組織を裏切り、ただ1人で挑んだ男。それが、間桐光太郎…仮面ライダーの戦いだった。

しかし、ギルガメッシュは興味本位で彼に近づき、接する度に理解をするようになってしまった。彼は背負って戦っている。自分だけではなく、他人の命を、願いを。頼まれたわけでもなく、自身の意思で戦いを始めたのだ。

 

自分のような存在を、もう生み出さない為に…なんと単純で、愚かな理由なのだろう。だが、彼は徹底し、その道を貫いてきた。それを証拠に彼の周りにいる人々に笑顔が絶えることなく、彼の守った平和と知らずに興じている。

彼の揺るぎない意思によって影響されたのは同じ人間だけでなく、理解し合えるはずのない怪人やサーヴァントにも至った。

 

ならば、最後まで信念を貫く姿を見届けなければならない。その結果が彼自身の自滅なのか。成し遂げるのか。それに最後まで付き合うのが王である自分の務めなのだ。

そして無意識ではあるが、自分も影響を受けていると、ギルガメッシュ本人はまだ気づいていない。

 

 

「ようするに、腐れ縁が出来たから最後まで付き合うということか」

「貴様如きの感性ではそのような捉え方しかできまい」

「…まさか、私を匿ったのもそれに利用する為か?」

「…手駒は多いことに越したことはあるまいよ」

「まぁいい。そう言うことにしておこう」

 

ギルガメッシュの回答に満足したのか、アーチャーは一歩前に出ると意識を集中させる。自身の力を最大限に発揮する為の『スイッチ』を入れるために。

 

 

 

 

 

 

 

『―――体は剣で出来ている(I am the bone of my sword. )

 

 

 

 

 

「ぐぅ…!?」

「フハは…良イ様だ…ッ!」

 

ギルガメッシュの指示を受けた光太郎はただ、ダロムへと戦いを挑んでいた。ダロムから発生している霧には一切気にかけず、奴を自分に釘付けにさせろ、と。光太郎はギルガメッシュの言葉を信じ、ひたすらに動き回り、攻撃を受け続けた。

 

だが接近するにつれて攻撃は受けやすくなり、何度敵の光線を浴びたかも覚えていない。そして遂に膝が地を付き、ダロムがこちらを見下ろす形となってしまう。

 

「さぁ、今度こソ止めヲ…ムッ!?」

「…これは…!?」

 

異変に気付いたのは同時だった。周囲の空気が変わっていく。激しい風が巻き起こっているのは変わりないが、それだけでなく『空間』そのものが入れ替わっていくような違和感…

ダロムは原因であり、離れた地点で動きを見せる存在に気が付いてしまった。

 

「おのレッ!!一体何ヲ…ッ!!」

「お前の相手はこっちだッ!!」

 

念動力で岩石を飛ばそうと振り上げた腕を掴まれたダロムは振りほどこうとするが、光太郎は一向に離さない。

 

 

 

 

血潮は鉄で、心は硝子(Steel is my body, and fire is my blood.)

 

 

 

 

「離セ、離さンかッ!?」

「なら、得意の念動力でどうにかしたらどうだ!!」

 

挑発する光太郎の言葉に怒りを隠そうともしないダロムは、怒りで顎を振動させながら光太郎に力を放った。

 

 

 

 

幾たびの戦場を越えて不敗(I have created over a thousand blades. )

 

 

 

 

「ならバ、望ミ通り貴様かラ息の根を止メてくれるワッ!!」

(…かかった!!)

 

 

 

ただの一度も敗走はなく(Unknown to Death.)  ただの一度も理解されない(Nor known to Life. )

 

 

 

 

ダロムの念動力にかけられ、身体の自由を奪われた光太郎。自分の目の前で両手を広げた状態で浮遊する宿敵に向かい、口を大きく解放した。

 

「最後ダ…仮面ライだーブラっク!!」

 

 

 

 

彼の者は常に独り剣の丘で勝利に酔う(Have withstood pain to create many weapons. )

 

 

 

 

「それは…どうかなッ!!」

 

ダロムの口に力が籠められると同時に、光太郎自身も全パワーをベルトに集中させる。

 

 

 

 

故に、その生涯に意味はなく(Yet, those hands will never hold anything. )

 

 

 

 

 

「キ、貴様ァッ!!」

光太郎の狙いに勘付いたダロムだったが、もう遅い。自身の口から怪光線が放たれたと同時に、光太郎のエナジーリアクターから眩い輝きが放たれた。

 

 

 

 

 

「キングストーンフラッシュッ!!!」

 

 

その体は、きっと剣で出来ていた(So as I pray, UNLIMITED BLADE WORKS. )

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怪光線を反射され、焼きただれたダロムは直ぐに再生し、立ち上がるが周囲の光景を見て絶句する。

 

 

雲った空には巨大な歯車が出現し、自分の立つ大地は終わりの見えない荒野とかし、無限に存在するとも言える刀剣が墓標のように突き刺さっている

 

 

 

今自分は、どこにいるのだ。

 

 

 

「固有結界…と、言っても貴様には理解できまい」

 

思わず振り返った先には、気を失った光太郎を肩に抱いているアーチャーと、獲物を前に舌なめずりをした猛禽類のような鋭い目となっているギルガメッシュ。

 

 

「この空間は現実世界と一時的とはいえ切り離されている。もはや、貴様がいくら泥を拡散しようが町に広がることはない」

 

 

アーチャー自身の心象風景を具現化した固有結界『無限の剣製(アンリミテッド・ブレード・ワークス)

今ここにいるのは、術を発動したアーチャー、気を失った光太郎、発動を提案したギルガメッシュとダロムの4人のみ。

長い時間をかけて組んでいた腕を解放したギルガメッシュは、見たことも無い世界に恐怖する怪物へと迫る。

 

 

 

「さぁ、続けようではないか。雑獣」

 

 

「せめて散り様で我を興じさせろよ」

 

 

 




というわけで次回に続く、です。

ダロムさんは他二人と違い怪人数100体分の泥を取り込んでいるので結構しぶといです。


お気軽に感想などお書き頂ければ幸いです。

本年もよろしくおねがいします!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。