真・恋姫†無双 仲帝国の挑戦 〜漢の名門劉家当主の三国時代〜   作:ヨシフおじさん

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95話:袁家の一番長い日

 宛城の中央広場。そこから伸びる大通りへの出口には騎兵が陣取り、放射状路では武装した兵士たちが隊列を組んで盾を構えている。物々しい雰囲気の中、兵士たちが木製の通行封鎖版を並べ、バリケードを作っていく。

 その中央にはボロをまとった集団が集められ、周囲から槍を向けられている。彼らの一人――諸葛亮は処刑台の上、柱に縛られ括り付けられていた。

 

(………っ)

 

 一刀の姿を探すと、やや離れた位置にある馬車に乗せられているのが見えた。知らぬ間に酷い拷問を受けていたらしく、ぐったりとしている。

 

「劉備たちを頼ろうとしても無駄だよ。分かってるでしょ?」

 

 隣にある死刑台の上には、秘密警察の上級将校服を着た張纏が立っていた。諸葛亮を見下ろす彼女の手にあるのは、死刑用の斧。

 

「本当はこんな事したくなかったんだけどねぇ。一応、劉備たちにも反乱を止めないとこうなる、って言ったんだけど、あっちは完全無視。まぁ、理由は分かるよね――見捨てられちゃったんだよ、君たちは」

 

「まさか……桃香さまが、そんな事……ッ!?」

 

「普段から友愛だの絆だと適当な事ほざいといて、いざとなったらバッサリってね。今じゃ君の味方は一人もいない、一人もね」

 

 そこで張纏の背後から、複数の人影が近づいてきた。どうやら公開処刑の準備が完了したらしい。張纏は小さく頷くと、死刑を見物に来た観客に向かって声を張り上げた。

 

「――これより、公開処刑を開始する! 名門袁家の名において、平和を乱す人民の敵を処断するのだ!」

 

 常識で考えれば、これは暴挙以外の何物でもない。暴挙以外の何物でもない。仮にも張纏は役人なのだ。政府に名を連ねる官僚であり、警官なのだ。それが自ら法を破るような真似をしようとは。いくら暴徒とはいえ、反乱軍の士気を挫くためだけに裁判にかけずに処刑するなど正気の沙汰ではない。

 

 だが、袁家にはそれを可能とするだけの『力』があった。必要とあらば法すらねじ伏せ、逆らう者を物理的に従わせる『力』が。

 

「……ひ、……うぁ……」

 

 小沛で起こった反乱の事は、彼女ら死刑囚の耳にも入っている。世の中は変わりつつあるというのに、此処は何も変わらない。袁家という絶対的な力が君臨するだけで、諸葛亮はひたすら孤独だった。ボロボロと涙が溢れる。その原因は恐怖か、悲哀か、屈辱か。

 

「あ……ぁ……」

 

 言葉が出てこない。どうやって口の筋肉を動かせば音を発せられるのか分からない。今まで何度か戦場に身を置いた事はあるが、それとは別種の恐怖が湧いてくる。

 

「斧を構えろ!」

 

 張纏が声を張り上げると、諸葛亮の他にも何人かの死刑囚が絶望の呻きを漏らした。しかし、そんな彼女たちを前にしても刑務官の表情は揺らがない。こういう場は見慣れているのだろう。張纏も鬱陶しそうな調子で「早くしろ」と急かした。

 

「殺せ!」

 

 命令と同時に、刑務官は処刑用の斧を一切のためらいもなく振り下ろした。迷うことで余計な痛みを与えまいとでも言うかのように、斧の切っ先が首をめがけてゆく。

 

 

 ――そして。

 

 

 

 凄まじい衝撃が、処刑台にいる張纏たちに襲い掛かった。それは居並ぶ秘密警察たちをなぎ倒し、彼らの立っていた台座を粉々に打ち砕いた。

 

 

 **

 

 

「っ……なんだ?」

 

 吹き飛ばされた数名の警官が、呆然とした様子で呟く。

 

(何が……?)

 

 張纏もまた、自分の身に起ったことが理解できなかった。こん棒で殴られたような衝撃が頭を襲ったかと思うと、弾かれたように体が台座に当たり、腰を軸に回転していた。死刑台の上から石畳の地面に叩き落されたらしい。鎧が多少の衝撃を吸収してくれたが、肩や背中に激痛が残る。骨折は免れたが、体の至る場所が打撲して動けなかった。

 

 そして目の前には、一人の女性が立っていた。切りそろえた紫色の髪に、特徴的な捻り褌。佇まいは静かだが、そこから放たれる殺気は尋常なものではない。

 張纏はその女性を知っている。その名と、その素性を知っている。

 

「甘……寧……ッ!」

 

 張纏は苦々しげに甘寧を睨み付ける。たしか彼女は孫権の親衛隊長を務め、常にその傍らに控えているはず。それが、何故こんな場所にいるのか。

 

 張纏の疑問を視線で感じ取ったのか、微かに甘寧の表情が動いた気がした。しかし彼女は何も語らず、ただ右手を大きく振り上げた。

 

 それが、合図だった。

 

 広場の端で大きな音が聞こえたかと思うと、とんでもない光景が張纏の目に入る―――兵士たちが互いに殴り合いをしていた。

 高級将校が、部下から槍の一撃を受けて地面に転がった。動きが鈍くなったところを部下たちが囲んで殴り掛かる。警備員の数人がバリケードを壊し、暴徒達を迎えいれていた。

 

(っ……こんな所にまで工作員が……!)

 

 呪詛を口に出す前に、今度は北の空が赤く染まった。鼓膜に負荷をかける轟音と共に、空気の振動を肌で感じる。空に向かって火柱が吹き上がり、混乱した状況に拍車をかけていた。

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 揚州。宛城から離れた都市。ここには淮河から宛城まで続く運河の、起点となる閘門が存在する。

 周辺に光源は無い。閘門には常に松明が灯っているはずなのだが、この日に限って全ての灯りが消されていた。

 

 そして夜の闇に包まれた都市の周辺には、無数の軍勢が待機していた。少数の常備兵と、多数の徴用兵。その中心には多数の天幕があり、一番奥には指揮官用の大天幕が設置されていた。

 

 大天幕の中では、孫策が椅子に座っている。活動的な彼女にしては珍しく、ずっと同じ姿勢でひたすら何かを待っているようだ。一秒が永遠にも思われた数時間、孫策は待ち続けた。

 やがて、ひとつの人影が天幕に入ってくる。ある重大な一言を告げるために。

 

「冥林」

 

 待ち続けた親友の呼びかけに、周瑜は耳元で囁くことで応じた。

 

「――始まったぞ」

 

 孫策はうっすらと笑う。己の右腕たる軍師の一言で、全身の血を滾ってゆくのを感じていた。

 

「袁家は完全に麻痺状態に陥っている。一部の連中はやっと事態の深刻さに気付いたらしいが、劉勲を始めとした人民委員の大半は責任の擦り付け合いに終始している」

 

 周瑜が最新の報告を伝えると、孫策は呆れたような顔をする。

 

「結局、袁家はどれだけ大きく見えても、自分の事しか考えない利己主義者が寄り集まっただけの、烏合の衆だった訳ね。全員で一致団結でもすれば、まだ勝機はあったでしょうに」

 

 まさにそれこそ、孫家の付け入るべき隙だった。各個撃破は戦の基本だが、謀略においてもそれは変わらない。「数は力」というが、逆に数が増えれば増えた分だけ、集団としての統一性は落ちる。膨大な兵力を誇る袁家といえども、ここまで分断されてしまえば殆ど個と個の戦いのようなものだ。

 

 軍とは、単なる兵士の集まりではない。統一された指揮系統の下で動く兵士からなる、一枚岩の組織なのだ。

 

「数千いようが数万いようが、統制のとれない雑魚が寄り集まった所で、我々の敵ではない」

 

 闇雲に拡大を続けてきた袁家と、血縁や強い主従関係を重視する孫家ではそこが決定的に違う。端的にいえば、一体感が違う。片やバラバラな個の寄せ集め、片や1つの個として完成された集団。戦えばどちらが勝つかなど、一目瞭然だ。

 

「待機中の全部隊に伝えよ」

 

 それが合図だった。そう、これは数年にわたる屈辱と雌伏の末に始まる、孫家の復讐と隆盛を告げる鐘の音だ。

 

 「孫家は袁家に負け、客将に堕ちた」などと言われて、もう何年経った事か。しかし孫策は、ただの一度たりとも敗北を認めた事などない。孫堅が死んでからも、孫家は常に戦い続けてきたのだ。生き延びて力を蓄え、時を待つという戦いを――。

 

(勇猛なる孫家の兵士たちよ……時は来た!)

 

 だが、それも今日この日まで。今この瞬間から、孫家は白日のもとにその姿を晒す。

 孫策が天幕から出ると、一斉に歓声が上がった。そして孫家の総大将もまた、彼らの声に応えるように剣を抜き放つ。

 

「我々はずっと苦しめられ続けて来た!袁家に!あの忌まわしき守銭奴どもに! だが、それも今日で終わる!今日が全ての終わりであり、全ての始まりの日なのだ!」

 

 彼女の手に握られている剣には、見覚えのある者も多くいた。南海覇王――先代当主・孫文台から娘・孫伯符へと受け継がれし、伝家の宝刀だ。

 

「我らの盾は、何のためにある!」

 

「「――家族と隣人を守るために!」」

 

「我らの剣は何のためにある!」

 

「「――倒すべき敵を討つために!」」

 

 孫策軍の士気の高さは、今や万人の目に明らかであった。

 孫策は剣を高々と天に掲げ、全軍に告げる。

 

「侵攻を開始せよ。――袁術、討つべし」

 

 戦を告げる孫策の声。眠れる虎は、ついに目覚めたのだ――。

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 崩壊が、始まった。

 

 夜明けと共に、袁術の帝国は音を立てて崩れ落ちてゆく。

 

「馬鹿な……孫策が反旗を翻しただと!?」

 

 孫策離反す――その報告に、人民委員会はかつてないほど騒然としていた。

 

「現在、孫策軍は建業・広陵の両市を中心に勢力を拡大中! 旧孫堅軍を中心として編成されているようですが、揚州豪族の一部も参加しているとの報告が……」

 

「徐州から報告です!――下邳で軍を再編していた、華雄将軍との連絡が途絶しました! 劉備軍との関係は不明です!」

 

「先ほど、揚州から早馬が到着しました! 現地で寝返り多数、主要施設はほぼ孫家の手に堕ちた模様!」

 

 役人や大臣たちは明らかに混乱していた。無理もない。これまで孫家は何の素振りも見せずにいたため、孫家との確執を知らない若手は狼狽していた。

 

「落ち着け!全く、どいつもこいつも慌ておって!」

 

 ほとんどの人民委員たちが取り乱す中、ひときわ大きな怒声が部屋に響く――軍務委員長の袁渙だ。

 

「話は聞かせてもらった。――なに、大した事はない。推定される孫策軍の兵力は2万に満たない上、徐州や揚州の叛徒と連携した様子も見られなん。兵の数はこちらが圧倒的に有利だ!」

 

 袁渙は冷静さを保ちつつ、適切な指示を出す。彼とて袁家を支える重臣、伊達に重役を務めているわけではないのだ。

 

「広陵は籠城して防御に専念させ、建業に主力部隊を回せ!それから淮河を使って、徐州に進軍中の軍団を直ちに揚州に呼び戻させろ!」

 

 まずは戦力を再編し、しかる後に反撃すべし――袁渙の的確な分析と指示によって我に返った官僚たちは、すぐに彼の指令通りに動き出す。

 

 

 ところが、こうした袁渙らの努力は遅きに失したと言わざるを得ない。指示は適切だったが、それを出すのがあまりにも遅すぎた。

 

 あるいは――軍事的には正しくとも、政治的な意味では完全に手遅れだった。袁家の腐敗政治と社会矛盾は、民に犠牲を強い過ぎた。1つや2つの反乱を防ごうとも、すぐに次の反乱が発生する……。

 

「豫州の州政府から救援要請! 汝南、頴川、梁国、陳国および魯国にて、同時多発的に官庁が襲撃されている模様との事です! 恐らくは孫家の手の者かと……」

 

 状況は悪化する一方だった。ついには、袁術のお膝元である南陽郡でも農奴の集団脱走が発生。加えて豫州で密かに武器を蓄え、野に潜んでいた孫賁が大規模な反乱を扇動。揚州の孫策軍と連帯する動きを見せ始める。やがて農民反乱は全土に拡大し、農村出身者が大半を占める袁術軍兵士の間に大きな動揺を引き起こしていた。

 

「建業に向かった、李豊将軍の第4軍団が苦戦中!至急、援軍を――!」

 

 参謀は悲鳴にも近い声で、逐一と届けられる凶報を報告する。

 

「報告します!揚州南部で豪族連合軍が総反撃を開始、我が軍は崩壊寸前です!」

 

 報告を聞く限り、戦況はどこも似たり寄ったりだ。すなわち、袁術軍が全域にわたって崩壊している。

 

「広陵、孫策軍の攻撃により、かっ……陥落! 徐州から抽出した部隊も、現地住民の襲撃によって転進が大幅に遅れています!」

 

「っ――しかたない。寿春と合肥、劉表に備えた兵を呼び戻せ!直ちに伝令を走らせろ!」

 

 作戦指揮室には、袁渙のほか張勲の姿があった。普段ならば指揮権が云々と煩い袁渙だが、この状況ではそんな事も言っていられない。藁にも縋る思いで、2人の手を借りることにしたのだ。

 

「兵の忠誠心はアテにできませんね……。とりあえず『督戦隊』を編成して、なんとしても兵を前線に押し出してください。戦意の低い兵士は、士官が背後から弩で射殺するように」

 

 張勲の顔は険しい。

 

「さらに鎮圧部隊内の同郷者比率を最高でも6割、可能なら3割以下に引き上げると同時に、命令拒否した兵士を裁判で死刑にしてください!なんとしてでも規律を取り戻すのです!」

 

「だが、それでは……」

 

 袁渙が苦悶に満ちた表情を向けてくる。張勲にも、彼の言いたい事は分かっていた。

 

 たしかに同郷者を減らし、兵士間での意思疎通を困難にすることで、反乱計画を立てにくく出来る。だが、その代償として、部隊内の団結と連携は完全に失われてしまう――。

 

「ですが、他に打つ手がありません……」

 

 

 絶望感は軍部だけでなく、後方の人民委員会中枢にも拡大しつつあった。

 

「こ……広陵が陥落ですって!? そんな……!」

 

 もはや軍事素人の劉勲ら文官たちにも、袁術軍が崩壊の危機にあることが明らかになりつつある。恐慌状態となった人民委員たちの内心では、次第に絶望感が覆い始めていた。

 

「軍は何をしてたワケ!? 担当者を呼んで! どう責任を取るつもりなのか、弁明してもらいましょうか!」

 

 ところがこの期に及んで、袁家は団結するどころか内部分裂を始めていた。部下に責任を転嫁し、ライバルの揚げ足をとる。そうした自己中心的な振る舞いが、更に前線の兵士たちの士気を低下させているとも知らずに……。

 

 自己の保身と栄達への野心だけで今の地位についた彼らには、間違っても自分を犠牲にして全体に奉仕するなどという発想は出てこなかったのだ。

 

 ◇

 

 

 更に一週間が経つと、もはや袁術軍はコントロール不能な状態であった。

 

「建業守備隊、全滅です! 紀霊将軍は北方へ向かって退却中!」

 

 司令部はなんとかパニックを治めようとしたものの、軍では脱走兵が相次ぎ、指揮系統は麻痺に陥っていた。脱走兵と錯綜する情報のせいで、どの部隊が何処にいて、どれだけの兵力があるのか、将軍たちは殆ど把握していなかった。

 

 鎮圧部隊の総入れ替えを行うという張勲の案も、今度は輸送を担う馬借や船頭たちが反乱軍側に寝返った事で頓挫した。彼らは集団で職務放棄を決行。軍需物資の輸送を拒否し、兵士に叛乱まで呼びかける。

 

「兵士の諸君! 孫策軍は我々の敵ではない!自由の為に彼らと合流しよう!独裁に反抗して叛乱を起こすのだ!」

 

 

 混乱が混乱を呼び、口伝えで更に話に尾ひれがついてゆく……。例えば手違いで補給物資の到着が遅れただけでも、上層部に伝わる頃には全部隊が包囲殲滅されている事とになっていた。

 

 こうした絶望感に拍車をかけたのが、移動中だった寿春と合肥の軍が孫策軍の夜襲を受けて壊滅したという情報だった。

 この両都市が突破されたとなれば、南陽までの道のりに孫策軍を阻止する障害物は存在しない。軍主力は長江以南の揚州と、はるか東方の徐州に出払ってしまっていたためである。南陽周辺の戦略予備は、虎視眈々と侵略の機会を伺う劉表と曹操に釘付けにされていた。

 

「南陽に敵の大軍が押し寄せているが、もはや我々に阻止する力は無い……。敵は我が軍を包囲しつつある。反撃計画は頓挫した……もう誰にも止められん」

 

 いつになく弱気になる袁渙。軍部は既に、敗北が避けられないものだと認識し始めていた。

 

「我が軍はもう終わりだ……全ての戦線は部隊が崩壊している! 我々は負けた!袁家は敗北する!!」

 

 聞き捨てならない発言であったが、張勲は打ちひしがれる袁渙を責められないでいた。袁術軍はすでに満身創痍であり、降伏を拒否した忠実な部隊は、退却することすら出来ずなぶり殺しにされていた。

 

「孫策軍、南陽へ向けて進行中!」

 

「残存兵力を南陽に集めてください! 異民族の傭兵部隊もありったけ投入し、奴隷にも弩を突き付けて従わせます! 何としてもここで食い止めてください!」

 

 それでも――額に冷や汗を浮かべつつ、張勲は指示を飛ばし続ける。

 

(少しでも弱気を見せれば、各地の太守や領主はこぞって袁家を見限る……)

 

 彼女は状況を理解していた。元より王の器などない袁術が、かくも広大な領土をの支配出来た理由。

 

 それは欺瞞という霧のベールで、暗部を巧妙に覆い隠していたからに他ならない。バブル景気や豪華な宮殿、地方分権という名の形だけの支配によった領地拡大……すべては外面だけが派手な紛い物だ。その皺寄せは、社会の最も弱い者たちに押し付けられる。

 

(民衆は……わたし達を捕えれば間違いなく八つ裂きにしようとするでしょうね)

 

 袁家にとって統治とは、損得勘定で利益を出す事だ。意見や利害が対立すれば、より大きい利益が見込める方を取り、その反対を切り捨てる。その結果が、中華一の競争・格差社会だ。少数の勝者が全ての利益を得て、大多数の敗者は惨めに暮らすしかない……。

 

(大の為に小を殺す――それ自体は間違っているとは思いません。ですがが、殺される『小』の側だって黙ってただ殺される筋合いは無いと)

 

 そう、ゆえに『小』を殺すのに失敗すれば――。

 

 

 

 その時は『大』が死ぬ番だ。

  

   




ちょっと補足。

 一見すると袁家が圧倒的に不利に見えますが、データ上では未だに袁術軍は圧倒的な規模を誇っています。しかし広大な領地に広く分散している上、孫家のゲリラ攻撃によって情報が錯綜し、上層部も現場も大混乱に陥って士気が低下、大量の遊兵を生み出したところを各個撃破されてる感じです。

 モデルはキューバ革命。政府軍の方が兵力は圧倒的だったのに負けちゃった好例。
 「裸の王様」バティスタ=袁術、カストロ&ゲバラ=孫策&周瑜みたいな構図が浮かんでしまう不思議。

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