真・恋姫†無双 仲帝国の挑戦 〜漢の名門劉家当主の三国時代〜 作:ヨシフおじさん
徐州・琅邪国、州境要塞にて――
周囲を埋め尽くす兵士の集団と、その背後に控える無数の天幕。断続的ながら数日前から琅邪城に攻撃を繰り返している北部同盟の軍勢だ。半数以上は『曹』の旗を掲げているが、時折『袁』も見受けられた。
「小川の砦がやばいぞ!至る所に敵兵が侵入して来ている!」
この日、関羽の指揮する部隊が大規模な敵軍団と遭遇したのは、琅邪城南西区の防衛を担当している時だった。激しく雨が降る中、物見矢倉からの報告を受けた関羽は2000ほどの手勢を引き連れて現場に急行する。
戦闘は既に開始されており、足元には泥と死骸が混ざり合った戦場独特の光景が広がっている。これらは全て砦の銃眼や城壁の上から弩による射撃を繰り返す徐州軍が、陣地へ浸透してきた同盟軍を素材にしてこしらえたものだ。今までは小規模な襲撃を繰り返すだけだった曹操軍だが、ようやく兌州からの本隊が到着したらしい。同盟軍の数は視界に入る範囲だけで1万は超える。唯一の救いといえば、山脈を強行突破してきた敵軍の動きが鈍っている事ぐらいだろうか。
「部隊ごとに隊列を組め!決して単独行動はするな!味方に誤射されるぞ!」
ただでさえ雨の中では視界が悪い。ましてや雨中の移動によって泥まみれになった兵を見分けるなど、ベテランの射手であっても至難の技だろう。しかも数日前からの戦闘によって服装は見分けるのが困難なほどに汚れており、旗だけが敵味方を識別する唯一の目印だった。
「了解!お前らも聞いたか!固まって攻撃するんだ、いいな!」
関羽の指示のもと、徐州軍は集合と同時に攻撃を開始。彼女らが敵を引きつけ、砦上の弩兵が敵の背中に太矢を叩き込んでゆく。
「邪魔だぁぁぁっ!」
関羽は目の前の敵兵を切り裂き、周囲を確認しながら曹操軍を掃討していく。青衣の兵士達は次々へと斃れてゆくも、彼方からは新手の集団が接近しつつある。数は5000以上、汚れきった服装からは判別不可能だが、装備の質から考えて袁紹軍の部隊に違いない。
「将軍、左手の方向から敵影が多数接近中!真っ直ぐこちらへ突っ込んできます!」
「迎撃するぞ!私たちは正面から敵を迎え撃つ!」
関羽は部下に命令を飛ばしながら、後方の砦を流し見る――城壁の上から弩兵の隊長らしき人物が、彼女の視線に応えるように親指を立てる。
「背後は砦の弩兵が守ってくれる!全員、武器を構えて前進しろ!」
全員で一斉に突撃、雄叫びを上げながら袁紹軍に向けて突っ込んでゆく。興奮状態から思い思いの兵士が勝手に叫んでいるだけで、行為そのものに戦術的な意味はない。だが泥と血に塗れた兵士が狂ったように叫びながら向かってくる様は、結果的に袁紹軍の勢いを僅かに削ぐ形となった。そして関羽は敵が怯んだ隙を逃さず、先陣を切って突撃してゆく。
「はぁぁぁぁっ!」
眼下を通り過ぎる袁紹軍兵士の上半身が、真赤な内臓ごと二つに引きちぎれる。続けざまに構造していた敵兵を青龍偃月刀の柄で殴りつけ、倒れたところで上から止めを刺す。
(これで、今日は14人目か……)
関羽は大きく息を吐きながら、少しでも呼吸を整えようと背筋を伸ばした次の瞬間――彼女は見た。
東の空に、狼煙が上がっている。それも一つではない。4つ、5つ……否、こうして見ている内にもその数を増している。そして東の空に狼煙が上げられたという事実は、考え得る限りで最悪の状況を表していた。
「まさか……曹操軍が、青州を突破してきたというのか……」
それが意味するものはひとつ。兵力の大半を西側へと集中させた、琅邪城が無防備な背後から串刺しにされることに他ならない。たとえ琅邪城がどれだけ堅固な要塞であったとして、完全包囲されれば兵糧の消耗を免れる事は出来ない。曹操軍に家を追われた民間人を多数保護している以上、その速度は当初の予想を上回るスピードで進行するだろう。
州境に築いた要塞群によって水際防御を行うという徐州側のドクトリンは、今まさに根本から覆されようとしていた。
◇
「くそぉッ!青州の連中は何をやってたんだ!」
琅邪城の東部地区で警備任務に就いていた兵士の一人が叫ぶ。
袁術陣営よりもたらされた曹操軍の作戦計画を踏まえ、徐州軍司令部は敵軍の主攻が青州方面であることを前提とした防衛計画を練っていた。そのため劉備ら青州派遣部隊に最精鋭の兵を配備し、青州内部で敵の主力を漸減、兌州から直接侵攻してくる部隊は琅邪城で防ぐことになっていた。
「このままじゃ個別に撃破されるだけだ!一度第2陣地まで後退し、ある程度の戦力を揃えてから反撃するぞ!」
「でっ、ですが敵には騎兵もいます!果たして間に合うかどうか……」
「弱音を吐くな!なんとか間に合わせるんだよ!」
だが曹操軍はそんな彼らの読みをあざ笑うかのように、青州を華麗にスル―して琅邪城の弱点を的確に食い破りつつあった。関羽が“『城』というより『壁』”と評したように、琅邪城は万里の長城のごとく長大な防壁からなる要塞群であり、兌州方面に向けて最大限の防御力と攻撃力を発揮できるよう設計されている。逆に言えばそれ以外の方面に対しては極めて脆弱であり、特に東側や南側は友軍との連絡を円滑にするべく意図的に障害物が減らされていた。そのため青州を突破してきた曹操軍に対しては、全くといってよいほど無防備だったのだ。
無論、それだけですぐ琅邪城が陥落すると決まったわけでは無い。州境を封鎖するように作られた長城には、敵の浸透を考慮して付近に幾つもの砦や防御陣地を張り巡らしてある。しかし――
(ここから先は、お互いに我慢比べってところか……)
敵がここまで迫って来ているという事実を考えれば、既に後方の補給拠点や兵站線はズタズタだろう。下邳や袁術領からの物資補給は、現時点をもって完全に途切れたものと思った方がいい。後は琅邪城の倉庫に残った物資をうまくやり繰りして、敵の攻撃を凌ぎ切るしかない。
(いや、問題はそこじゃない……琅邪城に引き入れちまった難民の扱いをどうするかだな……)
ここ一週間で琅邪城に保護した難民の数は実に3万に上る。城とはいっても実質的には複数の拠点を長城で結んだ防衛ラインであるため、内部にはかなりの数の難民が保護されている。そして人の数が多いという事は、それだけ食糧が必要になると言う事だ。そして戦いが長引けば長引くほど、ストレスから難民とのトラブルも増えるはず。
「こんな状況で、どうやって敵の攻撃を凌げばいいんだ……」
その問いに答える者はおらず、琅邪城は混迷の色を深めていった。
◇◆◇
徐州領内に同盟軍が侵入。兵站網は壊滅状態にあり――その知らせは遠く離れた青州・臨菑城でも大混乱を引き起こしていた。青州軍の戦略は臨菑城に敵主力を引きつけ、籠城戦によって戦力を漸減。袁術陣営あるいは公孫賛の援軍到着をもって反撃に移る、というようなシナリオだった。
籠城に必要な物資は主に徐州を伝って送られる手はずになっていたため、曹操軍の浸透によって補給部隊は完全に身動きが取れなくなっている。加えて琅邪城に集結していた徐州軍主力が挟撃されるような事態になれば、青州は味方から完全に孤立する。そうなれば、もはや戦争どころではなかった。
「なぜ……こんなことに……」
太史慈が呆然と呟く。
「どうして私は……もっと徐州方面へ見張りを用意しておかなかった……?」
青州の州都たる、この臨菑城を無視するはずがない――そう高をくくっていた気持ちがあった事実は否めない。戦争とは陣取り合戦のようなもので、詰め将棋のように一歩一歩着実に敵を追い詰めていくものだと。
だがその考えが甘かったことを太史慈は思い知らされる。曹操と袁紹は、はなから青州など眼中にない。乱世の奸雄、そして華北の覇者と称される彼女ら2人にとって、青州など言わば邪魔な石ころのようなもの。己に害が及ばなければ、無視してもなんら問題のない存在に過ぎなかったのだ。
「……こちらにはもう、打って出るだけの力はない。だから障害にならないと判断されたのだ……我々は……っ!」
序番の戦闘で、孔融軍の主力は壊滅している。そこで太史慈は劣勢を覆す為に残存する青州軍の全部隊を臨菑城に引き揚げさせ、城に籠もって徹底抗戦の構えを見せた。攻城戦ならば数の劣勢は覆せる上、錬度が低くとも脱走の心配もない。それなりの蓄えもあるし、袁術からの補給物資も考えれば相当な抵抗ができるだろう。
その読みは決して間違っていなかった。――曹操達が本気で臨菑城を攻略するつもりだったならば、だが。
だが青州全土から臨菑城へ兵を引きあげた時点で、もはや青州軍は脅威たり得なかった。曹操と袁紹の最終目標は陶謙と公孫賛の打倒であって、青州の占領ではない。完全に屈伏させようとすれば少なくない時間と兵を失うだろうが、敵に打って出る力が無くなってしまえば、そのまま放っておいても済む程度の存在だったのだ。
「つまり今までの無謀な城攻めも、全ては囮だったというわけか……」
城の外を眺めながら、一刀が呟く。つい先日まで幾つもの死体の山を築きあげていた同盟軍の攻勢は完全に停止し、今では城の周辺に天幕を張ってこちらを監視しているだけだ。先日も補給線の警備を強化するために1万もの兵士が抽出され、完全に持久戦の構えだ。この離脱と初期の激しい戦闘によって包囲網を形成している兵力は5万4000まで減少しているものの、それでも臨菑城の2倍近くの兵力である。
臨菑城に籠っている分には問題ないが、城外へ出て敵を駆逐するには投機的過ぎる兵力差。そのうえ青州軍の半数を占める新兵と傭兵はただでさえ士気が低いため、安全な城での防衛戦以外にはほとんど使えない。一刀たちは臨菑城という籠の中に囚われているも同然だった。
(そもそも敵がギリギリの兵力で城攻めを起こっている時点で、違和感の正体に気づくべきだったんだ……)
劣勢な青州軍が戦い続けるには、出来るだけ多くの戦力を城に集中させて立て籠もるしかない。それこそ、辺境の警備兵なども全て含めた可能な限りの兵力を。
曹操たちは青州側が籠城すると読んだ上で、徐州へ浸透する部隊の存在を悟らせないために臨菑城へ攻撃を繰り返し、まんまと一刀達の目を欺いたのだ。
「俺達がもっと早く気づいていれば、徐州だってそれなりの対策が取れたはずなのに……っ!」
同盟軍が作戦を成功させるには、少なくとも徐州に入るまでは侵攻部隊の存在を悟らせない必要があった。馬でどれだけ速く走ろうとも、狼煙や伝書鳩の伝達スピードには敵わない。そのため同盟軍は入念に計画を練り、青州軍を臨菑城に集めることで別動隊の移動を悟られないよう隠ぺいし、波状攻撃をかけることで他の場所へ目を向けさせないよう仕組んだのだった。
「俺達はただ、曹操達の望むがままに踊っていただけだった……」
一刀たちが臨菑城の戦闘に目を取られている隙に同盟軍は少しづつ、気づかれないよう少数の部隊に分かれて青州をすり抜けていった。彼らは州境付近で合流し、そのまま一気に徐州内部へと侵攻。騎馬を主力とする部隊の後方撹乱によって、前線を支える臨菑城と琅邪城、そして後方の補給拠点たる下邳との連携を断ったのだ。連絡・兵站網を完全に遮断され、袁術の支援はおろか徐州軍同士の物資のやりとりすら出来ない状態だ。
同盟軍は勢いをかって琅邪城に殺到し、守りの薄い東側の防衛ラインを次々に突破しているらしい。徐州側も可能な限り守りを固めていたものの、青州が敵の手に落ちない限り後方から襲撃される事はないと慢心していたのが仇となり、相当な苦戦を強いられているという。もっとも使用可能な物資に限りがある以上、どうしても危険度の低い地域の防衛は後回しにされてしまうのだが。
「わたし達じゃ、この戦いを止められないの……?」
劉備は湧きあがってくる無力感を抑えながら、窓の外にいる曹操軍を凝視する。厳しい訓練によって鍛え上げられた、覇王の軍勢。曹操ただ一人に付き従い、心より忠誠を誓った天下無双の兵士たち。
「徐州のみんなは、大丈夫なのかな……」
真実はどうあれ、曹操は父親が徐州で殺された事に憤っている。徐州侵略は基本的に国益を考慮して決断されたのだろうが、その中に私怨が混じって無いとは言い切れまい。
“――劉備ちゃんだって、本当は曹操ちゃんのコト
劉備は、今になってやっと劉勲が言った言葉の意味が分かった気がした。
人の心ほど不確かなものはない。そして曹操軍という存在は、良くも悪くも曹操という個人の体現なのだ。彼らが占領地でどう振舞うかは、曹操のさじ加減一つで決まる。
「わたし達は、これからどうすれば……」
徐州の安全を確実なものにするには、何をおいてもまずは領内に侵入した曹操軍を撤退させるしかない。だが、現有兵力では侵攻部隊を叩くどころか、北海城を包囲している敵を破れるかどうかも怪しかった。
「……打って出るしかありません」
そんな中、諸葛亮の声が重苦しい空気を破って響く。
「このまま同盟軍による後方撹乱を許せば、補給線を失った琅邪城の徐州軍主力はいずれ敗北するでしょう。そうなれば私達も同様に、補給を断たれた上で完全に孤立します。ですが――」
諸葛亮はそこで一度話を切り、この場における最高指揮官である太史慈に目配せする。
「――それは敵も同じことです」
「ッ! 諸葛亮君、君はまさか……!」
太史慈が傍目にも分かるほど大きく目を見開く。諸葛亮の言わんとする意図に、おおよその察しが付いたらしい。
「曹操軍は
うろたえる太史慈を敢えて無視し、諸葛亮は起死回生の策を全員に告げた。
「方法は一つです!――臨菑城の包囲を突破し、先に同盟軍の補給線を潰すしかありません!」
◇
臨菑から北へ歩を進めると、都昌という港町がある。初期の攻勢時に顔良によって占領された都昌は、改造されて同盟軍の一大集積拠点となっていた。
計50万ともいわれる強大な力を有する北部同盟軍だが、その大軍を維持する上で重要なのは“いかにして彼らを養うか”という問題だ。できれば現地調達で賄いたい所だが、青州は治安の悪化によって生産力が大幅に低下しており、調達できる余剰物資は極端に少なかった。戦争以前から青州は袁紹派、公孫賛派、青州黄巾党の攻防の焦点となり、彼らによって現地調達が繰り返された結果、米や麦、飼葉の貯蔵は無きに等しい。兵站網の確保は当初から北部同盟の大きな懸念事項であった。
そこで考えられた方法が、船を使った水上輸送である。幸いにも曹操、袁紹どちらの領土にも黄河が流れているため、それを利用しない手はない。兌州と冀州で生産された物資は黄河をつたって南皮まで運ばれ、そこで大型の外洋船舶に積み替えられる。そこから渤海を渡って都昌で荷揚げされた物資が、馬車によって各地の同盟軍に搬送されるシステムだ。
つまり集積拠点たる南皮か都昌のどちらかを破壊すれば、同盟軍の動きは完全に麻痺する。とはいえ袁家のお膝元たる南皮の護りは堅く、逆に返り討ちにされてしまう可能性が高い。ゆえに残ったもう一つの拠点・都昌を少数部隊で襲撃し、港湾としての機能を喪失させるのが諸葛亮の狙いだった。
「……本当によかったんですか?」
選抜された決死隊の数は2000人ほど。全員を騎兵でかためた機動力重視の編成であり、残る守備隊が揚動を行っている隙に、一気に城の包囲を突破する算段だった。
劉備は太史慈らと違って揚動部隊に配属されており、落ち着かない様子で問いかける。
「何の事だい?」
「いや、元々わたし達が言い出した事ですし……何も一番危険な任務を太史慈さんが直々に指揮しなくとも……」
「いやなに、君が気に病む事はない。むしろ私は君たちに感謝しているとさえ言える」
太史慈は颯爽と馬に跨ると、端正な顔に笑顔を浮かべる。
「そもそも今回の窮地は私の力不足が招いた結果だ。責任者が後始末をつけるのは当然の義務であり、名誉挽回の機会まで与えられたのだ。断るわけにはいかない」
気にするな、といった様子で肩をすくめる太史慈。
「まぁ、流石に孔融殿の机を叩き割ったのは不味かったかもしれないがな。下手をすれば軍をクビになるところだった」
冗談めかした太史慈の言葉に、劉備をつられて苦笑を浮かべる。
諸葛亮が今回の策を述べるや否や、真っ先に反応したのは孔融だった。曰く、襲撃が成功する保証はどこにもない。仮に成功したとして、補給を断たれた同盟軍が物資欲しさに臨菑城を襲撃し、万が一にでも落城するような事があれば皆殺しは避けられない、と。しまいには青州を徐州の盾として使い潰すつもりだろう、などと諸葛亮を中傷するに至り、耐えきれなくなった太史慈が剣を抜いたのだった。
「大丈夫ですよ、劉備殿。この戦い、必ず勝てます」
安心させるように自分の胸をどん、と叩く太史慈。
結局、太史慈の行動に肝を冷やした孔融は「好きにしろ」と吐き捨てて退室。その後の話し合いの結果、「城の防衛に支障が出ない数なら」という条件付きで決死隊の派兵が認められたのだった。
「たしかに北部同盟の力は強大だ。だが力によって栄える者は、同じく力によってその身を滅ぼす――彼女達はやり過ぎたのです。もうすぐ、その身をもって知ることになるでしょう」
決意を固めたように拳を握り締める太史慈に、劉備は僅かに心が震えるのを感じた。
彼は自分達を信じてくれている。ならば、その期待に応えたい。
青州の民のために。この地に住む、みんなの笑顔の為に。
「さて、君の友人たちも準備が出来たようだ。出発しましょうか」
「はい!」
太史慈の合図を受け、臨菑城の門がゆっくりと開いていく。太史慈は目の前に集結した劉備ら揚動部隊に向けて声を張り上げる。
「総員、傾注せよ! 作戦の第一段階は、君たち揚動部隊が包囲部隊を引きつける事だ!この任務でどれだけの敵軍を引きつけられるかによって、我ら決死部隊の包囲突破成功率は大きく変動する!揚動任務の性質上、無理に戦えとは言わないが決して手を抜くな!いいな!?」
「「「了解!」」」
了承の声と共に、1万を超える兵士が城門から出撃してゆく。包囲していた北部同盟軍もまさか敵が勝ち目のない野戦を挑んでくるとは思っていなかったらしく、嘘をつかれてうろたえる。
(わたしは、青州の人たちの期待に応えたい!皆と一緒に、この戦争の流れを変えてみせる!)
後に続く決死隊の為、劉備ら揚動部隊はあらん限りの力を振り絞り、敵軍の中央へと突入していった。
曹操軍「必殺、焦土作戦!」
劉備軍「甘い!こっちも焦土作戦返しだ!」
戦争は国家レベルで行う我慢比べなんです。どれだけ優勢でも先に音を上げた方が負けなんです。逆に言えばどんだけズタボロになっても突っ張ってれば勝ち。主にポエニ戦争とかベトナム戦争とか。