すいません。
あなたはだれ……?」
振り向くと、色とりどりの結晶がついた翼と、赤い服を身につけている少女が俺の方を向いて首を傾げていた。
思わず身構える。だが聞いたのが少女だと確認すると、緊張を解きながら答える。
「俺はテル。剣士だ」
「ふーん」
自分で聞いたにも関わらず、少女は興味無さげに言う。
「わたしはフランドール。ここにずっと閉じ込められてるの」
閉じ込められてる?言葉の真意が読めない。これだけ広い館なのだから、監禁するような部屋しかないというのは考え辛いだろう
だとしたら……意図的に隔離されてる?……
俺が思考を広げていると、フランドールはいきなり光の弾の様な物を飛ばしてきた。
「なっ!」
思わず声を上げる。光の弾を弾き、避ける。
「へぇ、いきなりの弾幕を避けるんだ。変なニンゲン」
「流石にいきなりはやめてほしいな。後少し気付くのが遅かったら、身体に当たってたぞ……」
事実だ。しかもあの弾幕と言う物が身体に直したらタダじゃすまない事も分かっている。
「わたしずっと閉じ込められてるから遊んでくれる人がいなくて……だからテルで遊ぶわ!」
「分かったよ。相手になってやる」
すると、フランドールは高らかに笑い始めた。
「あははっあははっアハハハハッ」
フランドールは笑うと、身体を分離させた。いや、増殖させた、と言った方が良いか。
「分身魔法か!」
「さあ、コワレチャエ!」
前に攻撃された時より多くの弾幕が姿をあらわす。
その勢いは凄まじく、ジリジリと下がって行くしかない。
後退していくと図書室に飛び込んだ。
「アハハッ 逃げてばっかじゃつまらないわよテル!」
「クッ」
思わず毒を吐く。すると次の瞬間、天井の窓から顔を覗かせていた空が紅く染まった。
「なんだ⁉︎あれもお前達の仕業かフランドール⁉︎」
空を覆っている霧の様な物は明らかにこの館から出ていた。
だが、返ってきた答えは予想外の物だった。
「何あれ……わたし、あんなの知らない」
「でもあの紅い霧、明らかに此処から出てるぞ!」
「知らない……だって、だってお姉様は何時もわたしだけ仲間外れにするんだもん!」
「……お、ねえさま?」
続く言葉に呆然とした。姉がいたのか。だとしたらその姉がこの城の亭主だろう。
そんな事を考え、フランドールから一瞬目を背ける。そして再び目を向けた瞬間だった。
水の檻がフランドールを包み込んだのは。
「じっとしてなさいフラン。その方に失礼にあってはならないわ」
「パチェ!」
フランドールを閉じ込めたであろう魔法使いに目を向けると、紫髪に大きな帽子を被った女性だった。
さらに赤髪の悪魔が魔法使いの後ろから悲鳴を上げながら飛んできたと思うと、早口で言葉をまくし立てた。
「元素魔法『ベリーインレイク』! 流水を越えられないと言う吸血鬼の弱点をついて、フラン様を隔離するとは!流石大魔法使いパチュリー様!」
「それに今はみんな忙しいの。そこで大人しくしてなさい」
俺はいまいち状況が飲み込めず、目を見開いて立っていたが、すぐに我に返り、紫髪の魔法使いに声をかける。
「おい!魔法使いのアンタ!この館はなんなんだ?後あの霧はなんなんだ?」
パチュリーという魔法使いは、丁寧な口調でこう言った。
「お初お目にかかります。黒の王国、次期統治者。テル様」
「テル……様?俺はアンタに様付けされて呼ばれる義理も理由も無い筈だろ?」
「貴方様はご存知にならない筈ですが、大昔の白の王国と黒の王国。その二つの国の対立から生まれた秘術は一万年後の現代まで語り継がれております」
「い、一万年⁉︎」
元いた世界から膨大な年月が経っている事に知った俺は、声を上げてしまう。
「はい。この世界はあの御伽から一万年経った世界です」
今考えてみると、この館が有る場所に見当が付かなかったのも、フランドールの種族に見覚えが無かったのも辻褄が合う。
でも一万年という膨大な年月に思考が追いついてこない。理解しようとしても出来ないのだ。すると、パチュリーは真剣な表情をして俺に声を掛けた。
「テル様、傲慢なのは分かっていますが、この異変だけは手を出さないで下さい」
異変と言う言葉に違和感を覚えつつも、俺は否定の意を示した。
「悪いけどそれは出来ない。フランドールの事やこの紅い霧の事を知りたいからな」
パチュリーは俺の言葉を聞くと、一瞬目を伏せてから俺の方を向いた。
「そうですか……。ならば仕方ないですね。いくらテル様といえど今レミィの計画を邪魔される訳にはいきません」
パチュリーの雰囲気が変わった。恐らく闘気を放っているのだろう。
「望む所だ」
おれはそう言うと、大剣の柄に手を掛けた。パチュリーも、浮いてる本を構えた。
空気が驚く程ピリピリと震えている。俺は、余計な音を意識から消し、戦いに集中する。
俺とパチュリーは同時に、滑らかな床を動き始めた。
戦いが、始まった。
to be continue……
今後はネタ切れ防止&スランプ防止のために不定期投稿になってしまいます。
本当にごめんなさい。でも第3話を楽しみにしてて下さいませ。(こんな駄作楽しみにしてくれる程読んでくれてる人居ないと思うけど)