つか、疲れた…
えっ。もう2019年じゃないすか!
テルside
「こっちも違うのか……」
フランドールと別れてから、二十分余が経過した。俺は今、三つ目のドアを開けたところだ。
フランドールとパチュリーの話に出てきた同一人物『レミィ』、『お姉様』。
この紅い霧の事件の首謀者であろうその彼女を探しているのだ。もしかしたら、何故俺がこの場所に飛ばされたのかと言う理由も知っているかもしれないと言う希望を抱いて。
「はぁ……」
溜息を吐きながらも、次のドアに向かう。
その時だ。後ろに視線を感じたのは。それと同時に、殺気……のようなものも感じた。
俺は咄嗟に剣を抜き、空気を切り裂いてこちらに向かってきたナイフを弾き落とした。
「誰だ!」
すると、銀髪の女性が何もないところからいきなり現れた。
「不意打ちからのナイフを弾くとは……さすがにパチュリー様を倒した事だけはあるようですね」
「アンタは誰だ。どうして俺を攻撃した」
「申し遅れました。私はこの館の主人、レミリア・スカーレット様にお仕えしているメイド。十六夜咲夜でございます。あなたを攻撃した理由は、レミリア様からあなたを見定める様命じられましたので」
「見定める……って、避けられなかったら死んでたぞ……」
思い出すとあのナイフは心臓をピッタリ狙っていた。
「あの程度の攻撃を避けられなかったのならその程度の者として片付けるつもりでしたわ」
「はぁ……」
俺は何度目かの溜息を吐いた。
「で?見事不意打ちのナイフを避けた俺はどうなるんだ?」
と言うとその女性は作り物めいた笑いを浮かべ、
「あなたにはレミリア様のところにいらっしゃって頂きます」
と答えた。
「拒否権は……ないんだろうな」
「ええ」
女性は短く答えると、懐中時計を取り出した。
次の瞬間、俺が立っている床は、滑らかな黒石から真紅のカーペットに変わっていた。
正面からものすごい威圧感が俺を襲う。闇の王程ではないが、ヴァルアスと同等かそれ以上のものだ。決して、侮って良い敵ではない。
「アンタが、この霧の事件の首謀者か?」
前を向きながら聞く。威圧感の原因は、まだ幼そうなーーフランドールと同じ様な程ーー少女だった。
だが、その身に纏っている雰囲気がフランドールとは違った。『恐怖』だ。少女が纏っている雰囲気は。
幸い、恐怖の類いは王国でたっぷりと味わせられたため、既に慣れている。
「そう。私がこの霧を出す様にさせた犯人。レミリア・スカーレットよ。それに貴方こそ、パチェを倒したって言う人間ね?」
「あいにく、俺が人間か、って言うとちょっと違うけどな。魔の中でも人間よりってだけだ」
「へぇ、だから強い訳ね」
「残念ながら、俺はそこまで強くはないし魔の力があるって訳でもないけどな」
「あら、それは謙遜なんじゃない?一万年前の王子、テルさん?」
「……知っていたのか……」
「敵の情報は多ければ多い程良いでしょう?咲夜に見てもらって貴方の戦い方はある程度把握したわ。まあ、奥の手はあるでしょうけど」
少し会話をしただけでも分かる。この少女はかなりの曲者だ。観察眼、聡明さ、そして恐らくは戦闘スキルもトップクラスだろう。
しかも奥の手の存在まで見破ってきた。まぁ有るには有るが、反動がデカすぎるので容易には使えない。
「アンタも中々の曲者みたいだな。しかも自分達のためにわざわざ霧なんて出すんだからな」
「あら、魔である貴方には分かるんじゃないの?手に入れたいと言う征服欲が」
「確かにあるかもな。俺にも。でもアンタのものとは違いそうだがな」
「当たり前じゃない。貴方はただの魔。一方私は吸血鬼なのだから」
吸血鬼……俺の時代の数百年前の話だと言う伝説か。大厄災で滅んだと言われていたが、まさか実在していた上に生き残りがいたのか……。
「貴方も知っているでしょう。吸血鬼は水と太陽に弱い。そのために例え征服しても出歩けないのよ。だから霧で覆ったの。
この支配した幻想郷を自分で見て回るために」
幻想郷、それがこの世界の名前か。
「アンタはもうこの世界が自分の物になってる様な言い方をしてるが、まだアンタの物にはなっていない。油断は禁物だぜ?吸血鬼さん」
すると、吸血鬼の雰囲気が変わった。
「何?まさか貴方がそれを止めようとするの?」
どうやら、上手く乗せられたみたいだ。俺はあえて少女を挑発させる様な言葉を選んだ。戦いに持ち込むためだ。今はあの少女と一戦交え、少しでも手の内を明かさせなければならない。
「ああ。この霧があると、この世界の景色が綺麗に見えないんでな」
「いいわよ。貴方を打ち負かして、この世界の住人に見せしめにするわ」
「あいにく、俺はそこまでまで見せしめにはならないと思うけどな」
俺と少女の間の空気が、徐々に張り詰めて行くのが分かる。俺は大剣を構えて、少女の初手に反応できる様に全神経を集中させていた。少女がなんらかのの非実態で出来た槍を構え、打ち込もうとしてきた、その時だった。
ガヂャッとドアが開かれ、招かれざる客が来た。俺は驚いて、ドアから入って来た乱入者を見つめた。横を見ると、咲夜と言う従者も、吸血鬼の少女も驚いていた。それもそのはず、入って来たのは、息を切らしたフランドールだったのだから。
to be continue……
なんか年明けてますね!
明けましておめでとうございます!
元旦に出そうと思ったけど間に合わなかった…
多分次はもっと遅くなると思いますが今年も闇幻、よろしくお願いします!