闇の王子の幻想入り   作:タルタルト

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約1年ぶりの投稿……ヤヴァイッスね……


紅霧異変幕問〜宴会〜

テルside

 

 

「……と、これがあの事件の全貌ってわけだな」

 

レミリア・スカーレットとフランドール・スカーレットが起こした異変ーー《紅霧異変》とでも称しておこうーーから数ヶ月後、俺は宴会の真っ只中にいた。なんでも幻想郷では宴会が流行っているらしく、異変解決後は皆で集まってどんちゃん騒ぎ、というのが通常になっていると言う。今回も旧地獄と呼ばれる場所にある地霊殿の面々が起こした異変ーー安直だろうが、《地霊異変》と称しておくーーを解決したと言うことで開かれた宴会らしい。

元々俺は参加する気は無かったのだが、宴会によってか幾らか上機嫌になっていた霊夢と魔理沙に、居候先の紅魔館から半強制的に連れてこられた。粗方俺の酔った姿が見たい、などと言った思惑によってだろうが、彼女達に弱味を握られる訳には行かないので酔い止めの秘術をかけて置いた。もっとも、その霊夢はベロベロに酔っているし、魔理沙は《紅霧異変》の事を酔いながら上機嫌で語っていたのだが。

 

「にしても、俺がレミリアの所へ居る間に霊夢と咲夜が戦ってたとはな……」

 

と、俺が零すと、

 

「ええ、残念ながら負けてしまったけど」

 

と咲夜が返した。

咲夜より強いであろうスカーレット姉妹を秒殺できる技を持っている霊夢が相手なのだから仕方ないとは思うが……。

 

ふと魔理沙たちの方を見ると、こあーーパチュリーと戦った際にいた赤髪の悪魔ーーが魔理沙に詰め寄っていた。魔理沙が借りて行った大図書館の本を返して欲しいのだと言う。以前パチュリーに頼まれ、大図書館の見張りをした事があるのだが、その時に本を借りに来た魔理沙の勢いはとてつもないものだった。

地下にあるはずの大図書館に箒に乗ったまま突入し、借りたい本をゴッソリと持って行って猛スピードで飛び去るのである。見張りの役目を果たさずに箒の勢いによって舞い上がった埃の中で呆然としていた事も流石に許して貰えた。その後に魔理沙を

 

「流石にあれはやり過ぎだ」

 

と窘めたのだが、幾らか勢いが抑えられただけらしく、大図書館から定期的には弾幕の発出音と箒の飛翔音が聞こえて来る為余り効果は無かったらしい。

オマケに本人も

 

「あんだけの本、パチュリー1人でしか読まないなんて正に死蔵だぜ」

 

と開き直る始末である。

 

「フフ、パチェにも友達が増えて良かったわね。私の運命は幻想郷と共にある。咲夜もこっちに来て良かったでしょう?」

 

「ええ、本当に。お嬢様も妹様と随分仲良くなられましたね」

 

「あら、私とフランは元々仲が良いわよ?」

 

と言うレミリアと咲夜の会話に、

(このままだと喧嘩に発展しそうな魔理沙達の会話を上手く丸めてその上別の話題にすり替えるとは……流石紅魔館の主)

と言った感想を抱いていたのだが……

 

「お姉様!……はあっ、はあっ、はあっ」

 

と息を切らしながら乱入して来たフランの次の一言によって、俺は先程レミリアに抱いた感想を撤回せざるを得なくなった。

 

「お姉様、私のプリン食べたでしょ!!」

 

と言うなんとも姿相応そうな言葉に一瞬、(フランも漸く普通の子供みたいな感情を持つことが出来たんだなぁ……)と言った現実逃避的な思考に陥ってしまったのだが、プリンと言う単語が脳内に引っかかった。プリンがフランの大好物だと知っていながら勝手に食べたのか……。これは流石にレミリアも謝るべきなんじゃ……。まぁフランは優しいし、レミリアが謝れば許すだろう……等と思っていたのだが、

 

「ああ、全然起きてこないからもういらないのかと思ったわ」

 

と言うあっけらかんとした言葉には、思わず頭を抱えた。又その言葉でフランの怒りも有頂天を超えたらしく、非実態の炎の剣ーーレーヴァテインと言うらしいーーを構えた。それをみたレミリアも、紅い非実態の槍ーーグングニルと言うらしいーーを構える。

 

ーー直後、今回の宴会の会場となっていた守矢神社から紅と橙の閃光が迸った。

 

「お姉様のバカーーー!」

 

「姉に向かってバカって言うなんて、お仕置きが必要な様ね!」

 

守矢神社の天井に大きな穴を開け、上空で武器を交えながら大喧嘩をしているスカーレット姉妹に霊夢達が呆れの目を向ける。

 

「止めてくださいぃぃぃぃ!怒られちゃいますうぅぅぅぅ!」

 

と涙目で叫んでいる守矢神社の巫女、東風谷早苗に向かって、俺は心の中で精一杯の激励を送るのだった……。

 

 

 

 

 

……さて、時は混沌に満ちたあの宴会の終了から数時間後。とうに日を跨いでしまっているため、早く休まなければいけないのだが、それよりも前に考慮しなければ行けないことがあった。

それは、宴会の終盤で霊夢に絡んでいたスキマ妖怪、と言う存在である。名前は紫、と言うらしいが、それ以外は何も分からない。だが、その異質さだけは分かった。紫と言うスキマ妖怪が持っている魔力の量と質が、圧倒的に飛び抜けていたからだ。生物は誰でも魔力を身体に秘めており、パチュリーや今回の宴会に参加していたアリスと言う女性は、常人よりも身体に秘めた魔力の量が大きく、それを利用する事ができる為《魔法使い》と呼ばれる。

魔力には例外もあり、例えば霊夢が身体に秘めているのは魔力ではなく霊力と呼ばれる物らしい……。

が、スキマ妖怪からは感じた魔力の量と質は霊夢を軽々と超える程だった。……つまり、あのスキマ妖怪は霊夢よりも強い。今の俺では霊夢一人を相手にするのですら勝てるか怪しいのに、あのスキマ妖怪を相手取る事態になった場合、まず勝ち目が無いだろう。唯負けるだけならまだ良いが、異質者である自分は必然性に猜疑心を持たれやすい為、最悪死を覚悟しなければならないかもしれない。しかもあのスキマ妖怪は宴会中にチラチラこちらを見ていた為、もう目をつけられていると思って間違いは無いだろう。

 

「全く……。何時になったら気を抜く事が出来るんだ……」

 

と呟いた俺の言葉は、誰にも聞かれる事はなく部屋の空気に溶けて行った。

 

……俺の呟きを聞き、口元に笑みを作った存在に、気付くことなく。

 

 

 

to be continue……

 




またもや約1年かかってしまい、本当に申し訳ございません……。こんなご時世ですが、そんな時こそ色々な小説を見て楽しみましょう!……と言う訳で幕問、楽しんでいただければ幸いです。
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