……熱さ、痛み、苦しさ。全てに体がのたうち回りそうになる。
だが、のたうち回ることは出来ない。何か重いものに体が押しつぶされている様だ。周りは沢山の炎で囲まれている。自分の他に生きている者はもう居ないだろう。
…………そう。もう自分以外誰も残っていない。
自分以外は皆死んだ。自分だけを皆置いていった。自分だけを残して皆消えてしまった。
……何故?どうして?誰のせいで家族は死んだ?誰のせいで自分はこんなに苦しまなくては行けない?
……そうダ。あいツのせいだ。アイツが自分達を見捨テたかラ……████が自分達を見捨てたからシンダ。
………………憎い、憎い、にくい、ニクイ。痛い、いたい、イタイ。
辛い、つらい?ツライ?
何故?なぜ?ナゼあいツが王二なンてなった?
オれならもっと上手くヤレたノニ。
おレなら、僕なら、ワたシなら。
こんなに人をタクさん死なセルようなコトも、いタズラに始祖のルーンをこワスこトもなかったノニ。
そう……ソウ。ゼンブアイツが悪イ。
アイツが無能だかラ!アイツが臆病ダかラ!アイツが弱い
カラ!アイツが黒の王国なんかを残してオクかラ!
アイツがバカだから!ガンがえなしだかラ!生きる価値もないから!死んだ方がまシだから!ノロマだかラ!屑だカラ!死んだ方がマシダカラ!
ああ……アイツなんか……イナケレバヨカッタノニ……
「安心するがいい。その負の感情、我が上手く使ってやろう」
彼/彼女達が最期に見たのは、紛れもなく「闇」だった。
……モウ……ヤダ………………
「っはぁっ!……はあっ!……はあっ」
何かおぞましいモノを見ていた感覚がして飛び起きる。服は自分の汗でぐっしょりと濡れていた。
「なんだったんだ……?今のは……」
どこを見ても惨状。生還が許されず、死ぬ事しか選ぶことができず、そして誰にも等しく与えられた地獄が、そこにはあった。
「……何か。何かマズイ気がする」
自分でも何故そう思ったのか分からない、根拠のない焦燥。
「白の王国……だよな、きっと」
焦りを覚えたのは見知った風景だったからか。それとも彼女を恨み、妬み、殺したいと願っている者がとてつもない程に大勢いたからか。
「……でも……」
一つだけ彼は気づいていないことがある。
「最後に聞こえたあの声は……」
それは、始祖のルーンが彼に残した呪いであり、願い。
「あの、息が詰まるほどの闇は……」
それは、彼が彼でないことの証明
「一体、誰のものだった……?」
彼はまだ、自分が何者か、理解出来ていない。
正義は必ずしもひとつでは無い。正義はそれを信じる人の数だけある。
正義は必ずしも正しくはない。幸せには対価が必要なように、正義にも犠牲が必要だ。
せいぎ せいぎ せいぎ
ぎせい ぎせい ぎせい
せいぎ、言う文字を繰り返すと、ぎせい、と言う文字が出てくるように。
正義がひとつでは無いのなら、████が正義のために行った事は、他の犠牲になった誰かにとっては悪である。
……せいぎは、ただしくはない。