~図書館~
「ここが図書館なのか?随分デカイな…」
成瀬が見たのは巨大な本棚にそれにぎっしり詰まった本だった。ちなみに、美鈴はもう下ろした。
「はい、そうです。」
咲夜はそれを肯定し、成瀬の方を見る。
「ところで、やたら見た目の割りに紅魔館が広いが何か細工でもしてあるのか?」
成瀬の疑問は最もであり、誰もが最初見た時、そう思う。あのレミリアですら疑ったくらいだ。
「ええ、私の能力で紅魔館の空間を広くしてあります。」
咲夜の能力は時を操る程度の能力。つまり多少の空間操作なら出来、紅魔館の中身を広げることくらいは容易い。
「なるほどな…しかし、お前がいなくなったらどうなるんだ?」
「ああ、大丈夫です。空間を広げるだけなら永遠に続きますから。」
咲夜の空間操作は操作するときに使うので使ってしまえば、もう空間操作しない限りはそのままの状態である。
「随分便利な能力を持っているな。」
成瀬は咲夜の反則じみた能力に感心する。
「そう言う貴方はどう言う能力を?」
咲夜は成瀬の能力に興味を持ち、尋ねた。
「ん?まあ…あれだ。競走馬が強くなるための能力見たいな物だ。」
成瀬は能力を知られたくないのか、曖昧に返答をする。
「…なんともいえませんね。」
成瀬の言ったセリフから咲夜は微妙な能力だと判断し毒を吐く。
「お前、結構毒を吐くんだな。」
「それよりもパチュリー様をお呼びします。しばらくお待ち下さいませ。」
成瀬の言葉から逃げるようにパチュリーを呼びに行った。
「さて…酒でも飲むか。」
成瀬はとっておいた酒を飲み、酔っ払った…
~数分後~
「お待たせしまし…た?」
咲夜が見た光景とは…
「だひゃひゃひゃ!よう、来たか!」
すっかり酔っ払った成瀬は大笑い、そのことに咲夜は…
「お客様、ほら来ましたよ?」
咲夜がドン引きし、すっかり敬語の使い方を間違えたほどのカオスだった。
「お客様なんてそんな堅苦しい言い方はやめな!俺のことは成瀬って呼びな!咲夜ちゃん!」
「な、な、なっ…!?」
ちゃん漬け呼ばわりされて咲夜は照れてしまい顔が赤くなる。しかも、成瀬が自身のことを呼び捨てにしろとまで言っている為プロポーズと勘違いした。
「どうだ!?咲夜ちゃん!俺と一緒に世界一の競走馬を作らないか?」
成瀬は酔っ払っているのか咲夜と18禁行為をしようというのだ。これは成瀬なりのジョークであり場を落ち着かせるための物だが…
「…(落ち着きなさい!咲夜!私は常にクールに!)」
咲夜は照れる余り顔を赤くしながらブツブツと自分の世界に入っていった。
「むきゅー…これは重病ね。」
パチュリーがそういい、頭を抱えた。
「ん?なんだこの紫モヤシは?」
重病という単語に腹が立ったのかパチュリーにとって悪印象の一言を言う。
「貴方はいきなり失礼なことを言うのね…」
「無礼講でナンボだろぅ~!こういうのは?ひゃひゃひゃ!」
「少し落ち着いたら?」
「落ち着いたら話がつまらないだろ?故に俺は騒~ぐ!!」
「はあ…ところで何の用なの?」
「そ~だった、そ~だった!あやうく忘れるところだった!俺は咲夜ちゃんに紅魔館の案内してもらっていたけど…あの状態じゃ無理だろ?」
そう言って成瀬は咲夜を指差す。
「まあ…そうね。私の使い魔を呼び出すから、ちょっと待ちなさい。小悪魔!」
「また待たす気か…全く。」
いちいち文句をつけるあたり、マダオの鏡である。
「案内してもらうのに文句つける気?」
しかし、パチュリーがそう言ってられるのも時間の問題だった。
~3時間後~
パチュリーが呼んでから小悪魔は現れず、成瀬もパチュリーも待ちぼうけをくらっていた。
「いつまで待たす気だ?」
成瀬はすっかり酔いが冷め、いつもの成瀬に戻っていた。
「小悪魔ー!!」
パチュリーが怒り、大声を出した。
ガンッ!
「むきゅ!」
パチュリーが大声を出すと本棚の本が落ちてパチュリーの頭にぶつかり、そのままパチュリーが気絶した。
「助けてください~!」
パチュリーを気絶させた本がそんな事を言い出した。
「なんだこりゃ?」
成瀬は不思議に思い、その本を持った。
「その本の192ページを開いてください!お願いします!」
成瀬はそう言われその通りに実行した。
すると、中から赤髪の少女が出てきて、その格好はまさに小悪魔である。
「ぷはあ…やっと出れました!ありがとうございます!」
小悪魔は成瀬に礼をいい、感謝をする。
「お前が小悪魔か?」
「はい、そうです!」
「なら、俺はそこのご主人様を運ぶから部屋まで案内を頼む。降ろしたら紅魔館の案内を頼む。」
「あ、はい!わかりました。」
この2人はパチュリーをベッドに運び、自己紹介をしあいながら紅魔館を回った。
~フランドール・スカーレットの部屋~
「ここがフランドール・スカーレット嬢の部屋か?ドアなんかはもう溶接されているぞ。」
「はい…実はそのことについてですが妹様は狂気に触れており、レミリア様にある程度の生活が出来るような部屋をあげた変わりに二度と出られないようになっているんです。」
「嘘をつくな。嘘を。」
「何がですか?」
「これは中から溶接をしているだろう。それに、妹を思わない姉はいないだろ?」
フランドールは自ら、ドアを溶接をして自分の部屋から出ないようにしたのだ。因みに、フランドールはすでに溶接の資格をとっている。
「…失礼しました。成瀬さんはやっぱりすごいですね。本当は真逆なんですよ。」
「と言うと?」
「実際には妹様は狂気なんか触れていなくてトイレも食事も何もかも自由の部屋を持っている。しかも今は…」
「そこにいるの誰?」
小悪魔が事情を説明しているとフランドールが部屋越しに話しかけてきた。
「俺か…フランドール、お前に会いに来たお客さんだ。」
「ふーん…でもここを開けれたら私とあっていいよ。このドアはオリハルコンとそれ並みの強度で出来ている金属で溶接したから開けられるわけないけど…私でも力任せじゃかすり傷すら出来ないよ?」
「関係ないな。危ないからドアから離れて下がってろ。」
ドガッ!
成瀬はドアを蹴っ飛ばし、無理やりこじ開けた。
「ほら開いたぞ。」
「えええ?!成瀬さんどうやって開けたんですか!?これまで紅魔館の全員が死に物狂いで開こうとしても開かなかったんですよ?!」
それもそのはず。レミリアは戦闘経験こそ上回るが身体能力に関してはフランドールに劣る。そのフランドールが身体能力任せに傷つけることすら無理だったのだ。
美鈴にしても体術なら幻想郷でも屈指の力を持っているがそれでも無理だった。
しかもオリハルコンで出来ているためパチュリーの魔法も通じず、諦めモードになっていた。
「ま、俺の能力によるものだ。」
「ドアをこじ開ける程度の能力ですか?」
「それじゃない。そして、俺の口から教える気にはならない。」
「反則!ダメ~!」
ここでフランドールが猛反発した。
「あん?」
「こんなのずるい!」
「そうか?お前は能力を使わずにやれとは言ってないぞ?」
「ずるいのはずるい!」
「やれやれ…子供だな。」
「子供だもん!」
「はあ…ならお前だけに能力を教えるから出てきてくれないか?」
「…どんなの?」
「気になるだろ?だったら耳を貸せ。」
「うん…」
そう言って出てきたのはレミリアと同じ身長の金髪の幼女だった。
「小悪魔、お前はもういいぞ。パチュリーの面倒でもみていろ。」
「あ、はい!」
そう言って小悪魔を下がらせた。
「じゃフランドール…」
「私のことはフランって呼んで。フランドールなんて言いづらいでしょ?」
「わかったフラン。俺の能力は…」
~一方~
「メイド長!」
「はっ!私は何を…そうだ!成瀬さんは!」
妖精メイドの言葉でやっと正気に戻り、周りに成瀬がいないことに気づく。
「今、お客様なら妹様のところにいますが…」
「(妹様のところに!すぐに行かないと…!)」
「メイド長?」
「いえ…ご苦労様。自分の仕事に戻りなさい。」
「はい。」
咲夜がフランの部屋に向かうと…開かなかったドアから光を見せて漏れていることからドアが開かれたことがわかる。もしや、と思い咲夜が聞き耳を立てると…
「ほら、フラン。いいものだろう?乗馬も。」
「うん!あとこの白いの何?」
「ああ、これは…」
この会話を聞き、咲夜は卑屈な事を想像し、フランの部屋に入った。
「何をやっているんですか!?お二人方!」
「「あ。」」
そこには馬の状態でフランを乗せた成瀬がいた。もちろん普通の乗馬だ。
「…」
これに咲夜は気まずさを感じ、黙ってしまった。
「あ~!咲夜だ!久しぶり!」
この空気をぶっ壊したのはフランである。
「妹様!?何をしていたんですか?!」
やっと正常に戻った咲夜はフランに状況を尋ねた。
「乗馬だよ!咲夜も乗ってみなよ!」
「そんな、お客様に恐れ多いことは…」
咲夜が先ほどの照れ隠しに、そう言って断ろうとするも…
「俺は別に構わないぞ。乗るか?咲夜。」
「あ…(咲夜ちゃんって呼ばない…私は結構気に入ってたのに…)」
「どうした?」
「いえ、なんでもありません!それよりもせっかくの機会ですし乗りましょう。」
「そうか。じゃ、乗りな。」
そう言って成瀬はしゃがんで咲夜を乗らせる。
「乗れたか?」
「はい。」
「じゃ、レミリア嬢に報告しに行くぞ。」
「えっ?ちょっと…!」
成瀬はそういって咲夜を連れてレミリアのところに向かった。