一方、紅魔館門前では…
1人の金髪の魔法使いの少女、霧雨魔理沙が図書館の本を強奪…もとい借りにやって来た。
「あれ?美鈴がやられてる?」
チーン…とでも表すべきだろうか美鈴が腰を上げ、その他全身は地面にしまっており、いかにも誰かにやられました的な体勢で気絶していた。
「まあ、ラッキーと言えばラッキーだしとっとと行くか。」
そういって魔理沙は紅魔館の門を超えて紅魔館へと入って行った。
「こんな時に魔理沙が来るなんて…小悪魔。いくわよ。」
パチュリーがそう言うと戦闘体勢に入る。なぜなら魔理沙は図書館の本を盗んでは返さない…ということを繰り返しているためブラックリストに登録されているのだ。
「はい!今日こそは絶対に捕まえます!」
しかも魔理沙は小悪魔やパチュリーよりも実力があるため本を強奪される可能性が高いのだ。その可能性が低いときですら準備が万全の時だ。
~レミリアの部屋~
「やっとフランの件について解決したわね…後は…」
レミリアがそう独り言を言う…
「後は?」
成瀬がどんなことをするのか気になり尋ねる。
「後は…って、何でここにいるのよ!?それに咲夜はなんでおぶられているのよ!?」
いつの間にか成瀬がレミリアの部屋に入って来たことにレミリアは驚く。しかも咲夜は咲夜で成瀬におぶられている。
「今さっきだ。俺が咲夜をおぶっているのはさっき乗馬をしたからだ。」
「成瀬さん、もうおろして下さい!お客様である貴方にもう迷惑は…!」
「あ~やりたいからやるだけだ。それとも嫌なのか?」
成瀬はそういって悲しむ顔をする…
「いえ、とんでもありません!」
咲夜は成瀬の悲しむ顔が見たくないのかメイド長のプライドを捨てて1人の女として成瀬に言う。
「そうか…」
「乗馬って…貴方、馬の妖怪だったのね。」
レミリアが成瀬が馬の妖怪だということに気づく。
「そうだ。それよりも悩み事があるみたいだな。」
それをあっさり肯定し、成瀬は何か自分に頼りになれないかレミリアの悩み事を尋ねる。
「これはどちらかと言うと私の問題じゃなくてパチェの問題なのよ…」
「パチェ?」
成瀬はそんな幻想郷に住人いたかと思う。
「パチュリー様のことですわ。成瀬さん。お嬢様とパチュリー様はお互いに親友同士で仲が良く、親友がいない私にとっては羨ましい限りの関係です。」
いつの間にか咲夜が成瀬から離れ、咲夜が成瀬にパチュリーだということを説明する。
「ああ…そういうことか。」
成瀬は咲夜の説明に納得したのか頷く。
「パチェは強いんだけどそれ以上の泥棒がいるから本を盗まれて大変な思いをしているのよ…」
「あのモヤシが?」
「確かに、パチェの身体能力はこの幻想郷でもケツから数えた方が速いけど七つの属性を使える魔法使いなのよ。戦闘に関してはほぼ問題はないわ…」
「なるほど…それ以上の泥棒ってのは八つ以上の属性を持つ魔法使いなのか?」
「いや泥棒は、「マスタースパーク!」どうやら来たようね。」
「…マスタースパークの使い手か。フラワーマスターなはず無いな…」
ここで説明しよう。成瀬は魔理沙のことを知らない。霊夢のところに訪れる際は何故か魔理沙がおらずにいるからだ。しかも、成瀬自身の家は無い。強いて言うなら賭博場だけだろう。その上、魔理沙はそんなところには寄らずにいるため会う機会が無い。
フラワーマスターとは…太陽の花畑の管理者の風見幽香のことを指す。風見幽香は能力こそ、平凡だが幻想郷でもかなりの実力者であり、能力なしなら幻想郷最強だと言われている。
何故、そんな彼女と知り合いなのかというと…成瀬は間違って太陽の花畑に迷い、しかもその花を間違って踏み潰したのだ。これに幽香は大激怒。成瀬は幽香に事情を説明し、謝ったが幽香は許さず攻撃してきた。その時に出してきたのがマスタースパーク…なお成瀬はこれをギリギリでよけ、たまたま外れた蹄鉄(その時は馬の状態だった)が幽香の目を潰し、大金星を上げた。ちなみに幽香は今も休養中である。
その後、射命丸文がその噂を聞き、成瀬と知り合いとなったのもその頃だ。しかし、それは偶然の事故なので成瀬が勝ったということにはせず、事故ということにしておいた。
「フラワーマスターと知り合いとは驚いたわね。」
「ま、俺は逆恨みされているだけだがな。最近は花でも植えて機嫌をとろうと考えているよ。」
「それがいいわね。彼女は幻想郷屈指の力を持っているから。」
「それよりも、泥棒ってのはなんなんだ?」
「まあ、図書館にでも行きなさい。それが一番速いわ。」
「それじゃ、咲夜も連れて行くが良いか?」
「構わないわ…この件を解決できるなら。」
「そうか…それじゃ行くぞ。咲夜。」
「わかりました。」
~図書館~
「パチュリー!今日も借りて行くぜ!」
「だったら、一度くらい返してからそのセリフを言いなさい!」
「死ぬまで借りんだ。文句は言わせないぜ!」
「あっ!返しなさい~!魔理沙ー!!」
「はあ…なるほど。こいつは悩みになるわけだ。」
成瀬はそう呟きパチュリーに同情した。
「それよりもどうするんです?」
「まあ、見てな。」
「じゃあな~!」
魔理沙はそう言って図書館から退却する…
「待ちな…金髪の嬢ちゃん。」
そこに成瀬が現れた。
「ん?誰だお前?」
魔理沙は紅魔館にそんな人物がいたかと不思議に思い成瀬に尋ねる。
「まあ、ただの馬妖怪さ。それよりもその本をどうするんだ?」
「ああ、それは普通に読むだけだぜ。」
「その本は許可を取って借りたのか?」
「もちろん!」
「取っていないんだろ?」
「それよりもどいてくれ。私はもう帰るんだ。」
魔理沙が帰ると行っているが実際にはパチュリー達を振り払うためである。
「その本を置いたらいいぞ。」
「そりゃごめんだぜ!」
魔理沙は箒を使い、空へ逃げた。
「やれやれ…面倒な。咲夜。」
「はい…なんでしょう?」
「魔理沙がここに来たら本を回収しろ。」
「え!?無理でしょう?!」
咲夜は成瀬の言ったことが理解できない。魔理沙がここにやってくると言うのだ。しかも、帰ってきたとしても回収できるはずがない。
「黙って従ってろ。面白いことが起きるからな。」
「へ?」
そう言うと、魔理沙が大量の荷物を持ち、成瀬のところに戻り土下座をして謝った。
「ごめんなさい!」
「どういうことですか?」
「まあ、俺の能力によるものだ。」
「そんな能力ってあるのでしょうか?」
「俺の能力は、3つある。そのうちの一つを教えてやる。それはありとあらゆるものを覆す程度の能力。まあ今回は魔理沙が本を盗んで罪悪感を感じないのを覆して罪悪感をかなり感じるようにしただけだ。」
「ああ…それで…」
「それよりも回収しろ。」
「あ、はい!」
「くそぉ!こんな私はなんて屑なんだ!腹切って詫びないと!!」
魔理沙の顔はぐじゃぐじゃになって、顔を真っ赤にしている。普段どれだけ罪悪感がないかわかるだろう。
「落ち着け。人にはミスの一つや二つはある。今度から注意すればいいさ。」
それを成瀬がなだめ、泣くのを止めさせる。普段人里で酒飲んで酔っ払う男の言うセリフではないのに、かっこよすぎる。
「うん…」
魔理沙は涙を拭いて、顔を大体元に戻す。
「ほら、自分の家に帰って反省して落ち着いてこい。」
「ありがとう。」
そう言って魔理沙は家に帰って行った。
「…凄い。あの魔理沙から本を取り上げるだけでなく紅魔館の全ての本を返させるなんて。」
「さてと…そろそろ交渉しなくてはいけないし、レミリア嬢のところに行くぞ。」
「かしこまりました。成瀬さん。」
咲夜と成瀬がすっかり主従関係みたいな関係になり、レミリアのところへと向かった。
~レミリアの部屋~
「これで紅魔館の悩みは消えたわ…」
「そうか。」
成瀬は今度はまともに入り、レミリアは驚かせないことにした。
「後言うなら…なんで咲夜は貴方の後ろに控えているの?」
レミリアが眉をピクピクと動かし青筋が立った。普通、従者は主人の後ろに立つのが常識だ。故に、咲夜は成瀬が咲夜の主人だと認めた証拠だ。
「さあ?」
成瀬も咲夜が後ろで控えている理由がわからない。何故なら咲夜にそこまで慕われるほどのことをしていないからだ。
「貴方、ちょっと席を外してくれる?」
「ん?わかった。」
そう言われて成瀬はすぐに退席する。
「(ああ…成瀬さんの顔がかっこよすぎる…!)」
成瀬が退席すると咲夜はそう思い、鼻血を垂らす。
「咲夜!なんでそっちについたの!?」
「私の旦那様ですから。」
「え、何があったのそれ?」
「実は私は成瀬さんに恋をしてしまったようで…」
「ちょっ…何よ。聞いて無いんだけど。」
「成瀬さんは私と世界最強の競走馬を作らないかと聞かれました。」
「なによそれ。どっかのテンプレみたいなセリフ。」
「そのセリフのおかげで胸が小さい私でも胸が大きくなった気分になりました。」
「さっきから無視しているけど私に恨みでもあるの?」
「その上成瀬さんが紅魔館の悩みを削りとり、私は完全に惚れました。」
「あの…聞いている?というか聞いています?」
「故に私はお嬢様よりも仕える相手だと感じました。」
「うー☆って泣くよ?だから無視しないで?ね?」
「ですからあの方についていくことにしました。」
咲夜は手っ取り早くレミリアに意見を言った。
「それはダメ~!お願いだから!咲夜がいなくなったら誰が紅魔館のメイドを纏めるのよ?!」
「美鈴に任せます。それに一週間に一度くらいは戻って来ますから大丈夫です。」
「門番はどうするの!?」
「時給制で雇います。」
「…じゃあ、私のところに保護するのは?」
「成瀬さんのことを考えて下さい。彼は賭博場を経営しています。」
「だったら、少しは私のことも考えて欲しいんだけど。」
「お嬢様は誇り高き吸血鬼なのですからなんでも一人でこなせるでしょう?」
「無理!フランの相手をしようと思ったのに咲夜が抜けちゃフランの相手にする時間が減っちゃう~!」
「だったら妹様も家事をやられたらどうでしょう?そうすれば妹様と触れ合う機会が増えるでしょう?」
「うーっ!それはそうなんだけど!」
以下三時間経過…
「う~!でも一週間で戻って来なさいよー!」
長い長い交渉の末、レミリアが咲夜に一週間やすみを与え、その間は自由にしていいとの条件で咲夜が飲んだ。
「承知しております。お嬢様。それでは成瀬さんをお呼びします。」
「ええ。待ちぼうけをくらった彼にはお詫びしないとね。」
レミリアがそう言うと咲夜がすぐに戻ってきた。
「お嬢様…」
咲夜が青い顔をし、レミリアに報告する。
「どうしたの?」
そして咲夜が衝撃の一言を放つ。
「成瀬さんがいません…!」
成瀬が行方不明となったのだ。咲夜は時を止めて紅魔館全てを見渡したがそれらしき姿が見つからない。
「そう…ならもう出かけたのでしょう。とっとと行きなさい。」
このことにレミリアはすぐにカリスマを取り戻し、冷静に対応した。
「…!はい!」
「ほらせっかくの休暇を無駄にするつもり?私に礼なんかしないで早く行った行った。」
「では、失礼します。」
成瀬はその頃、森の中にいた。
「いつまで監視しているつもりだ、紫。わざわざ、ビジネスを中止させてまでここに来たんだ。出て来い。」
そう言うとスキマが現れ、金髪の年の離れた女性が現れた。
「あらあら、そんなに露骨に嫌な反応しなくても。」
この女性は八雲紫。通称、妖怪の賢者であり、数少ない幻想郷を立ち上げた一人でもある。また、能力もかなり強力で、境界を操る程度の能力を持っている。
「ふん!どうだか。」
さらに成瀬は紫の胡散臭さに不機嫌になる。
「そんなに気に食わなかった?」
「誰だっていきなり下僕になれなんて言われたらそうなる。それに、俺とお前は敵になった身だろう?」
八雲紫は成瀬の能力に目をつけ、成瀬を否応なしに式…良く言えばパートナー、悪く言えば下僕にしようとしたのだ。だが成瀬はありとあらゆるものを覆す程度の能力で状況を覆し、逆に紫を式にしかけたが、紫は直前に成瀬を自分の式をすることをやめることで成瀬の式にならずに済んだ。
「それはそうかもしれないけどちょっと顔に表し過ぎじゃない?お互い様でしょ?」
紫は胡散臭い笑みで答える。
「…で?何のようだ?監視してまで俺に用があるんだろ?」
成瀬はそれをスルーし、紫の用件を聞いた。
「ええ、一つ。」
「早く言え。」
紫が焦らすと成瀬はさらに不機嫌になり紫は考え込む仕草をし…
「そうね…貴方の競亀用の亀を数頭いただけないかしら?」
それだけいった。
「…はぁ?」
余りにもこの空気に合わない用件だった。成瀬はシリアスな空気にして、後悔した。
「んなことの為にわざわざ監視したのか?」
「ええ、私も欲しいもの。」
「…なんというか馬鹿らしいと言うか。そのくらいだったら普通に対応してやったのに。ほら、持って行きな。」
成瀬は紫に対して敵対心を持っている為そういう対応しかできないのだ。
「あらただでいいの?」
成瀬は紫に金を求めず、亀を渡した。そのことに不思議に思った紫はそれを尋ねる。
「それだけお前が嫌いだということだ。とっとと帰れ。」
成瀬は余程、紫が嫌いなのかそっけなく返す。
「貴方の言う普通ってそんな態度?」
余りの言い草に少し腹を立てたのか成瀬に常にそんな態度なのか尋ねる。
「お前に対してだがな。」
それを紫限定と答え、背中を向ける。
「随分嫌われたものね。でも私は貴方のやっていること好きよ。じゃあね。」
紫はそう言ってスキマを開け、去った。
「さて…邪魔な監視も消えたし戻るか。」
そう言って成瀬は紅魔館に戻った。
ありとあらゆるものを覆す程度の能力…
その名前の通り、あらゆるものを覆す。
例えばとある女性の性別を覆すと男性になる。
例の通り、女性だという事実を覆し、男性に変えるなどは容易い。
他には硬い金属に使うと、柔らかくなり簡単に壊せる。
この例は硬いという事実を覆し、柔らかくしたということらしいので物に関しては間接的でなければ不可能。
更に、罪悪感がないのを覆し、あるようにした。
これは物ではなく感情によるものなので制限はない。
以上から成瀬の能力にある程度事実が含まれていないと使えないことから事実を覆す程度の能力と言えるが例外もあるためそうは言い切れないのでありとあらゆるものを覆す程度の能力と名付けた。
八雲紫はこの能力を利用し、幻想郷を管理しようとしたが失敗に終わった。
だが、これの使い方次第ではどんなことも出来るため制限はレミリア同様に制限はある。