マダオ馬妖怪の東方生活   作:ディア

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マダオ、ミスティアの屋台で切れる

~紅魔館~

「さて、常闇の妖怪を撃退してくれたお礼を言うわ。客人。」

「まあ、偶然だったがな。」

「それよりも私になんのようかしら?」

「競亀用の亀を売りに来たんだが…」

「三頭買うわ。だけど金は払わない。」

「代わりの物でも払う訳か?」

「ええ。咲夜を一週間貸すわ。」

「…論外だ。」

そう言って成瀬のレミリアの見る目が変わった。

 

「なんで?」

「咲夜は物じゃねえ。人だ。」

「だから咲夜を一週間の期間限定だけど雇い主を貴方に変えるだけよ。」

それを聞いて安心したのか成瀬はいつも通りの雰囲気に戻った。

「食費は?」

「…紅魔館に来た時に限ってタダで後は貴方達が払うわね。」

「…咲夜がいなくても大丈夫なのか?」

「その点に関しては美鈴が中華料理を作るわ。それとも嫌なの?」

「…本人次第だ。」

「だ、そうよ?咲夜。行ってらっしゃい。」

「ええ、お嬢様。ありがとうございます。」

「…(おかしい。咲夜はなんで俺に着いて行きたがる?これなら断れると思ったんだが。)」

「よろしくお願いします。ご主人様。」

「ご主人様はやめてくれ。せめて成瀬にしてくれ。」

「では成瀬さんで。」

「わかった。それで妥協しよう…(どうしてこうなった…)」

 

~屋台~

咲夜と成瀬は夜雀妖怪のミスティアの屋台で夕食をとっていた。

「成瀬さん。」

咲夜がコップの飲料水を飲むと、いきなり、シリアスな声で成瀬に話しかけた。

「ん?」

「私は成瀬さんに着いて行きたいからお嬢様に私の休暇をもうし出たのであって、お嬢様にお金がないからという訳ではありません。」

「つまり、お前は俺に着いて行くためにわざわざレミリアに頼んだのか?」

「ええ。」

 

「だが何故だ?俺に着いて行ってもつまらないだろうに?」

「…成瀬さん。貴方は覚えていないでしょうが、私は貴方にプロポーズされたんです。」

「ま、お前ほどの美人だ。俺が馬だということを忘れてしまうのは無理なかったのかもな。」

「成瀬さんは優しいですね…」

「ん?なんでだ?」

「覚えていないのでしょう?あの時のこと。」

 

「…」

「私は胸の成長が乏しくて…PAD長なんて呼ばれるくらいですから…そんな私にプロポーズしてくれたのは貴方くらいの者です。」

「俺は人間の胸がどうのこうのと言う性癖は持ってない。それに俺は俺と同族しか性行為はしない。サラブレッドなんてのはそんなものさ。」

「そうでしょうか?」

「間違いなく俺は馬か馬妖怪にしか性欲が湧かないだろうな。」

「しかし、人間と妖怪でも結び付くことがあるんですよ?」

 

「…そもそも性欲ってのは『その相手と結んでも異形児が生まれないからやれ』と脳の判断した上で出しているんだ。だから俺は異形児が生まれないように脳から性行為はするなと命令が来ているんだ。」

「…ズルイですね。」

「そうか?俺は同族が会える可能性がある平和な世界だというのに恋愛の一つも出来やしない。」

「愛さえあれば種族なんて関係ないでしょう?」

 

「逆に俺は人間が妖怪に、妖怪が人間に対して恋をするってのは変だと思うぞ?人間は天敵を相手に、妖怪は食物に恋をしているってことだからな。」

「…じゃあ私はどうすればいいんですか…?」

「咲夜?」

「私は貴方に、恋をし、てしまった、のに、結ばれ、ない、んで、ヒッ…すか…?」

咲夜の顔は涙をボロボロと流しておりいつもの様に鼻血は出していなかった。

「…泣くな。俺はもう決めていることなんだ。それに異種族で本当に愛している奴だからこそ、俺は恋愛に持って行きたくないんだ。」

「…だけど~!」

 

ここで始めて成瀬は気がついた。咲夜のコップと成瀬のコップが逆だということに。

成瀬のコップには酒があり、咲夜のコップには水が入っていたのだが咲夜が誤って酒を飲んでしまったのだ。

 

しかし、咲夜が普通の酔い方でないことから成瀬がいつも飲んでいる酒が普通の酒でないことがわかる。

成瀬の飲む酒は銘酒『伽羅崩壊』文字通りキャラ崩壊させる酒だ。

 

「(こいつ…俺の酒飲んだな。キャラ崩壊が酷すぎる。)」

「貴方は結局言い訳をして私を振っているだけじゃないですか!?」

「言い訳か…それは俺の存在意義だ。俺はな元々その『もしも』から生まれたんだ。」

「え?」

「もしも、あの時あの馬が故障しなければあのレースを取れただろう…と言われた馬達とファンの思いの集まりが俺だ。」

「…」

咲夜は黙って話しを聞いていると…

「それは本当か!?成瀬!!」

そこで慧音が首を突っ込んできた。

 

「慧音か。それよりも咲夜のこと知っているのか?」

「いや…名前は聞いていないな…」

「だそうだ。咲夜挨拶しろ。」

「はい。私は十六夜咲夜と申します。普段はレミリアお嬢様に仕えていますが今週の間は成瀬さんに仕えています。以後御見知りおきを…」

「なるほどスカーレット・デビルのメイドか…と紹介が遅れた。私は人里の守護者の上白沢慧音だ。よろしく。」

「ええ。よろしくお願いします。」

 

「それよりも俺がそんな存在だってこと今知ったのか?」

「そのセリフの言い方だと私が知っていたみたいな感じじゃないか?」

「というか言ったよな?」

「あれ?そうだっけ?」

「お前…まさか忘れてたんたじゃないだろうな?」

「いやいや、私に限ってそんなことは…」

「そんなことは?」

「すまない…覚えてない。」

「俺のことを注意するなら、そのくらいは覚えておけ…」

「う…」

 

数十分後、咲夜は酔いつぶれ寝てしまった。

 

「ところで、ミスティア。」

「なんでしょうか?」

「人参はないのか?」

「あー…それは売り切れなんですよ。」

「売り切れ?」

「ええ…なんでも賭博場が潰れるからって皆大騒ぎですよ。里の皆さんは出来るだけ今の内にやろうとしているんですよ~♪」

「お前も大変だな。」

そう言って慧音は成瀬をジト目で見る。

「おいおい…誰が潰すと言った?」

「えっ~と確か『文々。新聞』の天狗さん。」

 

プッチーン!

 

「そうか…あの糞天狗か…」

成瀬は口調こそ落ち着いているが手元がブルブルと震え、何か刺激を与えれば飛び出しそうな勢いだった。

「落ち着け!あいつの新聞は偽造だらけなんだ。だからお前が気にする必要は…!」

「なら、何故賭博場が潰れると噂になっている?」

そういって成瀬はついに頭から血が出るほど切れた。

「世間があいつの新聞を信じているからだ!世間があいつの新聞を信じなければよかったものの…!」

 

ガタッ!

成瀬は立ち上がった。しかし、その顔は既に鬼が見てもビビるほどの顔になっていた。

「もはやこれまで。こうなってしまったからには射命丸を探し当てるまで妖怪の山を潰すしかない!」

「待て待て待て待て!それだと異変になりかねないぞ!」

慧音がそう言って成瀬を止めようとする。

「私は応援しますよ~…」

咲夜が寝ぼけて余計な言葉をいい、成瀬を刺激させる。

「この駄メイド!黙れ!」

 

ゴズッ!

慧音が咲夜を頭突きで完全に気絶させ、黙らせる。

「あやややー?どうしたんですか?皆さん。」

そう言ったのは黒のミニスカに白の服を着た女性…そして噂を流しかつ今成瀬が殴ろうとしている張本人の射命丸文だ。

 

「ふっふっふ…飛んで夏の火に入る天狗とはこの事だな?」

そう言って成瀬は笑い続ける。

「へっ?」

「まさかここにくるとは思わなんだ…」

慧音が合掌する。

「あ~あ~☆やっちゃった♪」

ミスティアはそう歌いつつも料理を作る。

「(なんかやばい予感…!)」

そう思い、文は羽を広げ逃げようとするが…

ガシッ!

「どこへ行くんです?」

眠っていたはずの咲夜がしっかりと文の羽を掴み、逃がさないようにしていた。

「さて…何か言うことはないか?」

成瀬がそのセリフを言った時、文の顔は真っ青だった。

 

~お仕置き中~

 

「ひゃはははは、やめ、はははは!」

成瀬は文が外れないように河童から貰った張力500tの糸で縛りつけ、咲夜を使って文をくすぐっていた。

「どうだ?」

「わかり、ひゃはは、ま、ひひ、した、はははは、から、早く、ひひひひ、やめて、ふふふ!」

「何が、どうわかったのか言って貰おうか?」

「それは、ひひ、くすぐ、はははは、るの、はは、をやめた、ふふふ、ら、言います!」

「咲夜、やめてやれ。」

「はい、成瀬さん。」

咲夜がそう言うと文にくすぐるのをやめた。

 

「はあ、はあ…ぜぇー、ぜぇー…」

文は笑いすぎて疲れてしまったのか息が荒い。

「で?答えろ。」

「はい…私は心を入れ替えて、「咲夜、やれ」だひゃはは!まだ何も、言って無いのに!?」

「黙れ。なにが『心を入れ替えて』だ?俺が言っているのはそんなことじゃない。どんな新聞にするかと聞いている。」

「そんな、ひひ…理不尽な!」

「さあ、どんなのにするんだ?」

 

それから文は説明しようにも出来ずにくすぐられ続けた。

「漏れます!あははははっ、漏れる!ははは、これ以上くすぐったら漏れますからやめてください~!」

そんな声も聞こえたが、成瀬達は無視した。

 

~お仕置き完了~

 

「しかし、いいのか?この天狗はこの事を書くかもしれないぞ。」

慧音が『文々。新聞』にここであったことを書かれる心配し、声をかける。

「…まあトラウマが出来る程お仕置きしたんだ。二度とやるまい。」

成瀬はそう言って文をみる。

 

今の文は…

菊花賞で二回目のラチ蹴り失敗した馬のごとく、目が白目になり、口から泡が出て失神、更に失禁、そんでもって新聞連載休止!お大事に~、な状況となっていた。

 

「それにいざというための備えも出来たしな。」

そう言って成瀬は今の文の状態の写真を見せる。

「ドSだな。お前…」

慧音が引きながらも目が笑っている。

「お前が言うか?」

そう言って成瀬は慧音が持っていたアルバムをみる。その中には文のお仕置き中から今の文の写真が写っている。

「私としても、里人に誤解を招く真似はさせたくないからな。」

「まあ最も、向こうの二人がもっと撮っているけどな。」

成瀬が咲夜とミスティアの方を見ると…かなり写真をこれでもか!と言わんばかりに撮っていた。

「…なんにせよ着替えさせないとな。咲夜!アホ新聞記者の着替えをさせてやれ。」

「了解しました。」

そう言って咲夜は時間を止め、文の着替えをさせた。

 

~数十分後~

「う~ん…」

「やっと気がついたか…」

「あれ?私は確か…」

「洪水だ。それでお前はずぶ濡れになっていたぞ。」

「え?そういえば服が変わっている…」

「それは咲夜に頼んでやって貰った。」

「見ました?」

文は裸になっていたかと言う誘導尋問をした。

「…見てないな。そういえば。慧音達と料理を食べていたからな。」

しかし、成瀬は誘導尋問に引っかからずかつ、本当のことを言った。

「…(怪しい…)」

「それは私も保証するぞ。何しろ咲夜は時間を止めて着替えさせたんだからな。」

ここで慧音が、成瀬は文の着替えを見ていないことを口に出し、文は誘導尋問が出来なくなった。

 

「…(残念です…)そうですか。それはそうと何を食べているんですか?」

「キャベツとご飯だ。」

そう言って成瀬はソースをかけたキャベツとご飯を見せた。

「キャベツとご飯って…寂しくないですか?」

 

「俺の種族忘れたのか?」

「馬妖怪でしたね?」

「そうだ。俺は馬の妖怪だから野菜や果物、植物から出来た食物ならば食うことに問題はない。だが…」

成瀬はそう言ってキャベツを一口食べる。

「肉などを食べると数日間の食欲不振、寝不足に悩ませる…」

「だから人食いは出来ないんですね。妖怪なのに。」

文は納得した顔で成瀬を見る。

「妖怪と言うのは人食いだけじゃない。人々の感情を糧に生きる妖怪もいるからな。」

そう言って成瀬は、忘れ傘の妖怪や橋姫を思い出す。

「なるほど、よくわかりました…」

そう言って文は立ち去った。

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