さて、あれから1週間が過ぎた。検査、事情聴取、口止め(と言う名の脅迫)と正直心休まる時間もなく、さらに病室にはテレビも無い、スマホも無い、本も無いので暇つぶしもできない。おら東京○行ぐだの歌詞が無限ループして頭から離れなくなってしまった。だが、それも今日で終わり!今日からマイハウス(借家&ビルの一室)に帰れるのだ!腹の傷などこの1週間でほぼ完治済み。医者に「あなた人間ですか?」と真顔で聞かれた時顔面に1発入れたかったが、俺も腹に隙間作った奴が1週間で治ったら誰だってそう言う。俺だってそう言うね・・・・・俺、人間だよね?(震え声)
そんなこんなでようやく軟禁生活から脱出し、我が家に帰ってきた。交通費は全額相手側に支払ってもらったので懐は痛く無い。帰宅した後は部屋の掃除、空っぽの冷蔵庫の補充、洗濯やらで日がすっかり落ちた頃にようやく一息がつけた。夕食はお手軽!簡単のミートソーススパゲティにコンビニの野菜の詰め合わせ、そして缶チューハイ(カルピス味)だ。うへへ、ようやく酒が飲める。
夕食を台に乗せてテレビをつける。バラエティ番組は鳴りを潜め、ニュース番組しかなかったので適当に聞き流しながら夕食にありつく。
「1週間前にストーラフトン山の一部が山火事で焼失した事件で放火したと思われる容疑者が今朝、逮捕されました。容疑者は青山葵(あおやまあおい)25歳女性、自称正義の忍者と名乗っておりです。青山容疑者は逮捕時に「みんなでちょうちょを探しに行きました。そしたら燃えました」などと意味不明な供述を繰り返しており、現在病院で精神鑑定を受けているとのことです」
「続きましては全国各地で起きた変死事件の続報です。被害者は蛇に絞殺されたかのような跡や拳銃のようなもので撃たれた穴があったりと不可思議な変死が全国各地で報告されており、被害者同士に接点はなく凶器も不明で警察の捜査が難航していましたが、ある被害者の胃の中にメモ紙が発見されたとのことです。警察の発表によりますと内容は【毒・・スー・・・・・・・少女・・・気を・・・】とのことでした」
変なニュースばかりだな・・・・・。戸締りしっかりしとこ
夕食を食べ終え風呂から上がったところで眠気に襲われたのでベットにダイブする。
「あ~、メールの確認明日でいいや。どうせ大した仕事はこないだろうし」
三大欲求には勝てずにそのまま意識を手放す
あ、連続ログインボーナス切れちまった。
【残存数91】
翌日、社畜根性がまだ取れ切れていないのか目覚ましなしで6時に起床。とりあえず洗面台に向かい冷たい水で完全に覚醒させ、寝癖を櫛で簡単に流して整える。次に台所に向かい食パンをトースターに入れ、フライパンでベーコンを焼きつつ卵を投入。食パンが焼き終えるころに火を消して卵ベーコンを食パンに乗せ皿に乗せる。小型冷蔵庫からオレンジジュースを取り出してコップに移し、朝食の出来上がり。え?そこはコーヒーだって?苦いのは苦手なんだ。
テレビをつけて時計型のマスコットが特徴の朝のニュース番組を見つつ、朝食を食べ終え、事務所のパソコンを起動してメールのチェックをする。一週間以上放置していたので広告が大量に届いていたがまとめてゴミ箱にシューーーート!。残ったメールは1件で送り主は氷室からだった。内容はこのメールを見たら連絡をよこせとのことで電話番号が乗ってあった。
いやいやちょっと待て・・・・・。確かに名前と職業は喋ったがどこに住んでいるとかは喋ってないぞ。調べるにしても早すぎないか?それにこのメールが来たの昨日だし・・・。いやその前に依頼が一軒も来ていないってどうゆうことだ!
これがシナリオ中だったら軽いSANチェックが入りそうだ。軽く深呼吸をしてスマホを取り出し書かれていた番号を入力する。しばらくコール音が続くが出る気配がない・・・仕事中か?と思った時、ようやくでやがった
「・・・・はい、もしもし」
「九十九だがもしかして仕事中だったか?それなら後で掛けなおすが・・・」
「あー、いや・・・・普通に寝てたわ。というか今何時だ・・・ってまだ7時じゃねぇか!」
「正確には7時25分だ。そしてOK、これではっきりした。お前は俺の敵だ」
「ふぁ~~・・朝っぱらから元気な奴だな。で?何の用だ?」
「お前からのメールを見たから連絡を入れたんだよ!というかなんで俺の事務所のメールアドレス知ってんだよ」
「いや、そりゃお前、ホームページ見たからに決まってんじゃん?」
「え?マジで?そんなのあったのか」
「自分の仕事くらい把握しておけよ」
呆れられた声が癇に障るがまぁ、正論だけに言い返せない。俺は作った覚えがないが(そもそも作り方がわからん)元々作ってあったんだろう。それなら納得だ。
「それにしてもよく俺が帰ってきた日にちが分かったな。病院の人にでも聞いたのか?」
「あ~、それに関してはだな・・・・話すより見たほうが早いな。ちょっと事務所の窓見てみろ」
どうゆうことだよと思いつつ座っていた椅子を回転させて窓側を向く。そこから見える景色は3階だけあって景色がいい・・・といわけではなく、脇道が走っており、その向かい側にうちのビルより高いマンションが建っている。おかげで日当たりはよくないがその分,家賃も安く済んでいる。脇道にはちらほら歩行者や車が通っている。そこに特段変わったものはなくここにきてからよく見てきた光景だ。
「窓見てみたが特になにもないぞ?」
「いや、下のほうじゃなくて上のほうだ」
「なんで俺の見てる方向が・・・・・・・」
分かるんだ?と続けようとしたが自分が見た光景が信じられなかった。向かい側にあるマンション。その5階のベランダから現在通話中の相手が眠そうな顔を覗かせていた。
「ありえない・・・これは夢・・夢、悪夢・・・そう悪夢・・・悪夢に違いない。・・そうじゃないとおかしい、こんなことありえない。ありえないありえないありえないありえないありえないありえない(ry」
「ところがどっこい!これが・・・これが現実だ!」
時間は少し進み、場所は俺の事務所内。さっきまでと違うところはがいちゅ・・・げふん、そだいご・・・でもなくて悪魔(氷室)がいることだ。あの後、しばらく思考がフリーズしている際にいつの間にか身支度を整えた悪魔(氷室)が事務所の扉から入ってきていた。(昨夜閉め忘れていたようだ)今は何食わぬ顔で事務所のソファーに座りテーブルのお茶菓子を食っている。俺?俺はというと現実逃避中だ。まさかよりにもよってあいつが向かい側のマンションに住んでいるとはこのリハクの目をもってしても見抜けぬわ!これなら俺がいつ帰ってきたかなんて夜中に明かりを見てれば丸わかりだ。はぁ~~~・・・事務所側の窓にもカーテン買わなきゃ。
「それにしても驚いたもんだ。まさか向かい側にあるビルに住んでるなんてな。ビルについてあった看板を見たときはまさかとは思ったが、そのまさかときたもんだ。世の中狭いもんだな」
「うるさい、だまれ、しゃべるな」
「お、やっと復活したか。あと言っておくが山下さんはここから2駅離れた住宅街の一軒家に住んでた。もしかすると近場の探索者を集めたのかもしれんな。っと、すまんがお茶くれ。寝起きな上にこのお菓子で口の中がパッサパサなんだ」
「・・・・・」
いきなり上がり込んできて勝手にお茶菓子(うまい棒ポタージュ味)食ってるくせにお茶まで要求してくるとは・・・このゴミどうしてくれようか?
「おっと、その邪魔な粗大ごみをどう処分しようかと考えてそうな目をやめてくれ。ちゃんと手土産は持ってきている」
「っ!?そ、それは!?」
今まで気が付かなかったがテーブルの上に小さな白い箱が置かれていた。その箱には【グレート・オール堂】と書かれている。
「ま、まさかそれは・・!?」
「そう、そのまさかだ!月に5日しか店を開かず、その開店日もバラバラで開店すれば常に長蛇の列が出来てしまい、入手困難とされている【グレート・オール堂】のケーキさ」
「お茶は麦茶と緑茶どっちにいたしましょうか?」
「眠気覚ましも兼ねてコーヒーのブラックで」
「へい、少々お待ちくだせい!」
「ちょっとは返事に統一性持たせろよ」
俺は箱を台所まで運び、ハイテンションでコーヒーを入れる準備に取り掛かる。とはいってもコーヒーメーカーがあるわけでもないのでインスタントだがな。電気ポットに水を入れスイッチを押す。あ、ついでにあいつの朝食でも作っといてやるか。流石にうまい棒では腹は膨れないからな。だがその前に箱の中身を確認する。やはり王道のイチゴのショートケーキだろうか?箱を開き中身をのぞいてみると
《ロールシークレットダイス??→87 失敗》
中身は中央に大きな栗が乗っているモンブランだった。・・・・・なんか勝手にダイスが振られたが、まぁ今は日常パートだし問題ないだろう。箱を閉じて冷蔵庫に入れる。さて、パパっと作るか。
「ほれ、出来たぞ」
コーヒーと今朝、俺が食べたメニューをテーブルに運ぶ。するとどうだろうか。鳩が豆鉄砲食らったかのような顔の氷室がいるではありませんか。・・・・きもい
「台所で何かしていると思ったが・・・・これは何だ?」
「何ってコーヒーと焼いた食パンの上にベーコンと卵を乗せたものだけど?」
「・・・・・・・・毒とか下剤とか入ってないよな?」
「うちにそんなものはない」
「・・・・・・・・なら髪の毛とか血とかは?」
「なんでお前にヤンデレみたいなことをしなければならない」
「・・・・・・・・実は賞味期限切れてたり」
「してない」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「いったい何を仕込んだ!!言え!!」
「何も仕込んでねーよ!!さっきから何の問答してんだよ!」
「お前にラスボスを押し付けた上に勝手に上がり込んで来た俺に対して食べ物に何か仕込まれてないか不安にもなるだろ!」
「自覚あるならもう少し自重してくれないか!?」
「スイーツ一つでこれか・・・・・・お前知らない人について行ったり、怪しいツボとか絶対に買うなよ?」
「今時小学生でもそんなのに引っかからないからな?というか馬鹿にしすぎだろ!別にこれくらいならコーヒー作る片手間で作れるもんだから作っただけだ。お前、起きて何も食べてないんだろ?それだと昼までもたないから親切心で作ってやっただけだ。食べないのなら俺が食うからよこせ」
「いやいや、誰も食べないなんて言ってないだろ。疑ってすまんかった」
「それ食ったらさっさと要件言って帰れ」
その後だが黙々と朝食を食べていた氷室だがなぜか気まずそうな顔をしていた。はて?苦手なものでもあったのだろうか?
ほかの探索者達もしっかりシナリオを楽死んでいますね(誤字にあらず
補足情報
・グレート・オール堂のケーキ
【まるで神が心を込めて作ったかのような天にも昇るスイーツ。一度食べれば病みつき間違いなしの一品であり、大半の購入者はあまりのおいしさに頭がおかしくなるとのこと】
強制アイデアロール。成功者はこれが冒涜的な食べ物だということを理解してしまい、食べてしまった場合SANが10減るが邪神の加護が付く(一度だけダイスを振りなおせる)
だが、失敗してしまったあh・・・頭の柔らかい探索者はおいしそうなケーキとしか思わない。食べてしまった場合SANは減らないが女神の加護が付く(一度だけぞろ目が出た場合ファンブルする)