果たして無事に生還できるのでしょうか!(ゲス顔
「まさか、一発目に腕死かー。え?難易度高くね?」
そう、うろ覚えな情報を思い返すにこれはルルブ2010に記載されているはずだ。確かゴ=ミじゃなくてミ=ゴが黒幕?で研究所内でなんとかウイルスが蔓延して職員達が石にされてたはずだ。
流石に6年以上前の記憶なのでおぼろげにしか内容を覚えていない。
「最初はクローズド系か。そうなると持ち込める物に限りが出てくるな」
指定された時間までまだ余裕があるので、必要な道具をかき集める。
持って行く物は
スマホ、財布、解錠道具、カロリーメイト数箱、飲料水、簡易応急セット、竹刀一本だ。
流石に木刀は職質が怖いので持っていかない。
服装は、半袖シャツの上に薄手の長袖パーカー、長ズボンと、いつも外に出かけるスタイルで行く。
ちなみに俺が持っていた服の一部が女性ものに変わっていた。一度スカートを履いてみたが、下の違和感が半端なかったので厳重にタンスの奥に封印した。女性物の下着なんかもあったが、普通に男物のトランクスを履いている。(ブラジャー?知らない子ですね)
あまり多くても動きづらくなるので、肩掛けカバンに荷物を詰め込み自宅を出る。
指定された場所にたどり着くと、一台の黒い乗用車が停まっていた。これに乗り込めということだと思うが、間違っていたら黒歴史間違いなしなので運転手に確認しようと近くと勝手に後部座のドアが開いた。
「間違いはなさそうだな。さて逝きますか」
車に乗り込み中を確認するが、前の席との間が塞がれている以外は異常はない。
完全に乗り込むとドアが閉まり、移動が始まった。
キングリムゾン!
ハッ?!なぜか道中の記憶がない。気がつけば荷物を持って知らない所に立っていた。そして手にはいつのまにか招待状と書かれた一枚のカードを持っていた。ナニカサレタヨウダ
周りは見渡す限り畑が広がり、正面に少し大きめの白い建物があるだけだ。見たところ廃墟ではなくきちんと人が管理している感じの綺麗なものであった。
「ここがあの研究所か。中にいる職員には申し訳ないけど、ウイルスの流出は防ぎようがないから諦めてもらうか」
いきなり来た一般人にこの先のことを言われても頭のおかしい人と思われるのがオチだからな。
建物の入り口はすぐに見つかった。中に入ると広々としたカウンターがあり、その奥で数人が事務作業をしていた。
カウンターの奥で受付していた職員に招待状を見せると、すぐに手続きを始めた。
なんでも機密保持のために、スマホなどの電子機器類はここで預けてなければならないらしい。
「(早速応援を呼ぶ手段を封じて来たな。クローズドなら当たり前か)」
指示に従いスマホを預けると、代わりにプラスチック製の腕輪が渡された。簡単な作りで着け外しはは可能なようで、中にICチップが内蔵されており、研究所内の扉を開ける鍵代わりらしい。腕輪にはクラス1と進度1〜7と書かれておりクラスはその数字に対応した数字の扉を開けることができ、進度については健康状態を確認するためについてるらしい。
一通りの説明を受けた後、職員の一人がこちらに来て後についてくるよう言われ、受付の奥にある扉を通り研究所内を案内しようとした瞬間、大音量のアラームが所内に鳴り響く。
「(え!?なんだなんだ?研究所に入ったばかりなんだけど)」
内心パニックになっていると、職員が所内でトラブルが発生したので会議室で待ってほしいと一方的に説明し、強引に会議室に連れて来られた。
会議室は10人以上が楽に入れるくらい広く、長机、椅子、給湯器、内線電話、壁には大きめのテレビとかなり豪華な感じだった。
会議室には誰もおらず、連れて来た職員も俺を押し入れるとともに何処かに行ってしまった。
「あっれ〜?まさか俺一人?詰んでね?ま、まっさかねー」
冷や汗を流しながらも、一人で特にやることもないので椅子に座り、置いてある給湯器でお茶を作って待つことにした。
「あ〜お茶がうまい」
決して現実逃避しているわけではない
一人のんびりしていると会議室のドアが開き、職員と見知らぬ男性2名が入ってきた。職員はまたドアの向こうに消えたが、残された二人がこちらと目があった。ああ、よかった。このまま一人で攻略しろとか無理ゲーさせられるかと思ったよ。この二人が今回の仲間(探索者)なんだろう。とりあえずまずは
「お茶でも飲む?」
椅子に座らせて、お茶を二人分作るとそれぞれ配り、自己紹介を始める。
「えっと、はじめまして。俺は九十九 響(つくも ひびき、職業は私立探偵している。先に言っておくけど、二人は探索者であってるよな?」
「ええ、間違いないですよ。僕は山下 健吾(やました けんご)。職業は作家をしている。作品は売れてない三文作家ですがね」
「俺は氷室 月島(ひむろ つきしま)職業は闇医者だから怪我したら任せな。ただしお代はしっかり頂くけどな」
山下さんは天パな髪に若干猫背で平均的な顔つきだが、大人の余裕を感じる人だ。なんというか親戚のおじさん的な雰囲気を感じる。作家なだけに身体つきはあまり良くない。おそらく探索メインの技能なのだろう。
氷室さんは茶髪が似合う爽やかなイケメンだ。医者のくせにガッシリして細マッチョというのか、こっちは戦闘もできそうだ。だが、自己紹介している最中に俺の胸を凝視しているのを俺は見逃さなかったぞ。
その後、お互いにキャラクターシート(プロフィールを除く)を見せ合い、何ができるのか確認しあう。
話を聞くに山下さんは素人でメタ知識はほとんどない。逆に氷室さんは月一でTRPGに参加しており、メタ知識は有名どころなら問題ない。
ある程度共有したところ、山下さんがやはり違和感を感じたらしく質問して来た
「ちょっと気になったのですが、自分のことを俺って言ってますが……そうなのですか?」
「あ〜、やっぱりそうなるよな。別に隠そうとはしてないけど、この際話しておくか。…俺って現実では男なんだけど、これに参加する際、締め切り時間ギリギリでな。適当に選んだキャラクターシートがこれって訳だ。だから男として扱ってくれると助かる。」
これから一緒に探索するのだからあまり隠し事や敬語はしたくない。それに女として扱って欲しくないので後で言おうとしたことなので問題ない。
「なんといいますか、やはりそうゆう方もいるのですね。事情は分かりました。こちらは問題ないです」
「いやいや、山下さん飲み込み早すぎませんか?こんな美少女の中身が男で、これから男と接しろなんて無理無理」
「はっはっ、僕くらい年取ればどうってことないさ。それにいい小説のネタになりそうだしね」
「それはそれでひどくねーですかね?」
「印税の10%は貰おうか」
「お前はお前で逞しいな!?」
どうやら氷室さんはツッコミ属性があるらしい。よろしい、ならば俺はボケ担当に回るか
ある程度打ち解けたところで今後のことについて話し合う事にした。
「あー、僕全然今後の展開わからないけど、どうなるのか分かるかい?」
「俺は黒幕の神話生物と職員が石になるまでは覚えてるんだが、他はサッパリだな。氷室は?」
「一応俺が年上なんだがな……まあこの際いいとして、今後については九十九が言う通り、Gウイルスの影響で職員が石にされる………はずだ。」
「なんで最後に言い澱んだ?」
「それなんだがな、本来であればこの会議室にユーリって言う女のNPCが居るはずなんだ。俺は最初あんたがそうなのかと思ったんだが違った。この時点で通常のシナリオから外れてる。だからこのままメタ知識通りに行くかわかんねーんだよ」
「なるほど。もしかするとあなたが知っているものではない可能性があると?」
「ああ、その通りだ。だからなにが起きても驚くんじゃねーぞ。」
氷室がそう言い終えた時だった。どこかでボンッと音がなると同時に小さな振動が伝わってくる。この音が合図かのように外から怒声や悲鳴、ドタドタと慌ただしく足音が聞こえてくる。俺たちは会議室入り口から距離を取り、ただただ音が聞こえなくなるのをじっと待って居るしかなかなかった。
どれくらい時間がたったのだろうか。足音や悲鳴が聞こえなくなり不気味な静けさだけが会議室を支配していた。だが、氷室がその静寂を破った。
「いいか、通常通りであればこの後ドアが開いて石になりかけの職員が入ってくる。その職員は倒れ込んだ瞬間に首からポッキリ折れて死ぬ。その前になんとか受け止めて助けるぞ」
「意外と真面目なんだな。モブNPCだから死んでもいいっていうプレイヤーかと思ってた」
「んなわけねーだろ。助けれるもんは助ける。まぁ、SANチェック回避の為でもあるけどな」
最後の一言がなければかっこよかったんだけどな。
氷室に呆れていると、不意に会議室のドアが開き、ドアから一人の男性が現れた。氷室の助言通り、倒れる前に救出すべく3人で職員に向かって駆け出そうとしたが、動けなかった。その職員の全身いたるところに赤い液体を付着して、手には同じく真っ赤な液体が付着した鉄パイプが握られていたら誰だって驚くだろう。しかも、顔は下を向いてよく見えない。
「氷室、これも通常通りなのか?流石に俺もこんなのなかったと思うぞ」
「んなことは百も承知だっつーの。二人とも気を抜くなよ」
「悪いが、僕は全く戦闘できないから期待しないでくれ」
技能を見た限り山下さんは論外として、氷室も銃火器がメインで今は持っておらず、俺も今は竹刀だけだ。幸いドアの前で動かないので構えることはできたが、あれって血……だよな?
《SANチェック 0/1d3》
はい、やっぱりそうですよねー。知ってた
《九十九75失敗、氷室95失敗、山下46成功。九十九3、氷室1》
ファアアアアアア?!最大値ナンデ!?
システムメッセージが終わると同時に自分の大切ななにかがなくなる感じがした。こう自分が自分であるために必要な大切な物が抉られると言うべきか、とにかくにすごい不快感や不安感等が襲ってくる。冷や汗が止まらなく、手に持っている竹刀が細かく揺れ、足は生まれたての鹿のように震えている。たかが3減っただけなのに震えが止まらない。
「おい!しっかりしろ!情けないがあんたが動けなくなったらヤベーんだよ!」
氷室の声で現実に戻される。まだ少し震えているが、なんとかいけそうだ。
「わ、悪い。助かった」
「気にすんな、お前ほどじゃないけど俺も体験したから気持ちはわかる。だけど今は目の前に集中してくれ」
「今のが噂のSANチェックってやつだね。僕は減らなかったから問題ないけど、見る限りあまり良いものじゃないみたいだね」
職員は相変わらずドアの前で動かないので、俺を先頭に氷室、山下さんと重ならないようにゆっくりとだが近くと、ピクリと反応があった。職員は急に顔を上げてこちらを見つめてくる。その目に光はなく、まさしくハイライトオフ状態だった。
「(これがヤンデレの目ってやつか。アニメで見るぶんにはいいけど実際に見たらトラウマもんなんですけど)」
職員は数秒こちらを見つめていると
「ひ、ひと。ウゥッゴゴギいてえてている。ででで、でぐtちちちちち、あけろおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
大声をあげて手にした鉄パイプを振り上げて襲いかかって来た。
SANチェック時のファンブルはなしとします。
1回目でこれだよ。(真顔
次回からダイス振る回数が増えます
コメントしてくださった方々、ありがとうございます!!
エタらないように頑張って書いていこうと思います