広瀬"孝"一<エコーズ>   作:ヴァン

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壁の外から来た魔女 ―孝一編その①―

「――眠れ。魂無き物共よ」

 

 声の主が小さく呟くと同時に、ドラム缶のような形をした警備ロボットがその活動を停止させる。

 コンクリートの床でその動きを止めたロボットは、まるでオブジェとして、はなからそこに陳列されていたかの様だ。

 警備ロボット、監視カメラ、人工衛星。その全てを一時的に無効化した。

 完全には破壊しない。そんなことをすれば、たちまち大量の警備ロボット達やこの学園の能力者達と事を構えなければならなくなるだろう。もとより彼女に戦闘力は皆無。

 潜入。

 彼女はそれだけに特化した魔術を使う、ただの運び屋だ。

 その彼女が今、学園都市に侵入を果たした。品物はない。彼女の身、一つだ。

 外壁を突破し、警備ロボを黙らせ、彼女はどこに向かうというのか。分かっているのは、彼女の瞳には何か決意に満ちた強い意思のようなものが宿っているということだけだ。

 

「・・・ジジジジジジ」

 

 警備ロボットが電子音のようなものを発し、フリーズ状態となっている。

 その頭部には何か、鳥の羽のようなものが張り付いている。

 羽には魔術の文字(ルーン)の様な者が刻まれ、よく見るとうっすらと、紫色に発光していた。

 おそらく、何らかの呪文が発動しているものと思われる。

 

 停止(バインド)の呪文の効果は30分程度。

 その前に、この場所を離れなければならない。

 声の主は肩に落ちた漆黒のフードを被り直すと、暗闇に溶け込むけるように同化し、その場を後にした。

 

 ――私には、使命がある。

 

 しかしそれには人手が足りない。私一人の力で事を成すは困難だ。

 使命を果たすには、協力者がいる。

 

 少女には心当たりがあった。

 学園都市内で、自分の命令を忠実に聞いてくれそうな人物の心当たりが。

 その人物は私の頼みを断らない。いや、断れないはずだ。

 何故なら、彼の弱みに付け込むすべを、自分は心得ているのだから。

 少女は、闇の中でにやりとほくそ笑んだ。

 

 

 

 

「ぐぅ・・・・・・。フガ・・・・・・」

 

 深夜。

 既に廃ビルと言っても差し支えない、建物。その一室で、ジャック・ノートンは高いびきをかき、ベッドで大の字で眠りこけていた。

 周囲には書類の束が散乱し、脱ぎ散らかされた衣類やカップ麺等が床一面に散らばっている。

 ここは彼の自宅兼、仕事場だった。

 

 第七学区のうらびれた路地裏。

 そんな人気のない場所に、ジャックが立ち上げた『ノートン探偵事務所』はあった。

 彼が請け負うのは人探しや盗品の捜索だが、それだけでは食っていけない。実際は、表沙汰にできないような案件を請け負うことのほうが多かった。

 今回請け負った案件も、窃盗団に盗まれ、闇の市場に流されていった宝石の回収というもので、ついさっき犯人の一団と大乱闘の末、無事宝石依頼主の元へと届けたばかりだった。

 

「ぐごごごごご。すぴー」

 

 ジャックは久しぶりに晴れやかな気分で熟睡していた。

 やはり、きちんと働いたと実感してから寝るのと、毎日暇をして惰眠を貪るのとでは、その睡眠の質にも影響を与えるようだ。

 ジャックのようにすねに傷のあるに人間に、学園都市という環境はとても無情だ。密入国という違法手段をとっている以上、まともな組織が彼を雇ってくれるはずもない。だからこうして裏の家業にも足を染めてしまう。

 だが、それでもジャックは今の生活に満足していた。

 

 子供の頃、スーパーマンに憧れた。一般の人間には備わっていない異能の力、それを行使する人々。全てが彼の憧れだった。だから、その夢を体現したような学園都市にこられて、彼はそれだけで十分だったのだ。

 

 

「・・・・・・おい。おきろ」

 

「ぐえっ!?」

 

 気持ちよく熟睡しているジャックの鳩尾辺りに、重い衝撃が加わった。その衝撃があまりに突然すぎて、ジャックは強制的に安眠から覚醒させられてしまう。それと同時に胸の辺りまでこみ上げるものを感じ、気分が悪くなった。

 

「な、な、なぁっ!?」

 

「お前が、ジャック・ノートンか? ずいぶんと小汚い所に居を構えているんだな」

 

 ジャックが目を開けると、そこには自分の鳩尾に足を乗せ、思い切り体重をかけている全身黒ずくめの女がいた。

 

「お、おまえ!?」

 

「アジャンテという組織に、心当たがあるだろう? 私はそこから来た。お前に協力を求めにな」

 

 一体何がなんだかわけが分からずに混乱するジャックを見下ろし、女は頭に被っていたフードを下ろす。

 とたんにフードと一緒に、サラサラとした金色の髪が零れ落ちた。

 腰まで伸びた、さらさらとした金色の髪。

 青いエメラルドブルーのような瞳。

 そこから顔を出したのはまだ年端の行かないような少女だった。

 その顔立ちはまだ幼く、15、6位だとジャックは連想させられた。

 しかしその瞳には、強い意志のようなものが内包されており、一般の女性徒とは明らかに一線を画している。

 

「・・・・・・・・・」

 

 その清楚な顔立ちにジャックは一瞬見とれるが、すぐに思考を切り替え、この少女が誰なのか考えをめぐらす。

 少女が言った『アジャンテ』という組織。

 そして体を覆う漆黒のローブ。

 ジャックはようやくこの人物の正体に思い至った。

 

「お、おまえ、もしかして!? 俺を学園都市に運んでくれた運び屋の仲間か?」

 

 少女は「やっと分かったか。馬鹿め」とでもいいたげな表情で、ジャックを見下ろし続けている。

 

(そうだ、思い出した。『アジャンテ』、俺が学園都市に密入国する際に手引きしてくれた組織がそんな名前だった。確か、どのような非合法な品物でも、目的地まで運ぶことを生業とする魔術結社で、俺はそいつらを利用して学園都市に侵入する事が出来たんだ。それがなんで、いまさら、俺に用があるってんだ? )

 ジャックには思い当たる節がまったくなかった。

 

 元来、魔術師というものは群れで行動することを嫌う傾向にある。それは、魔術師の行動原理には「願望を成就させる。その為にはどのようなものも利用する」という個人的な感情が伴うからであり、組織に属していてもその考えは変わることはない。彼らにとって、組織とはあくまで願望達成のための手段であり、その気になればいつでも裏切ることもいとわないのだ。

 しかし何事にも例外はある。

 とくに近代の魔術師達の中には、己を高めると言う崇高な理由も、願望成就という手段すら捨て、私利私欲に走る者達が出現し始めたのだ。

 なぜなら魔術は、正規の手順さえ踏めば素人にも使用する事が出来る、この上なく魅力的な技術だからだ。

 その為、そこに金の臭いを感じ取って悪用しようとするものがいてもおかしくはないのだ。

 彼らの目的は純粋なビジネスであり、魔術はその為の手段でしかない。

 この『アジャンテ』なる組織もその内の一つだ。

 彼らは居を構えず、まるで遊牧民の様に各地を転々と移動しつつ、依頼をこなす。

 それは、教会側からしたら明らかに異端であり、粛清の対象となっているだろう自分たちの身を守るための行動だった。

 

 

「――お前に、手を借りたい案件ができた。協力してもらおう」

 

 少女は尊大な態度でジャックを見下ろしている。

 人の安眠を妨害しておいて、いきなり何をほざきやがるのかと顔をしかめたジャックだったが、なんとか感情は押し殺した。こういう場合は、努めて冷静に話し合うべきなのだ。とりあえずこの体制だけでも何とかしなければならない。だから、ジャックは努めて紳士的に、大人の対応で少女に対応した。

 

「あ、あー。お嬢さん、分かった。とりあえず、話しは聞こう。だから、この体勢から一端離れないか? その、さっきからお嬢さんの下着がさ? この体勢だともろ見えになっているっていうか・・・・・・」

 

「!?」

 

 少女はとたんに顔を真っ赤にしかめて股下を抑えると、そのままジャックの顔面を足の裏で踏みつけた。

 

「ぐはぁっ!?」

 

「この、変態が!」

 

 ああ、良かった。

 こういう反応は年相応じゃねえか。

 ジャックは妙な安心感を覚え、しばらく意識を失った。

 

 

 

 

「――ほらよ」

 

 少女を来客用のテーブルに座らせたジャックが、ココアを入れたカップを持ち、現れる。

 

「フンッ」

 

 差し出されたココアを、少女は鼻を鳴らしながら無言で受け取った。

 ジャックは「やれやれ」と心の中でため息をつく。

 どうやら下着を見られたのがよほど許せなかったらしい。

 魔術師とはいえ子供は子供。

 それも思春期真っ只中の十代だ。どんなことで自尊心が傷付くか、分かったもんじゃない。

 

(まあ、それはそれとして・・・・・・)

 

 ジャックはとりあえず、深夜に訪れたこの可愛らしい魔術師の話を聞くことにした。

 机を挟み、少女の真正面に座る。そして足を組む。

 いつもの依頼者とのやり取りと同じ、彼独自のスタイルだった。

 

「それで、俺に手を借りたい用件ってのはなんだ? 言っとくが、前の様に細菌兵器のアタッシュケースを運ぶなんて仕事はお断りだぜ」

 

「それはサマルディアの連中が勝手にやったことだ。我々の仕事は、依頼された品物を運ぶ。ただそれだけだ」

 

「依頼内容に善悪は問わないってか? 気にいらねぇな。それでどれだけ多くの人間が――」

 

 そこまでいってジャックは口を閉じた。

 この少女に言ってもしょうがない事だと思ったのだ。

 何故ならそれが彼らの日常であり、常識だからだ。

 『アジャンテ』という組織がどれほどの規模かは知らないが、少なくとも目の前の少女が生まれる、遥か以前から存在しているのは間違い無さそうだ。

 だから、彼女は間違っていない。土地があり人間がいれば、その数だけ独自の文化形体が発生する。そこでの教えは少女の常識、世界そのものだ。それを咎め、覆す権利など誰にもあろうハズもない。

 

(――だが、気にいらねぇ)

 

 口を閉じたまま何も話そうとしないジャックを見て、少女は怪訝な顔をする。ジャックは少しぶっきらぼうに「なんでもねぇ。話しの続きを聞かせろ」と、用件を話すよう促した。

 

「――用件というのは、我々の下から盗まれた、ある品物を回収することだ」

 

「品物だぁ?」

 

「そうだ。我々の仕事は、依頼されたものならどのようなものであれ、目的地まで運びこむ事。大抵の依頼者は契約が遂行された後、我々に対し報酬を支払う。だが稀に、品物を運び込んだ瞬間に襲い掛かってくる不届き者もいる。そういう輩に対処するため、大抵は5人一組で行動するのが原則だ」

 

 話を一区切りし、少女はテーブルに置いたカップを手に取る。そして、口をつけて一口啜る。

 とたんに口内から鼻孔にかけてチョコレートの甘美な香りが広がる。

 

「甘いな。これ」

 

「なんだ。甘いのは苦手か?」

 

「いや、久しく味わっていない、暖かくて優しい味だと思っただけだ」

 

 少女はカップを両手で持ち、中のココアを覗き込むようにしている。その表情は一瞬だが、どこか幼く、年相応な顔立ちだとジャックは思った。

 

「――3ヶ月ほど前、我々の仲間が賊に襲撃された。品物を目的地まで運び、報酬を受け取ろうとした瞬間、四方から襲い掛かってきたのだ。仲間は殺され、品物は盗まれた」

 

「そりゃあ、また・・・・・・」

 

「問題はない。よくある話だ。・・・・・・だが、我々は裏切り者を許さない。仲間の受けた屈辱は何倍にもして相手に返す。襲った集団は、我々の仲間が総出で探し出し、しかるべき報いを受けさせた。だが、依頼された商品と受け取り主の男だけは、あえて取り逃がした」

 

「取り逃がしただぁ!?」

 

 ジャックは思わず、素っ頓狂な声をあげてしまう。

 意味が分からなかった。なぜ、わざわざそのような真似をするのか。とっとと回収してくれりゃ、この女がここに来ることもなかったろうに・・・・・・。ジャックはその取り逃がした人物を、心の中で恨んだ。

 

「それには理由がある。それは私のためなのだ」

 

「はぁ?」

 

 益々わけが分からない。盗品を取り返すのではなく、見逃すのがコイツのため?

 まあ、続きがあるようなので黙って聞いておくことにする。

 

「我々のような流浪の民は実戦経験に乏しい。仕事が毎回あるわけではないし、その内容は危険が伴うものが殆んどだ。そこで、見習い期間である人間に対し、実践を積ませる必要がある」

 

「おいおいおいおいおい。まさか、それでか? だから、あえて逃がしたってのか?」

 

「そうだ。どのような組織にも、試験というものは存在する。これは見習いである私に対する昇格試験なのだ」

 

 こいつは、ヘビーだ。

 ライオンは子供をあえてがけ下に突き落とし、その力量を測るというが・・・・・・

 まさか実践しているヤツラがいたとは。

 自分の常識とは異なる世界を垣間見、ジャックは開いた口が塞がらなかった。

 

 

「商品を取り戻し、あの男に然るべき罰を与えるまで、私は『アジャンテ』に戻ることを禁じられている。だからお前に協力を要請したのだ」

 

「協力? お前さんの口ぶりからはそんな態度が一片も見えてこねぇんだが・・・・・・。それに、おかしいだろ。仲間の手は借りられないが、赤の他人の俺の手は借りてもいいなんてよ、ずいぶんと手前勝手な理由だな?」

 

 ジャックが足を組み替え、呆れ気味に少女に問いかける。

 

「つまりこういうことだろ? 任務の遂行に手段は問わない。仲間の手を借りる以外のことなら、現地の人間を捨て駒に使っても構わない。俺は使い捨ての便利屋って訳だ。まったくひでぇ話しだぜ」

 

 ジャックは少女の話を聞いていられなくなり、両手を上げ、文字通り『お手上げ』のポーズをとった。

 

「なんだ。協力を断るのか?」

 

「当たり前だろ!? 誰が、名前も知らない赤の他人の為に、犯罪の片棒を担がなけりゃならないってんだ!?」

 

 少女のさも協力して当然といった答えに、ジャックは憤慨する。

 これも『アジャンテ』の教育の賜物なんだろうが・・・・・・。それでもイカレていることには違いない。

 まあ、百歩譲ってその尊大な態度も、かわいいお顔に免じて許そう。

 だが、ただ働きは御免被りたい。

 誰が好き好んで無償で地雷原を突破するような真似をしなくちゃならんのだ。

 こっちは明日のメシの食い扶持まで心配しなけりゃならない身の上だってのに。

 ジャックは立ち上がると、隣にある自室のベットの方に足を運ぶ。

 

「おい。どこへ行く? まだ話は終わってないぞ」

 

「馬鹿らしくて聞いてられるか。俺は寝る! 明日も仕事が入ってんだ!」

 

 実は仕事など入っていないのだが、そこは方便。ここを離れるためならどんな嘘でも今のジャックはつくことだろう。

 

「・・・・・・しかたない。ならば私はお前の身の上をここの連中に垂れ込むだけだ。そうなると仕事の心配ではなく自分の身の上を心配しなければならなくなるが、それでもいいのか?」

 

「な、にぃいいいい!?」

 

 ジャックが急に方向転換し、少女の元に戻ってくる。

 

「お、お前。それはズルイだろ!? 立派な脅迫だっ。犯罪だぞっ。お前にはプライドがないのか!?」

 

「さっきも言った。使えるものは何でも使う。そのために私は心を鬼にしたのだ。さあ、どうする」

 

「ぐぐぐぐぐぐっ」

 

 いくら歯軋りしても、相手になんのダメージも与えられない。だが、せずにはいられない。

 しばらく無言のにらみ合いが続いたが、ついにジャックが折れた。

 

「――わかった。だがその代わり、お前の名前を教えろ。赤の他人の名無しの権兵衛じゃ、呼びにくいからな。これから共犯関係を結ぶってんなら、必要最低限、互いの名前くらい知っておきたいからな」

 

「名前など・・・・・・」

 

「いいから話せ。名前も明かさない奴とは、信頼関係は結べない。これが最低限の譲歩だ」

 

 少女はしばらく言いよどんだが、やがて小さな声でぶっきらぼうに

 

「――サルディナ」と呟いた。

 

(さてと、とんでもないトラブルが舞い込んできたもんだが、俺とこのサルディナだけで事に対処できるのだろうか? 出来ることなら後一人、協力者が欲しい所だが・・・・・・)

 

 頭を切り替えてこれからすべき事を考える。

 さすがに数多のトラブルを乗り越えてきてはいない。

 現在、頭の中のコンピュータでは様々な計算が行われている。

 現状打破に必要な協力者は・・・・・・

 そこで一人、うってつけの人物の名前が浮かんできた。

 

(やっぱり、こういう時頼れるのはあいつしかいねぇ。あとはどうやって説得するかだが・・・・・・まあいいか。こういう場合は出たとこ勝負でいこう)

 

 明日に備えるためベッドに向かうことにする。そう、全ては明日からだ。

 サルディナには床かソファにでも眠って貰おう。いきなりやってきた客人に、ベッドを恵んでやるほど俺は甘くないんだ。ジャックは少しだけ罪悪感が過(よぎ)ったが、それを振り払う。

 

「――おい、サルディナ。悪いがソファか床に・・・・・・」

 

「寝てくれ」と言おうとしたジャックはその口を閉じる。

 

「すぅ・・・・・・すぅ・・・・・・」

 

 サルディナはソファに寄りかかり、すでに寝入っていた。よほど疲れていたのか、それとも緊張の糸が切れたのか。

 

(――たぶん、両方だな)

 

 考えてみれば、この年頃の少女がたった一人で見知らぬ土地に来るという事が、どれだけ心細いことか。

 ジャックにも経験があるから分かった。

 

「ちっ」

 

 自分に対し、舌打ちをする。やはり自分は非常に徹しきれないようだ。ソファに不自然な形で寄りかかるサルディナの体を抱え挙げると、そのままベッドへと直行する。

 

「・・・・・・今日だけだからな」

 

 お気に入りの自分のベッドにサルディナを寝かせる。

 

「くぅ・・・・・・くぅ・・・・・・」

 

「こうしてみるとかわいい寝顔なのによ・・・・・・」

 

 屈託のないのない顔で寝息を立てるサルディナは、どこにでもいる十代の少女だった。

 ジャックはサルディナに毛布をかけると、そのままソファに直行する。

 

「くそっ」

 

 そのまま明かりを消し、自室から持ってきたシーツを投げ、ソファに寝転がる。

 安物のソファは硬く、落着いて眠れない。体に合わないため、さっそく背中が痛くなってきた。起きたら筋肉痛にならなきゃいいが――。ジャックはそんなことを考えながら、まぶたを閉じた。

 

 

 

 

 

 


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