Fate/EXTELLA Liner 無銘と新王と万華鏡の魔法少女   作:ノラネコ軍団

4 / 12
CCCの英雄王はかっこよくてすき
エクステラの英雄王は後方プロデューサー面王感があって面白くてすき


第3話 英雄王との問答/カードの原典

 その後、アーチャーは“魔法使い”探しに出かけた。

 月の聖杯戦争において協会に居座っていた姉妹、その妹がそうなのだという。

 白野は月の聖杯戦争の記憶をおぼろげにしか保有していないのでそうなのか、と思うしかない。

 彼女のことを知っているアーチャー、セイバー、キャスターが方々を駆けずり回って探している。

 その間、白野はやれることをしよう、と思い立った。

 並行世界に捕らわれた、という可能性があるなら、並行世界のことを知ることが出来る人物に話を聞こうと思ったのだ。だが、それもよく考えればどこにいるかよく分からない。

 確かに彼はセラフの中にいるだろうことだけは分かっていたが、しかし特定の場所に居を構えているわけでは無かった。それにアルテラの騒動の際にはなぜか白野に協力してくれていたが、今回も聞いてくれるとは限らない。

 

 だが、ことは一刻を争う。状況を把握するためにも、まずはあの英雄王ギルガメッシュを探すべきだろう。彼の宝具である『全知なるや全能の星』はすべてを見通す千里眼だという。

 これまたNPCやロビンに頼ることになるが、やってみる価値はあるだろう、と。

 だが一日二日、と探せどもギルガメッシュの行方は分からなかった。

 もともと、人間には度し難い精神性と行動原理を持つ王である。

 白野にも他のサーヴァントにも彼がどのような行動をするか予想や推理をすることは難しい。

それゆえ。

 

「みずぼらしい宮殿よなぁ、雑種」

 

 捜索から帰還して、玉座の間に戻ってみれば、いつの間にかまるで自分が主かのようにふんぞり返っている、などということも、白野には予想がつかないことであった。

予想外ではあったが、妙に納得してもいた。彼ならば、このような行動をとりそうだ、と。

 

「貴様も人を従える立場となったというのに。未だこのような安宿に居を構えていては、民の忠誠も陰るというもの。王とは民共に背中を見せる存在でなくてはならぬ」

「ご忠告どうも。ありがたく受け取っておきます」

「うむ。先達としての務めゆえな。ゆめ励むがよい、雑種」

 

 今日の英雄王は機嫌がいいようだ、と白野は思った。

 

「して雑種よ。貴様が我を探している、と言う話を聞いたが?」

「えっと、はい。そうですね。探してました」

「別に我は貴様の問いかけに答える義務は無い。ここに寄ったのも偶々だ。それゆえ、貴様が何を問おうとしているかなどはどうでもいいことだ」

「はぁ」

 

 白野はあれ、じゃあこの人は何をしに来たんだろう、とやや落胆していると

 

「何をしている。聞きたいことがあるのなら早く問うがいい。我も暇ではないぞ」

「ちょっと文脈が読めないんですけど」

「我にとってどうでもいいことだと言ったまでのことよ。貴様が我に問うのを止めたわけではない」

 

 本当に、この人は何を言っているのだろうか、と本気で困惑したが、こう言っていることだし聞くことにした。

 彼は生ける嵐のようなものだ、と妙にすんなり諦めがついたからだった。

ギルガメッシュに問うたのはアルテラについて、彼女がどこにいるのか、どのような状況に置かれているのか、ということである。

 言ってから、不敬であるぞ、とかなんとか怒られたりしないかと一瞬身構えた。

 だが、ギルガメッシュは「ふむ」と言って瞳を閉じると、しばらく黙り込んでしまった。

 まるで瞑想をしているかのように静かな時間が玉座の間に流れる。

 かと思えば、ギルガメッシュはだしぬけに「ククッ……ッ、フハハハハハハハハ!」と高笑いを挙げた。

 

「なんと哀れな行き詰まりよ!アルテラ奴、また妙な木に迷い込んだな!」

「あの、ギルガメッシュ?」

「ふん。我自身で糺したくなる不敬もあったが……それはそれ。態々ここにいる我が出向くほどでもないか。おい、雑種」

 

 ギルガメッシュはそういうと、王の財宝を展開し、何かを取り出した。それを白野に投げつける。白野は一瞬身構えたが、それが自分に渡そうとしているものなのだと気づくと慌てて受け取った。

 

「貴様に下賜してやる。ありがたく思えよ」

 

それはカードだった。中央に丸い図案があり、そこから幹のように線があちこちに伸びている。全体は金色に輝いていて、太陽を模しているようにも見えた。

 

「えっと、これは?」

「とある魔術礼装の原典だ。世界の裏側―――お前たちの言う英霊の座へ路をつなげるためのものよ。クラスカード、あるいは呼符、などと呼ぶものもいるが」

「アルテラは世界の裏側にいるってこと?」

「そうではない。これは貴様の求めるものへ向かうためのアンカーに過ぎぬ。あのメシ使いあたりが今頃、あちらとつなげるための道具を融通しているところだろうさ。それと組み合わせて使うためのものだ」

「はぁ。ではありがたく頂戴します」

 

 白野の言葉に英雄王は鼻を鳴らした。やがて、占い師の託宣のように、言葉を投げかける。

 

「貴様にはこの先、世界を超えた冒険が待っている。先達としてもう一つ言っておくならば……冒険とはいいものだ。知見が広まり、想像を超えた多くの出会いがあり、有形無形の様々な宝を手に入れられる。貴様も月の新王などと名乗るのなら、一度は乗り越えるのが良かろうさ」

 

 そうった瞬間のギルガメッシュは王としての尊大さや理不尽さよりも、穏やかな、遠い過去、あるいは遠い未来に思いを馳せるような顔をしていた。白野はその言葉にちょっとしたときめきを感じる。

 

「もっとも、我はやりすぎて国を滅ぼしかけたわけだが。貴様も帰ってみたら臣民が一人もおらず、ビンタで迎えられるようなことが無い様気を付けよ」

 

 台無しだ、と白野は頭を抱えた。一瞬ときめきかけた心を返してほしい。

 AUOジョークだ、とまた笑いだすギルガメッシュに辟易としつつ、白野はもう一つ気になったことを聞くことにした。

 

「その、いつも思ってたんだけど。なんでここまでしてくれるんです?」

「……ふん。アルテラの時と同じ。契約よ。『今生のみ、我の宝物庫を使うことを許す』……まぁ、今の貴様には関わりはあってないようなもの。おとなしく我の施しをありがたく受け取っておけ、雑種」

 

 ギルガメッシュはそういうと、玉座の間から消え去ってしまった。

 恐らく霊体化したのだろう。

 少し残念な部分もあったが……ギルガメッシュの「冒険」という言葉に、白野はどこか心躍らせていた。

 




クラスカードと呼符、似て無い?
機能とか紙幅とかさぁ?
でもこの2つに関係があるなんて話、公式は1ミリもしてないので他所でするのはNG。
完全に本作オリジナル設定ですので。

オリジナル設定ついでに語るなら、本作の呼符はあくまで『英霊を呼ぶカード型魔術礼装の原典』であって、FGOに出てくるそれとはまた別者、というイメージで書いてもいます。
同じグラムでも破滅の黎明と龍の死がまた別の物であるのと同じように。

Q,じゃあ何が違うんですか?
A,英雄王「たわけ!一度使えば消えるような普及品と一緒にするでないわ!我の持つこのカードは何度も使える上、使用者の望む英霊を呼び出せる至高の一品よ。何故だかセイバーは出ないがな!……何故だ?」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。