Fate/EXTELLA Liner 無銘と新王と万華鏡の魔法少女 作:ノラネコ軍団
BBちゃんのための石がもうない……呼符ONE CHANしかねぇ!
第5話 誰?/我が名はフランシスコ・ザビ
目が覚めた。
夢を見ることなく、彼女はふと、匂いと肌に撫でつける風を頼りに感覚が覚醒していく。
身体にさして違和感はない。セラフと変わらない感覚だった。
今の彼女は並行世界に魔力で編まれた異物として存在している、いわばサーヴァントと同じような状態だ。
違うのは彼女には戦闘能力や特殊なスキルは存在しないということ。
そして彼女と彼女のサーヴァントの存在を維持するための魔力はケータイを通してムーンセルから供給されている、ということである。
時は夜。場所は川沿いの公園のようだ。
頭を挙げれば大きな橋が架かっている。彼女はこの橋を何度も見ていた。
新生セラフの冬木の町にある大橋。
セラフのものは一部にノイズが走っていたが、こちらにはそれが無い。
成功したのだろうか、とぼんやりした頭で考えていると
「目を覚ましたか、マスター」
聞きなれない声変わり前の少年の声が耳朶を揺らした。
「え?」
「心配したぞ。全く目を覚まさないからな。何者かのハッキングとやらで君に重大な欠陥でも生じたのでは、なんて思ってしまったほどだぞ」
まぁ杞憂だったが。そう続ける声は最初から最後まで、白野に違和感と混乱しかもたらさない。
声の源を見れば、そこには褐色に白髪の10歳ほどの少年が座り込んでいる白野の顔を見つめていた。
「えっと、アーチャー?」
「そうだが。まさかまた記憶喪失だなんて言ってくれるなよ」
「そうじゃないけど。えっと、でも、アーチャー?」
「分かっている。ああ、分かっているぞ。君が言いたいことはオレが一番よく分かってる!どうしてこんな――――子供の姿になっているのか、だろう!」
「うん。そう。それ」
「そのことだが、私にもよく分からない」
「……はぁ?」
「なんというか、うん。ドリフト前に起きた謎の現象―――恐らくケータイへのハッキングが原因だろうとは思っているが。しかしそれにしてもよく分からん」
「スキルやステータスへの影響は?」
「確認してみてくれ」
白野はアーチャーのステータスを閲覧する。
「ステータスがワンランクダウンしてるね」
「ああ。投影精度も幾分か下がっている。もちろんセラフでない以上、幾分かステータスに変調をきたすことは予想していたが……」
「それと、これは……」
スキル欄の最後にこれまで存在していなかったスキルが付与されている。だがそれは名称、効果ともに黒塗りになっていて分からない。
「スキルが追加されるなんてことありえるのかな」
「召喚された土地によって知名度ボーナスがつく、という話は聞くこともあるが。私はその手のブーストがつく英霊では無い。これは恐らくだが、魂の改竄で何者かに付け加えられたスキルと考えるのが妥当だろう。」
「何者か……?」
意識を失う直前に聞こえた声のことを思い出していた。
あの謎の声の主が、アーチャーをこうした犯人なのだろうか。
でもなんのために?
白野もアーチャーも分からないことだらけだった。
だが、立ち止まってなどいられないというのも事実である。
「アーチャー。戦闘はできそう?」
「ふむ。近距離戦闘では体格の影響を受けることもあるだろう。また新天地ならざるこの地ではエクステラマニューバやムーンクランチも制限を受ける。神話礼装も使用することは難しい。だが―――私の本職は弓兵だ。投影し、弓で狙撃するということなら何の問題も無く行えるだろう」
「じゃあもしもの時はお願い。ひとまず、アルテラを探すために、この土地について調査しよう」
「心得た。では探索を始めようか」
例え問題があったとしても、することは変わらない。二人は夜を駆け巡る。
冬木の町は白野にとって一度も言ったことが無いが、馴染み深いものだった。
彼女が過ごした月見原学園は冬木市の学校がモデルだというし、新天地となってセラフにおいても冬木の街並みは再現され、度々そこで生活や戦闘を繰り広げてきた。
彼女にとって本物の冬木の町とは、これまで映像や写真でだけ見てきたものを、実物で初めて見た、という状況に等しい。
アーチャーとともに新都の高層ビルのひとつに昇り、町の全計を見渡す。
引っ切り無しに光る街灯、行きかう車たちのエンジンの音、遠くを見渡せば港があって、コンテナが船に運ばれていくのが見える。
「こんな風に生きている冬木の街は初めてみたよ」
「そうか。君にとって冬木とはセラフに作られた一区域に過ぎなかったな」
「うん。町としてはローマ領の方がよっぽど栄えているし。あの冬木には建物は沢山あるけど、NPCも地上から来た魔術師もあんまりいなかった」
そもそもの話をすれば、彼女は地上の街を見たことも初めてだった。
おぼろげな記憶の、さらに不確かな領域。地上に生きていたい欠片が見たかつてのあの地獄の中。
そして時折流れ込んでくる、正義の味方として活動していた無銘の記憶が彼女の地上についてのすべてである。
「私も、懐かしい思いがしてきた」
「アーチャーも?」
「ああ。生前の―――といっても、この体を構成する魔術師のひとりの、だが。彼は日本の地方都市、いやもっとはっきり言えば冬木の出身だったんだ。その記憶や記録は摩耗しているが、少なからず残っている」
「じゃあ町の様子もよく分かる?」
「それは難しいな。正義の味方だった男にとって、この町は大切な場所ではあったが、ここにいた時よりもいな
かった時間の方が長い。だから本当に、懐かしいと思うだけだよ」
アーチャーは感慨を込めて笑う。白野もその姿をみてうれしくなった。
人生を正義の味方という概念に費やし、死後ついにそのものとなってしまった男にも、生まれた場所があって、青春を過ごしてきた町があった。
「そうだ。戦闘や調査には役立たないだろうが、もしひと段落ついたら私の覚えている範囲で君を案内しようか。マウント深山はこの時代でも珍しく活気のある商店街でね。魚屋、八百屋、カフェ、スイーツ屋に小さなスーパーなどに多くの人が行きかっている。そう珍しいものではないが、君にとってはそうでもないかもしれない」
「うん。よろしくね、アーチャー」
「ああ、任された……っ!」
瞬間、弓兵の瞳が険しくなる。
彼の持つ千里眼、目標を捉える鷹の瞳がぐんと目力を湛えた。
「アーチャー」
「ああ。10時の方向、学校の校庭だな。そこで人が不自然に消えた。マスター、コードキャストは」
「ケータイがあれば使えるみたい」
「よし、では索敵を」
『view_map();』『view_status();』
地形探索とステータス開示のコードキャストを発動させる。
これは術者の能力を上げることがメインだが、サーヴァントにもその効果はリンクされる。
白野の発動したコードキャストによって、アーチャーは違和感の正体を読み取った。
「わずかだが不自然な魔力の歪みを感じる。スキルか、はたまた宝具かは分からないが。一番近いのは魔法のケータイから発せられた魔力だな。どうするマスター?」
「聞くまでもない。早く行こう。何か手がかりが得られるかも……!」
「心得た。と、この体系では君を抱えるのは無理だな。やや不格好だがおぶろう」
「えっと」
「早くしたまえ」
「ああ、もう!」
白野は小さいアーチャーの背中に乗ると、アーチャーはがっしりと太腿を脇で抱え込む。
「飛ばすぞ!」
瞬間、跳躍した。白野が文句を言う暇もない。
とてつもない重力が彼女の体に掛かった。
遠坂凛にとって帰国してからの日々はと言えば受難の連続だった。
大師父キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグから預かった愉快型魔術礼装カレイドステッキは実にやかましく口うるさく、かつ全く言うことを聞かない。
ともに任務を与えられたルヴィアゼリッタはもともといけ好かなった上、日本に来て早々に大喧嘩(これはほぼ凛のせいだが)、挙句カレイドステッキは離反してそこら辺の小学生と契約したときた。
「ああああああ!やってられっかああああ!」
そう叫びたい気持ちをなるべく抑えて、たまたまルビーと契約したドイツ系の少女、イリヤスフィールを仲間に引き入れてクラスカード回収のため境界面にジャンプするところまでは漕ぎつけたのだが。
「あっちゃー。いきなり戦闘って言っても無理か」
「ちょっとリンさん!?そんな呑気な状況じゃないんですけど!?」
イリヤはと言えばカードから現れている黒化英霊から逃げて逃げて、まったく反撃する様子が無い。
もっともただの小学生にいきなり戦え!というのも酷な話だろうことは分かっている。
だが、こう、もう少し反撃と言うかMS力を見せてほしいというのが凛の本音であった。
「MS力ってなに!?」
『魔砲少女力、略してMS力とかじゃないですか?さすが脳筋とごり押しばかりしてラブパゥワーを知らない凛さん!だから私に愛想を尽かされるのです』
「あなたにだけは愛を語られたくないと思うよ!?」
目の前の黒化英霊はまがまがしい魔力と鎖を用いた戦いをする女性。高速にして俊敏。
もっともそれから逃げきっているイリヤも魔法少女化しているとはいえ、結構な健脚である。
「ああ、もう無理!戦うとか魔法少女としても物騒だし、平凡な女子小学生たるワタクシめににはとてもじゃないけどちょっと重すぎると思います!」
言いつつも鎖を避けるイリヤ。
対してカレイドステッキはと言えば『とにかく落ち着いていきましょう!先ほど練習した魔力弾を、距離を取って打ち込むのが基本戦法です!』とゲームのチュートリアルか何かのような口調で言う。
「ああ、もう!どうにでもなれーーーーー!」
脳内には斬撃のイメージ。
さながら彼女の愛好するアニメ「マジカルブシドームサシ」のような――――
「ッ!?」
その魔力の奔流に黒化英霊は怯んだ。
目の前の少女が彼女にとっての獲物ではなく、脅威たりうる存在と本能が認めたからか。
イリヤの放った一撃は、黒化英霊の認識したとおり、彼女の体にダメージを与えた。
「効いてるわよ!」
凛はガッツポーズと共に言った。
黒化しているとはいえ、腐ってもゴーストライナーである。
戦いの初手の時点で彼女も試したが、人間の用いる魔術では英霊にダメージを与えることは出来ない。
曰く、魔術戦とは概念のぶつかり合い。より強度の高い概念を編めるものこそが勝者となる。
その点で言えば、イリヤスフィールとカレイドステッキの放った一撃はそこまで高位の概念と言うわけではない。むしろその逆。
純粋な魔力を斬撃と言う形で打ち出す。ここには概念による強弱は存在しない。
第五魔法によって放たれる砲撃が最も純粋な魔力回路によって編まれるのと同じように。
「な、なにこれっ!?」
もはや今日のイリヤは叫びっぱなし。
目の前の大斬撃に自身が出したとはいえやや引き気味であった。
『追撃です!相手は人間じゃないんでどどーんとやっちゃいましょう!』
「えっと、じゃあ!」
イリヤも要領を掴んできたのか、斬撃、砲撃と目の前の敵に追撃を仕掛けていく。
黒化英霊はと言えば先ほどまでとは逆に逃げの一手へと向かっていく。
『砲撃ではキリがありませんね……散弾に切り替えてください、イリヤさん!』
「わかった、やってみる!」
無数の粒をイメージし、カレイドステッキを振りかぶる。
まるでクラスター爆弾がさく裂したかのように校庭一面が砂埃にまみれる。
だが、その大雑把な一撃がイリヤたちに致命的な隙を与えた。
「……やった?」
「いや、あれは―――――」
凛は驚愕した。膨大な魔力の奔流が境界面全体を揺らしていく。
肌がチリチリと焼けるような殺気。概念強度で言えば最大級の代物がくる。
緊張が身体を包む。凛はイリヤに『逃げろ』と伝えようとして
「ふむ。宝具を使う気だな」
そんな、呑気な少年の声がどこからか聞こえてきた。
え、と言う間もなく、高速の一撃が英霊を捉えた。
飛来したそれは矢と言うには太く、剣と言うには持ち手が短い、奇妙な代物。
あまりの勢いに黒化英霊は宝具の発動を止めて怪力と共にその一撃を受け止める。
すん、という静寂。
直後、彼女が掴んだモノが爆発した。
凛もイリヤも状況を理解できず、茫然と一撃が放たれた地点を追う。
校舎の屋上、そこには弓をつがえた少年と、ワンピースを着た少女が一人。
「え、えっと誰?「
「嘘、境界面にジャンプしてくるなんて――――」
イリヤは困惑し、凛は驚愕する。
一体何者なのか。味方なのか敵なのか。
彼女たちの次の行動を固唾をのんで見守っていると―――
「――――我が名はフランシスコ・ザビ!拙者、義によって助太刀いたす!」
そんな、大真面目かつ間抜けな言葉がワンピースの少女の方から放たれた。
ステータス情報が更新されました
クラス:アーチャー
真名:無銘
マスター:岸波白野
ステータス
筋力:D
耐久:D
敏捷:D
魔力:C
幸運:E
宝具:E~A++
スキル
対魔力:D
単独行動:C
千里眼:C+
魔術:C-
(投影魔術:B++)-
心眼(偽):B
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繧オ繝シ繝エ繧。繝ウ繝医?髴雁勣繧堤クョ蟆上&縺帙k縲
蜈ィ繧ケ繝??繧ソ繧ケ繝サ縺翫h縺ウ繧ケ繧ュ繝ォ繝ゥ繝ウ繧ッ繧偵Λ繝ウ繧ッ繝?繧ヲ繝ウ縲
繧ケ繧ュ繝ォ逋コ蜍輔↓繧医▲縺ヲ逋コ逕溘@縺溘し繝シ繝エ繧。繝ウ繝医?菴吝臆鬲泌鴨縺ッ繧ケ繝医ャ繧ッ縺輔l縲∫音螳夂憾豕√°縺ァ髢区叛縺輔l繧九?
Fateのss書くと一度はやりたくなるステータス。
本編中で白野に見えているのはこの画面です。
折角無銘は筋Cだったのに異世界に来て筋Dになってしまったのだな。