Fate/Apocrypha Lost   作:紫 カナメ
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『ぐだぐだ帝都聖杯奇譚』を追加します。
若干ネタバレあり(?)。


第七節 悪夢を支配する無邪気な少女

ラーヴォルバ城塞_別館。

 

 

アニムフィスは書物庫から大量の本を持ってきて月夜(つくよ)に見せていた。

 

「これはケルト神話の書物でこちらはメソポタニア。あと、アーサー王伝説や征服王イスカンダルの書物です。どれも迫力があって面白いですよ♪」

 

「アーサー、イスカンダル、クー・フーリン、ペルセウス、アキレウス、ジャンヌ・ダルク…どのほんもとてもおもしろいよ!」

 

「特におすすめなのは、この(ほのお)紋章(もんしょう)シリーズです!」

 

「ほのおの、もんしょう?」

 

「はい!邪竜を倒した英雄王マルス、ロイ、エフラム、リン、アルム、シグルド、クロム、カムイなど、たくさんの英雄の伝説が書かれた書物なんですよ!」

 

「へぇ…よんでみてもいい?」

 

「はい!良いですよ」

 

英雄の話で二人は盛り上がっていた。と、その時、コンコンッとノックが聞こえ、ガチャリと扉が開き、ガーディナが部屋に入ってきた。

 

「アニムフィス、その少年と共に急いで城塞の外に出るんだ」

 

「え?どうしてですか?」

 

「…(くろがね)のサーヴァントがこの城塞に向かっている、ここも巻き込まれて戦場と化すに違いない。城塞の西側の門の外に車を用意した。急げ」

 

「は、はい!月夜くん、走れる?」

 

「う…うん、なんとか」

 

「そう、じゃあ行きましょうか」

 

 

一方_ラーヴォルバ城塞の正門にランサーとディニクス、その他の(しろがね)のマスターとサーヴァント、合計10人が立っていた。

 

「…ギベオン、アニムフィスとガーディナは?」

 

「結界の調子を見に行くとガーディナ卿が言っておりました。アニムフィスはわかりません。」

 

「ディニクス卿、アニムフィスなら心配要らないと思いますよ」

 

「…どういう意味だ?ヴィルクス」

 

「先程、ガーディナ卿と共に西側の門に向かっているのを見ましたから。おそらく一緒に結界の調子を見に行ったのでしょう」

 

「……そうか」

 

「ディニクス卿、来たぞ」

 

と、ランサーが言うと、遠くの森の方から何かが現れ、物凄い速さで城塞に向かってきた。

 

「あれは、鉄のアヴェンジャーの使い魔(・・・・・・・・・・)ですな」

 

「なに?…どういうことだ?」

 

「魔術協会の掃除部隊がウェールズを拠点としている都市に向かっている最中、突如現れたアヴェンジャーが黒いムカデ(・・・・・)の様な巨大な使い魔を数匹喚び出し、掃除部隊はひとり残らず黒い蟲によって喰い殺されました。その様子を私が放った使い魔を通じて観察していましたので、」

 

「……となると、あれは人では倒せないモノか」

 

ランサーは一歩前に進み、白くて大きな槍の柄を握り締め、持ち上げた。

 

「我が領地を汚すモノは誰であろうと許さん。ディニクス卿、命令を」

 

「…聖槍を解放し、我が領地を汚すモノを排除せよ、ランサー」

 

と、ディニクスが命じると、ランサーは槍を構え、魔力を槍に集中させた。

だんだん槍に光が集まり、やがて集まった光は螺旋状になった。

 

「最果てより光を放て。其は空を裂き地を繋ぐ、嵐の錨! 『最果てに輝ける槍(ロンゴミニアド)!」

 

ランサーが宝具を放った瞬間、使い魔が居た場所に向かって巨大な光の柱が落とされた。使い魔は消滅し、森に巨大な荒地が出来た。

 

「さぁ、我が同士、銀のマスターとそのサーヴァント達よ。我が領地に汚れた足を踏み入れた愚者共に鉄槌を下すがいい!」

 

「「(おう)っ!!」」

 

 

アニムフィスとガーディナ、月夜は城塞を出て車に乗り、遠く離れた街へ向かっていた。

 

「街に着いたらその少年を降ろし、すぐに応援に向かうぞ」

 

「はい、ガーディナ叔父様」

 

「………」

 

あと少しで森を抜けようとしたその時、突然車が止まった。

 

「なっ!?」

 

「え!?」

 

くすくすくす…ふふふ…

 

と、少女の笑い声が聞こえ、様子を見るために三人は車から降りた。

 

あははは……ねぇ、どこに行くの?

 

楽しいところ?それとも面白いところ?

 

知りたいなぁ、とぉっても知りたいなぁ♪

 

くすくすくす…ねぇ、教えて

 

なんでこんな所にいるの?どこに行くの?

 

それとね、それとね……

 

「なんでお兄ちゃんからわたしのオトモダチと同じ匂い(・・・・)がするの?」

 

「「!!??」」

 

「え…!?」

 

突然、月夜の背後に赤と黒のゴスロリを着た金髪赤眼の少女が居た。

 

「はじめまして、お兄ちゃん。わたしは鉄のアサシン。わたし、お兄ちゃんとオトモダチになりたいな」

 

「っぁ…」

 

月夜は背後に現れた少女、アサシンがあまりにも恐ろしすぎて動けず、声が出なかった。

 

「スンスン…やっぱり同じ匂いがする。わたしのオトモダチのひとり…黒いお面を被った長い髪のおサムライさんと同じ匂い。ねぇ、どうして?オトモダチなら…教えてくれるよね?」

 

「ぁ…ぁ…」

 

「やれ、セイバー!!」

 

と、ガーディナが叫んだ瞬間、突然現れた何者かが月夜を引き寄せ、アサシンに斬りかかった。

アサシンはその攻撃を避けて、距離を取った。

 

「わっ、とと…もう、レディに向かって失礼じゃない」

 

「いたた…き、きみは?」

 

月夜を引き寄せ、アサシンに斬りかかったのは、白髪でポニーテールに『誠』と大きく書かれた羽織を着た和装の少女、(しろがね)のセイバーだった。

 

「…無事ですか?月夜殿、私は銀のセイバー。我が主、ガーディナ様の命により、貴方を守ります」

 

「…なるほど、あなたがキャスターのマスターが言っていた抑止力(りょくしりょく)によって喚ばれたサーヴァント?」

 

「………」

 

「むう…何か言ってよぉ、つまんないなぁ」

 

「黙れ、妖擬(あやかしもど)き。我が愛刀、『菊一文字(きくいちもんじ)』で貴様のその首を断つ」

 

「あはははっ…やれるものならやってみなさいよ、おサムライさん」

 

鉄のアサシンと銀のセイバー__月夜と同じ匂いがするアサシンが言う『オトモダチ』の正体とは_?

 

そして、この城塞襲撃により、この大戦が大きく傾くとはまだ誰も知らなかった。




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