人々が寝静まった深夜。
彼女の名は、
「ふ!」
苺花はクロサキ医院に向かって、一直線に飛び立つ。
コトン、とクロサキ医院の前に着地する苺花。
苺花はチャイムを鳴らした。
「急患か?」
「苺花じゃねえか。一人で何しに来た? ていうか大きくなったな。こっちでは高校生くらいか」
「一勇に会いに来て」
「一勇ならもう寝てるぞ。明日にしろよ」
「じゃあ一晩お願い」
「はあ!?」
「だって旅館、お金かかるじゃん? それに私、現世のお金持ってないし?」
「しょうがねえな。ほら、入れよ」
苺花は一護に促されて家に上がる。
「ソファで悪いな。使ってくれ」
苺花はソファに横たわった。
直ぐに眠りに就く苺花。
そして、翌朝になり、苺花は目を覚ます。
「起きたか」
「一護さん、寝てないの?」
「少し寝たよ。一勇を起こしてくる」
一護は二階へと上がり、一勇の部屋に入った。
「起きろ、一勇!」
一護は、オレンジ短髪の少年、一勇の体を揺さぶる。
「なに、お父さん?」
「苺花が来てる」
「苺花が?」
一勇はベッドから出ると、用を足して苺花の元へ。
久しぶりに苺花を見た一勇は、その美貌に見とれてしまった。
一勇の胸の鼓動が速くなった。
「ひ、久しぶりだね!」
「久しぶりね、一勇。もう十年になるのかな」
「こっちにはどうして?」
「うん? ああ、現世への滞在許可が出たから来ちゃった」
「そうなんだ」
「しばらく厄介になるから、よろしくね」
「え、うちで暮らすの?」
「ダメ?」
「お父さんがなんていうか……」
「うーん……、私から言ってみるよ」
「ちょっと待てえ!」
一護がやって来た。
「面倒見るなんてできねえぞ」
「でも行くあてないし」
「下駄帽子のとこ行けばいいだろ」
「下駄帽子?……ああ、浦原のおじさんね」
「ダメなのか?」
「一回、行ったんだけど、金取ろうとしたから」
強欲商人め、と内心突っ込む一護である。
「わかったよ。置いてやるよ」
「ありがとう、一護さん」
嬉しそうな顔をする苺花。
一方の一勇は。
(苺花が一つ屋根の下で一緒にだなんて。恋の始まりか?)
などと妄想をしていた。