――今から数百年前、飛鳥時代。巫剣と呼ばれる存在が生まれた。その存在は、剣という存在でありながら、少女の姿を持っていた。
彼女らの役目は、住民達に危害を加えていた、禍憑と呼ばれる存在を、倒すことであった。禍憑を倒せる唯一の存在であった彼女らは、御華見衆と呼ばれる、巫剣と巫剣使いを中心として組織された、特殊機関に属していた。そこから、各支部に配属されて、禍憑達を祓っていた。
中でも、上野支部のめいじ館では、様々な巫剣が多く配属され、巫剣使い達の功績によって、禍憑による被害は、消え去りゆくのであった――
「という小説を昨日見つけたんだ。どう?」
夕日を背後から浴びる中、高校の制服を着た黒髪の少女が、隣を歩く、眼鏡をかけた少女に、話の感想を聞いていた。
「刀を擬人化した話かな?」
興味を持ったのか、少し前のめりになりながら、黒髪の少女に聞いた。
「うん。ざっくりと読んでみたけど、そんな感じの話だったよ」
右手に持っていた、その小説の表紙を見ていた。
「どこの店にあった?」
再び、眼鏡の少女が聞いて来た。
「んー、いつものあの店だよ。土曜日に行ったら、新刊でーすって感じで置いてたんだ」
左手を口元に当て、空を見上げ、思い出しながら、答えた。
それを聞いた眼鏡の少女は、立ち止まって何かを悩み始めた。黒髪の少女も、それを見て立ち止まると、首を傾げた。すると、眼鏡の少女はスマホを手に取り、時間を確認すると、黒髪の少女に言った。
「じゃあ、このままその店に寄ってくね。ちょっと気になるし」
そう言うと、黒髪の少女の顔は、満面の笑みになっていた。
「面白さは保証するよ!」
左手で親指を立てると、その腕を勢いよく伸ばした。
それを見て「はいはい。」と言うと、眼鏡の少女は、手を振った。
「じゃあここでね。また明日」
「また明日!」
二人は、その場で別れた。
黒髪の少女は、少し歩くと、立ち止まって、夕陽に照らされる、山を見ていた。
「うーん。今日もいい一日だったなぁ」
どことなく、嬉しそうな表情をしていた。
「にしても……」
視線が左に向くと、そこには大きな柱のような物が立っていた。
「土曜の朝、外見たらいきなりあんなもんがあったんだもんなぁ……」
土曜日の朝、突如として現れた、謎の柱。
その正体も発生した原因も、不明のままである。調査が行われ続けているが、未だに解析不能であるとのこと。
「それに、なんで金色なんだろう。意味あるのかな」
その柱は、何故か金色で創り上げられていた。
「ま、いっか。特に今のところ、被害はなさそうだし。さてと、帰って続きを読まなくては」
軽く流すと、彼女は、そのまま帰宅するのであった。