8月7日 午前6時
眠り始めたのは午後零時ちょうどくらいだった
そこから6時間の間グッスリと眠っていた
そして俺は夢を見ていた
アレは夢だと確信したのは
起きてから時計を確認した10秒後だった
嫌な夢だった
深い森を抜けて
洞窟を抜けて
たどり着いた先にアイツが居た
「アァァァァァァァァァァァ!!!」
っと悍ましい声を上げながら
だが不思議なのはソイツの声は聞こえなかった事だ
どうも矛盾した話だが
まあ、そこは夢って事で理解して欲しい
話を戻そう
ソイツの姿はそこにあるはずなのに
まるで透明なガラスのような
とてつもなく巨大な体で
よりにもよってソイツは
どこか知らない町に向かおうとしていた
そいつの体は人間のような形をしていた
だけどそいつには複数の頭があって
けれどもそいつの叫び声が聞こえる事は無く
そいつは壁とか建物とかをすり抜けて
どんどん町へと向かって行った
そいつは町の人々を次々に喰らい尽くし
果ては世界中の人々を喰らい尽くそうと目論んでいた
それは妄言ではなく、確かな根拠に基づいて行われる計画だった
まあ、もちろん夢の中での話だが
気持ち悪い、悍ましい、醜い、恐ろしい
そんな言葉が似合う怪物だった
いや…アレは悪魔だ
いや…獣か?
それとも…邪神か?
いや…そんな具体的なモノではない
アレは悪だ…
悪そのものなんだ…
………そういえば
夢の最期に二人の少年少女が立ち向かっていたのを思い出した
金髪で青い瞳の少女が剣を振るい
赤髪で手に刻印を入れた少年が何か命じる
少女が放つ剣は不浄を払い敵を打ち滅ぼす聖なる剣で
少年は正義感に溢れたヒーローのような精神の持ち主で
二人は最悪に立ち向かっていったのをハッキリと思い出した
ここまで見ればライトノベルっぽい展開だ
しかし、俺は知っている
この後二人がソイツに呑み込まれ
五体を引き千切られ、泣き叫ぶ暇もなく
まるで違う生き物にされてしまう様を
俺は最後まで見ていた
胸糞の悪い夢だ
いや、俺の心が荒んでいるからか…
ハアっと息を吐きながら
朝食の準備を始める
昨日買っておいたスコーンを
レンジで温め始めた
申し遅れたが
俺の名前は星 陸斗《ホシ リクト》
ロンドン郊外で暮らす学生だ
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これはもう一つのFate
この物語はありえたかもしれないもう一つのFate
この物語はありえなかったもう一つのFate
剪定された運命の中から本編で語られる事のない物語をここに綴る
これは運命的な物語
これから踏み込むのは欲望の物語
これから起こるのは人と人との物語
これから語るのは道徳の物語
これから説明するのは経済の物語
これから歩み出すのは価値を見つめる物語
そして
これから始まるのは 商業の物語