8月9日 午前5時頃
今日はいつもより気分が高揚している
今ならトリプルアクセルからのトリプルループが出来る気がする
それほどのチャンスが到来しているのだ
聖杯戦争
話には聞いた事がある
万物の願いを叶える願望機「聖杯」を巡って繰り広げる争い
単なる都市伝説かと思っていたが、まさかこんな土地で行われていたとは…
別に魔術士同士の争いは歴史的に見ても珍しい事じゃない
だが、この争いの一味違う
それは魔術士がサポート役である事、前線で戦うのはサーヴァントの役目だ
歴戦の英雄達が英霊として、そして従者《サーヴァント》としてこの戦争に参戦するのだ
歴戦の英雄達だ、これ以上に頼もしい事はない
そして何よりもこの戦いに勝利すれば…
そんな事を考えている内に列車は冬木市に到着した
8月9日 午前5時半頃
「ここが冬木市か…」
詳しくは知らないが、遠坂家とかいう一族がこの地を管理しているらしい
これほどいい土地を有しているのにそれほど有名でないのが不思議だ
だが今はそんな事どうでも良い
「さて冬木教会は…」
案内板を確認する
“ここから南西に一キロくらいか…”
歩きで十分行ける距離だ
パンパンに中身の詰まったキャリーバッグを引こうとした…
その時だった、
「あの〜すいませ〜ん」
間の抜けたような声、そして女性の声だ
後ろから突然声を掛けられ身体がちょっと固まってしまったが、そのゆったりとした声を聞いてすぐに気が緩んでしまった
「はあ、何でしょうか?」
コッチも間の抜けた応答になってしまった
そして振り返る
整った顔立、髪は若干緑色のロングヘアに天然パーマの補正が掛かっている、スーツ姿に黒い鞄、黒いヒールを履いてた
ここまでは立派なキャリアウーマンというか感じだ
だが…………
なんだ…あの眼鏡は?
その人は絵に描いたような渦巻き眼鏡をしていた
今時そんな眼鏡が売っているのか?
というか売っていたのか?
どんだけド近眼なんだこの人は?
そんな疑問を余所に女性は質問を投げかける
「え〜っとですね、穂群原学園に行きたいんですけど〜道が全然分からなくて〜…」
どうやらこの人も初めて来たらしい
今は困っている人を助けてもいい気分だが
「いや、自分も今日初めてココに来たものでよく分からないのですが…」
と礼儀正しく返答をした
「はぁ〜そうですか〜」
やはり気の抜けた返事だ
〜をつけるだけでこうも印象が伝わるのかと感心した
「すいませ〜ん ご迷惑をお掛けしました〜」
呑気な口調だが礼儀は身に付いているようだ
では失礼、っと立ち去ろうとした瞬間だった
「ねえ、私のことをド近眼でおっとりした性格って思ったでしょ?」
…………!
身体が凍りつく
別人か…いやこの場にいるのは2人だけだ…
なんだ…
さっきとは雰囲気が全然違う…
あまりのギャップに思考が停止してしまった
「物事を見た目で判断する事は決して間違いじゃないわ。第一印象はPRで最も重要なポイントだし、何よりその目で直接得た情報は信頼性が高いからね」
彼女は眼鏡を外して
俺を指をさす
その目でしっかりと俺を見ながら
「でもそれは表面上の情報だけ、直接中身を確かめてもいない、いざ箱の中を覗いて見たらって言うのはネットショッピングではよくある出来事よね」
彼女はさらに続けた
「でもね、そういうトラブルは物事を表面上でしか見れないから起きるの、レビューや会社の情報を検索すればその中身が見えてくるはずでしょ」
そんな事当たり前だろうっと言いたかったが…
今起きている出来事のせいで反論の余地がない…
思わず唇を噛み締める
「ふふ、ちゃんと分かっているようね、まあ今回あなたが私と会うのは初めてだからしょうがないか」
どうやら俺の心は見透かされているようだ
「あなたは物事を日々分析しながら生活をしている、だからこそ理解力は優れている」
そう言うと鞄から一冊の本を取り出し俺に差し出して来た
「そんなあなたにこの本をオススメするわ」
どうやら俺は新手のキャッチセールスに掛かったようだ
購入前の認知とは顧客が製品やサービスが顧客を買う理由(便益の束)
の第1段階のことでパッケージやネーミング、ブランドなどから価値を決める段階の事です
情報の非対称性とは売り手が持つ製品、サービスの情報と買い手が持つ製品、サービスの情報が違う状態の事を言います
一応、続きを書いてみましたが
もしも、経済や経営を熟知していて上記の点に間違いがありましたら教えてくれると助かります